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ギャンブラーX

”文章内の記号のルール”

〇=風景描写
【=心の声

”人物紹介”

主人公=カケル・工業大学・建築学部 1年生

ヒロイン=ルナ・同校同クラス 1年生

ーーーーー

〇とある工業大学・建築学部の受講中

〇校内の廊下を走るルナ

〇教室に入り、受講中のカケルの元に急いで駆け寄る

〇周りの生徒は少し驚いている

ルナ「カケル!あなたの家!

〇きょとん顔のカケル

〇大きなカケルの家に沢山の職員が出入りしている

〇カケルのみけんにシワが入る

カケル「あの、なんで荷物を運び出しているんですか?」

職員「これを見て頂けますか?」

〇催告および通知書

カケル「家賃滞納??財産の差し押さえ、、」

カケル「この家は知り合いの会社の寮で家賃は無いのですが、、
僕は学生ですけど卒業したら、この会社で働くことに
なっているので家賃は無料なんです。」

社員「その知り合いの会社は株式の取得で他の会社に
吸収されています。
なので家賃が発生しています。」

カケル「家賃、、、契約更新の手紙にサインはしたけど、
良く確認してなかった、、」

社員「その書類をよく見た方がよいです。とにかく、
口座から家賃を徴収した上で残高不足で差し押さえを行っています」

カケル「家賃っていくらですか?」

社員「数百万だと思います」

カケル「数百万、、、そんな、、もうここには住めないですよね?」

社員「そうですね。残高にはいくらか残しているので
そのお金でなんとかする事になります」

カケル「ひどい、、涼も
連絡くれないなんて、、」

〇郵便物を持ってくる社員

社員「これ、あなたの郵便物です」

〇公園でルナとカケルは郵便物を見る

カケル「あ、、涼からの手紙だ!」

ーーー手紙ーーー

しばらく連絡できなくてごめんなさい。

私の会社は株式を買収されて
吸収合併されてしまい、
株式会社NULLワールドの子会社になりました。

そして
NULLワールドから私に管理を任されたカジノは
謎のプロ集団にやられて借金を負い廃業。

私は借金を返すまで地下都市から出れないように
なっています。

社宅もNULLワールドのものになってしまって
迷惑をかけてしまっていると思います。
本当にごめんなさい。

ーーー

カケル「涼が借金を背負わされて地下都市に捕らわれているらしい」

ルナ「どうするの?」

カケル「行くしかないでしょ」

ルナ「行ってどうするの?」

カケル「勝負する」

ルナ「残高5万円で?」

カケル「そうだね。とくかく行くよ」

〇バスに乗る2人

ルナ「危険だから二度と行かないって言ってたのに」

カケル「仕方ないよ。涼には借りがある」

ルナ「どんな借りがあるの?」

カケル「俺が高校卒業した直後かな、、、」

ーーー回想はじまりーーー

俺はギャンブルの才能があるって思ってた。

国が運営するカジノで2千万円くらい一気に稼いだんだ。

すると黒服のスタッフが来てこう言った。

「このカジノの地下には地下都市開発があって

地下カジノも運営中だ。

そのカジノで払い出されたお金は仮想通過ぺブルで貰える。」

ぺブルは世界で有名なコインで手にさえ入れば

5倍で売れる人気コインだ。

よって5千万円使って1千万円払い出されればチャラ。

こんなの、絶対損しないカジノって事。

何故ぺブルが人気コインかって言うと

ぺブルでないと地下都市の家は買えない。

今、世界は気候変動で壊滅的なダメージを受ける事が
良くある。

だから世界中の投資家たちは地下都市内の家を買い求めている。
地下都市は少しづつ家を売るので手に入れば高騰する家であり、
投資家にとっては
ぺブルを早く集めて、早く地下都市内の家を買いたいんだ。

