FREEDOM MAGAZINE by Harley-Davidson Japan
ハーレーダビッドソンジャパンの公式ウェブマガジン "フリーダム・マガジン" は、モーターファン必見のバイク情報のほか、新世代に向けたオリジナル特集記事も満載。ハーレーの新たな魅力をお届けします!
https://freedom.harley-davidson.co.jp/
勢いよく始めたメディア運用が、とある時期から伸び悩み、今では下降線を描いている。SNS広告などでテコ入れは図るものの、根本的な解決にはなっておらず、どこにどう手を入れていいか分からない。
ジャンルを超えてメディア運用に携わってきたなかで、こうしたシーンに遭遇した、声を聞いたことは数知れません。落ち目になってからV字回復したというメディアも目にしたことはありません。
今運営に携わっているハーレーダビッドソン関連のメディアもそうした課題を抱えており、今 手入れを行なっている最中です。
運営に携わるようになったのは約一年前で、すでに運営開始から2年を経過していました。月4回ほどの更新からコンテンツ数もかなり溜まってきており、それぞれのコンテンツがテーマに特化したキーワードでの検索流入を得ていました。
が、そもそものサイト設計やペルソナ設定が曖昧だったからか、Googleアルゴリズムの変動などもあって検索上位を取れていたコンテンツの順位が下がるなど、全体の数字が伸びずにいました。
そこで、サイト本来の目的を今一度見直し、ランクダウンしているコンテンツの再編集(リライト)対応を含めて修正をかけることとしたのです。ここでは実績のひとつをご紹介します。
こちらのサイトは「ハーレーダビッドソン」が軸となるので、ハーレーダビッドソンに関心がある人がどんなキーワード(単体、複数それぞれ)でリサーチをするのか という観点から、関連した検索キーワードおよび共起語をリストアップします。
数多くの人にまんべんなくリーチできることがウェブの強みではありますが、なかでもどんな人に読んでもらいたいのか、コアターゲット像を組み上げていきます。もちろんこれはサイト設計段階で作っておかねばならないものですが、運営を進めていく上で色気が出てきて手を広げたくなるのが人というもの。なので、サイトの数字に陰りが見えてきたタイミングでもあり、改めて初心に立ち戻るべくコアターゲットを整えた次第です。
1,でリストアップしたなかから整理すると「コアターゲットが使用するキーワード対応しているコンテンツが少ない」「キーワード対応したコンテンツはあるが構造が良くない」「何かが原因でランクダウンしたコンテンツ」などが浮き上がってきます。
今回は「何かが原因でランクダウンしたコンテンツ」へのテコ入れを行い、検索順位を再び上昇させる施策を行います(行なっています)。1回目は「カフェレーサー」というキーワードでファーストビューに入っていたこちらの記事を修正しました。
「カフェレーサー」で検索1位を取れていたこちらのコンテンツ、改めて調べると検索順位が7位と、ファースビューから漏れていました。この際、ついつい作業をPCベースで進めがちですが、同時にスマートフォンでも検索順位状況を視認します。
7位に落ちている現実から、「では上位6位までのコンテンツと何が違うのか?」と、「記事の鮮度」「記事構造」の観点から分析します。要は「自社コンテンツと比較し、上位コンテンツの優れているところ」をチェックしていくのです。
「メタディスクリプションは入っているか?」「メタキーワードは正しく入れられているか?」「画像にaltテキストは入っているか?」という基本的なところの見直し、そして「コンバージョンさせたいポイントが明確か」「そこまでの記事の流れは適切か」という記事の構造も合わせてチェックしました。
結果、メタディスクリプションやメターキーワード、altテキストも入っておらず、掲載当時のコンバージョンポイントであったハーレーダビッドソンのキャンペーン期間がすでに終わっていました。
ディレクションというよりはエディティングの観点からのチェックです。"読みやすい文章"でなければ読者にストレスを与えてしまいます。「じゃあ読みやすい文章って?」と言われると、読了まで言葉に詰まることなく読み進められる文章 ということになります。文才がなくても、優れた編集者によるフィードバックと優れた書籍を読むこと、そしてそこで得たものを実践するライティングを繰り返すことで身につけることができます。若い頃にこうしたトレーニングを積んでいるか否かで、商業ライターとしてのキャリアは先々確実に変わってきます。
改めて記事を読み返したところ、文章の流れの根本である「起承転結」「5w1h」がガタガタなのが判明しました。テーマがブレたまま書いたのか、原因は定かではありませんが、「ん?今のどういうこと?」と数行前に戻ることがしばしばあり、「ストレスなく読了するのは不可能」だと判断。当該ライターに断りを入れ、フルリライトを行うこととしました。
実売を目的に誌面上で完結して良い紙媒体と異なり、ウェブコンテンツはあくまで通過点、読み終えたユーザーにどんなアクションを促したいか というコンバージョンポイントを決めます。キャンペーンが2年も前に終わっていたので、ハーレーダビッドソンのオウンドメディアとして導きたいポイントは「カタログ請求(まずはじっくりハーレーを眺めたい人向け)」「最寄りの正規ディーラー検索(実車を見てみたい人向け)」「試乗車検索(すでに免許を持っている人に試乗する機会を)」としました。
ゴールは先ほど決めたコンバージョンポイントで、スタートは「カフェレーサー」というキーワードでの来訪。この起結ありきでの起承転結(コンテンツのストーリー)を設計します。
まず、「カフェレーサー」で検索するユーザーは何を知りたいのか?
