なにをやっているのか
2009年に会計事務所として創業した当社は、投資ファンドの投資先企業を中心にM&A、PMI、IPO支援といった様々な業務提供を行ってきました。引き続き会計事務所業務、コンサルティング業務は継続しながらも、M&Aに関するノウハウ蓄積を活かしてさらなる成長を実現するため、2021年から後継者のいない中小企業の株式を取得し、経営支援の枠を超えて、経営そのものに挑戦をしています。
なぜやるのか
1号案件の東和鋳工は大型鋳物を扱う製造業
東和鋳工は1927年に大阪で創業、現在は奈良県の月ヶ瀬に工場を構えます
中小企業のオーナー経営者の高齢化が進み事業承継の必要性が話題に上がることは増えてきました。
投資ファンドが増え、買い手候補の多い売上数十億円超の中堅企業のオーナーにとって様々なEXIT手段が増えてきている一方で、売上数億円程度の小規模な企業は後継者不在時に選択肢が少ないのが実態です。同業やより規模の大きい事業会社にM&Aで買収された小規模な企業は、新たな株主の支配のもとで従来の経営方針を維持できるとは限りません。
そのような環境の中で、活力ある小規模企業が経営方針を維持しながら永続するため、当社自らが事業承継の買い手となることを始めています。当社が事業承継した企業では、経理・財務・人事といった管理部的な機能を中心に関与しながら、営業面では従来の経営方針を尊重し、対象企業の社員から将来的に経営者が育つことを目指します。
日本には優良な中小企業が数多く存在します。そういった中小企業の素晴らしい企業文化を残していくために当社が買い手となって後継者不在の企業の事業承継を行っています。
どうやっているのか
2号案件のニューホンコン造花は全国に造花の輸入販売をしています
ニューホンコン造花は1920年創業、創業100年を超えました
今でこそM&Aは一般的な手法となりましたが、それでも、仮に自分の会社が第三者に買われたと聞くと身構える人が多いのではないかと思います。当社が行う事業承継でも同じです。当社は承継企業の社員に安心して働いてもらうためにいくつかの方針をもって経営を行っています。これらの経営方針は、現在のところすべてのグループ企業の社員から好意的に捉えていただいていると自負しています。
①永続保有、兄弟会社として扱う
当社の事業承継は投資ファンドが行う売却益目的の純然たる投資業務とは異なります。当社は承継した会社を永続的に保有することを前提としています。そして、承継先企業を子会社としてではなく兄弟会社としてとらえています。互いに助け合い支え合いながら事業を継続していくことを前提としています。
②経験豊かなメンバーが承継先企業に関与する
承継先企業の社員は自分たちが会社を支えているという強い自負を持っています。その状況の中で親会社から何もわかっていない人物が社長として降りてきたらたちまちやる気を失ってしまいます。当社では承継先企業を担当するメンバーの人選には細心の注意を払います。現在のところ、親会社の代表である矢野自らがすべてのグループ会社の責任者を兼務し、毎週訪問、それぞれの会社の社員とのコミュニケーションをとっています。
③営業面・現場業務は既存社員にお任せする
私たちは数値管理・経営管理についてはプロフェッショナルですが各事業の現場業務においては完全な素人です。現場業務について不必要な口出しはせず、既存の社員の方々にお任せをしています
④数値管理については積極的に関与する
私たちが承継した企業では月次決算の精緻化・早期化を行い、KPIによる経営管理を持ち込みます。中小企業のオーナー経営者の経営では管理会計が充実していない場合が多く、私たちの数値管理は多くの場合承継先企業の社員から歓迎されています。
⑤フェアな人事制度を構築、人材登用
管理会計が充実したうえで人事制度・報酬制度を検討、フェアなものに変更をします。中小企業では人事制度がきちんと設定されている企業は少なく、何を頑張れば昇給昇格できるのか不透明な場合もあります。フェアな人事評価を行ったうえで貢献度の高い人材は積極的に昇給昇格をしていただき、やる気をもって仕事に向き合っていただけるよう最大限の考慮をしています。