【業務改善】法人営業向けCRMをGoogle Spread SheetとGASを使って作成。工程の無駄を整理し、営業プロセスを情報資産として活用できる様にしました。
Google Spread Sheetでいつの間にかスクリプトが使える様になっていました。日常業務に応用できないか考えていたところ、以前から問題だと思っていた法人営業活動ログの蓄積精度を上げるため、これを使ってインフラ整備に着手する事にしました。
KintoneやZOHO、HubSpot、Salesforceなどのパッケージを導入する方が速そうでしたが、自社にとっての必要十分要件とはどのようなものかを見極めるたいと思いました。いろいろなツールを試していくのも手間がかかりますので、まずはGoogle Spread Sheetを基盤に作ってみて、そこからツールを絞る方向にしました。
【実施して良かったことのまとめ】
●クラウド環境を使う事による、どこに居ても情報を記録でき、必要な情報にアクセスできる具体的な実用イメージと、具体的な活用方法を共有出来た事
●作っていく過程で行った記入側・管理側両サイドのプロセス棚卸ディスカッションを通じて、改めて重複工程と「使いづらい」と感じていた項目を棚卸して可視化し、共有出来た事
●上記の項目を、環境を作る事で「なんとかできる」具体的な解決イメージを提供できた事
●情報の蓄積インフラが整いサイクルを加速させる事で、営業数値がすぐにでもUPする事を見せられた事(1拠点で導入後、前年比140%の進捗を出せた)
【改善したいと思っていた非効率な事】
「法人原石帳」と名のついたExcelローカルファイルを直営各店(14店舗)を各店が更新し、週間および月間の報告を行っていたが、下記工程を整理してもっと効率的に出来ると感じていました。
・ファイル内で顧客ごとのシートへ移動しカラムを追加して活動内容を記載していた事。各シート間のリンクが壊れている事も多く、顧客自体を探しにくくなっていた。
・そもそもローカル環境にあるため、外出時に書き込めず情報鮮度が落ち気味だった事。
・そのため記入漏れが多く、ログが正しく蓄積されていないため過去ログを活用出来ていなかった事。
・顧客毎の活動ログを見に行けば見る事が出来るが、ある期間にあった活動や、ユーザーを指定しての期間検索は実装出来ていなかった事で各顧客の個別データに書き込んだデータを、月間アクションのシートに更に記載していた事。(重複)
・週間および月間の報告に記載している活動ログは、日常記録しているログのさらに「まとめ」であった事。(重複の重複)
・マネージメント側も、報告に流れてくるダイジェストを読み込んではいるが、ファイルの方はほとんど読めていなかった。(個別データを読みに行くための手間が大きいため)
【スタッフ・マネージャーを対象に業務棚卸と理想的な機能のヒアリング】
上記を仮の課題とし、スタッフ側とマネージャ側両サイドと協議し実態を探りました。聞くと同じような事を課題だと考えている人々が多かったものの、それが「どう解決できるのか」のイメージがありませんでした。一つ一つの課題に対してクラウド環境で実現出来る解決策を提案していき、プロセスの棚卸と、彼らの使いやすい理想的な機能について協議を行っていきました。
・各顧客との案件の進捗度合いを手軽に把握できる様にする。
・情報の蓄積も手軽に、更に複数人で違う場所からでも使用できる様にする。
・報告のための報告をしないために、蓄積された情報が自然とレポートログとなる様にする。
まず、どこからでも使用できる要件は「Google Spread Sheet」の基本性能でクリアです。
次に、情報を記載(+蓄積)するシートを1つに限定しました。日付と顧客、担当者とその内容、社内システムの見積もりNoや金額、期待度合いをフォームに沿って入力すると、データベースに1行追加されて保存されるという具合にしました。
レポート側では、その月に行われたアクションや見積もり、受注をSQLライクにSELECTで取り出して表示集計する機能を取り付けました。これにより、報告はその週や月間で特に伝えたい事をレポートするのみで、あとはリンクを開けばすぐにどういった動きをしたかがわかる内容となりました。
【得られたフィードバックと結果】
まず、活動ログを記入する営業側からの反応が「データ入力がシンプルで簡単になり、蓄積するのが楽しくなった」「蓄積されたログがすぐにレポートに反映されるのが良い」とポジティブなフィードを貰いました。
その後、マネージャーから期間内にどのユーザーに対してどんなアクションがあったか、非常に解りやすくなった事で営業アドバイスが出しやすくなったとこちらもポジティブなフィードを頂きました。
1つの拠点では情報活用が進んで案件展開が高速化し、前年比140%の推移で進捗している結果が出始めた
クラウド環境がもたらす業務改善と、そのインパクトを一例として伝える事が出来た
【より本質的な顧客管理を行うために、次ステップへ】
クラウドでCRMを持つことの本質を、上記を通じて示せましたので社内関係者へ導入を促しています。
しかし、より本質的な活動を企業単位で行うためには、会計や財務などの活動との紐づけがされている必要があると感じました。(たとえば請求と入金管理、仕入れオーダーと支払い、そして決算処理など)
これまでも他に自身で小さなツールを作って業務に使ってきましたが、本質的な生産性向上や、そのビジネス本来の価値創造に集中するためには、社内で発生する様々な情報の蓄積と、それを良い形で活用するための企業毎の最適なインフラ導入が欠かせないと感じました。
そのため、次ステップではそれを生業としている企業へJoinし、サービス拡大に傾倒したいと思っています。