「あれ、今帰り?」
「ああ、お疲れ」
洋ちゃんは、部活から教室に戻って来た松田に言った。
「そうだ、今日まだ時間ある?」
「あるけど何」
洋ちゃんは、松田に聞いた。
「俺さ、バレー部3年の先輩で、大宮さんって人がいるんだけどさ」
松田は、洋ちゃんに話した。
「その人の家が渋谷で、ちょっとだけ遊びに来ないかって誘われているんだけど、お前も付き合えよ」
「何それ?」
「いや、ちょっと面白いコレクションしてる人でさ、部屋で珍しいもの見れるから」
松田は、洋ちゃんのことを誘った。
「俺んちも遠いんだから、あんまり遅くなるのは嫌だけど、少しだけならいいよ」
家に帰っても、お母さんに言われて宿題やるぐらいしかやることのない洋ちゃんは、少しだけ松田に付き合って、松田のバレー部の先輩って人の家に寄ってみることにした。
「うわ、何これ?すげえー」
「すごいコレクションの数でしょう」
松田は、まるで自分のコレクションのように、洋ちゃんに自慢していた。
「それほどでもないよ」
大宮先輩は、2人に答えた。
「この辺の服なんかすごいだろう。ちょっと着てみるか」
大宮先輩は、上着を洋ちゃんに着させてくれた。
大宮先生の部屋は、部屋の隅から隅まで兵隊の服装や装備で溢れていた。壁じゅうには、兵隊のポスターや服装が無造作にぶら下がっていた。
「これ、皆すべて先輩のコレクションなんですか」
今まで特に兵隊には興味もなかった洋ちゃんだったが、この部屋のコレクションの数はすごいと思った。
「これも首から下げてみるか」
兵隊の上着を着せてもらった洋ちゃんは、さらに上着の上から銃弾が収納されているポケットを斜めがけさせてもらっていた。
「なんか本物の兵隊になったみたいですね」
洋ちゃんは、自分の着ている服装を眺めながら言った。
「そうだ!この服って貸してもらえたりしないんですか。というより大宮先輩も一緒にこれを着てお出かけしてみませんか」
洋ちゃんは、大宮先輩に提案した。
「あのぅ、今度、横浜の米軍基地というか米軍の住宅地があるんですけど、ハロウィンって毎年秋にアメリカだとあるじゃないですか。そのハロウィンのイベントを横浜の米軍住宅地でもやろうって動きがあって、そのためのプレイベントみたいな感じで、来月にプレハロウィンイベントをやるんですよ」
洋ちゃんは、2人に話した。
「といっても、俺は日本人だし、着ていく服も無いし参加する予定なかったんですけど・・」
洋ちゃんは、大宮先輩の顔を確認した。
「この兵隊の服を見て思ったんですけど、俺ら3人で兵隊の服を着て、兵隊に仮装して米軍住宅地でのプレハロウィンイベントに参加してみるってどうですかね」
「それ、なんか面白そうじゃん」
「米軍基地で働いている軍人さん達の住んでいる住宅地だし、兵隊の格好に仮装して周ったら喜んでもらえるんじゃないかな」
「確かに、絶対に喜んでもらえますよ」
3人は、プレハロウィンイベントに参加しようという話になった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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