『将来の日本の"留学"のあり方を考える』
トビタテ留学JAPAN奨学金を利用して、イギリスにあるバーミンガム大学の修士課程に留学している山本です。今回は、素晴らしいほどにエゴイストな投稿です。つまり、自己満バンザイ。
内容は、”留学は本当に良い事か”についてです。留学の経験を通して、自分なりに考えてみました。
・海外への留学生を増やす"だけ"の方針が持つ危険性
日本企業のグローバル化の必要性から、大学や政府は、留学の学生数を増やす施策を数多く打ち出している。政府のホームページによると、”国際的な産業競争力の向上”や”グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図る"としており、これらが重要な項目である事に、疑いはない。しかしながら、単純に海外への留学生を増やす施策は、本当に良い事なのだろうか? 私は、留学生の母体数が急激に増えるに連れて、留学するべきでない学生も増える事に注意しなければならないと考える。特に、留学を経験した事のない学生が「留学=良い事 or 箔がつく」という単純な考えで留学に挑戦する学生が増える事に不安を覚える。本人が価値の薄い留学を経験するだけではなく、他の学生に間違った留学のメリットを教える可能性があるためだ。
・日本で学べる事を「海外留学のメリット」にしてはいけない
現在までに多種多様な留学の機会が増え、多くの学生が海外へ渡っている。しかしながら、彼らが考える留学のメリットやその内容を調べてみると、予想以上にそのほとんどが、日本で学べる内容である事に気づく。具体的には、英語力、海外学生との友達、コミュニケーション力、講義型授業だ。例えば、英語力は、海外で学ばなくとも、多くの教材やインターネットを用いた英会話等を使えば、十分に日本で学ぶ事が可能である。海外学生との友達、コミュニケーション力も同様に、ソーシャルメディアや海外から来た旅行者へのボランティアで十分済む。海外で行われている講義型授業においても、今ではほとんど価値がなく、googleやyoutube等を英語で調べれば、海外大学の授業よりも分かりやすい説明が大量に検索できる。したがって、これらを「海外留学のメリット」にした場合、留学の価値は無いのに等しい。
・「海外留学のメリット」とは
当たり前ではあるが、海外留学を価値あるものとするためには、日本では学べない内容を学ぶべきである。私が現在の留学を通してメリットだと考える項目は、
1. 海外学生とのディスカッションにより得られる経験と能力(Output能力の底上げ, 特にMBA)
2. 海外学生との価値観と様々な国の情報収集 (多くの国々の学生と一度に交流できる機会は、費用対効果が高い)
3. 日本よりもハイレベルな、もしくは海外でしか学べない、"研究" や"仕事"
である。これらの3つの項目は、留学経験者であれば理解できるであろう。特に上記2つは、日本のマスメディアが海外の情報をほとんど流さないため、鎖国国家のような日本では、大変価値がある。しかしながら、留学を経験した事が無い人は、これらの項目がはっきりせず、魅力を理解できていないように思える。そのため、これら"メリット"の重要性をはっきりと確立し、留学の良さをアピールしなければならない。
・留学先進国の中国から学ぶ、留学のメリットを理解する重要性
中国では、急激な経済発展により留学生が増える一方、学生の質の低下が問題となっている。海外大学(大学院)への入学は、アジアの大学と比べて簡単に入学できるため、学力が足りない中国人学生は、親の財力により海外大学へ進学するケースが多い。しかしながら、留学のメリットを知らない彼らは、環境だけ変化した自国と変わらない教育を受け、留学先でもやる気や学力が低いままである(もちろん、大変優秀な中国人留学生も多くいる)。こうなってしまっては、留学ほど、金と時間を無駄にするものはない。今後、日本でも留学生が増えた場合、同様の問題が生じる可能性が高いだろう。それを防ぐためにも、今から留学の"メリット"を正確に宣伝しつつ、留学生を増やしていく必要がある。
そして、こんな事を書いている自分自身も、多くの無駄な留学経験を繰り返しました。いわば、反面教師のこの私。このトピックが、多少なりとも、現在留学を考えている方々の役に立てれば嬉しい限りです。