クルージングヨット教室物語131
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「麻美子、あんたたちは、お正月はどうするの?」
お母さんは、麻美子に聞いた。
「お正月って、年末年始は、さすがにうちの会社もお休みよ」
麻美子は答えた。
「そうじゃなくて、お正月も海に行くの?」
「ああ、隆のことだから、お正月も海には行くって言うかもね」
麻美子は、一瞬寒いからお正月は海には行かないと答えそうになりながらも、隆が行くって言いそうな気もしたので、慌てて言い直した。
「他の子たちも、お正月も海に行くの?」
「他の子たち?あ、香代ちゃんたちとかのことか。彼女たちは、自分のうちの家族とか親族もいるだろうし、お正月はそっちに行くかもね」
麻美子は、お母さんに答えた。
「あなたたちだって、自分の親族がいるのだから、お正月ぐらいヨットには行かないで、家でのんびり過ごしなさいよ」
お母さんは、麻美子に命令した。
「あんたの弟だって、サンフランシスコから戻ってくるのだし」
「そうね」
麻美子は、お母さんに答えた。
「隆くん、お正月は家でゆっくりのんびりできるんでしょう」
その日の夕食、お母さんは隆にも念を押していた。
「ええ、ゆっくりできますよ。特に今年は、奇跡の9連休とかで会社は年末年始ずっとお休みです」
隆は、お母さんに答えていた。
「そうよね、奇跡の9連休だし、正月はヨットに行っても海は寒いですものね」
「そうですね」
隆は、お母さんに頷いていた。
「隆、もうすっかりお母さんに、お堀の周りを埋められてしまったね」
「何が?」
「お正月は、海にヨットには乗りに行かず、家でずっとのんびりしていろとお母さんは、隆に釘を打っているのよ」
鈍感な隆に、麻美子が補足してやっていた。
「ああ、そういうこと。大丈夫です、お正月はマリーナには行かずに、のんびり家で過ごしますから」
隆は、お母さんに答えていた。
「ああ、車で空港までお迎えには行きますけど」
「それは、お正月前の年末の話よね」
お母さんは、隆に言った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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