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「日本企業に採用された外国人が「日本人化」してしまう理由」について

http://diamond.jp/articles/-/150978

(「日本企業に採用された外国人が「日本人化」してしまう理由」、ー藤岡久士、ゼロイチ・フード・ラボCEOー)

上記の記事は普段の自分の考え方と非常に似ていたため、驚きを禁じ得なかった。また、以前から座右の銘として、ウォンテッドリーのマイページに「説得ではなく、納得頂く人間になろう。」と書いておいたが、外国人の説得と納得の話もこの記事に書いてあって、外国人の有効活用に関して経験や思考を貫く人は皆同じことに気付くんだな...と思った。

「来たるグローバル化に向けて、積極的に外国人人材を採用していく」と意識高い経営者が次々と増えてきてるが、組織文化がグローバル化されていないケースが多い。したがって、従業員たちが外国人を受け入れることができなく、外国人はより自分の強みを捨てて日本人化していくことになる。これに関して筆者は恐れをもっている。(経営者の価値観や方針が従業員にしっかし浸透していないと、このような問題が起こるかもしれない。)

私は、今回、「日本人化する外国人に関して、企業はどれぐらい深く考えているのか?」に対して話したい。

まず、外国人が仕事で絶望に陥る代表的なパターンがあるが、それを下記に紹介しておきたい。

①「私が採用されたことは、日本人には無い何かを期待してるから? それじゃ、外国人ならではの強みを発揮して貢献してみる!」(入社前、意欲高めの状態。)

②「え、なんだよ。理解はできても納得ができないよ。なんで納得いくまで説明してくれないの...」(入社後仕事中に混乱。)

③「私に何を求めて採用したのかわからなくなった。意欲をもって何かやろうとしてもダメだった。そして、そのダメの理由もいまいち納得できない。どこまでが大丈夫なの?考えるのもう疲れた...もっと自分を殺して仕事してみよう...」(②の繰り返し後、意欲低めになる。)

①から③になるまで、外国人は様々な葛藤にぶつかり、それを「完全に解決せずに受け入れ」、「組織に適応しながら慎むことを学ぶ」。

そして、以下の④が起こる。

④ 例えば、日本人と外国人が、普段の人間関係・上司との命令指示関係・組織のルールにおいて、ある許容範囲があり、それを超えて、100というところ行ってしまい、「何かをやらかしてしまった!」と感じたとする。日本人は「やらかすことにならないライン(OKとNGの境目)」をすぐに把握して(それが80だとしよう)、そのラインまで自分の言動や行動を慎む。しかし、外国人はそのラインを日本人のようにうまく掴めない。したがって、彼らは自分の行動を50あたりまで下げてしまう。50から80まで、後30ぐらい「自己発揮しても迷惑にならないゾーン」があるのに、境目がわからないから、保険を掛けて無駄に自分の裁量を削ることになる。(私は実際に①から④までの過程を経験する外国人同僚を見たことがある。)

つまり、最近の外国人には、「日本人化できない問題」だけではなく、「日本人化し過ぎようとする問題」も発生している。

藤岡様の言葉を借りると、「日本企業で採用された外国人は“弱者”である。上司に怒られないようになるため、日本人以上に「空気を読むこと」を学び、「忖度」を覚える。」

それじゃ、「余計に殺している自分のこと」を無くし、上で説明した30というゾーンを取り戻させるためどうすればいいのか?

解決するためには、

「外国人の何々を求めているか(+)、何々を殺して(または、隠して合わせる)欲しい(-)か」を明確にするため、全ての業務内容と、その業務をするとき何を考えているのかを【棚卸し】して社内で経営陣と社員が集まって深度ある議論をしなきゃならない。そして、決定事項をできれば明文化し、外国人が疑問に陥る前に、明確なアドバイスができるように社員を教育しておく必要がある。

(+)と(-)両方を考えるべき理由は、経営陣は前向きな理念をもって人を採用するが、仕事を始めてから懸念を抱いてしまうのは現場だからだ。もし、経営陣や長というレベル以上の人が採用後に起こりそうな問題を理解しているにも関わらず、それを共有せず、現場が察してうまく対処してくれると期待したら、それはただ現場の人にはストレスになるだけだ。

例えば、こういった議論ができるんだろう。

経営陣:「我々の組織の文化からみて、Xというやりかたは別にいいと思うけど、どう思ってる?」

社員:「外国人にXを求めるのは微妙ですね...私の部門ではYというやりかたでクライアント様と業務を進めているので、もしXが彼にとってやりやすい方法であっても、Yをお勧めしたいです。」

経営陣:「そうか。でも、これから我々の事業戦略のために、Xという要素をもっと追求すべきだと思っているが、まだ現実的ではないのか。」

社員:「はい、そう思います。」

こういった議論をしておくと、① 外国人を採用する本質的な理由が明確になり、社員たちが納得できるロジックを導ける。 ② 後ほど外国人に納得させるべくシーンが来たとき、既に考えを深めているのでやりやすくなる。③ 言語化しているため、ライン(境目)を明確に提示できるようになる、という利点がある。

働きながら「見せ場VS隠し場」の判断に迷っている外国人は多いんだろう。私も常に判断力の足りなさのを痛感してるからわかる気がする。「自分を失わずに日本人化する方法」に関しては私のみではなく、各企業からも有益な議論が起こり、より外国人が有用活用される社会になって欲しい。

追記 :

そういえば、一発の経験で外国人をステレオタイプに考えてしまうことも、企業が気をつけるべきことだ。

ミクロ的に人を見ず、マクロ的なイメージ(ステレオタイプ)で捉えるのは長期的な外国人採用に何も役に立たない。外国人は同じ国の人であっても皆が性格や能力がバラバラであることを常に認識しておく必要がある。以下の2点は採用経験がある企業が陥りやすいパターンである。

① 以前採用した人が宜しくなかったから、外国人はやっぱり採用したくない。

(ミクロ的な個人の問題かもしれないのに、ステレオタイプにさせてしまった。)

② 以前採用した人は良かったのに、今回採用した人はそこまでできないから、もしかして問題児?

(たまたま優秀過ぎる外国人人材に出会えて、目線が高くなって、それが当たり前と考えるようになっている。行動経済学で良く出てくる「基準点設定の問題」に似ているかも。)

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