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【会長インタビュー】10年後も20年後も、お客様にとって良い会社でありつづけたい。「ファンつくり」の理念が目指すもの

私たちIKホールディングスは「ファンつくり」をミッションに、食品、化粧品、雑貨など幅広いジャンルで商品の企画、製造、物流を自社で一貫して行う『マーケティングメーカー』です。

今回は代表取締役の飯田会長にインタビューを実施。ビジネスモデルの特徴や、企業理念に込めた思いなどをうかがいました。

【プロフィール】

飯田 裕:代表取締役会長 兼 CEO

偶然の縁が大きなビジネスチャンスを生む種に

――まずは飯田会長がIKホールディングスを創業するに至った経緯を教えてください。

当社は1982年に創業した会社です。私は大学卒業後に損害保険会社へ就職しましたが、無形商材ではなく有形商材を扱いたいとの思いから、27歳のときに脱サラしました。資金や人脈、後ろ盾などはまったくない状態で事業を興そうと決意したのです。

実は私自身、学生時代に学習用教材の販売会社を設立した経験がありました。いつかはもう一度自分でビジネスをやりたい、夢を叶えたいと考えていたことも、創業の1つのきっかけとなりました。


――立ち上げ当初は生協向けのビジネスを展開していたとうかがいました。

はい。当社は創業半年で資本金を食いつぶしてしまい、途方に暮れる日々が続いていました。そのような矢先に、まったく偶然の縁で、大学時代の知人経由で生協の責任者の方を紹介してもらうチャンスがあったのです。

「共同購入用のチラシを2,000部持ってきてくれ」と言われた私は、当時革新的な技術で注目を集めていたマキタさんの充電式クリーナーを販売することに。チラシを出したら、なんと2,000部で400本も売れたんですよ。「これがビジネスになるのか」という驚きとともに、生協様にもご評価いただき、本格的にお取引が始まりました。紹介が紹介を呼び、気づいたら全国制覇した状態でした。


――その後、2007年頃から販路の多角化にシフトしました。その経緯は?

当社は2001年にJASDAQに上場したのですが、そのおかげで「名古屋にBtoBtoCの会社があるぞ」という評判が広まったことが、大きな転機となりました。つまり、媒体を作り、物流を用意し、商品選定を行い品質も保障するなど、お客様さえ持っていればバックヤードをすべて任せられる会社だという認知が広まっていったのです。

すると、いろいろな通販業者様や、顧客リストをお持ちの小売業者様から、当社に発注をすれば商品の組み立てから媒体による周知、商品の発送などが一括で行えるメリットを感じてもらえるようになりました。いわゆる「媒体足つき卸し」という手法であり、媒体(カタログ等)や足(物流)も準備したうえで、卸売まで行うビジネスモデルですね。この手法が生協だけでなく一般企業にも展開できることが分かり、販路を拡大していきました。

「人づくり」をミッションに次世代経営者育成に注力

――現在、IKホールディングスは「マーケティングメーカー」というビジネスモデルを展開しています。具体的にはどのような手法ですか?

BtoBtoCの場合、当社は川上(メーカー)、川中(卸売業)、川下(小売業)のうち、川中の立ち位置です。問屋不要論が叫ばれるなど、川上へ行くか川下に行くかという世の中の流れのなかで、当社は「両方に行こう」という解を出しました。その先に行きついたのが、「マーケティングメーカー」というポジションです。

「マーケティングメーカー」とは、簡単に言うとダイレクトマーケティングとセールスマーケティングの販売の両軸を回しつづけることで、コアとなる商品開発の軸を回転させていくモデルです。

両軸から「いつ」「どのような人が」「どんな商品を」購入したか、データがすべて入ってきますので、データドリブンで商品を企画します。当社には数100社の協力メーカーさんが存在しますので、自分たちが考えた商品を最も高いコストパフォーマンスで作ってもらえる会社に発注をします。そしてプロモーションを行い、両軸で販売を実施。そこで売れた商品のデータを活かして次の開発につなげるサイクルを繰り返していくイメージです。


――現在のIKホールディングスはどのようなフェーズの会社ですか?

