a-worksで法務を担当している高橋です。
もともと東京に住んでおり、システム開発から転職しベンチャー企業での管理業務、上場企業でのIRや商事法務、経営企画などに携わっていましたが、2017年、結婚による大阪への転居をきっかけにa-worksへ入社しました。
当時の募集職種は総務でしたが、採用面接で「自分がこれまでしてきたこと」を話したり「a-worksの管理部門の状況」を聞いたりするうちに「法務を担当してもらいたい」と言われ、今にいたっています。
プライベートではもっぱらアウトドア派です。1歳と2歳の年子の育児に奔走しながらも、休日は家族でキャンプに出掛けたり、マラソン大会に参加するなどアクティブに過ごしています。
仕事ではもちろん、プライベートでもブログを書く機会はほとんどありませんが、バックオフィスメンバーがどんなことを意識して業務にあたっているかを伝えられたらいいなぁと思い、思い切って手を挙げてみました。
今回は、私の所属でもあるa-worksの管理部門 「BMG (ビジネスマネジメントグループ)」に焦点をあて、組織改革をきっかけに変化していくチームやメンバーの想いについてお伝えしたいと思います。
事業の危機…そして組織の変化へ
会社の成長を「支える」管理部門
BMGのメンバーは現在6名です。(※2020年5月執筆時点)
チームリーダーの高田をはじめとして、総務・労務担当の谷口・石瀬、経理担当の中村・松澤、そして法務担当の高橋がそれぞれをカバーし合いながら、多岐にわたるバックオフィス業務を担っています。
これまでのBMGは、どちらかというと広告運用を行う事業部門が主体となって、それを「支える」「応援する」というスタンスでした。
世の管理部門は日々の7割以上をルーティン業務に費やしている…と言われますが、BMGも例外ではなく、ルーティン業務以外については事業部門の依頼や相談をきっかけに動き出すことが多かったように思います。
もちろん、意見を求められたらコーポレートのプロとして会社のリスクを説明したり、社内のルール作りにも積極的に関わったりしてきました。ただ、こちらから会社全体を改革させていく…というよりも、事業部門を含めた社内の動きに対応しつつ、管理部門でよく言われる「業務の効率化」や「コスト削減」などに重きをおいていました。
外的環境の変化から気づいたこと
2019年は欧州のGDPR問題から、プライバシー対応に関する余波が生じ、そこからSafariのITP…インターネット広告業界は大きな打撃を受けました。
a-worksも例外ではありません。事業面で模索する中、さらにそのあおりを受け、寂しいことではありますが会社を離れていく人たちも少なくありませんでした。
私自身はこの時、慣れない中で新しい事業の契約書をいくつも作成していたので、業務の面では日々刺激や変化はあったのですが、やはりこれまで一緒に仕事をしてきたメンバーが去っていくのは寂しかったですし、一見いつもどおり仕事をしているメンバーたちを見ながら「会社の先行きが見えない不安」があるんだろうなぁと感じていました。
こういった背景もあり、会社は“組織の大切さ”に改めて気づきます。
うまくいっている時はいいけど、組織が強くない会社は、そうでなくなった時、途端に崩れてしまう…。
それをきっかけに、会社はそれぞれのメンバー間の信頼を築きながら組織を創り上げていこうとします。
外部の方のサポートを得ながら、今までとは違った方向へ舵を切るべく、昨年夏ごろからリーダー層を中心に組織についての勉強会が始まりました。また、丸1日から2日、通常業務を止めて今後の事業や組織について集中的にディスカッションする場(※)を設けるようになります。
(※)a–worksではこの集中ディスカッションを「合宿」と呼んでいます…特に泊り込んだりしません(笑)
リーダー合宿では、組織を強くするために実現したい未来(Vision = ビジョン)、それに向けた日々果たすべき使命(Mission=ミッション)を中心にみんなで議論を重ねます。
さらに、部門やメンバーの目標管理としてVOKR制度を採り入れることにしました。
各部門のビジョンをもとに、目標(Objectives)を定め、それを達成するための結果指標(Key Results)を設定することで成長スピードを加速させることが狙いです。
管理部門のミッションとは
2020年の年明けには全メンバーが対象となって、それぞれのチームで合宿が開催されました。
チーム合宿の目的は、「メンバーの方向性を合わせて協力体制を作り、組織全体のパフォーマンス向上につながるようにそれぞれの役割を最適化すること。」
信頼を築くためのワークを行いながら、チームのVOKRなどについて話し合うことになります。
BMGでは、開始時間をランチに合わせピザを注文して、会議室で始めることにしました。
「コーラいる人~」「はーい」「私も」「僕も…」「全員か!」
普段はコーラを飲むなんてことはほとんどないのに、会議室の机いっぱいに並べられたピザという非日常を目の前にして、思わずみんな手を挙げてしまいます。
まずはお互いを知ることから
まずはリーダー高田が企画した「ドラッカー風エクササイズ」でリラックスします。
ドラッカー風エクササイズとは、ある書籍で紹介されたチームの期待をすり合わせるための手法で、
- 自分は何が得意でどういう風に仕事をするか?
