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生活者のインサイトを知るサービスを展開している会社のカオスマップを作成しました!

SEEDERでマーケティングを主に担当しております吉冨です。

新しく商品やサービスを作る際は、それを使う消費者のニーズを調べる必要があることは当然ですが、消費者のニーズを知るには彼らのニーズの奥にあるインサイトを掘り下げる必要があります。
インサイトとは何でしょうか?Wikipediaでは以下のように書かれています。

insightとは、特定の文脈の中で、特定の原因と結果を理解することである。
insightという言葉には、関連するいくつかの意味がある。
・情報の一部
・物事の内面を理解したり、直観的に見たりする行為や結果(ギリシャ語ではnoesisと呼ばれる)。
・内観 ・鋭い観察力、推理力、識別力、知覚力(intelまたはnoesisと呼ばれる)
・モデル、文脈、またはシナリオ内の関係や行動の特定に基づく原因と結果の理解

出典:Wikipedia英語版

マーケティング用語としてのインサイトはこれに加えて「人を動かす隠れた心理」を指す場合が多いです。この一般消費者=生活者自身も時には気づいていないインサイトを深く理解することが、より受け入れられる商品やサービスを作るためには必要です。

今回はそれに特化したサービスを展開している会社について、SEEDERの独自の調査から今回はカオスマップを作成しました。

高画質版はこちらよりダウンロードできます

以下は[質問する][傾聴する][実験する][観察する]の4象限に分けての解説です。結構長いですが・・・理解のご一助になればと思います。

質問する

生活者に質問・インタビューすることで事業者が想定している仮説の正誤を確認するものをここに分類しました。

1. ネットリサーチ・郵送調査・電話調査

ネットリサーチ
ネットリサーチは、オンラインでアンケートを作成し回答してもらう方法です。調査の実施から回答までを短期間に実施することができ、回答者にとっても自身に都合のいい時間と場所で回答できることから、幅広い属性の多数の回答を獲得しやすいという特徴があります。ネットリサーチは回答してもらうメールアドレスさえあれば、無料で作成できるツールも最近は多く出回っています。

郵送調査
郵送調査は、アンケート紙を郵送し、記入・返送してもらうことで回答を得るやり方。データを分析する場合は紙の媒体からデータ入力をする必要があるため時間がかかります。最近はオンラインに置き換えられ、実施している
企業は減っていると想定できます。

電話調査
電話調査は、特定のリストもしくはコンピュータの無作為に作り出した固定電話番号に荷電し調査する方法で、後者はRDD方式とも呼ばれます。
これらのリサーチは対象の商材の有形無形を問わずあらゆる事業/商品開発のフェーズで適応できるため、数多くの会社が支援するサービスを行っています。郵送調査や電話調査といった伝統的に行われてきた調査手法は手間がかかりますが、依然ターゲットによっては有効です。郵送調査や電話調査は自治体・政府など公的な調査はこうした手法が依然活用されており、家で過ごす時間が多い生活者などに有効な手法です。

2. デプスインタビュー

デプスインタビューは、調査ターゲット1人に深くインタビューする手法で、パーソナルインタビューともいいます。ターゲットがなぜその選択をしたのかや普段のものの考え方など、選択や行動の要因となった背景情報を詳しく知るために有効な手法で、オンラインでの打ち合わせが珍しくなくなってきた今では採用しやすくなったものの一つです。
一人一人に時間をかけてインタビューを行うため、時間とコストは群を抜いて高くなります。しかし定量調査では捉えることが出来ない生活者の理解を深めることができ、対象プロダクトへの評価だけでなくその背景と意思決定の基準まで深く掘り下げて聞くことができるため、正しくできれば、顧客の解像度は他のリサーチの比較にならないほど高くできます。ただし正しい成果を出すには、インタビュイーと少ない時間で関係性を構築したり回答を誘導しないよう会話して本音を引き出すなど、質問する側にも相当のスキルが求められます。

ミルクシェイクはなぜ平日売れるのか

有名なデプスインタビューの実例があります。
とあるファーストフードチェーンは、ミルクシェイクの売上を伸ばすべく味の追加やトッピングをつけたりしたが
うまくいかなかったため、後に著名な書籍を書き上げることになるクレイトン・クリステンセン氏に相談しました。
彼はミルクシェイクがよく売れる平日の朝の客に深く質問をすることによって、
客が車での通勤途中の退屈しのぎにミルクシェイクと買っており、
バナナと違ってすぐにはなくならず、ドーナツと違って手が汚れないために
都合がよく買い続ける客が多いことに気づきました。
顧客がいつ何を買ったかだけ調べるのではなく、その時に顧客が置かれていた状況や
代替できそうな選択肢を取らなかった理由を詳しく調べることで、解像度の高い対策が打てるようになります。

3. グループインタビュー

グループインタビューは、上記デプスインタビューが1人に対して聞くのに対し、グループインタビューはターゲット複数人に1度にインタビューする方法です。調査のN数を増やしつつ、生の声を拾うことができます。予め決められた質問に対して自由に発言してもらう形式やディスカッション形式での情報収集となる場合が多いです。

