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ノーマン・フォスター、Pentagramなど、デザインのドキュメンタリーから学ぶデザインの思想

Netflixを見てデザインを学ぶ

こんにちは、ドキュメンタリー映像をこよなく愛するデザイナー小林です。自伝から、世の中の批評、伝えられて来なかった真実まで様々なストーリーに触れることのできる瞬間が好きで毎週2本は何かしらの作品を見ています。特にデザインやアートに関する作品や番組はジャンルを問わず積極的にチェックしています。時代の流れも後押ししてか、著名デザイナーや作品にフォーカスした作品がどんどん増えているなと実感する毎日です。

今回、Netflixから紹介する5つの作品はオリジナル性が高く、デザイナーの思想や時代背景が鮮明に映し出されている良質ものです。イームズが活躍した時代から現代まで、デザインの変化を十分に感じれる作品を並べて見ました。各作品から得るインスピレーションの違いにも注目して読んでいただければと思います。


Title01 : 古典的なモダニズムに触れるならこの作品 EAMES: The Architect and The Painter

EAMES: The Architect and The Painter

イームズチェアと聞けば馴染みの深い方もいるかとは思いますが、奥さんのレイ・イームズがグラフィックデザインやテキスタイルに通じていたことや、夫のチャールズ・イームズが映像関連の仕事を兼任していた時の映像等は貴重だと思います。特に印象深かったのは、イームズのオフィスで働いていたデザイナーが未経験で採用されたとき、夫のチャールズがその人に向けて放った言葉でした。気になる方は是非、チェックしてみてください。

建築に続き、工業デザインの観点から体験デザインやコンセプト設計を学べる作品です。建築家と芸術家がどのようにチームとしてコラボレーションできるのか、チームビルディングに関しても発見の多い内容となっています。

マスプロダクションではなく、人の課題を解決するようなデザイン。新しいニーズを生み出すデザインの制作工程は、UXデザインそのものだなと感じさせてくれます。Web時代以前のプロダクトデザインが見れるので、デジタル分野でUXデザイナーとして活躍している方々にオススメの作品です。

(2018年6月時)


Title02 : ゲームの歴史が見える一品 Video Games

Video Games

ゲームの歴史を初期から振り返る作品集のようなドキュメンタリー映画。クラシックなフォントや色使いなど、表現力を養うことのできる作品です。懐かしいキャラクターと、そのキャラクターに命を吹き込んだクリエイターが登場するゲーマー胸熱の内容となっています。グラフィックの重要さ、ストーリーテリング、緻密なユーザー設計の言葉が何度も繰り返されるシーンでは、それぞれのゲームクリエイターが実際に手がけた作品を通してコンセプト設計も含めた開発時の話をしてくれます。

時代を遡ると、キャラクターに使われている大胆な色使い、機能的で個性を全面に押し出したタイトルフォントなどグラフィックデザインの歴史を見ることができると同時に、テクノロジーの発展に伴うユーザー体験の進化を観察することも可能です。

時代が回り回って、現在ではレトロなデザインがリバイバルされるケースも多くなりましたので、過去のデザインエッセンスが豊富に詰まった作品群を観れるのは貴重な瞬間だと思っています。UIデザイナー、グラフィックデザイナーの持つ表現の幅が確実に広がる作品となっています。ぜひご覧ください。

私の場合、UIやGUIのバリエーションを考える際、特に配色の作り方など参考にしています。

Title03 : 建築の巨匠に迫るドキュメンタリー How Much Does Your Building Weigh, Mr. Foster?

How Much Does Your Building Weigh, Mr. Foster?