- 自分が大切に思う価値は何か?
- チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
といった質問を通して、メンバーそれぞれがお互いを理解して認識を合わせていきます。
それぞれの担当業務は違えど、日ごろから同じチームとしてコミュニケーションをとっているBMG。それにも関わらず、意外と相手のことを知らなかったと気づかされます。
「ゆーさんって実は石橋を叩いてわたるタイプだったんだ!(爆)」とか「相手が集中している時ってなかなか話しかけづらいけど、なかむーには気を遣わずに話しかけていいんだ!」
こんなふうに、エクササイズを通して「明日からこの人にはこんな風に仕事をお願いしよう」「この人はこういう業務はあまり得意ではないから、こういうお願いの仕方にしよう」と考えられるとコミュニケーションが取りやすくなり、業務もスムーズに進められそうだなと感じました。
さらに、他のメンバーから自分に対して「得意・不得意と思うところ」や「期待していること」を共有してもらいます。
私もこの機会に乗じて、仕事をしすぎる高田に対して「あえて厳しいこと言わせてもらうと…」と前置きしたうえで、「知的好奇心旺盛で、思いついた仕事は全部できる(しなきゃいけない)と思っている」「でも健康は何よりも大切だしリソースには限りがあるものだから、優先順位を考えて!(高田寝ろ!)」などとついつい好き勝手に言ってしまいましたが、高田さんなのでニコニコと聞いてくれました。
中村に対しても「なかむーは会社のムードメーカーだし、若いメンバーたちのあねご肌的存在だから、管理メンバーと事業メンバーのいい橋渡し役になっていると思う。」と、普段から言いたくてもなかなか改まって言えなかったことも言えました。
石瀬からは「なかむー電話が時々怖いよ」と言われて怒ってましたけど(笑)
でも総じて、お互いにより信頼が深まっていくのを実感しました。
次々と湧きだすアイディア
そして、トピックはグループのミッションへ。
先の「ドラッカー風エクササイズ」の効果もあってか、それぞれのメンバーがBMGのミッションに真剣に向き合い、どんどんとアイディアが出てきてうまく調和していきます。
「会社のミッションは“ブランドの想いに応えきる”」
「これを実現するためにバックオフィスであるBMGができることは…?」
「お客様にとって自社の商品やブランドは、私たちが想像しえないくらい想い入れがあり大切なもの。信頼できない会社には任せられない」
「a-worksへの信頼を担保するのはBMGの役割だよね」
「お客様や取引先もそうだけど、社内のメンバーがより快適に業務にあたれるように整えていくのもBMGだね」
「会社の中から見ても外から見ても、“いい会社”って思われるのが理想」
「“いい会社”っていうのは、お客様からみて使い勝手がよいとかではなくて、しっかりと信頼関係を築けてフェアな立場でお互いを高めあえるというか」
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“内からも、外から見てもえぇ会社”
誰もが「この1日だけでは決まらないだろう」と思っていたグループのミッションは、意外にも全員一致ですんなりと決まっていきました。
ワクワクするし達成したくなる、個人目標
続いて個人目標を決めるパートでは、チームリーダーの高田から要件の説明がありました。
- 言葉であること
- 達成が困難であること
- テンションが上がること
- ○○をいつまでに達成する、といった文脈であること
「テンションが上がること」…大事ですね(笑)
経理担当の中村が「プライベートで海外旅行を予定している」という話から「休暇の間でも仕事が回るように属人化をなくしていこう」という話が出ました。
普段であればここで終わっていたであろうディスカッションですが、
「僕も夏ごろには休暇をいただきたくて…」
「私も実は秋ごろに…」
「3ヶ月に1回くらいはメンバーの誰かが安心して長期休暇をとれる…なんて最高の組織じゃない?」
そんな風にして決まった中村の今四半期の目標は、
“3か月に1回誰かが旅行にいけるチーム”
これにはメンバー全員「すごくいいね!」「達成したくなる目標だよね」と共感。
それぞれが責任を持って役割を果たしながら…というのは言うまでもない大前提なのですが、メンバーひとり一人の生き方やライフスタイルを尊重するa-worksらしい目標が生み出されたなという気がします。
私もこれまでの社会人生活で何度も目標管理を設定してきましたが、管理部門の場合どうしても定性的であいまいな目標になりがちです。それに加えて、個人の目標達成がチームや会社の成果につながっているのかも見えにくい部分があります。
それでも設定する必要があるので、「目標は悩んだ末にひねり出す」というのが常でした。
でも、今回の合宿での時間は心から楽しいものになりましたし、全員で考え共有している目標なので達成したいという気持ちが自然に湧いてきました。
管理部門の会社への想い
「出会った人の、明日を変える」
これは会社の事業ビジョンですが、チームとしてのBMGにも当てはまります。
