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コイニーの行動指針「期待を超えろ」ってどういうこと座談会【後編】

コイニーが掲げる行動指針「期待を超えろ」への理解を深め、指針そのものを育てるために座談会を開催しています。前後編の記事でお届けしています。

前回は主に同僚からの期待を超える話がメインだったので、今回はユーザーからの期待を超えるということやプロダクトにフォーカスして話してみました。

コイニーメンバーが考える「期待を超えろ」とはどういうことなのか?どうあるべきなのか?対話そのまま、後編(ユーザー編)をお届けします!

ユーザーからの期待

久下: コイニーのサービスって、性質上カスタマーサポート以外のチームがユーザーから直接フィードバックをもらう機会って少ないですよね。そんな中でプロダクトとしてユーザーからの期待に応えられたなっていうケースってどんなのがある?

吉田: お金を扱うサービスなので、決済額や売上の情報などの情報をちゃんと見せたいということを重視しています。最近は競合各社もUIなどがそれぞれ独自性が出てきているのもあって、そこは期待に応えられるようにデザインしています。一方でサービスとしてある程度確立できたからこそ、他社とのスペック比較をわかりやすく見たいという要望もちらほら聞きます。 サポートチームとのMTGでそういう話題が出るので、そういうスペックをちゃんと見せてあげるということを最近は重要視し始めてます。

久下: そういうサポートチームとのミーティングは吉田さんが呼ばれて行ってるの?

吉田: 自分から希望して出させてもらってます。ミーティングから得られる情報がすごく多い。ユーザーとの生のやりとりの話を聞くことで、ああ、こういう伝え方の方がユーザーに伝わるんだなーとかを知ることができています。今後も出席していきたいミーティングの1つですね。

久下: コイニーでは毎週末、全メンバーがサポートチームからの報告を受ける「円卓のサポート会」があるじゃないですか。あそこ以外でのサポート関連のミーティングに自主的に来る人っているの?

内田: 来るメンバーは決まってますね。もっと来てもらってもいいですね。

久下: そこで話されてる内容ってどんな話題なんですか?クレーム?

内田: やっぱりピックアップされるのはクレームですね。スムーズに対応できなかったケースとかに加えて、お客さんからの、こうしたらいいんじゃない?っていう改善提案も共有しています。ユーザーとのやりとりの全履歴からサポートチームがピックアップして話題にする感じですね。

久下: そもそもユーザーから褒められたとか喜ばれたってどういう時に感じてる?どういうチャンネルからフィードバック得てるの?

吉田: アプリのストアのレビューからというのはありますね。App Storeとかでレビューがついたらslackに流れるようにしてあります(コイニーではappfollowを利用 https://appfollow.io)。そんなに数はないんですけどね。この間、ずっと星1つだった人がご指摘のポイントに対応したら星5つにアップデートしてくれたのは嬉しかったです。そういうのもあって最近はレビューにできるだけ返信するようにしています。

久下: でもわざわざレビューしてくれるのって一部のユーザーだよね。

佐野: 特にポジティブなレビューは少ないですね。

村木: それもあってNPS(Net Promoter Score,顧客ロイヤルティを数値化する評価手法)を導入したっていうのもあるんですよね。でもそれでも、「かんたん」とか 「使いやすい」とかの大まかなフィードバックしか得られにくいのが実情です。

久下: ユーザーからの「これが欲しい」フィードバックを元に改善するっていうスタンスになっちゃうと、フィードバックを得づらい状況だと事業スピード落ちるし、思考停止状態っぽくて良くないよね。どう少ない情報から想像力を働かせて、ユーザーの本質的で潜在的な期待を超えるものを作るかって考えるスタンスが大事だよね。

村木: そういう視点だとコイニーペイジとかはそういう期待を超えられているんじゃないかと思います。こういうのを欲しいって言われて作ったんじゃなくて、「需要を掘って産まれた」みたいな。

コイニーペイジは、決済用のウェブページがかんたんにつくれるサービス。お店のお客様は、送られてきたウェブサイトにカード情報を入力することで支払いができる。お客さまが新規にアプリをインストールなどが必要ない。

久下: ペイジって実は最初オンライン決済のAPIサービス群を作ろうとしてたんだけど、作り始めたら機能や実装量がめちゃくちゃ大きくなっちゃって。そうこうしているうちに、そもそもコイニー的にはちゃんとユースケースを想像できるプロダクトにしてあげたほうがいいんじゃないの?っていう話になって。最初EC向けの組み込みサービスとして設計してたんだけど、そういうのはすでにあるじゃんってなったんだよね。「あってもいい機能」を考えるんじゃなくて「あったらいいサービス」、どう喜んで使ってもらうサービスに育てるかというスタンスに切り替えた末、ああいうデザインにたどり着いたっていうのが正直な経緯ではある。

村木: じゃあペイジは期待を超えたっていう感じじゃないんでしょうか?