近年、サービスデザインなど経験の作り方を考える機会が増えた方も多いのではないでしょうか?
建築界の巨匠、ノーマン・フォスター氏が語る建築論には、デザイン分野を横断する哲学や思想をどのようにまとめ上げるのかという問いが隠れています。

イギリスではなくモダニズム全盛期にアメリカで建築を学んだ学生時代の話や、イギリスのシンボルにもなっている卵のような形をした建物、スイス・リ本社を産んだ背景などが聞けます。78歳になった今も鉛筆とノートを携えて世界中を駆け回るフォスター氏が語る哲学は、デザインに限った話では無いように思います。

A.C.O.で現在働いている多くのパートナーは代表を含め元建築設計、建築学部出身者が多いです。各パートナーはデザイン部、グロース・マネジメント部、UX/IA部など別々のチームに所属しているのですが、建築やWebデザインという垣根はなく複雑に絡み合う要素の中から一つのプロダクトをデザインするという過程は近いものがあると日々気付かされます。

建築のレジェンドに迫る一品。建築やインテリアまで分野を横断したいデザイナーの方にオススメの作品です。

Title04 :トップデザイナーが一挙に集う作品を見たいならこれ Abstract : The Art of Design

Abstract : The Art of Design

多くのまとめサイトで反響を呼んでいるので、この記事をご覧になっている皆さんの中でもご存知の方が多いかと思います。世界的なデザインコンサルティンググループ、Pentagramで長年指揮を取っている女性デザイナーのポーラ・シェアや、ナイキエアージョーダンやエアマックスの生みの親、ティンカー・ハットフィールドなど各分野の有名デザイナーを密着取材したNetflixオリジナルのコンテンツです。デザインに少しでも興味があれば楽しめる内容となっています。

特に印象深かったのは、マイケル・ジョーダンがナイキとどのようにしてオリジナルのシューズを作るに至ったのか、エアマックスの開発にはどのようなストーリーが起こっていたのかをティンカー・ハットフィールド本人の言葉で聞けたことです。クライアントであり、パートナーであるジョーダンとの関係性の構築や、0から1を作るアイディアの探し方など盛りだくさんの内容でした。

このように、世界で活躍するデザイナーたちが持つプロダクトへの向き合い方、アイディアの形成方法、クライアントとのやり取りなどが生々しく写っているのもポイントです。

他分野の著名デザイナーから、インスピレーションを得るならこの番組。

Title05 : ファッションを通して多様性を知れる番組 Social Fabric

Social Fabric

世界中の民族、宗教、文化、歴史をベースに、グローバル視点でインスピレーションを得たいならこの作品がオススメです。

LA出身の陽気なファッションデザイナーが、世界中を飛び回ってファッションの原点に迫る企画。倉敷にある日本の”デニム島”児島から、ケニアの伝統衣装まで幅広く多くの生産者にインタビューをしていきます。とてもユニークなテーマとして、下着を取り上げるシーンやイスラム教のライフスタイルウェアをモチーフにしたブランドなどがあります。

毎回のように登場する多種多様な人たちから、普段何気なく着ている身の回りのファッションアイテムを中心に、生産地や結びつきの強い文化など価値の高いリアルな情報を得ることができます。

一つの物語が、30分と短いのもポイント。サクッと、見れちゃいます。

映像コンテンツは良質なインプット方法

Netflixでは今回ご紹介した作品以外にも世界的に有名なストリートグラフィティ・アーティストのバンクシーや、黒人で初めてディズニーのアニメーターとなったフロイド・ノーマン氏の作品などデザインに関連するコンテンツがたくさん配信されています。

私自身、デザイン提案をするためのプレゼンテーション力を鍛えるために、2つ目に紹介したAbstractを何度も繰り返し見ています。著名デザイナーがクライアントの前で提案する姿から、クライアントとのコミュニケーションや表情の使い方など映像だからこそ得られる情報があります。

是非皆さんも、Netflixを使って独自のインプット方法を探してみてください。毎日、少しづつでもあらゆるデザインに囲まれることが大事だと思っています。この記事が、少しでも皆さんのデザイン業務に良い影響を与える事ができれば思っています。


WRITER

小林 拓也 / TAKUYA KOBAYASHI
ASSISTANT DESIGNER

法政大学キャリアデザイン学部国際社会学エスノグラフィー専攻。東京デザインプレックス研究所卒業。デザイン担当。デザイン部所属。

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