クルージングヨット教室物語123
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「ね、ヘリーハンセンのお店なんかないじゃないの」
麻美子は、マイカル本牧のフロアマップを確認しながら、隆に言った。
「無いね、どこかに行ってしまったね」
ヘリーハンセンは、桜木町の方に移転してしまったらしかった。
「どうする、ヨットの防寒具買えないじゃない」
「どうするかね」
これから、もう1回駐車場から車を出して、桜木町に移動するのも面倒だった。
「仕方ないから、防寒具はまた今度にして、クリスマスパーティーの服を買いに行こうか」
「1階にユニクロがあるじゃん」
「パーティーにユニクロを着て行くの?」
皆は、隆の言葉に笑いながらも、何と無くユニクロのお店に向かって歩いていた。
「冬の海で着るのに、しっかり防水になっているかはわからないけど、暖かそうな防寒あるじゃん」
ユニクロの店頭には、一応防水仕様の厚手のパンツが売られていた。
「1900円だってさ」
「マリンショップで売ってるオイルスキンの1/10ぐらいの値段じゃない」
麻美子が呟いた。
「この値段なら、皆の分を揃えても大した値段じゃないし、ラッコでお揃いで揃えるか」
「それ、良いかも」
「皆で、お揃いの服でラッコに乗っているのいい」
隆のアイデアに皆も賛成した。
「オレンジ色がいいな。ユニクロで赤とか紺だと、周りとバッティングしそうだけど、オレンジ色ならあまり周りと同じにならないんじゃないの」
「確かにそうだ」
オレンジの厚手パンツとそれに合った少し濃いめのオレンジの船のイラストが描かれたトレーナーがあったのでペアで皆の分を買うことになった。一番背の高い雪から一番背の低い香代の分まで、SからL各サイズが揃うこととなった。
ユニクロでお揃いの防寒具を買い揃えると、後はアパレル系の各テナントをクリスマスパーティーに着て行く服を探してウインドーショッピングして周っていた。
結局、クリスマスパーティーに着て行く服は決まらず、ウインドーショッピングだけしてマイカル本牧は出ることとなった。クリスマスパーティーには、各自それぞれで気に入った服を着て行くこととなりそうだ。
「隆の分は、私が責任持って選んであげるからね」
「お願いします」
麻美子は、車の運転席に乗り込むと、隆に告げた。
帰りには、幼い頃に麻美子がよく通っていたハングリータイガーを食べて、その日はヨットには全く乗らずに解散となった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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