久下:いや、 結果論でしかないけど、ああいうサービスはなかったし、ユーザーの伸びも見ていると期待を超えたといっていいと思うんじゃないでしょうか。伸びが予想を超えたっていうものは期待を超えたと考えてもいいんじゃないかな。試行錯誤しながらでも「作って出した」からこそ、結果にもたどり着けたわけで。期待を超えるものって、ユーザーや作る側の予想外なものだったりする。面白いCMとかも予想外なものだよね 。

「期待を超える」を積み重ねる

村木: アプリの画面にこういうのあってほしいってリクエスト出したら、出来上がってきたものが思っていたより素敵!みたいなのは期待を超えるっていうことなんですかね?コイニーのアプリで言えば、ディティールのデザインが作り込まれてるときは期待を超えてきたって感じました。金額表示に漢数字が自動判断で追加される機能とかはそうだった。


コイニーアプリの金額入力時のUI。一定桁数以上になると漢数字が自動で併記される。こうすることでユーザーが金額を認識しやすなり、意図とは違った桁金額で決済してしまうなどのミスを防いでいる。

久下: なんとなく出来がいいって感じるものってあるじゃないですか。こういうの作ってって言ったら出来上がってきたものが何となく出来がいいと感じるとき。そういうのは小さなデザインのディティールのクオリティの積み重ねから実現される。ああいうのは日常的に積み重ねていくことで確実にユーザーの期待を超えていけるポイントですね。

内田: 困ったときに解決策にスムーズにたどり着けることっていうのは期待を超えるっていうことかなと思います。ユーザーは使えて当然と思って使い始めるので、操作に迷ったときのショックが大きい。サービスガイドをリニューアルしたときは、そういう期待を超えたっていう話が出ました。

久下: コイニーはビジュアルのデザインで期待を超えたっていう話が多いね。他に機能として期待を超えたっていう話はないのかな。

村木: アンケートとかでよく出るのは、〇〇社のより圧倒的に使いやすいですみたいな反応が多いです。

久下: でも使いやすいっていうのは、最も大事な機能だから。スペック表には書けないことだけどね。情報の組み立てとかUIのデザインについては、ユーザーがどこで迷いそうか?みたいなのをかなり想像して作ってるじゃない。ユーザから褒められる部分はそこらへんが多いよね。コイニーはそこらへんが得意なんだよね。

吉田: まぁ、全然予想が外れることもありますけどね(笑)。この前、コイニーのサポートチームが迷っているっていうデザインがあって、そういうのは本当にダメだなと思いました。

久下: サポートできないじゃん(笑)

吉田: ちょうど昨日そういうのがありましたね...ユーザーが今すごく増えているので、各ユーザーの期待を超えるのが大変にはなってきています。

村木: ユーザーが増えて、各ユーザーの期待値の幅が大きくなってますね。期待値のレイヤーができているので、どの期待値に合わせていくの?というのは、期待を超えろを見たときに思いました。

吉田: 確かに。

村木: どうしたらいいんでしょうね。

久下: 問題ごとに応えるべきユーザーからの期待値を設定したほうがいいというのはあるよね。製品は結構そういう基準は作りやすい。何%以上のユーザーが何秒以内に結果に辿り着けるようにUXをデザインするとか。サポート対応のような数字で決めにくい基準作りは面倒かもしれないけど、ちゃんと文章で共有したほうがいいとは思う。

伊藤: 昔はすぐ直接お店に行ってたんですけどねぇ。ユーザー数も増えて、しかも(サポートチームの頑張りで)結構ユーザーからのサポートへの期待値が上がってしまったので、直接行く機会とかこっちからアプローチする時間なども取れなくなってきちゃってますね。それがもっとやれると声を集められると思うんですけど...直接お店に伺ってたときの方が断然ご意見は聞けてましたね。

村木: 昔は、動かないなら行きます!でしたもんね。

久下: そうね、ユーザーも少なかったしね。すぐユーザーのところに行くっていうのはコイニーの良さではあったよね。行かざるをえないクオリティだったっていうもあったんだけど(笑)