そのぺブルを手に入れるチャンス目の前に来た。
俺はかなりの億万長者になる事が約束される。

そして地下カジノに行く通行証を1千万円で買い、
さっそく通った。

最初は調子よかった。ぺブルを使ってあっと
言う間に1億円は手に入れた。

気にしていなかったが地下カジノは借金を持つと
地下建設を手伝い、返すまで出られない。

そしてその後、俺はNULLワールド社が契約している
であろう暗黒ディーラーの手で借金ができるまで
金を奪われた。

〇汚れた部屋に叩き込まれる俺

警備員「借金は約500万円。それを返すまで地下都市建設のスタッフとして働いて貰う。入場時にサインはして貰っているので拒否できない」

カケル「でも違法じゃないんですか?」

警備員「我が社は国会議員を何人も送り出している。
そして新法を設置した。
地下50メートルより深いエリアは先に開発した会社の
土地になる。
そしてその深さの法律は建設会社の決めるところにゆだねる」

カケル「めちゃくちゃですよ!」

警備員「世界の投資家たちは地下都市建設を切に願っている。
移り住むために。

しかし地下都市建設は今、
工事に着手しも買い手がいない事から
どこの企業も着手しなかった。

であれば着手したくなるような新法が必要だ。

我が社は世界を救うために動いたんだ。

人類は保存されるべきだ」

カケル「でも!
一般人の買える値じゃない!」

警備員「だったら投資すればいい。稼げばいいんだ!!
では人類は絶滅する道を進むのか?
保存し、未来を作るべきではないのか?」

カケル「、、、、、何年働けばいい?」

警備員「時給100円で計算して10年くらいだろう」

カケル「100円?時給1500円じゃないのか?」

警備員「話は聞いていなかったのか?法律は我が社が決めれるんだ」

〇建設現場で鉄骨を落とすカケル

スタッフ「もっと集中しろ!!」

カケル「すみません!」

【言い返すとムチでたたかれる。ひどい会社だ。もう12時間は働いたが、休憩は全部で30分程度。飯もパン1つと
スープだけだ】

〇多くの労働者の休む部屋で気絶するように眠るカケル

〇朝になり部屋からは人が出てカケルしか寝ていない。
そこにスタッフが来る

スタッフ「いつまで寝ている?このサボり魔め!!」

〇ムチでたたかれるカケル

〇あざだらけで倒れるカケル

スタッフ「30分休んだら仕事だぞ!」

〇うつろな目で地面をぼーっと眺めるカケル

〇ドアの空く音が聞こえる

〇ぼーっとするカケルの顔のそばに立つ女性

〇女性はしゃがむ

涼「出たい?」

カケル「はい、、、」

涼「そう」

〇涼は立ち上がるとドアから顔を出してスタッフを呼ぶ

〇スタッフは駆け寄る

スタッフ「はい、どうされましたか?」

涼「中の彼、借金はいくらですか?」

スタッフ「1千万円程度だと聞いています、、」

涼「私が払うから、連れて行っていい?」

スタッフ「あ、はい、では上の者に確認いたします。少しおまちください」

〇医務室に運ばれたカケル

〇助けてくれた女性がカケルの傷を消毒する

●イラスト

気が付くとスーツの女性が俺の傷を消毒していた。

その時の俺にとってはまるで天使のように見えたんだ。

●イラスト「うおおっほん!」

ーーールナの妨害により回想中断ーーー

カケル「なんだよ、うるさいな」

ルナ「天使って誰の事?」

カケル「涼だよ、、そう見えたんだよ」

ルナ「ふうん。。ほれてんの?」

カケル「ほれてないよ!地獄にいたから天使に見えるでしょ?」

ルナ「ここにも天使はいるよ?」

カケル「あー。はいはい」

ーーー回想再開ーーー

その時は涼が天使に見えたんだ。

ルナ「うおっほん!」

カケル「ありがとうございます、、」

涼「体調はどう?もう借金は消したから、病院にでも何処にでも連れて行くわ」

カケル「病院に行きたいです。地上の、できれば大きい病院に」

その時の俺はとにかく地下から出たかった。
そして身の安全を実感したかった。

〇大病院の個人部屋に入院したカケルはベッドで診察を受け終わった

涼「1週間しないうちに退院できるみたい」(笑み)