「カフェレーサーってどういう意味なの?」「カフェレーサーがテーマのバイクってどんなスタイル?」などが想定ユーザーの疑問として浮かび上がります。とすると、コンテンツ内にはそんなユーザーの疑問に対する回答がなければなりません。これにより、「カフェレーサーとは」「カフェレーサーってこんなスタイル」への解説が必須となります。
さらに、カフェレーサーは元々イギリスで生まれたカルチャーなので、アメリカ生まれのハーレーダビッドソンとどんな関連性があるのか、についての説明も加えます。これらがコンテンツの内容となり、Google検索時に「この記事には、あなたの疑問に対する解がある」のだと知らせるためのタイトルづけとメタディスクリプションをまとめていきます。
その前段階で必要なのが、メタキーワードです。今回は「カフェレーサー」「ハーレー」「カスタム」としました。
このキーワードを踏まえて、タイトル案を3つ創出。そのなかから「カフェレーサーから知るカスタムハーレーの世界。ストリートシーンに映える最旬の世界に触れる」を採用しました。合わせてメタディスクリプションを作成、タイトルと合わせて「この記事はカフェレーサーとハーレーに関する情報をまとめたものです」と、事前にお伝えすることを目的としています。
ここから再編集作業です。メタディスクリプションは「記事作成(再編集)時に軸がブレないための羅針盤」という役割を持っていますので、ついつい視野が狭くなってくるライティング時に方向が狂わないよう、何度か見返すよう心がけます。
ここには「コンテンツ内で使用されている画像のaltテキスト挿入」もマスト作業として含みます。
再編集が完了したら、自分以外の誰か 第三者にもチェックしてもらいましょう。タイトル、メタディスクリプション、そして記事と先入観なく流して読んでもらい、詰まるところや流れが淀んでいるところを忌憚なく述べてもらいます。そしてそれらの疑問を解消し、再編集は大詰めを迎えます。
このように「この記事は2019年2月8日に再編集したものです」と誠意あるお知らせを入れます。これはユーザーに対してはもちろん、コンテンツの内容をチェックに来るGoogleクローラーに対するメッセージでもあります。
ここまでできたら、あとは記事を更新するのみです。
こちらの記事、2019/2/8に更新し、翌週2/14にCHROMEシークレットウインドウで再びリサーチしました。結果、「カフェレーサー」キーワードで7位だったのが3位にまで回復していました。1位には及ばなかったものの、ファーストビューに入るという最低限のミッションは達成できました。
画像検索でのファーストビュー表示も狙っていたのですが、こちらは未達。しかしながら、新たに入れた画像が6列目に表示されるなど多少の影響はもたらせたよう。ここはもう少し変動が起こりそうです。
今回はあくまでコンテンツ単体へのテコ入れで、影響力は小さくはないですが根本的に改善するとなると、さらに俯瞰的な視点からの見直しが必要となります。メディア運用には「中長期的なプランニング」と「コンテンツ単体の精度追求 / 定期的なメンテナンス」が不可欠。
本サイトの改善はこれからも行っていきつつ、新規コンテンツの企画もこの理論を取り入れながら立てていかねばなりません。このメンテナンスはディレクター / エディターが設計の見直しやリストアップを執り行い、費用をかけてでもライターに対応してもらうのが効率的だと思われます。
ディレクターがやらねばならないのは、サイト全体を見渡してのコントロールです。ここに欠かせない「中長期プランの組み立て方」を次回ご紹介します。
では。