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元B2Cアプリ開発者が考える、B2CとB2Bのサービス開発の違いとは?

概要

A1AはB2B SaaSを展開しているスタートアップですが、実は開発に携わるエンジニアのほとんどがB2Cサービス企業出身という特徴があります。今回は、8年ほどB2Cサービスを開発した後、A1Aに加入したエンジニアの曽根田に、B2Cサービス開発とB2Bサービス開発の比較、そしてA1Aが目指している開発についてインタビューしました。

結論

  • B2Cサービス開発は仮説検証型、B2Bサービスは課題解決型
  • B2Cサービス開発においてはドメインへの興味がより重要であり、B2Bサービス開発においては純粋な思考力がより重要となる
  • A1Aでは、B2Bサービス開発においても、B2Cサービス開発のエッセンスを取り入れようとしている

注意

本記事はインタビュイーの体験にもとづいた個人的見解です。B2C、B2Bとひとくくりに語っていますが、必ずしも全ての事例に当てはまるとは限りませんので、その点ご了承の上読んでいただければと思います!

インタビュイー

曽根田 侑也(Soneda Yuya)
A1A株式会社 エンジニア
法政大学卒業後、物流業界で営業職を経験する。その後エンジニアとしてのキャリアをスタートし、マッチングサービス、旅行サービス、マンガサービスの開発など、複数の業界でB2C自社サービスの開発に従事。B2B SaaSの開発に興味を持ち、A1Aに加入し、現在に至る。

B2CとB2Bのサービス開発比較

B2Cサービス開発は仮説検証型

これは、あくまで私の経験になりますが、B2Cサービス開発は仮説検証が中心になります。様々な情報(数値、ペルソナ、他社サービス、自身の体験など)から仮説を立て、それを要件化して開発していきます。

もちろん、マーケットに対する深い洞察、インサイトが求められるのは当然ですが、B2Cサービスにおける顧客は不特定多数のユーザーであり、属性(性別、年齢、趣味嗜好など)も幅広いことが多いため、施策の精度を高めるには限界があります。そのため、いかに早く仮説検証を回し、最適解に到達するかが非常に重要でした。機能開発して、リリースの翌週にはその機能が消えている…というような、リニューアルに近いドラスティックな開発もたびたび経験しました。私にとって、このスピード感こそがB2Cサービス開発の面白さでした。

B2Bサービス開発は課題解決型

一方で、B2Bサービスには特定の顧客が存在するため、明確な顧客の課題に立脚した開発が可能です。従って、顧客の課題をいかに深く理解できるかが非常に重要になってきます。

実際、SmartHRの宮田さんは約200社ほどのヒアリングを通じてSmartHRを開発されたそうです。以下インタビュー記事では、プロダクトアウトから、顧客の課題に立脚したマーケットインの思考に切り替え、SmartHRを開発したストーリーが語られています。

SmartHR宮田昇始氏の原点となる問い掛け「そこにユーザーの課題はあるのか」 (1/2)
今回紹介するSmartHRは、煩雑な労務手続きや従業員情報の管理をWeb上で完結できるクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供しているスタートアップだ。2018年の2月には利用企業が1万社を突破し、「働き方改革」を推し進めたい企業の一助となっている。そんな同社が価値基準として掲げるのは、「人が欲しいと思うものを作ろう」という、まさにユーザー体験を重視するプロダクト開発だ。そこに込められ...
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1807/10/news053.html

弊社も創業前からβ版リリースまでの間に、100社を超えるヒアリングを通じて、顧客の課題についての理解を深めてきました。ただ、顧客へのヒアリングを開発の中心としつつも、顧客の要求を鵜呑みにして開発すると、ともすれば使われない無駄な機能が増えたり、不要なカスタマイズが生じるリスクがあります。私たちはSaaSを開発していますので、SIerと異なり、単一のシステムですべての顧客へ機能提供しています。顧客の課題が、本質的な課題なのか、私たちが価値提供したいマーケットにおいて多くの企業に共通する課題なのか否か、慎重に見極める必要があるのです。