傾聴する

生活者の自由な意見を聞くものをここに分類しました。

傾聴するリサーチには大きく分けて以下の2つがあります。

4. MROC

MROCはMarketing Research Online Communityの略で、エムロックと読みます。比較的新しい調査手法で、SNSなどのオンラインコミュニティで商品やブランドに詳しい人や興味のある人をモニターとして集め、意見を募る手法です。2000年頃にアメリカの調査会社が提供を開始したのが最初だと言われています。MROCは質問者から回答者への質疑応答のみならず、回答者同士でも意見を交換し合えることが多く、質問者が聞きたいことを投げかけて回答をもらう従来型の質問と違い、回答者同士のコミュニケーションにより質問者がより深く知るべきことに気づくことができるようになります。そのため事業者として想定していなかったインサイトを獲得できるようになります。また商品やサービスに詳しいインタビュー対象者同士での議論なので発展性があり、時間をかけたぶん情報の質を高めやすいのも特徴です。対象者がそのブランドや商品のファン化しやすいという副次的なメリットもあります。ただし、コミュニティから回答者を集めること及び回答者を集めて自由な意見交換を自然に実施してもらうことには、ノウハウが多く必要です。

近年カジュアルウェアでシェアを伸ばしているワークマンは、
公式によるエゴサーチで公式アンバサダーになる声かけを行い、
新商品のモニターやアンケート対象を募っています。

https://www.workman.co.jp/feature/ambassador/

SEEDERでは、より対象者の生活行動に近いLINEの匿名グループのオープンチャットを活用してやり取りすることで、対象者が気軽に参加・発言できるようにしています。5. ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングは、SNSやブログなどのソーシャルメディア上で交わされるユーザーの自然な会話を収集・分析することです。スマートフォンの普及によって個人がオンラインで発信する機会が増えたため、調査する重要性が増したため進歩してきた手法で、今ではAIを活用したテキストマイニングによるオンラインクローリングシステムを活用したデジタルな情報収集が可能となっています。そのためソーシャルリスニングを実施している会社は調査会社というよりはソフトウェアの開発会社である場合が多いです。 SEEDERではそういったオンラインでのシステムを活用した定量分析というよりは、ひとつひとつの具体的な声(世の中や商品へのモヤモヤ・義憤・期待など)を大事にしています。この声が商品/サービスの開発に繋がると考えています。

高級アイスクリームのハーゲンダッツジャパンの「ハーゲンハート」は
元々いち消費者がハーゲンダッツの蓋を開けたらたまたまできていた窪みが
ハートの形をしていたことからSNSにアップしたものですが、
これをソーシャルリスニングによって知った企業側が、
今では公式で「幸せのハーゲンハート探し」というマーケティング施作に活用しています。

https://www.haagen-dazs.co.jp/brand/special/haagenheart/

実験する

プロトタイプ/試作品を実際に生活者に使ってもらい感想をもらい、開発に生かすものをここに分類しました。

実験するリサーチには大きく分けて以下の2つがあります。

6. ホームユーステスト

ホームユーステストは対象者の自宅に商品を送り試用してもらうことで感想をもらう調査で、HUT(Home Use Testの頭文字)と略されることもあります。対象者のリアルな生活環境の中で試してもらえるため、よりターゲットの実態に近い本音を聞くことができます。こちらも調査ターゲットが商品のファンになりやすいのもポイントです。 SEEDERでは使用後にインタビューするだけでなく、MROCでの日記調査のように使用中もLINEで繋がりながら、適宜感想や疑問を聞いていくことで、商品に対する期待の変遷を追うことができます。

ホームユーステストは食品や化粧品など日々の生活で使うものに向いていますが、洗剤など使用環境が毎回変わるものの状況の定期観測にも効果的で、こうした製品を作るメーカーには欠かせないものとなっています。

7. 会場調査

会場調査は対象者を指定した会場へ集めて、商品を試してもらいアンケートやインタビューで感想を集めるものです。情報の機密性や使用条件を一定にすることができるので、想定した粒度の情報が得やすくなります。 SEEDERではよりリアルな声を聞くために、会議室のような場所でやるのではなくポップアップ店舗や対象者の自宅で行うなど、なるべく生活圏の中で調査を行うようにしています。

エナジードリンクで有名なアメリカのMonstar Energy(モンスターエナジー)は、
アメリカでは高頻度で新商品のサンプリングを街頭で実施しており、日本でも定期的に行っています。
サンプリングカーと配る人もブランドイメージにロゴが目につくようにドレスアップしており、
消費者にクールなイメージを与え、消費者にはそれらの写真を撮ってSNSにアップしてもらう
自然な流れでのマーケティングも兼ねています。
競合のレッドブルも同様のことを行っていますが、モンスターエナジーの方が頻度が高いとの情報があります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000246.000006649.html

観察する

生活者の自然な商品/サービスへのふれあい方を注視するものをここに分類しました。

観察するリサーチには大きく分けて以下の3つがあります。

8. 店頭・街頭調査

店頭・街頭調査はテレビなどでもよく目にする、調査員が街角に出てインタビューを行うものです。 SEEDERが実施する場合はただアンケートに書いてもらうだけではなく、実際に新サービスのコンセプトが書かれたチラシのようなものを見せて、使いたいか/使いたくなければ理由は何かなど、クイックなヒアリングもしていきます。

