採用経験のあるフリーランスが、被採用者としてここ近年の初回顔合わせ・お打ち合わせ時に考えていることを赤裸々に語ります。
私は自己PR時または私からの書類応募時には必ず
- 志望動機
- 提供できる(と思っている)バリュー
- 将来的な話
を必ずするようにしています。
Wantedlyのシステムを卑下するわけではないのですが、こちらは特に文書を送らずに「今すぐ働きたい」「話を聞きたい」「興味があります」の3パターンなので何も言えなくて恐縮です…。
# 採用活動を変えるべき
このストーリーで全てを語りますが、私の営業活動のアプローチ手順を公開してしまおうと思いました。
というのも、採用人事ご担当のお話を伺うと、人事に苦心をしていて成果を上げるにはどうしたらよいか、というお話が連日なされています。
企業努力は素晴らしいですが、もう企業側が頑張ってどうにかなる次元を超えてしまったと私は感じており、被採用者がもう一度就職活動に向き合う必要があると思っています。
奇しくも、2020年はコロナ禍のため例年では見られないほど経済活動が停滞し生活苦に見舞われました。
コロナで生活スタイルは変わったのに、採用活動も変わらないわけには行かないのです。
今まで通り、数打てば当たるという方針で打ち込まれるのを採用側は嫌がります。
やる気を感じられない書類を見破るために、いったん書類に目を通さなければならないからです。
私なら「私にこんなもの(応募書類)を送る時間があるなら、その時間をもっと有意義に使ってくれ。そして(書類を読まされた)私の時間を返せ」と思います。
もうこうなってしまったら、自社フォーマットに合わせて書類を書いていただいて、ツールで適当にワードを拾ってOK、みたいな国語の文章問題的なやり方をするしかなくなります。
いずれはこういうところにAIが入ってくる事になるでしょう。既に採用はAIに任せようとされている企業様もいらっしゃいます。
AIが評価した書類をうまく書けるか?という点にフォーカスせざるを得なくなります。
私もデータサイエンティストの経験がありますので、AIが賢くなる事は嬉しいですが、人事は各企業様の社風など以外にも、収支やプロジェクトの状況により採用したい人が異なります。
現段階では簡単にチューニングすれば解決できるような話ではありません。
将来的にはAIが書類審査をするようになるでしょうが、今はまだその時ではありません。
AIが参入していないからやれ、ではなくAIが書類審査をする時に困らせてやれ、ぐらいのモチベーションで丁寧な採用・営業活動をしなくてはならない、と説いています。
なので、AIが解析しやすい書類など作っていてはいけないのです。
技術者サイドとしては、「どのようにすればAIが解析しにくい書類が作成できるか」研究したい思いはありますが、本論から外れるのでここでは議論しません。
ただ、AIに落とされるような事にしないためにも、被採用者側は今すぐにでも真剣に営業活動をするべきなのです。
# ご面談時の課題
私はワークスタイルがノーマッド的で技術的な意味でも拠点を持たず、どんな環境でも対応できるよう経験を浅く広く積んできました。
そのため、自己PRで言語やスキルという点で特徴的な、または専門的なお話は出来ません。
裏を返すと、そこは大して重要ではないと考えています。
ありがちなケースとして、特定の言語で作ったシステムを新しく作り直しましょう、というお話があったとします。
どうせシステムを刷新するなら、最新(今)の時代や法律、現行システムの問題点を解消した良いものを作ろう、という話になります。ほぼ九分九厘なってきました。
誰も「今動いているシステムの良いところ」の話をしません。新システムを作り終えた後に言われるのが「前のシステムは○○できた」という、開発サイドからすると「仕様にありません」としか言いようがないご要望だったりします。
で、結局の所教育コストを掛けたくないので、新システムへの移行は失敗し古いものを使い続けて新ルールが新たに生まれる、という現実が待っています。
ユーザーはシステム屋が考えているほど頭が悪いなんて事はないです。ただシステムが分からないなりに何とかしようと必死なのです。これを汲み取って解決策を考える方が技術で解決する以上に何倍も価値があると私は思います。
この結果、技術的・運用的な面で負の遺産が残るのですが、これは誰にも解消できないです。
システムにとても強く、業務に詳しい方がタッグを組んでも、出来上がるものは最初に考えていたスーパーシステムになりません。これは短いですがシステムインテグレーションの歴史が証明してしまっています…。
ユーザーが深く関与できないシステムではダメなのです。
このシステムがAWSで動いていようがAzureだろうが、Pythonで出来ていようとRubyで作っていようとそこは重要ではありません。
「とりあえず動いているものを変えなければならない事情があって、どうにか解決したい」というパッションしかありません。
なので、私は打ち合わせの際に技術的な話をほとんどしないのです。