トレタの中村さんのインタビューでは、カスタマイズの誘惑を断ち切り、本質的なIssueにアプローチすべき、という考えが強調されています。

見せかけの「ユーザーファースト」に囚われるな。徹底的に価値を問うSaaS企業の戦い方
カフェパス 二方さん(以下、二方) 株式会社Same Skyの二方と申します。月額定額制でいろいろな個人カフェのコーヒーを飲めるカフェパスというサービスをやっています。 創業当初からトレタでは「Issue First」を企業のバリューにしているのはなぜですか。 トレタ 中村さん(以下、中村) ...
https://ami.live/articles/4Cv9CjRoyy4BC4RCoPA6ky

また、どのような将来どのようなプロダクト展開を描いているかも非常に重要です。私たちは現在製造業の見積もりプロセスを最適化するプロダクトを開発していますが、将来的には企業間取引プラットフォームの構築を目指しています。スケールの大きなビジョンを達成するために、将来の機能追加を見据え、データベース設計、アプリケーション設計をする必要があります。スピードが求められるB2Cに比べると、熟考のうえ設計していくB2Bサービスは、より高度な設計力が求められるといえるでしょう。

以下はCTO佐々木の登壇資料ですが、B2B SaaSにおけるデータモデリングがどのようなものか、雰囲気を掴んで頂けると思います。

課題解決のその先へ

B2Cは興味、B2Bは思考力

これは個人的な見解ですが、B2Cサービス開発の仮説立案には、多くの場面で、企画力、発想力、着想などのある種クリエイター的な考え方が求められます。この考え方には、その対象そのものへの興味度合いが大きく依存していると思います。

一方で、B2Bサービス開発では、顧客の課題を抽象化、一般化、分解、整理するコンサル的な考え方が求めらます。これに必要なのは、純粋な思考力です。ですが、B2Bサービス開発にはこの先があるように思うのです。

目指すのは、いわば「B2Bサービス開発3.0」

Slerが顧客の課題に立脚して開発するB2Bサービス開発1.0だとしたら、顧客の要望を抽象化、一般化して普遍的な機能に落とし込んでいくSaaSの開発は、B2Bサービス開発2.0といえるでしょう。私はB2Bサービス開発には、この先があると思っています。即ち、顧客の課題に立脚した上で、B2BサービスにおいてもB2Cサービスのようなクリエイティブな発想を取り入れられないか?ということです。

例えば、先日ある顧客から「プロジェクト管理機能が欲しい」というご要望を頂きました。その要望をそのまま開発することもできますが、ふと思ったのです、「プロジェクト管理こそ、私たちwebエンジニアの中で独自の進化を遂げてきた分野じゃないか」と。プロジェクト管理については、様々な思想のもと様々なツールが開発されていますし、個々人がある種こだわりすら持っているように思います。そのエッセンスを少しでも取り入れられないかと考えたのです。

顧客の求めるものをそのまま開発するのではなく、顧客の課題を踏まえた上で、0ベースで何が理想かを考え提案することができれば、顧客が想像だにしなかった価値提供ができるかもしれません。何より、そちらのほうが、開発者である私たち自身が心からワクワクできると思うのです。そんな、いわばB2Bサービス開発3.0のような開発を目指しています。

必要なのは業界への強い興味

先述の通りですが、クリエイティブな発想を要する開発の実現には、思考力だけでなく、業界への強い興味が必要だと考えています。でなければ顧客の課題を深く理解することができませんし、0ベースで理想像を描くことも難しいと思っています。とはいえ、私たちがアプローチしているのは製造業という特殊なドメインで、なかなか興味を持つのは難しいかと思います。そんな方は、ぜひ弊社に遊びに来てください!

この業界にはアナログな業務や非合理な慣習が多く残っており、テクノロジーによる改善の余地が非常に大きいと感じています。そして、製造業は日本最大の産業で、産業従事者は就労人口の約16%をも占めています。プロダクトを通じて多くの人々の業務を劇的に変えていく、その面白さについて、ぜひお話させてください。ご来社お待ちしております!

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