9. 覆面調査

覆面調査は、調査員が一般客に紛れ込んで店舗での実態を調査するものです。対象店舗へ通達せずに行うため、リアルな店舗の実情を知ることができます。覆面調査員のことを「ミステリーショッパー」と言います。

10. エスノグラフィー

エスノグラフィーは対象者を一定の期間行動を共にし商品を利用するシーンや利用の仕方を含めた行動を総合的に観察し、定性的なデータを集める手法です。ギリシア語のethnos(民族)、graphein(記述)に由来し、元々は文化人類学や民族学の分野で主に用いられてきた手法です。対象者が意識しないで行っている行動や顕在化していない意識などをキャッチすることができ、近年ではマーケティングだけではなく業務効率の改善や人材育成にも活用されています。

ケチャップで有名なHeinz(ハインツ)のマーケティングの実例で、
顧客が中身の減ったケチャップのボトルを冷蔵庫の中で
上下逆さまにして保存しているのを見かけたマーケティング担当者が、
容器を上下逆に保存・使用するように改良したところ
風変わりながら実用的なそのパッケージがHeinzのケチャップの新たなアイコンとなった
という例は、消費者の冷蔵庫を実際に観察しないと達成できなかったエスノグラフィーの成功例として有名です。

https://www.ketchup.jp/#mainvisual04

SEEDERでは対象者の行動に着目し、その行動の背景にある改善したい課題は何か?を明確にすることを念頭においたエスノグラフィーを行い、より質の高い情報を獲得できるようにしています。

SEEDERの提供領域

さてこれら数あるリサーチ方法の多くをSEEDERは実施していますが、中でも注力していたり、独自のやり方でやっているところもあります。

SEEDERがやっていないこと

例えば、SEEDERらしい方法でいえば、時間とコストがかかる郵送調査や電話調査は実施していません。一度インフラを構築してしまえば転用することで工数を抑えることができるネットリサーチやアンケートを主にやっています。またデプスインタビューは実施しておりますが、グループインタビューは実施していません。理由としては、グループインタビューだと声が大きかったりもっともらしい他対象者の意見に引っ張られてしまい、正しい声が拾えなくなってしまうことがあるためです。

SEEDERがやっていること

SEEDERでは、デプスインタビューには着想インタビューと検証インタビューという2つを目的別に使い分けています。

  • 着想インタビュー:新しい情報を探索するために考え方のヒントを得るため
  • 検証インタビュー:考えた内容が正しいかどうかを検証するため

商品開発における情報インプットでは着想型のインタビューをし、コンセプトの検証時には検証方のインタビューをします。以下の記事ではこの2つの考え方について詳細に記載してありますので、ご参考になさってください。

参考:【商品開発のプロセス③】情報インプット編①着想型リサーチと検証型リサーチ

2つのインタビューはそれぞれ目的の違いがあるため着想インタビューでは個人の行動の背景を理解することにより時間をかけて着目し、検証インタビューでは具体的な事業化/商品化のために購入形態や金額などにつめた受容性調査を行います。

こういったリサーチ手法は、商材やその開発フェーズにおいてどれを採用すべきか、またリサーチを実施する上でのコミュニティや実施ノウハウが必要なものが多くあります。SEEDERはこうしたリサーチのみならず、商品や事業の開発・マーケティングのフェーズにおいてお客様の課題ヒアリングの上で、コンサルティング・総合人材マッチング支援・データ提供まで適切なソリューションを提供しイノベーションの創出を支援します。

  1. コンサルティング
    お客様の課題にSEEDERのアナリストが伴走し解決します
  2. 総合人材マッチングサービス
    市場調査や事業計画の立案から、マーケティング施作の壁打ち、SNS広告の運用などイノンベーションに関連する上下流のお客様先の人材不足やスキルの不足を解消いたします
  3. 先進データのサブスクリプション購読サービス
    120のジャンルからなる先進的な生活者の価値観を分析した未来の変化を示すSEEDER独自のデータベースを提供いたします

ワークデザインの一例

  • 未来洞察プレゼンテーション
    お客様のプロジェクトのテーマに合わせた、関連する未来の変化に対する仮説をプレゼンテーションいたします
  • 商品/事業案の発想支援
    お客様のプロジェクトテーマに関連する新商品や新規事業案の発想を 弊社独自のデータベースを活用しながら支援します
  • 受容性調査・実証実験
    お客様で想定している商品案の受容性を検証し、精度を高める実証実験を支援します
  • その他プロジェクト支援
    サービス開発・海外進出支援・研修型のワークショップなど様々なオーダーメイド/レディメイド型のプロジェクト支援の実績がございます

カオスマップ全体版

カオスマップ高画質版はこちらより
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このカオスマップは独自の調査により各企業の代表的なサービスをもとに作成しており、網羅性や正確性を完全に担保するものではありません。抜け漏れのご指摘も上記までご連絡をお願いします。

ここまで長文をお読みいただきありがとうございました!
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https://seedata.jp/

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