カケル「なんで俺を救ってくれたんですか?」

涼「見てたのよ。国営カジノでの活躍をね。そして地下での様子もね」

カケル「そうだったんですか、、なんで俺なんか、、」

涼「正直、かしそうな人だなって思っていたの、うちはこれからが大事な時で、何事においても正確な判断が要求されるわ。
でも迷う事も多い、だから求めていたの、あなたみたいな人をね」

カケル「俺の借金はどうやって返せば良いでしょうか?」

涼「うちで働いてほしいの?年収も、対応も何もかもお望みに沿うよう努力するわ」(笑み)

カケル「そうですか、、ちなみに何の会社ですか?あとあなたは
重要なポジションの人ですか?」

涼「私の会社は未来愛株式会社、で、私は社長の宮沢涼よ。」

カケル「未来愛株式会社、、テレビCMでよく見ます。
そこの社長さんですか、、、」

涼「もしうちに来てくれるんだったら、住む場所は一軒家を用意するから、好きな場所、家の様子も希望通りにする。
建築系の大学も持っているから無料で卒業まで学べるわ。
だから何も知らなくても平気よ」(笑顔)

カケル「いたせりつくせりですね、、在学中もお給料とかは出るんですか?」

涼「もちろん。手取りで年収3000万円くらいからどう?」

カケル「はい、お願いします!」

涼「良かった!商談成立ね!でもまずはゆっくり休んで、体を治してください!」(笑み)

カケル「はい、お願いします!」

ーーー回想おわりーーー

ルナ「へええ、、神様みたいな人だね?」

カケル「ああ」

ルナ「でも、あまり真面目に学校にとりくんでいないよね?
パチスロざんまいだし、、競馬に大金つっこむし、、」

カケル「元から俺はギャンブラーだし、
今は大学を卒業すればいい状況だから、、」

ルナ「でも、どうやって涼さんを救うの?居場所知ってる?」

カケル「何処にいるかは知らないけど、プレイしていれば道は開けるかなって」

ルナ「計画なしか、、」

カケル「本当に、危ないからマジで帰った方がいいよ?」

ルナ「幼馴染でしょ?幼稚園からずっと。ほっとけないじゃん?」

カケル「確かにずっと一緒だよな、高校も。大学まで」

ルナ「腐れ縁ってやつだよ」

カケル「とにかく、身の危険とか感じたら遠慮なく帰宅してね」

ルナ「うん。で、何が危ないの?怖い人いたりする?」

カケル「怖い人もいるけど、地べたで寝てる人も沢山いるよ。」

ルナ「ホームレス的な?ギャンブルしないなら帰ればいいのに」

カケル「でも、何故かずっといるんだ。運営も見て見ぬふりだ」

ルナ「不思議だね」

カケル「うん。呼び名はローザーって言うんだ。LOSEが負ける事。LOSERで負けた人。
彼らの中には情報を集めてギャンブラーに売っている者もいて
運営も情報を買っている。だから追い払えないんだ。」

