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【創業者対談】ブロックチェーン技術の社会実装を目指す、Aerial Partnersが見据える未来と現在地

Aerial Partnersが立ち上がったときの事業は、仮想通貨の個人投資家向けの確定申告支援だった。ーーあれから約4年。ブロックチェーン技術の社会的位置付けも変化し、メンバーが増え事業も進化している今、創業者であり代表の沼澤とCOOの岡田は何を思っているのか?創業時の苦労から、事業や組織がめまぐるしく変化する中で何を考えてきたかを探っていきます。

沼澤健人・CEO(トップ画像右)

慶應義塾大学大学院卒業後、KPMG有限責任あずさ監査法人入所。その後、エンタメアプリを提供するtaskey株式会社を創業。Atlas Accounting代表を務め、複数のブロックチェーン企業や暗号資産交換業者、インキュベーターのアドバイザーを歴任。2017年にAerial Partnersを創業し、暗号資産投資家や交換業者・Dapps提供事業者向けの財務報告システムを提供。2019・2020年の二期にわたり、日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長を歴任。

岡田佳祐・COO(トップ画像左)

慶応義塾大学を卒業後、あずさ監査法人に入所。 あずさ監査法人では主に製造業の監査を担当し、IFRS導入や決算早期化等のアドバイザリー業務にも携わる。あずさ監査法人退所後、Atlas Accountingの前身となる会計事務所にて複数の上場REITに対し決算業務の支援や財務モデリング構築業務等を提供しながら、一般事業会社向けにもIPO支援等の業務を実施している。Atlas Accountingパートナー就任後は、特に資金調達やITを使用した経理業務の効率化支援を強みとした業務を提供している。

■立ち上げは”個の活動”から


—— まずは、立ち上げ前の話から聞かせてください。お二人の出会いは?

沼澤:私が大学4年のとき、岡田さんが3年で同じゼミに入ってきたことがきっかけで出会いました。卒業後には、公認会計士試験の合格年度が同じこともあって監査法人で同期になって。その後お互いに独立して、それぞれ事業会社・会計事務所の経営に携わっていましたが、ビジネスの相談をよく岡田さんにしていました。

岡田:そうですね。監査法人を卒業した後も、定期的にお互いの事業に関する相談をする関係になっていきましたね。

—— なるほど。そこから一緒に創業しようという話に発展したのは、どんな背景がありますか?

沼澤:Twitterでの情報発信等、仮想通貨投資家の支援を個人で始めた頃、人・モノ・金すべてが足りないという状況のなかで、一番最初に相談したのが岡田さんでした。社会課題の解決のため、僕を助けてほしいと。それに対して、岡田は当時見返りを求めずに協力をしてくれたんです。

だから「会社を一緒にやろう」と誘ったわけではなくて、まずは岡田とバディになって、そこから仲間が集まってチームになり、会社になっていったというのが正しいかもしれません。

—— 岡田さんに質問で、「見返りを求めずに協力をしてくれた」という話がありましたが、それはなぜですか?


岡田:ブロックチェーン技術そのもののポテンシャルを感じたからですね。社会に求められていて、今後確実に伸びると信じられる領域で、自分自身も面白そうなことがやれそうって思って。最初は「手伝わせてください!」というかるい感じでした。ふたを開けてみたら、とんでもなく大変だったっていう(笑)

沼澤:仮想通貨投資という一つのキラーアプリが浸透するスピードに、ルールの整備や解決策の提供が間に合っていなかった。そこに残っていたのは、損益の計算や確定申告上の社会課題だけ(笑)。自分たちでリスクを取って、ユーザーに解決策を提供するっていう、ある種の熱狂がなければ乗り切れなかったかもしれない。

■創業期から続くユーザー課題ドリブンのプロダクト開発


—— なぜブロックチェーン・デジタルアセットの領域で事業にチャレンジしようと思ったんですか?

