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クルージングヨット教室物語31

Photo by 颯太 田中 on Unsplash

「大島リス村」

三原山のあとにレンタカーでやって来たのは、大島リス村だった。

「リスがいるの?」

香代は、隣の助手席に座っている麻美子に聞いた。

「うん、リスがいっぱいいるところ」

麻美子は、香代に答えた。

「そういえば、リス村も良いんだけど、温泉とかは行かないの?」

隆は、車を駐車場に停めると、運転席から降りながら、麻美子に聞いた。

「温泉?大島って温泉なんかあるんだっけ?」

「温泉あるよ!さっきの三原山は活火山だよ」

隆は、麻美子に言った。

「温泉は、私の頭には無かったな。温泉に行きたい人いる?」

麻美子は、ラッコのメンバー皆に聞いた。

「温泉は、私は別にいいかな」

「私も、入浴の準備してきてないし、入らなくても良いかな」

陽子も、瑠璃子も麻美子に返事した。

「でも、お風呂はちょっと入りたいかも。昨日もお風呂に入っていないし」

「確かに!私なんか一昨日からお風呂入っていないよ」

陽子は、一昨日の夜は、会社の仕事が終わって真っ直ぐ横浜のマリーナに直行しているから、一昨日の夜も、お風呂に入っていなかった。

「そういえば、私も一昨日、会社の仕事が終わって直行してるから、お風呂入っていないわ」

雪も、自分が一昨日からお風呂に入っていない事に気づいた。

「私なんか、髪の長さがベリーショートだから良いけど、陽子ちゃんも、瑠璃ちゃんも髪が肩の下まで長いから、お風呂入っていないと落ち着かないんじゃないの」

雪が髪の長い2人に聞いた。

「長いといっても、私の髪は陽子ちゃんほどには長くないけどね」

瑠璃子の髪は、肩にかかるぐらいだったが、陽子の髪は胸の辺りまで伸びていた。

「そうだよね、陽子ちゃんは髪が長いものね」

麻美子は、自分の肩ぐらいまで伸びてる髪に触れながら、陽子に言った。

「今夜は、どこかでお風呂に入らないと、陽子ちゃんの頭痒くなちゃうよね」

「え、大丈夫よ」

陽子は、麻美子が心配しないようにと答えていた。

「っていうか、そういえば私だけ、昨日の晩に隆さんとお風呂入りに行っているもの」

「そうだったわね」

麻美子も、2人がお風呂に行っていたことを思い出していた。

「髪の話は良いんだけどさ、リス村の中には入らないのか?」

「入りますよ」

麻美子は、入り口の入場券売り場で皆の分の入場券を買いに行きながら答えた。

「餌をあげるときは、こちらのグローブを必ず着用して下さいね」

入り口の案内人が、皆に皮のグローブと餌のヒマワリの種を1つずつ手渡してくれた。

「このヒマワリの種をあげられるのか」

隆と香代は、入り口でもらったヒマワリの種をやって来たリスに差し出した。

「食べてくれた!」

「かわいいな」

隆と香代が、自分たちの手の上でヒマワリの種を食べてくれるリスに喜んでいた。

「ちょっと、あんたたち!素手であげて噛まれたらどうするのよ!」

麻美子が、素手でリスに餌をあげている隆と香代の頭をポンと叩いて叱った。

「でも、大丈夫だよ。こいつら良い子だから噛んだりしないよ」

「噛んだりしないよじゃないの!噛まれたらどうするの」

麻美子は、隆と香代のことを叱った。

「お母さん・・」

麻美子の姿が、隆兄ちゃんと妹の香代を叱るお母さんのように見えてしまったので、その姿をみて陽子が思わず呟いていた。

隆と香代は、麻美子お母さんに叱られて、バツが悪そうに、入り口でもらった皮のグローブを自分の手に着用していた。

「ウサギもいるんだな」

ヒマワリの種をぜんぶリスさんたちに上げてしまった隆と香代は、ウサギたちのいる柵に行って、ウサギたちに近くに生えていた草を取ってあげていた。

「あっちにハムスターもいるよ」

「リス村っていっても、リスだけじゃないんだな。いろいろな動物がいるんだな」

隆たちは、リス村の園内をあっちこっち動物たちを見ながら、歩き回っていた。

「ミーアキャットもいるよ」

ミーアキャットたちが岩の上から2本足で立ち上がって、こちらを眺めていた。

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