ルナ「ふーん。入場は誰でもできるの?」

カケル「入場には入場券が必要。チケット1枚で2人まで入れる。このチケットが高い」

ルナ「持ってるの?入場券」

カケル「俺はこれがある」

〇未来愛カジノ 入館証

ルナ「いつでも入れるんだ、、涼さんが作ってるカジノだもんね」

カケル「そういう事。俺は一応関係者なんだ。でもそれだけで入ったら一般扱いだよ」

ルナ「所持金がマイナスになったら強制労働でしょ?」

カケル「うん。だからルナは見ているだけでいいよ」

〇都会の真ん中で下車する2人

ルナ「こんな普通な所にあるんだね!」

〇未来愛株式会社のビルに入る2人

〇パスポートを受付に見せて社員用の通路に入る

〇資材運搬用エレベーターに入る2人

〇行き先の階を決めるボタンを押すカケル
6か所押すカケル

ルナ「暗号?」

カケル「今日の日付だよ」

ルナ「下に動いた」

〇エレベーターのドアが開き、受付がすぐ目の前にある。
2人は受付に向かう

受付「いらっしゃいませ、お二人様でよろしいでしょうか?」

カケル「はい」

〇入館証を見せるカケル

〇確認すると受付は契約書を2枚差し出す

ーーーー

〇「未来愛カジノ契約書」
・所持金がマイナスのお客様は借金を返済するまでNULLワールドの建設現場で働くこと。

・退場の際は借金を0にしてかでないと出れません。

・カジノ内では日本国の法律に従い運営を行います。

・NULLワールドの建設現場に移動になった場合は株式会社NULLワールドの決めた法律に従って頂きます。

ーーーー

ルナ「賭けなければ私は出れるんだよね?」

カケル「そう。借金だけなければいいんだ」

〇2人はサインする

受付「確認しました。ではあちらの扉からご入場ください」

カケル「すみません、未来愛株式会社の社長の植木涼に会いたいんですけど、言伝とかないですか?」

受付「残念ながら、当社に植木涼という社員は存在しません」

カケル「ええ??ここは未来愛株式会社のカジノですよね?」

受付「その通りですが、前社長の植木様は退任されております」

カケル「そうなんですか、、居場所はわかりませんか?」

受付「承知しておりません」

カケル「わかりました、、すみませんでした」

〇2人は扉から中に入る。ルナはカケルの腕につかまっている

〇中に入ると目の前には一本道の通路があり、多種多様なカジノ部屋が並んでいる

ルナ「人がいっぱい、、道の先が見えないけど何メートルあるの?」

〇ルナの背後を指さすカケル

〇ルナが振り返るとカジノ全体の案内図が壁に掲示されている。
それを眺める2人

カケル「このカジノは一辺が1キロメートルの正四角形になっている。
カジノの種類は2種類。ポーカー、バカラなど、オーソドックスなものは未来愛がやっている。
もう1種類が”リプレイスカジノ”というスタイルで
1日1千万円くらい払えば誰でも好きなギャンブル部屋が作れる。
ルールも自由に決められる。
たまにぺブルコインでBETする客もいるので
その分は大きな利益になる」

ルナ「ぺブルコインって5倍で売れるやつでしょ?」

カケル「そう」

ルナ「でも1日1千万円って高いね?」

カケル「1BET数千万円から数億円の勝負が多いので、そんな問題ではないよ。しかしもし借金をしたら地獄だ。
だからディーラーになるには覚悟と慎重なルール設定が望まれる」

ルナ「あちこちに座っている人がいるけど、ローザー?」

カケル「それは分からないよ。久しぶりだから、その辺はこれから調べていく」

ルナ「すぐギャンブルしないのね?」

カケル「”情報は億を動かす”と言われるほど重要なので、特にこのカジノではね。良い情報を持つローザー、良い賭場、危険な賭場を見極める必要がある」

ルナ「じゃあまずは見学だね」

カケル「そうだね。歩くよ」

〇通路を歩き始める2人。興味深く見渡すルナ。店の看板とローザーに目配りをするカケル

〇情報屋という文字の書いた札を床に置いてぼーっと座る中年男性がいる。カケルは歩いてそばに寄り、話しかける

カケル「こんにちは」

情報屋「こんにちは。うちの情報屋はローザーの位置とそのローザーの持っている情報の種類を売っている」

〇メモ用紙のような紙切れのはじをちらつかせる。

カケル「1枚いくら?」

情報屋「1千万円だ」

カケル「ありがとう!検討しておくよ」(笑顔)

