市場の情報収集
市場調査は、マーケティングリサーチといい、イメージ、デザイン、色、素材、価格などの全体の傾向を、街と売場に分けて情報収集する。
街においては、リサーチをする場所としてブランドに合った特定の地点をいつも決めておくことである。
今、消費者がどのようなデザインのものを多く着ているか、色はどのような色が多いか、素材感はきれいな素材か、ざっくりした素材か、さらっとした素材か、着こなしはどんな様子かなどを調べるのである。
このリサーチのことを定点観察ともいう。
街での情報の収集は、情報が現実的で、生きているため、市場の売れ筋、人気のブランドやデザインなどがよくわかり、今シーズンや次のシーズンの予測に役立つ。
フレンチカジュアルやシブカジ、ストリートファッションといわれる流行は、ファッション業界で働くプロの人たちが作ったというより、消費者が作った流行といわれている。
消費者の声というのは、ファッションビジネスで成功するためにはきわめて重要である。
売場の情報収集は、消費者が今どんなものを求めているか、どんな色が多く売れているか、さらにデザイン、柄、プライスなどだけでなく、服を手にとって見たり、服の裏側までも調べたりして、できるかぎり細かく具体的に観察する。
また、小売りの動向、自社売り上げの実績なども調べなければならない。
そして、売れ筋情報の把握、小売り店の売り上げの実績、競合他社の売り上げの実績など、具体的な売場からの情報も重要となる。
このように衣服の情報のみでなく、生活のあらゆるところにデザインのもとになる情報やイメージが存在している。
そして、収集した情報は分析され、商品企画やデザインに取り入れられる。
そのため、デザイナーやMD、パタンナーは、日々、あらゆる事柄にアンテナを張り情報を収集するのである。
現実には、このようなファッションの情報収集と分析をビジネスとして専門に行っている会社もある。
情報収集は多種多様に、といわれるように、さまざまな角度からあらゆる分野を収集しなければならない。
社会、政治、経済、生活など、環境のさまざまな出来事や変化について耳や目を向けなければならない。
政権交代、バブル崩壊、激安ショップ、気象、暖冬、冷夏、猛暑など、あげるときりがない。
これらのすべての情報を収集し分析することが、より消費者に求められる服を作ることにつながっていく。
情報化社会の現在では、いかにこれらの情報を活用していくかが、ブランドの将来に大きく影響していくのである。
藤本銀河