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クルージングヨット教室物語77

Photo by blue soda on Unsplash

ビールパーティーが終わって、ラッコのメンバーたちは隆の車が停まっているマリーナの駐車場までの道をブラブラとお喋りしながら歩いていた。

「香織ちゃんも一緒にいるのね」

麻美子は、隆と陽子の横に並んでいる香りを見つけて言った。

「なんか、香織ちゃんも、うちのヨットのクルーみたい」

麻美子が今日出会った新しい仲間に話すと、香織も嬉しそうに麻美子へ頷いていた。

「香織ちゃんも、来週からラッコへ一緒に乗れれば良いのに」

「私も、ラッコのクルーになりたいな」

香織は、隆に言った。

マリーナの駐車場に到着すると、皆は停まっている隆の丸い車、エスティマに乗り込んだ。

「もしかして、皆いつも、この車に乗ってヨットの行き帰りも一緒なの?」

香織も、皆と一緒に隆の車へ乗り込みながら聞いた。

「すぐ近くの最寄り駅までだけどね」

陽子が、香織に答えた。

「本当、ラッコの活動って合宿みたいで楽しそう」

香織は、陽子に答えた。

麻美子が運転席に座り、隆と一緒に香代が助手席に座っていた。

「香代ちゃんって、いつも隆さんと一緒に、そこの席なんだ」

「うん。うちのかわいい子供だからね」

運転席の麻美子が、香代の頭を優しく撫でながら、香織に答えていた。

車は、マリーナ駐車場を出発すると、近くの根岸駅まで移動し、そこで皆は車を降りて、根岸線に乗り換えて、それぞれの自宅に帰った。

皆を降ろすと、麻美子は助手席の隆だけ乗せて、東京の中目黒の自宅に向かって運転を続けていた。

「香織ちゃんって、かわいい子だったよね。本当にうちの子になれたら良いのにね」

麻美子は、車を運転しながら助手席の隆に声をかけたが、隆からは返事が無かった。麻美子は、信号待ちでチラッと助手席の方に目を向けると、隆は眠ってしまっていた。

「なんか倦怠期の夫婦みたいなんだけど・・」

さっきまで香織や陽子たちと大声で話していた隆が、皆が降りてしまうと、すぐに居眠りしてしまっているのを見て、麻美子は苦笑していた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など

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