〇離れる2人

ルナ「んぐっ、情報1枚1千万円って?」

カケル「安い方だよ。レベルの高い情報を扱うローザーは何億も取るよ」

ルナ「うっわ、、じゃあ辞められないね?」

カケル「根気があればローザーで生きていくのも悪くない。でも俺には無理だ」

ルナ「アクティブだもんね。じっとしてない」

〇ひたすら歩く2人

ルナ「おなか減った、、飲み物も欲しいな」

カケル「我慢だ」

ルナ「我慢?私2万円くらい持ってるよ?」

カケル「食事と水は1日に2度配給される。
あと1キロくらい歩けばたどり着く。極力節約するんだ」

ルナ「あと1キロ、、うん我慢だね!」

〇配給所にたどり着く2人

〇受付に入館証を見せるカケル

〇それをカメラで撮影し照合する受付スタッフ

スタッフ「確認できました。お待ちください」

〇コッペパン2つと真水2杯がトレーに乗せられてくる

〇みけんにシワが入るルナ

カケル「ありがとうございます!」

〇受け取った2人は
隅の方に移動し座る

ルナ「これが昼食?少なくない?」

カケル「夕飯も同じメニューだよ」

ルナ「えええ、、、、」

カケル「辛くなったら帰るといいよ。ここは金のない奴らを相手にしていない。俺は元関係者だから入れるだけだ」

〇2人は食べ始める

ルナ「ジュースだけ買いたい」

カケル「あそこに自販機があるよ」

〇自販機の前に移動するルナ

〇自動販売機
・ジンジャーエール8000円
・オレンジジュース8000円
・お茶6000円
・ミネラルウォーター5000円

ルナ【破産する、、】

〇落ち込みながらカケルの元へ帰ってくるルナ

ルナ「あり得ない、、、」

カケル「億単位のお金を自由に使える人の娯楽場だ」

〇その後も歩き続け、カジノは閉店する店が増えていく

ルナ「閉店していくね?24時間営業じゃないんだね?」

カケル「0時に全部のカジノが営業終了して
翌朝8時から営業は再開されるんだ」

ルナ「そうなんだ。清掃タイムとか、いろいろあるんだろうね」

カケル「うん、不健全になり過ぎないようになっているよ。

〇カケルのそばで座っていたローザー達は寝始める

ルナ「宿ってあるんでしょ?元関係者だし」

カケル「無いよ。建設関係者は中の様子を確認するくらいが普通で、ギャンブルしたり、泊っていく人はいない。
もし泊まるにしても、そういうチケットが会社から支給されるんだ」

ルナ「宿代って高いの?」

カケル「安くても1泊70万円くらいだよ」

ルナ「うわ、、、まじで?」

〇となりにローザーのような人が寄ってきて座り、寝る

〇少しおびえた様子でチラ見するルナ

カケル「うん、だから今座っているここが宿」

〇口を閉じずにぼうぜんとするルナ

〇天井を見上げるカケル

カケル「ここの通称は”アリジゴク”だ。一度入れば抜け出せない。
いろいろな奴が罠を仕掛けてきて借金を背負わされる。

早く退場する事を強くお勧めするよ」

〇夜が明けるとカケルの周りの人も動き出す

〇カジノ開店準備も始まる

〇カケルが目を覚ますとルナはカケルの腕をぐっとつかみ、
起きていてじっと座っている

カケル「寝た?」

ルナ「ううん、怖すぎて無理だった」

カケル「今日も歩くけど」

ルナ「ついて行くしかないじゃん」

〇そして1週間が経った朝、2人は目覚めた直後で座っている

ルナ「今日も一日歩いてメモ?」

カケル「うん」

ルナ「毎日ノートにメモばかり、、いつまで続くの?」

カケル「半年くらいとか?金ないから何かきっかけが無いと動けないよ」

ルナ「、、、、、」

〇ルナの視線の先に5000円札が落ちている

ルナ【水代、、、】

〇お札を拾うルナ

〇ルナの方に触るカケル

カケル「そのお金は拾わないで」

ルナ「なんで?お水1本買えるよ?」

カケル「準備中の人が落とした物かも知れない。敵は作らない方がいい。ローザーが見ている」

ルナ「見てないよ!見てたらどうなるの?」

カケル「そのお金を探している人にローザーが告げ口する。そういう情報もローザー間で周る。そうなると良い情報を得ずらくなるかも知れない」

ルナ「考えすぎだよ」

カケル「考えすぎないと命を落とす場所なの!」

ルナ「ふんっ、、ふふふん」

〇泣き始めるルナ

カケル「だから帰れって!」(困り顔)