今のa-worksは、新しい事業の話も日々飛び交い、これまでと違ったかたちで取引が始まることも日常茶飯事です。
そのたびに業務フローを整えたり、ルールや方針決めをしていくには、ブレない強さを持ちながら本質を探り、かつ柔軟に対応していく必要があります。
社内への想いが社外へ伝わる
外に目を向けると、全世界では日々新しいテクノロジーやツールが生まれています。
日頃から情報を収集し続け、こういったものをうまく使っていけばまだまだ業務を効率化できるでしょうし、コストも抑えられます。組織も活性化でき、メンバー全員がより快適に業務にあたることができるようになります。
社内だけではなく、お客様とのコミュニケーションだってもっと円滑になるでしょう。
こんなところでバックオフィスであるBMGが主体的に動き、想像を超える快適な環境をメンバーに提供したり、みんなのパフォーマンスの向上に貢献することができたら、こんなに嬉しいことはありません。
今になって新型コロナウイルスがきっかけとなり、全国的にもリモートワークの環境整備の必要性が高まってきましたが、BMGではそれに先立ち、会社全体が快適かつ効率的となるよう、そして多様な働き方に見合うよう「Web会議の環境整備」を進めていました。
また「人事・労務を中心とした業務フロー改善」や「経営管理ツールの調査・導入」などの推進をさらに加速させています。
会社としての信頼はもとより、メンバー全員が正しい知識をもってお客様と接するためにも、法律やセキュリティに関する勉強を開催するなど具体的な取り組みも始めています。
これまでも「勉強会を開催してほしい」という要望があがり、それに応えるかたちで企画したことはありました。その時も、それなりに手ごたえのある勉強会ではありましたが、「みんなの知りたいに応える」「知識の幅を広げる」というようなぼんやりとした勉強会の目的は、全社のビジョンが定まったことによって「メンバーの明日(と、その先のお客様)を変える」という先を見据えたものに変わりました。
信頼される会社を創り上げるということ
「支援する」から「これからの会社づくりの一端を担う」部署へ
一般的に、“会社の信頼を担保すること”や“ルールを整備して守ること”は、ベンチャー企業の良さでもある“スピード感”を失わせることと思われがちです。
スピード重視で営業が進めようとしているところに管理部門が待ったをかけるとか、「経営者や事業部門が管理部門のいうことを聞いてくれない」という話はまさに“ベンチャーあるある”ですが、「お客様にとって、メンバーにとって最適かどうか」ということはもちろん、目先のことだけでなく長期的な視点にも立ったバランスが大切だと考えています。
BMGメンバーの意識が「支える」「応援する」から「信頼される会社を創り上げていく」という方向へシフトし、会社全体を俯瞰的かつ客観的に見られるようになってきたのではないかなと感じています。
みんなが視野を広げ、会社の将来を考えられる組織に
3月からは全社での取り組みとして「ガバナンスミーティング」というものが始まりました。
会社全体のルール作りや新しい取り組みなど、組織をよりよくするために設けられた会議体で、その日のテーマについて興味・関心のあるメンバーなら誰でも参加でき、意見を言うことのできる場です。
今のa-worksでは、「会社のことはみんなで決める」のです。
合宿を通してそれぞれのチーム内での結びつきは強くなりつつありますが、組織改革にとってチームの垣根を越えた信用・信頼の醸成が大きな役割を果たしていく上で、このガバナンスミーティングは重要な場になっていくと思います。
会社全体の方向性を左右する大切なミーティングなので、もちろん今後も積極的に関わっていくつもりです。
私自身、仕事では20代から30代と自分自身が経験を積むことや知識を吸収することに重きを置いて、ステップアップのための転職も繰り返してきました。かなり仕事に対して貪欲だった時もあります。
そこから体調を崩して、健康の大切さや周りの人のありがたさに気づき、様々な面からバランスを意識した生活をするようになりました。今思うと、あの頃は視野が狭くて周りのことをあまり考えられていなかったな…と反省しています。
そんな時期を経て、これからはa-worksでは村上さん(広告運用グループリーダー)と並んで最年長ということもありますし、若いメンバーに対してアドバイスをしたり、自分という立場からの考え方を提示したり、相談に乗ったり…そんな風にして少しでもみんなの力を引き出すことができたらどんなに幸せだろうと思います。
ひとり一人の成長も楽しみですし、それぞれのメンバーの意識や行動によって少しずつ会社の文化が積み重ねられていくと考えると、高まる気持ちを抑えられずにはいられません。
BMGに限らず、メンバー全員が将来を見据え、それぞれのミッションをこれからの会社やグループに浸透させる役割を担っています。
これからも、「会社をよりよくしたい」という想いをメンバーが持ち続け、日々のルーチンやお客様と対峙する中でも、組織や会社について興味関心を失わず真剣に話し合いができる…そんなa-worksであってほしいなと思います。