村木: それが期待値上げちゃったというのはありますよね。

伊藤: 前は来てくれたのに....って言われちゃったこともあります。

内田: 継続的にサポートしていると前はこうしてくれたのにっていうのはどうしても出てきちゃう問題ですね。

伊藤: ユーザーさんのところにお伺いしたからこそユーザーさんの困っているポイントに気付けて、作れたものって結構あるんですよね。Blutooth接続の説明動画とかそうですよね。頂いた意見でどんどん良くなりましたし。

コイニーでは読み取り用のターミナルを接続する際の案内を動画でわかりやすく表示している

久下: ガイドブックは褒められること多いですよね。使ってからもそうなんだけど、使う前の期待値っていうのもあるよね。

伊藤: ガイドはめちゃめちゃ読み込まれてますよね。

久下: 結構他社品と比較するためにも読み込んでる人も多いよね。ガイドのわかりやすさから利用を決めてくれたというのは聞きますよね。インターネットの会社なのにこういうのちゃんと作るんですね!って言われたことある。ガイドブックを見て、ああこういう風にちゃんと情報を整理して見せることに力を入れる会社なんだなって思って、信頼してくれて使い始めてくれた企業もいる。

吉田: それこそ最初はガイドブックなんてなかったですもんね。

久下: 今ああいうガイドブックとか作るときって、どういう順序で考えてるの?

松本: ベンチマークがあって。例えばどのくらいまでやれば迷わないかという参考にしてるのは任天堂さんですね。あそこの製品って万人が迷わない設計になってて、あの感じを参考に作り込んでいます。基本の考え方としては、行き止まりを作らないっていうのを念頭に置いています。カードの読み取りを失敗したら連続でエラーメッセージを出し続けるんじゃなくて、正しい操作がわかる場所に連れて行ってあげて、さらにちゃんと回遊して元の場所に戻ってこれるような設計にすることです。そういう体験の1つとしてガイドブックを考えているっていう感じですね。

コイニーターミナルのガイドブック。bluetoothという言葉も知らないユーザーの方もいるため誰でも分かりやすいように細かくステップを分けた構成にしている。コイニーの「手間は増えても迷わない方がかんたんである」という哲学に基づいている。

ちゃんと動くだけでは期待を超えていない

佐野: フロントエンドのUIも迷わないようにと考えて設計しますけど、基本ユーザーからのプラスのフィードバックってそんなに来ないじゃないですか。だから、迷ったとか止まったとかの便りがないのがいい知らせみたいなところはありますよね。何も言われないけど、ちゃんと使われているというのが一番いいことなのかなと思ってはいます。

久下: 僕らも普段使ってて満足しているものにいちいちこれいいねとか言わないもんね。クレームは伝えたくなるけど(笑)

佐野: でもそこで本当に期待を超えていたら、ツイートとかしてくれると思うんですよね。ここがすごい良く出来てるとか。だからそこを超えていかないといけないのかなとは思います。

久下: ちゃんと動くだけでは期待を超えていない。

吉田: ツイッターはつぶやきやすいからポジティブな意見言いやすいのかも。

伊藤: ツイッター世代じゃないユーザーさんも多いですよ。

久下: ツイッターでポジティブなこと言ってくれてるの、同じスタートアップ界隈の人だったりするからな(笑)

松本: よく聞いたら久下さんの知り合いだったパターンですね。

久下: 下駄履いてるだろその意見ってやつね(笑)

吉田: 佐俣さんの友達パターンもありますね(笑)

久下: だから一概に信じちゃいけないところもありますよね。期待値を拾いに行くっていうのは課題なんじゃないの?

内田: サポートではユーザーさんとお話できる機会にアンケートを挟むとかはやらせていただいてます。

久下: 口頭でのは答えやすいからいいかもね。

伊藤: ユーザーさんからサポートありがとうってお手紙頂くことがありますね。

吉田: そういうの壁に貼りたい!

内田: それ系はシェアして欲しいですね!

久下: 期待値もそういうフィードバックもそもそも手に入れるのが難しいよね。一日中エゴサーチしててもあんま出てこないだろうし。NPSって導入してからどのくらい経ちましたっけ?

