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クルージングヨット教室物語225

Photo by geng zhang on Unsplash

「そういえば、明子さんは何のお仕事をしているの?」

隆は、麻美子が買ってきたケーキを食べながら、明子に質問した。

「私のお仕事?」

「うん。会社で働いているの?」

「会社では働いていない」

「そうか、もしかして自分で会社をやっているとか」

隆は、自分と同じかなと思って、明子に聞いてみた。

「仕事はしていません」

「そうなんだ。専業主婦だったりするの」

陽子が明子に聞いた。

「はい」

「あら、そうなの。ご結婚されてるんだ。奥様だったのね」

明子の答えを聞いて、麻美子が言った。

「奥様?」

「うん。結婚しているの?」

「私?結婚はしていない」

「そうか、バツが付いているんだね。バツの付いた専業主婦さん」

隆が明子に聞いた。明子は、隆の話すバツの意味がよくわからないようだった。

「お子さんがいるの?子供」

「子供?うん、おうちにお母さんいるから、私はお母さんの子供なの」

明子は、瑠璃子に答えた。

「明子ちゃんが、おうちではお母さんがいて、子供なのね」

香織が明子に聞いた。

「え、明子ちゃんっていくつ?」

「24歳」

明子が陽子に答えた。

「あれ、香代ちゃんって今いくつだったっけ?」

「23」

「そうか、それじゃ香代ちゃんより一つ年上だ」

麻美子が言った。

「高校を卒業して、それからはお家で過ごしているって感じ」

「はい!」

明子は、香織に答えた。

「そういうのは専業主婦とは言わないんじゃないか。家事手伝いって言うんだよ」

隆が明子に説明した。

「なんかよくわからないけど」

明子は、隆に答えた。

「さて、そろそろ帰りましょうか」

隆がラッコのキャビンの席を立った。

「帰るんですか?」

「そうだよ。明子ちゃんもお家でお母さん待っているだろう?」

「あ、はい」

明子は、隆に答えた。

「今日のクルージングヨット教室は終わりですか?」

「そう、終わりだね」

隆は、明子に答えた。

「来週もあるんですか?」

「クルージングヨット教室のこと?」

明子は頷いた。

「来週もあるよ。っていうか、来週はお勉強でなくて実際にヨットへ乗るよ」

「来週はお勉強は無いんですか?」

「無い。もうお勉強は無いから、ヨットに乗って楽しむだけ」

隆は、明子に答えた。

「私ってお勉強が苦手だから、お勉強がないの嬉しいです」

「そうか、お勉強嫌いなんて、俺や陽子みたいだな」

「確かに」

陽子は、隆に言われて頷いていた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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