〇しゃがみ込むルナ

〇ぼうぜんと立つカケルは
今朝新しく作られた店の看板の看板の取り付け工事をながめる

〇看板
”隠された板の後ろにある花瓶の位置を当てるゲーム。
持ち物検査なし。所持金0円でも見学可能”

カケル「ギャンブルの開始だ」

ルナ「?」

カケル「そこの新店舗、所持金0で入れる」

ルナ「本当だ!なんでだろう?」

カケル「かなり危険なパターンだけど、今の状態じゃ
ルナが壊れそうだ」

ルナ「頑張って!」

カケル「じゃあ、行ってくる!」

〇カケルは中の様子をうかがいに行く

ルナ【私にできる事はカケルを信じる事、、、】

〇ルナは手に持った5000円札を元の所に返した

〇その様子をチラ見するローザー

〇チラ見していたローザーはルナの元に歩いてくる

ローザー「やあ!」

ルナ「!!」(びくっとする)

ローザー「あんたの彼、学生さんかい?」

ルナ「はい??」(困り顔)
「そうです、、」

ローザー「だったら連れ戻すといい。あの部屋は危ない。カンだが、NULLワールド行きになる看板の作り方なんだ」

ルナ「NULLワールド行きって、、借金を背負わされるんですか?」

ローザー「そうだよ、誰でも入れるタイプの看板は基本的に株式会社NULLワールドの運営が作ったもので、借金を背負わさせて無料で10年働かせるんだ。無論、罠がある。あなたも被害を受けるかも知れないよ?」

ルナ「本当ですか?」

ローザー「私はここに10年以上座っている。新人のギャンブラーはあの手の看板に騙されて消えていく。運営は何もできない者を欲しがっている」

ルナ「、、呼び戻してきます!」

〇カケルの入ったカジノに入るルナ

ルナ「カケル!」

カケル「ん?何?」

ルナ「ここやばいって!」

カケル「いや、分かってるよ!」

ルナ「NULLワールドの罠だって!また建設現場行きだって!」

カケル「、、、。ローザーに吹き込まれたか、、」

〇ルナのそばに寄るカケル

カケル「俺はルナと生きる世界が違う。俺は命を賭けてギャンブルをする人間だ。だからもう帰ってくれ」

ルナ「涼さんが好きなだけでしょ!?」

カケル「大声出さないで、、違うから!」

〇次々に見学の客は入る

〇体の大きい警備員が2人に話しかける

警備員「1回目のBETが始まります。参加するようでしたら奥に進んでください。参加しない場合は一度店外に出てください」

カケル「参加します。少し待ってください」

〇ルナの両肩を押して店外に出すカケル

カケル「俺はそんなに弱くないよ。信じるんだ!俺のパートナーは俺を信用できる奴だ」

〇困った顔でカケルを見上げるルナ

〇口元を食いしばるルナ

ルナ「分かったよ、、」

カケル「後で外の様子を聞きたいから見渡しておいてくれ」

ルナ「うん、、、、ファイト!」

カケル「じゃね!」

〇笑顔でカジノの中に入るカケル

〇カジノ部屋の中に5人目として入るカケル

〇支配人は2階からカジノ部屋をカメラで見つつ、マイクで放送する

支配人「ようこそおいでくださいました!
花瓶は何処にあるか当てるゲームの部屋です。
カジノのルールを発表します」

〇カケルはあたりを見渡している

〇目の前には机が2つあり、片方には花瓶が置いている
カケルの足元には進入禁止ラインが横方向に引かれ、
花瓶があるゾーンには入れない。
侵入を止めるための警備院は花瓶ゾーンの壁際に立っている
腰には警棒と懐中電灯がぶら下がっている。

