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知を組み合わせるための"Label"

サイエンスコミュニケーションとは何か

という問いに答える必要に迫られることがよくある。

教科書(*1)的に答えるならば、以下4つを総合して広く科学と社会を仲介する活動であると定義するのが定石だ。

  1. 科学への興味の促進
  2. 科学の成果に対する理解の促進
  3. 科学の考え方に対する理解の促進
  4. 科学に関する意思決定への参加の促進

*1 Gilbert, J. K., Stocklmayer, S. (2013). Communication and Engagement with Science and Technology; Issues and Dilemmas. Taylor & Francis. (ジョン・K・ギルバート, スーザン・ストックルマイヤー編著 (小川義和・加納圭・常見俊直監訳, 2015)『現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション ―科学技術と社会とのかかわり,その課題とジレンマ―』慶應義塾大学出版会) など

しかし、長い。

会話の中でこれを喋るのは長すぎる。もっと短く言えないものか。

そう考えている中で、1つ思いついた表現がある。"Label"だ。

サイエンスコミュニケーションは、"Label"である。

すなわち、科学研究、科学教育、科学報道、科学政策など、科学にまつわるいろいろな立場の専門家が一堂に会し、協力して「社会の中の科学」を考えるきっかけを作るための"Label"だ。

サイエンスコミュニケーションという概念が確立したのは2000年前後で、まだ新しい。科学研究、科学教育、科学報道、科学政策などの分野はその前から存在していた。それぞれの知を結集し、より複雑化していく社会に対処するための"Label"として、サイエンスコミュニケーションはあるのだろう。

こう考えてみると、マーケティングもまた"Label"と言えそうだ。

経営学、経済学、営業術、用兵術など、既存のいろいろな知を組み合わせることで、相手側のニーズやインサイトから事業を実践していく手法が洗練されてきた。

マーケティングは、"Label"である。

そしてこの"Label"は主に手法面で多用され、とても複雑な様相を呈している。しかし「いろいろな知を組み合わせて相手側のニーズやインサイトから事業を実践していく」という本質は変わらない。それを見失ってはならない。

分野の名前というのは、何事も"Label"なのかもしれない。

どんな分野であれ、その分野のみの知で成り立つというものは思いつかない。どの分野も、周辺に散らばる複数の知が多少の重みづけをされながら織り合わさって成り立つものなのだと思う。

"creative"もまた"Label"なのだろうか。

デザイン、コミュニケーション、マーケティング、製造技術、歴史、etc.

"creative boutique"と言われる業態の会社にいると、いろいろな知に触れる。ここ最近は社会心理学系の学術論文や書籍をよく読んでいる。

訊けば、"creative boutique"と"creative agency"はかなり近いが微妙に異なり、制作会社やデザイン会社、広告代理店とは同じ広告業界ながらもより大きな差異があるそうだ。関わる知の重みづけが異なるのだろう。

"creative"とは何か

という問いを考えたくなった。そのうち上手い答え方が見つかればいいと思う。

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