今は新たな組織づくりを目指して取り組んでいる最中です。当社はリーマンショックとコロナ禍の際に一時的に業績が悪化しました。その際に、改めて「組織づくり」「人づくり」が大切だと気づいたのです。

かつては、みんなでわいわいがやがやとやりながら会社を回していました。一方で、業績悪化以降は「事業部制」を導入し、どこに赤字が潜んでいるかを明らかにすることに。そのうえで、「辞める」「伸ばす」「改革する」事業に色分けをしながら展開する事業を見直したことで、業績も大幅に回復しました。

その際に特に注力をしたのが、事業部長クラスの人材の育成です。現在に至るまで経営者養成プログラムである「ジュニアボード会議」を実施しており、「人づくり」は私自身のミッションだと考えています。



会社とは「一緒に働く仲間の幸せ創りの器」

――IKホールディングスでは「ファンつくり」という経営理念を掲げています。この言葉にはどのような意味が込められていますか?

「ファンつくり」は、”21世紀のリーディングカンパニーとはどのような会社か”を悩みつづけた末に、1999年に生まれた言葉です。これからの時代にリスペクトされる会社は、売上や利益、従業員や資本金の規模などではなく、「一番ファンが多い会社」なのではないかと考えたのです。

 同時に、私自身の経験を振り返っても、成功の本質は「お客様から見たときに『良い会社』でありつづけること」だという実感がありました。良い会社であるためには、お客様に喜んでもらい、ファンになっていただく必要がある。そのような思いが経営理念の「ファンつくり」に込められています。


――なるほど。お客様に「ファン」になっていただくためには、何が必要だと思いますか?

まずは当社で働く社員のみなさんに、会社の「ファン」になってもらうことです。当社では「社員さん第一主義」を掲げています。よくお客様第一主義という言葉を聞きますが、個人的に、お客様に対して”あなたがNo.1”という順位を決めるのはおこがましいことだと考えています。一方で、社員さんに対しては「あなたたちが一番だ」と胸を張って言えますから。社員さんが会社のファンにならないと、お客様をファンにさせることはできません。

一方で、当社の経営基本方針では「お客様立場主義を貫く」という言葉を掲げています。そのうえで、生活者の方々が「健康に生きる」「美しく生きる」「楽しく生きる」ための一助を担い、ファンをつくりつづけていくことを目指しています。


――そのような飯田会長の思いは、社員のみなさんへどのように伝えていますか?

入社時のオリエンテーションや、毎月全社員が集まる全体会議などで伝えつづけています。なかでも、経営基本方針にもある「会社とは一緒に働く仲間の幸せ創りの器である」点を強調しています。会社とは、一緒にビジネスを行う仲間が有機的につながりながら集まる場ですが、その目的を突き詰めると、最終的には一人ひとりが「幸せになること」に行きつくからです。

 また、当社の社員は全員「IK WAY」という冊子を持っており、会議の際に必ず持ち寄るようにしています。当社が大切にする「アイケイらしさ」などの考え方を1つずつ読み合わせたり、各項目に対する個人の思いを簡単にスピーチしてもらったりしています。

 「アイケイらしさ」には、「反抗と冒険と新しい企てをする自由が保証されていること」「目的によって常にルールや組織が変化し続けることに、何ら抵抗がないこと」といった言葉がありますが、私は「自由」があるからこそエネルギーを発散できると考えています。社員のみなさんには、できるだけ自由に働いてほしいですし、ルールも細かく決めません。社員さんが自立して、やりたいことをできる会社が一番伸びるからです。

 経営者として、そんな「自由」を保障すること。さらに、変わることへの抵抗感を持たないこと。すべてが当社の社風です。社風は、創業者の責任で作り上げられるものだと思いますので、特に私自身の重要課題として取り組んでいます。


求めるのはチャレンジ精神にあふれた人材

――IKホールディングスが目指す世界を教えてください。

10年経っても20年経っても、「お客様にとって良い会社でありつづけること」が目標です。もちろん数値的な目標にもコミットしますが、それよりもまず、土台となる部分がぶれない会社にしていきたいのです。「一時の紅より、万年の緑」という言葉がありますが、一緒に働く社員さんの「幸せ創りの器」という考えを軸に、お客様から見て良い会社でありつづけることを今後何年も目指していきます。


 ――新しく入社される方々に期待する事柄はありますか?

当社は、「寄らば大樹の陰」という考えの方には向かない会社だと思います。この会社で殻を破りたい、吸収すべきものを全部吸収したいという気概を持った方を求めています。

 また私たちは、昔から性別や年齢、経験を問わず、「評価の平等性」や「チャレンジの平等性」を大切にしています。やりたいことにチャレンジできる場は用意していますので、ぜひ”チャレンジャー”のみなさんに入社していただけたら嬉しいですね。

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