沼澤:ブロックチェーン技術が、未来で求められているインフラの一つだという確信があったからです。ブロックチェーンの社会実装には金融経済側面と実体経済側面(経済活動のDX等への活用)とがありますが、そのいずれも、未来の世界において求められるものだと信じていました。そして、現在においてもその考えは変わっていません。むしろ、活用事例や新しい経済圏が登場することによって社会実装ステップの輪郭が浮かび上がってきたことで、当時より解像度が高くなっています。

そして、インフラを担う領域でのイノベーションは、それが進む過程で既存のルールや経済活動との間で摩擦を生みます。、そういった摩擦を解決するためにも、技術者と専門家がタッグを組んだチームでないと絶対解決できない領域だと感じていたんです。しかも当時、目の前で困ってる人もいて...専門性×テクノロジーの領域で、ブロックチェーン技術の社会実装を支えるようなチェレンジしたいと思ったんです。

—— とはいえ、黎明期の業界でゼロからの立ち上げには苦労も多かったのではないでしょうか??

岡田:創業期は、詳細なルールもなく、プロダクトもない。ただあるのは直近に迫った期限(= 確定申告期日)と困っているユーザーという状況でした。今のようにプロダクトで解決できる課題も多くなく、顧客一人ひとりについて論点を検証し、対応していくことを繰り返しながら、、立ち上げ当初の繁忙期にほとんど休みなく稼働していた稼働していたのは、今ではいい思い出の一つです。

—— そんな状況を乗り越えられた原動力は何だったのでしょうか?

岡田:僕たちにしか提供できないサービスだと強く信じ、それがチームメンバー全員の共通認識となっていたんです。「自らが最後の砦である」というプロフェッショナル意識を持っていたからこそ、お互いにモチベーション高く進んでこれたのかなと。

あとは、本当に目の前に困っている人たちがいる中で、自分たちが問題を解決しますと旗を立てた以上は、やりきらなきゃという想いがあったので、がむしゃらに突き進んできました。

沼澤:

「社会課題」という大きな視点で問題を捉える視点も大切ですが、それを構成する要素を最小まで因数分解していくと、最後はユーザーひとりの「困った」に行きつきます。特定のユーザーが抱えているペインを解決するためにプロダクトづくりをするカルチャーは、創業時に培われたものなのかもしれません。

仮想通貨交換業者やDapps / NFT事業者、そして仮想通貨に関連しない金融領域等でAerialチームのプロダクトが活用される未来を当時正確に予想できていた訳ではなく、ユーザー1人ひとり、一社一社の「困った」と向き合ってプロダクトに投資をしてきたからこそ今の状況があるのだと思っています。

■Aerialチームが実現したい未来


—— 今後の3年はどんなことにチャレンジしていきたいですか。事業方針について聞かせてください。

沼澤:Aerialチームはこれまで、仮想通貨をはじめとするデジタルアセットを経済活動に取り入れる際に生じるデータ管理の課題を解決するプロダクト提供をしてきました。今後も、仮想通貨・ブロックチェーン業界以外の事業者も含めプロダクトの提供を推し進めていきます。

そしてそれと同時に、今後はデジタルアセットやそれを支える技術であるブロックチェーンの社会実装を、自ら前に進めるようなプロダクトやサービスの提供にチャレンジしていきたいと思っています。

ビットコインをはじめとする仮想通貨が一つのアセットクラスとしての地位を確立し、経済活動そのものもDXしていく不可逆の流れの中で、デジタルアセットを経済活動に活用することは特別なものではなくなります。

デジタルアセットの活用を支援し、そして、デジタルアセットを含む経済活動のデータを管理することのできるインフラを提供する。そんなチームにしていきたいと思っています。

岡田:私も同じ考えで、今後は私たち自身がデジタルアセットやブロックチェーン技術の社会実装を前に進めるプロダクトを作っていくべきだと思っています。「Defi」等プロトコルの整備が進む中、それを利用するエンドユーザーにとっての分かり難さを解消していけるようなサービスを作っていきたいです。

—— 50年後もしくは、想像できる一番遠い未来にAerial Partnersはどんな組織であってほしいですか?

沼澤:あるべき未来を想像し、その未来の社会において求められているものを創造することー。創業当時からこの想いは変わらず、将来のAerialチームを想像する上でも大切にしたい考えです。

「会社」という枠に囚われず、社会課題ドリブンで課題解決に立ち向かうチャレンジャー・イノベーターの集団であってほしい。欲を言えば、ブロックチェーン技術とデジタルアセットが起こす価値革命のエンドロールに、Aerialチームの名前を残したいですね。

岡田:デジタルアセットを介して行われる経済活動が、法定通貨と同様に会計や税金などの意識をせずに利用できる社会の実現のために、Aerial Partnersチームがその基盤を担う存在になりたいと思っています。

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