〇警備員は机の上に板を載せて花瓶を隠す

支配人「今、花瓶を隠しました。このような状態で
どの机の上に花瓶があるかを当てるだけのゲームです。
BETは最低でも2千万円からです。
当たれば倍になって返ります。
支払いはぺブルでも小切手でも構いません。
何か質問があればどうぞ」

カケル「進入禁止のラインがありますが、その上を棒のような物を通過させてもダメですか?」

〇カケルはポケットからマジック用の筒を取り出し、一瞬で1.5メートルのステッキに変える

支配人「ラインの上も進入禁止です。道具も進入禁止です。もし侵入させた場合は負けとなり、2000万円を支払って頂きます」

カケル「わかりました!じゃあ見学は終わりにして不参加で
退場します」

〇カケルは部屋からでる

〇しかし他の警備員に止められる

警備員「何も賭けないで出る場合は1000万円の罰金だ」

カケル「そんなの聞いてない」

〇警備員はそばにあるルール説明の紙を指さした

カケル「これは店の看板と同じ、、、いや違うな」

〇BETしないで退場するお客様からは1000万円頂きます。と小さく書かれている。

カケル「こんなの入る前は書いてなかったぞ」

〇警備員のポケットから白い煙が出ている

カケル【ドライアイス、、、冷気で浮かび上がる文字を使ったか、、。外の看板も同じようになっていそうだな】

警備員「看板は注意して見ると良いですよ」

カケル【やられた、、】

カケル「BETの金は後払い可能か?」

警備員「もちろん」(笑み)

