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まだまだこれから成長できる – 執行役員 矢部 一樹

学生時代はそれなりに真面目なタイプで受験勉強して都内の私大に入りました。でも、そこそこ真面目でありつつもそこそこチャラチャラした性格だったので、スーツを着たくないとかデザインかっこいいみたいな浅い理由でデザイン会社に就職しました。そのあと、数年経ってからフォーデジットに入ります。14年前ですね。当時のフォーデジットはまだまだWeb制作の会社で、僕は小さいWebサイトを担当するWebディレクター、という立場でした。

実務の積み上げが成長につながる

Webサイトの進行管理と顧客とのやりとりなどを進めていくんですが、当時は担当する案件数がやたら多くて、数十案件の進捗とか連絡とかを漏れなくやるというマルチタスクの力はすごく磨かれました。会社も成長していく中で少しづつ大規模系の案件になり、その頃からプロジェクトマネジメントが得意だと気がついて、大規模案件をしっかりやるのとか向いてる、と自分でも自信がついてきました。自信はついたけど、でも、やっぱりタスク管理とか進行管理でなくて、中身のことができないとダメなのでは、と思って、見様見真似でデザインワークをしてみたり、ユーザーリサーチしたり、自分でやることを増やしていって、今は色々やってます(笑)。

やっぱり日々の実行する部分を積み上げていくと、それがなぜ必要なのか、どんな意味があるのか、どんな作業なのか、ってことがだんだん分かってくるんです。そうすると今まで見えていたことも変わってくるし、仕事のやり方にも影響があります。小さい仕事も大きいプロジェクトもやってきましたが、実行する部分の大事さは変わらないし、成長するための学びはたくさんあると思ってます。そうやって実行領域に向き合うことの大事さに気付かされました。

自分が試された海外での案件

まだフォーデジットとしてそこまで実績もない時に、中国での長期案件があって。初めてのチーム構成で取り組むプロジェクトでした。その時は結構きついというか大変で。というのも、やっぱり文化も物の見方も違うから、合意形成に対する考え方とかも全然違う。「あれ?なんで伝わらないんだろう?なんでそっちに議論が進むの?」といったこともありました。先日まで話して合意を重ねてきたことも、なかったかのような議論が展開されていることもあったし、「そもそも君たち誰?何しにきたの?何ができんの?」みたいな接し方をされたりしたこともありました。他のプロジェクト参加企業は、大規模体制を組んでいる中で、僕たちは日本の小さなデザインチームと思われていたし、仕事ぶりも知られていない状態。関係性もない中で仕事を始めて、物事を動かしていくことに難しさを強く感じました。

今、僕はクライアントのオフィスに常駐する日もあるんですが、顔を合わせて関係ができてくると、こちらの提案も聞いてくれるし、より踏み込んだ話もできる。そういう関係の大事さが身に染みました。

デザインのアプローチでもっとできることがある

クライアントの業務や議論の中に入っていくことで、デザインの重要性とかビジネスとの接続の部分が期待されているというのはすごく感じます。ユーザーの視点から見たり、デザインプロセスでできることがたくさんあるなと思うのと同時に、クライアントの企業内だけでは出てこない発想だと感じることでもあります。自分たちが積み上げてきたデザインの仕事は、専門的でプロフェッショナルなことだし、それがクライアントの事業が持っているビジネスの専門性に接続するともっといいことがあるな、と実感しています。ビジネスやサービスの議論を前進させるためにデザインが価値を発揮するチャンスがかなりあると思っています。

僕たちの提供しているデザインアプローチがこんなに求められてるのか、と感じると、単なる案件でパフォーマンスするだけでなくて、もう少し広くクライアントに向き合う力にも繋がりました。もともと積み重ねてきた実行に向き合う力と、クライアントのビジネスに向き合う力が僕の今の仕事に生きてると思っています。

まだまだ自分自身も道半ば

クライアントはグローバル企業が多く海外に行くこともあり、タイやベトナム、この間はカンボジアにも行ってきましたが、本当に色々な環境や生活があるなと思います。僕は出張も多いんですが、自分も家庭があるし、子どもも小さいので、家族にはすごく感謝しています。その分、仕事はやっぱりしっかりやりたいという気持ちがあって、クライアントの期待を必ず超えたいし、身近な人たちが僕らがつくるものを使うこともある。なので良いものをつくることに向き合いたいですね。

自分の経験から、一つ一つのことを積み上げてきた結果、それが今につながっているという実感がすごくあるんです。こういうデザインアプローチのスキルは、簡単に手に入るものではないし、本当の意味でプロフェッショナルとしてやれるのって、5年10年とかってなるじゃないですか。僕は20年近く関わってきたことになりますが、まだまだ道半ばです。なので、これからも何でもやっていきたいと思っていますし、ものをつくる、という過程において、どんな些細なことでもすべてが糧になると思っています。だから今でも一つ一つ積み上げて、自分に何ができるか考えて、次のチャンスに手を伸ばして行きたいです。

撮影:吉田周平

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