1
/
5

クルージングヨット教室物語121

Photo by ISO10 on Unsplash

「おはよう、寒いね」

朝、横浜のマリーナに到着した隆は、マリーナで一緒になったクルーたちに挨拶していた。

「ここは、暖かいよ」

マリーナ建物のエントランスには、暖炉が設置されていて、その周りはポカポカしていた。

「お、暖かいね」

陽子や瑠璃子が暖まっていた暖炉の近くにやってきた隆も、ポケットから手を出して暖炉に当てていた。

「早くヨットに行こう!」

「そうね。ヨットに行こうよ」

香代に言われて、麻美子は暖炉で暖まっている皆にも声をかけた。

「ここ、暖かいよ」

「それは暖炉の前だからね。おじさん、ヨットに行くよ」

麻美子は、香代の手を引いて、隆のいる暖炉の前まで近寄りながら、隆に返事した。

「確かに暖かいけど」

麻美子も、暖炉の火に手をかざしながら答えた。

「香代ちゃんは、ヨットに行きたいの?」

「うん。だってヨットに乗りに来たのだもの」

「そうか」

香織は、香代に答えた。クルージングヨット教室を卒業してから、香織も既にしっかりアクエリアスからラッコのクルーの一員になっていた。

「っていうか、香代ちゃんって寒くないの?」

ショートパンツをはいている香代の姿を見て、瑠璃子が聞いた。

「だって、下にレギンスもはいているもの」

香代は、自分の片足を上げてみせながら、瑠璃子に返事した。

「さすが、うちで一番若い香代ちゃん、私なんて冬用のパンツにタイツでも寒いのに」

陽子が言った。

「私、マリーナのクリスマスパーティーは参加して見たいんだ」

「そうなの?」

「ニューグランドって、山下公園に行った時、目の前は通り過ぎたことあるけど一度も中に入ったことないから」

「私、何回かあるかな」

幼い頃からずっと横浜育ちの雪が答えた。

「ニューグランドって歴史あるホテルだし趣きはあるよね」

香織が答えた。

香代が早くヨットに行こうと誘った後も、隆も、そろそろヨットに行こうかと声をかけたのだが、声だけで隆自身も誰も暖炉の前から移動せずに、ずっと雑談が続いていた。

「おはよう」

暖炉の前でお喋りを続けていると、ドリーム号の久保さんがやって来た。

「おはようございます!」

ラッコのクルーたちは、久保さんに挨拶した。

「今日は出航するの?」

「出航するつもりではいるんですけど、なかなかここから皆、動かなくてね」

「ははは」

久保さんは、隆から話を聞いて、苦笑した。

「うちは、今日はビルジ溜まりのチェックしに来たんだ。ヨットで来たけど、なかなか動けない時は、ヨット関係の何か備品の買い出しとかに時間を当てたらいいよ」

そう言い残して、久保さんはマリーナ沖に停泊しているドリーム号に行ってしまった。

「これから寒くなってくるし、皆の冬用オイルスキンを買いに行かない?」

暖炉の前で動けなくなっている皆に、麻美子が提案した。

「いいかも!」

「来週のクリスマスパーティーに着ていく服も買いたい」

「じゃ、今日は備品の買い揃えの日にしようか」

皆は、ラッコの置いてあるマリーナ敷地とは逆方向の駐車場に向かって移動した。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など

横浜のマリーナ クルージングヨット教室生徒募集中!


横浜マリーナ クルージングヨット教室さんにいいねを伝えよう
横浜マリーナ クルージングヨット教室さんや会社があなたに興味を持つかも