ただし、2回目の(技術者)面談などの場合は別です。
技術トークや開発環境の話ばっかりします。私も根っこはギークです。
きっと笑いながら新しい技術の話をしたり、今の環境に取り入れるとどうなるか、というお話を始める事でしょう。
# 面談時のご留意事項
まずはクライアント様より案件概要を伺って、技術要件に沿う点をピックアップしてお伝えしています。
そうしないと、クライアント様が求めている事が何か分からないため、全部話す事になります。この時間は私が考えるに、お互いにとって幸せな時間にならないからです。
社会に出てから10年ぐらいですが既に20社(者)以上とお付き合いがあった中で、「Pythonも使ってRubyもやってPHPとJavaScriptで~」みたいな話はありませんでした。
とりあえず在り物の技術を全部集めてキメラのようなシステムを作っても、誰も保守できません。
ある程度はトレードオフにしても、
ただし、技術的な課題などをどうしても解消できない場合に、一部の機能においては専門の言語で解消するというアプローチはあります。
(通信関連の制御をPythonでやると遅いのでGolangを使うなど)
どうかお願いです。
私の技術要件の全てを少しでも使おうとする考え方は捨ててください。
あくまで元々抱えていた一部だけを切り取って、全力で問題点あるいはやりたいことに集中して、そこにコストを掛けてください。
これは私側に「なんだかこの人(私)は予算感が合わなさそう」と思わせてしまって大変申し訳ないんですが、こんな悲しいすれ違いがあったのは一度や二度ではありません。
案件の違いはありますが、それでも私は「それならフルタイム40万~でお引き受けします」とか「週三で95万~でも出来ません」とか普通に言います。
私が今まで出来なかった事に挑戦し、あるいは過去に失敗した事に対し反省しているからこそ、です。
私個人の見解で恐縮ですが、ただ単純に「単価が安いから受けません」というフィールドにはいないのです。
(Wantedlyの採用で単価云々ではなく、やりがいベースでお話があるのはそういう面があると思っています)
# なぜこの話をしているのか
私は技術者としてスペシャリストではないですが、ジェネラリストとしては技術選定時に制限されなかったり、そもそもエンジニアリング以外の観点(採用ご担当者さま含め、あなたはエンジニアではなく経営者をやればいいよ、とアドバイスをいただきます^_^;)が強いので、システムの巧拙や美しいコードに魅力を感じていません。
それどころか「全くコード(プログラム)を書かない事が一番良い」とさえ思っています。
そして、大変ありがたい事にスカウトなどお声掛けをいただく機会も多いのですが、心苦しい事に求人ローラー作戦でお声掛けいただいているケースも多く見受けられます。
ですので、打ち合わせの際は逆面接ではないですが、私の方でも企業様にお伺いを立てています。
- なぜ私なのですか?
- 課題はなんですか?
- どういう人を求めているのですか?
駆け引きではないですが、必ずこの順番で聞いています。
人狼みたいな話ですが、先にどういう人を求めている→私
私なのですか→どういう人を~だと、「中さんはピッタリだと思いました」とお茶濁しをされます。
なので、意味はあるけどはぐらかしにくい「課題は~」を間に挟むようにしています。
なぜここでこの手法を公開しているかと言うと、被採用側からの採用の質を上げたいからです。
というのも、私も採用側の経験があるので、人事は被採用側に問題があると思っていましたが、昨今ではそうではなく、採用側がコストを払って求人をバラ撒いてリーチを増やすという事があるようで、
求人サイトならいざ知らず、スカウトサービスでも残念ながらそのような言動が見受けられてしまったからです。
今、このページをご覧いただいている採用者の方は「この人は面倒くさい」と思うか「真剣に応募をしているんだな」のどちらかに分かれると思っています。
私が弾きたい(ありがたくない)スカウトは「別に私じゃなくてもいい」とお考えのクライアント様です。
# 被採用者が真剣な営業活動をしなければ分かりあえない
当たり前の話だと考えています。
最初に述べたとおり、採用側の企業努力はもう十分やり尽くしていると思っています。
これ以上は予算をかけられないだろうな、とも思います。
採用コストを下げて、良い人材を迎え入れようとする努力はどこも尽力されているのです、
そのやり方や結果については各企業様の努力によりますので、ここで巧拙について触れませんが、悪意があってやっている、という事はありません。
このストーリーで私の思いを一方的にぶつけてしまいましたが、こういう考え方で活動をしている人間が少なくとも存在しているのだという事さえ伝われば、私は嬉しいです。
そして、こういう考え方であるからこそ、既存の採用のイメージを持たず、あるいは壊すつもりでご面談の機会をいただければ私はとても幸せになれます。
願わくば、あなたとのご縁がありますことをお祈りしています。