夢と安全を翼にのせて。若手テックコンサルタントが挑む宇宙ロケット開発。
AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)には9,000人以上のテックコンサルタント※が在籍しています。インフラ、ソフトウェア、データサイエンスなど多岐に渡る分野で、上流領域の要件定義、基本設計から保守・運用、量産の領域まで高いスキルを提供しています。今回は、航空宇宙産業の新しい未来を創造したいと、宇宙ロケット開発に携わる入社3年目の若手テックコンサルタントの活動と航空宇宙産業への想いについて話を聞きました。
※テックコンサルタント:AKKODiSではエンジニアの呼称をテックコンサルタントとしています。
『イプシロンSロケット』を安全に飛行させるための飛行安全解析。
現在、私はテックコンサルタントとしてお客様先で宇宙ロケット『イプシロンSロケット』を安全に飛行させるための飛行安全解析を行っています。イプシロンSロケットは、強化型イプシロンロケットの後継機として開発されている日本の基幹ロケットです。大型で液体燃料エンジンを搭載した『H3ロケット』とのシナジー効果を発揮して、国際競争力の強化と日本の航空宇宙産業規模の拡大を目標とした固体燃料エンジンを搭載した小型ロケットになります。
イプシロンSロケットの『S(エス)』には、Synergy(シナジー)、Speed(即応性)、Smart(高性能)、Superior(競争力)、Service(打上げ輸送サービス)という想いが込められています。
ロケットを飛ばすためには非常に厳格で膨大な安全基準があります。この基準をクリアしなければ宇宙にロケットを飛ばすことはできません。私は主にロケットの飛行安全解析に関わり、ロケットが正常に飛んでいる時はもちろん、異常が起きたとしても安全を担保するための解析を行っています。
もともと学生時代は工学部で航空宇宙工学を専攻し、飛行機やロケット、衛星などの工学を学び、研究では空気の流れを解析する流体シミュレーションソフトの開発に取り組みました。また、学部内にある『東海大学学生ロケットプロジェクト』に参加し、全長約2m、直径約30㎝のハイブリッドロケットを作り、シミュレーションを用いた解析を担当しました。 例えば、ミッションを達成できる機体仕様を、エンジンや構造の開発担当と調整し、ロケットの機体仕様などから上昇時の経路と落下位置をプログラムで計算。人のいない安全な区域に落下することを確認する、などです。
大学院まで進んだ後、就職活動の時期となり航空宇宙に関わる業界や業種を調べ、複数の企業へエントリーし面接に進みましたが、当時、日本の航空宇宙産業は、革新的な技術を開発するより今まで培ってきた技術を使って確実に宇宙への道を進んでいくという大きな流れの中にありました。枯れた技術で確実に成功させることも重要なことですが、私は、「このままでは50年先の日本の航空宇宙産業は発展どころか廃れてしまうのではないか」と不安になり、革新を起こせる企業を探しました。
そんな時、「日本を、課題解決先進国に。」というビジョンを掲げ、さまざまな社会課題を解決するコンサルティング企業へと舵を切ったAKKODiSのことを知りました。AKKODiSは自社で航空宇宙分野の開発に取り組んでいる企業ではありませんが、そのビジョンに共感し、さまざまな業界の知見を持つAKKODiSであれば航空宇宙産業の課題を解決していけるのではないかと考え、テックコンサルタントとして入社することを決めました。
自分だけでなく周りの業務効率化にも取り組み、改善を続けていく。
現在、主な業務である飛行安全解析を行いながら、航空宇宙産業の発展に貢献したいという思いで取り組んでいるのは、業務の改善活動です。航空宇宙産業を発展させるためには、現在の業務の見直しや効率化を図っていく必要があります。具体的にはPythonを用いた業務の自動化を進めました。当初は、自分の担当業務の範囲でしたが、より広く航空宇宙産業の発展に寄与するために、自分だけでなく周囲の人たちの業務効率化にも貢献したいと考えるようになりました。そこで「ほかのテックコンサルタントも各自で業務を効率化できるよう、プログラムの書き方を身に付けてもらえる場を設けたい」と社内の週報に書いたところ、それを見たチームリーダーが「社内で技術研修を実施してはどうか」と、研修を開く機会を作ってくれました。少しずつですが、業務の効率化を図れるスキルや改善提案ができるテックコンサルタントも増えています。
また、Pythonを用いた自動化はお客様先でも大幅な工数削減を実現できました。これまで工程の大部分を手作業で行なっていることから多大な時間がかかっていた作業や、複雑な作業から生じる人為的ミスを補うために追加コストも必要となっていた課題に対し、自動化を提案しました。この取り組みはお客様先でとても好評をいただき、他部署のツール開発も任せていただくこともありました。
メインの業務である飛行安全解析を遂行することはもちろんのこと、お客様の抱える課題に対し改善策を提案できる関係性を築いていくことも、私たちテックコンサルタントの大事な役割であり、課題に対し、この分野の専門家として価値ある提案を行うことで、お互いの信頼関係にも繋がっていくと感じています。
可能性は無限大。宇宙を身近に感じられる未来を創りたい。
2023年11月、政府は「宇宙戦略基金」を宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設立することを閣議決定し、宇宙産業の育成を目指すという報道がありました。今後10年間で1兆円規模の資金が供給され、宇宙開発に必要な技術の長期的な支援が行われる予定です。ロケット開発では、イーロン・マスク氏率いるアメリカのスペースXが知られていますが、世界的にも航空宇宙産業は活況を呈しています。この基金設立により、日本でも民間企業だけでなく、スタートアップや大学にも資金が供給されることで、政府、JAXA、民間企業、大学が一体となり、日本の航空宇宙産業がより発展していくと考えられています。
私も宇宙開発に関わる人がいま以上に増え、衛星コンステレーションの構築、次世代気象衛星の整備、民間人の月旅行の実現など、新しい技術の開発により私たちの生活が変化し、活気あふれる未来が創造されていくことを期待しています。そのため、自分自身も飛行安全解析に関する技術だけでなく、マネジメントスキルも習得していかなければならないと思っています。将来はプロジェクトマネージャーやグループマネージャーのポジションが担えるように成長し、業務改革に取り組めるテックコンサルタントを育成しつつ、お客様の課題を解決できるチームを作ることが目標です。
昨年まで一緒に仕事をしていたお客様先の担当者は、私たちのアイデアに耳を傾け、まるで自分のことのように課題を深く考え、意見を交わしてくれる人物でした。真摯に仕事に取り組む姿勢は、困難が発生しても私の気持ちを「良い成果を出そう」という強い意欲に変えてくれ、本当に素晴らしいと感じました。モチベーションを維持することは、私自身を含め、人が最も力を発揮するために不可欠なことだと考えているので、チームが活発に活動できるようなリーダーになりたいと思っています。現在、その方は別の勤務地へ移動されましたが、私もその方から受け取ったものを後世に引き継ぐ意味で、メンバーの心や行動に良い影響を与えられるリーダーを目指したいです。
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■部署名・役職名・勤続年数等はインタビュー当時のものです