村木: 約一年ですね。わかりやすく期待値が見えてはいないですね。でも期待値がバラけているなーというのはよくわかりました。かんたんっていうだけで10点つけてくれる人もいれば、色々要望されててゼロ点つけられる人もいます。

久下: 万人に答えようとするとゴミプロダクトになるから悩ましいところだよね。

吉田: コイニーの人は優しいので、すぐ万人に答えようとして、迷走しそうになるというのは良くないなとは思います。幅広いタイプのユーザーが使ってくれるようになったことで、結構対象ユーザー像を絞るのが難しくなってきてるなというのはあるんですけどね。アプリとかガイドブックとかのメディアごとに対象ユーザー像をもっと明快にしたいなというのはあります。

久下: ユーザビリティ以外の期待値って取れないよね。ペイジだってあんなに使われるようになるとは思ってなかったもんね。100%狙い撃ちしたわけじゃないじゃん。作って出したから、潜在的な期待値の存在が見えたんだよね。

松本: そうですね。潜在的な期待値を見定めて、その期待を超えていく風にデザインして行けるのが理想ですね。

久下: ペイジ作ったときのチームってお客さんのところを見に行くタイプのメンバーだったよね。

松本: 一つ先の視点っていうのは大事なんじゃないですかね。ペイジだって、お店の先にそのお店のお客さんがいるわけじゃないですか。その見えっ面とかを「お店の担当者より先のお客さん」までも想像して、つくるのは大事だと思います。気が利くじゃん、そこまで考えてるんだ、みたいな印象は与えたいですね。

吉田: 前回の話にも出た、先回りのサポートと一緒ですね。

久下: 僕らみたいなベンチャーは想像力やアイデアで戦わなきゃいけないですしね。

伊藤: ユーザーが期待を超えてくることありますよ。高齢なユーザーでもペイジとか使いこなしている方います。新しい機種はみなさん好きですし、結構最新機種をお持ちです。

久下: 僕らの想定を超えて使いこなしてくることもある。思い込みは捨てなきゃですね。

伊藤: 利用前にユーザーさんがお持ちの元の期待値っていうのもあるなと思います。もともと使いこなせるのか不安だと思われるタイプのサービスなので、元の期待値が低いから、簡単に使えたときのいい評価をもらいやすいのかもとは思っています。

吉田: 私がコイニー入ったときって結構リテラシー高い人が多く使っている感じでしたけど、今は随分ユーザー層が広がってますね。いわゆるデジタルに詳しいっていうイメージがないユーザー層でも使いこなしてくれてます。ユーザーが期待を超えてきたのか、コイニーが期待を超えられているのかはわからないですけど。

これから、ユーザーの期待をさらに超えていくためには

久下: コイニーはユーザーの期待を超えていくためにこれから何をしていくべきですかね。

吉田: 新しいサービスはつねに考えたほうがいいのかなと思います。

久下: 時代やテクノロジーは常に動いているからね。最近の中国とかエストニアとか見てるとすごく感じるよね。思い込みの枠にとらわれないように常に考える姿勢は取らないと。

松本: 僕は速さを重視していきたいですね。ユーザーがやりたいってことが速くできる状態を目指して、プロダクトもサポートも磨いていきたいと考えています。ちょっと目先のことになっちゃいますけど。

久下: じゃあやっぱり、ユーザーからの期待を超えるというのは、先回り思考というのに集約されるのかな?

松本: あとはひねくれものでいること。人に言われたとおりにやらない(笑)

久下: マッツ(松本のニックネーム)みたいな人だね(笑)

松本: ユーザーは不満と解決策を両方言ってきます。でもそこでちょっと待てと。解決策はそれでいいのかと考える。言われたとおりにやるだけだと、言ってきた人しか喜ばないし期待を超えていけない。こちら側でちゃんと消化して考えてより良い解決策を提示するようにしたい。

佐野: 問題の本質をちゃんと考えたいですよね。ユーザーが本当に解決したいことは何なのか。要望されている機能が本当に本質的な解決策なのか見極めて、ちゃんとしたソリューションを考えたい。

村木: 期待値を知った上で、それを外していくっていうやり方があるっていうことですね。予想外だけど期待を超えているアイデア。

久下: 予想を超えているけど、期待を超えてないものを作らないようにしないとだね。本質を見極めて期待を超えたものをつくる。でもまさにそれが本来のデザインですよね。今日の話をまとめると、ただ言われたとおりにやるだけじゃ期待は超えられない。期待値とあわせて先回り思考や予想外思考などの方向性を加えて考えることで、ユーザーの期待を超えるアクションがしていけるのではということですね。引き続きユーザーからの期待を超えていけるよう頑張りましょう!

前編はこちら

期待を超えろについてはこちら

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