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クルージングヨット教室物語239

Photo by Johnny on Unsplash

「今日はヨットレースがあるからな」

隆は、横浜のマリーナに集まったラッコのメンバー皆に言った。

「レースをするの?」

「そうだよ。ここのマリーナに泊まっているヨット皆で誰が一番になるかを競争するんだよ」

「皆で競争するんだ」

明子は、初めてのヨットレースにワクワクしていた。

「でも、うちのヨットはレースはしないんだけどね」

香織が明子に説明した。

「ヨットレースをやらないの?」

「うん。うちのヨットはレースはしないのよ」

「どうして?仲間はずれなの?」

明子が香織に聞いた。

「ううん、仲間はずれじゃないよ。ヨットレースのコミッティーをやるの。なんていうのかヨットレースの審判みたいなものかな」

「審判をするんだ」

明子は、香織から説明を聞いて、野球の黒いマスクをしてバッターの後ろで手を上げたり下げたりする人のことを頭に思い浮かべていた。

「それじゃ、出航の準備しようか」

隆は、横浜のマリーナ敷地内の船台に載っているラッコのところへ向かった。

「隆、私はレースの艇長会議に出席してくるね」

麻美子が隆に言った。

「わかった。よろしく頼むよ」

麻美子だけ艇長会議に出席するため、マリーナのクラブハウスへ行ってしまった。

「え、麻美ちゃんはこないの?」

明子は1人で行ってしまった麻美子の姿を見送りながら、不安そうに呟いていた。

「艇長会議に出席しに行っただけだから、すぐに戻ってくるよ。不安?」

「うん、ずっと一緒だったから少し不安かな」

明子は香織に答えた。

「え、どうした?」

「なんか麻美ちゃんが艇長会議に行ってしまったから寂しいって」

「何、寂しいの?」

「うん」

「香織も、俺も皆いるし、麻美子1人いないぐらい寂しくも何ともないよ」

隆は、明子に告げた。

それから、しばらくして麻美子がラッコに戻ってきた。

「麻美子、帰ってきたよ」

「よかった!」

隆に言われて、明子はにっこりと笑顔になった。

「どうしたの?」

「麻美子がいなくて寂しかったんだって」

「そうなんだ。大丈夫よ」

麻美子は、笑顔で明子に答えた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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