カケル「分かった、、」
【これで負ければ2000万円の借金、20年無料で労働だ、、しかし、当たる確率は半分。
まだ終わってない】

〇カケルが中に帰ると参加者はざわついていて、
部屋から出ていく

〇さっきまで2つだった机は5つに増えている

カケル【結局当たる確率5分の1か、、きったねえな!】

支配人「さあ、どの机に花瓶があるか当ててください!制限時間はあと5分です!」

〇カケルは見渡し、ポケットから眼鏡を取り出してかける

カケル【ラインの上を超えないように赤外線レーザーのような物が張られている。この部屋の外にはブレーカーがあったな。あれを落とせばラインを越えられないかな?】

〇カケルは警備員を見る

カケル【警備員は懐中電灯を持っている、、、。
停電させたら捕まって犯罪扱いか、、その場合はどんな仕打ちが待っているのか、、】

〇参加者は文句を言いながら部屋に帰ってくる

カケル【5人がそれぞれ2000万円BETして1人正解だとすると運営は6000万円利益がある。負けない賭場か】

〇カケルは落ち込む参加者に話しかける

カケル「僕、何処に花瓶があるか分かります。その理由も伝えられます。もしその理由を聞いて納得したらで良いので
正解だった場合に利益の半分をもらえませんか?」

客A「理由を聞くのは無料か?」

カケル「はい。しかし、聞いてから信用しない場合は
僕の指定した机を花瓶のある机として選べません」

〇客たちはうなづく

客B「聞かせてください」

〇カケルは黙って部屋から出ていくとポケットから先ほどのステッキを出してブレーカーを落とす

〇真っ暗になるカジノ部屋

〇参加者はうろたえ、カケルは部屋に帰ってくる

〇カケルは進入禁止ラインの後ろでポケットの中の小銭をチャラチャラさせる

カケル「なるほどここにあったのか!」

〇2階で見ていた支配人はうろたえて警備員に指示を出す

〇警備員のイヤホンに指示が届く
支配人「懐中電灯で花瓶と参加者を確認しろ!」

〇警備員は花瓶を照らしてラインを超える物が無いかも確認する

カケル「花瓶とったどー!」
〇声に驚く客達はカケルの方を見る

〇警備員は次にラインの後ろに立つカケルを照らす
カケルは花瓶を持っていない

〇カケルはポケットに手を突っ込んで堂々としている

〇外にいた警備員はブレーカーを元に戻して電気はつく

〇ざわつく参加者達

カケル「停電させるのは反則と書いてあったか?」

支配人「書いていない」

カケル「俺はラインを超えていない」

支配人「それは確認済だ」

カケル「今の行為に反則があれば聞きたい!」

支配人「いや反則はない、、」

カケル「ありがとう!」

〇カケルは後ろを向いて参加者達に説明する

カケル「では花瓶の位置とその理由を言います。聞かない人は
離れてください」

〇誰も離れない

〇カジノの外で心配そうに見ているルナ

〇カケルは笑顔で出て来る

〇それに気づいたルナはほっとしてカケルに駆け寄る

ルナ「終わったの?何か分かった?」

〇カケルはポケットからぺブルを出す
ぺブルには1000万円と表記されている

カケル「ぺブルはこれしか無いけど売れば5000万円だ!」

〇目を丸くして札束を見るルナ

ルナ「え??勝ったの?」

カケル「うん、花瓶の位置を当てた!BETは参加者から借りたお金で支払った」

ルナ「すごい!500万円も借りれたんだ!」

カケル「うん、当てる前に借りれたのが500万円だったよ」

〇カケルの背後から参加者達が声をかける

客A「すみません、私達現金はあまり持っていなくて、、」

〇小切手が4枚
・1億円
・5000万円
・2億円
・1億5000万円

〇小切手を確認するカケル
カケル「確かに!」

客B「こちらはぺブルで支払いを受けているのに小切手ですみません、、。つい欲が出て、残りの小切手はすべてBETに、、。
貸した500万円は無効でいいです」

カケル「本当ですか!ありがとうございます!
小切手と言っても好きに切れるわけではなく、
未来愛株式会社の物でないと使えない。
欲が出るのも仕方ないです。」

客B「こちらこそ、お陰様で稼げました!ぺブルが2億も、、」(笑み)

カケル「実質9億円の勝ちですね!」

〇頭を下げながら名刺を渡す参加者達

〇ぼうぜんと立って見ているルナ

ルナ「何が起きたのか分からない、、」

カケル「俺達が得た金額は5億万円、ぺブルが1000万円分。
絶対に当たる予想を売ったんだ」

ルナ「情報を、、どんな情報?」

ーーー回想はじめーーー

〇カケルはカジノ部屋から出てステッキでブレーカーを落とし、停電させる

〇部屋に帰ると進入禁止ラインの前で小銭をチャラチャラ鳴らして
支配人を焦らせる
カケル「なるほど、ここにあったのか!」

この時点で俺は花瓶の位置を知らない

次に支配人は警備員に花瓶の安全を確認させた

〇花瓶に充てた光は壁に当たり花瓶の影が映し出される
カケルは花瓶の位置を認識する

カケル【Bの机ね!】

俺は警備員の懐中電灯の光で花瓶の位置を知った。
しかし俺だけが影を見ないと意味がないので
こう叫んで注目を集めた。

カケル「花瓶とったどー!」
〇客達は暗闇の中でカケルの声の方を見る

〇カケルは警備員の懐中電灯で照らされる

ーーー回想おわりーーー

カケル「物の位置は影でも分かる。
ディーラーの敗因はブレーカーは落とされないという思い込みと、
停電に備えて警備員に一応持たせた懐中電灯。

ルール設定は慎重にしないとリプレイスカジノでは勝てない」

ルナ「、、、すごい、、、」

〇離れて見ていた
ローザー達はメモを取る

カケル「さあ、飯にすっか!!」

〇外に出ると晴れている。まだ午前中だ

カケル「何食べる?」

ルナ「、、、ごめんおなか減ってない、、」(苦笑い)

カケル「そう!じゃあ、コンビニに寄ってから帰ろう!」

〇夜になるとカケルは1人でPCで作業している
名刺をくれた人達にお礼の返事を送った

〇一息ついて紅茶を飲むカケルの眉間にシワが入る

〇画面には見知らぬ男性がカケルを見ている

カケル「誰ですか?」

NULL「NULLワールドの社長、そして未来愛株式会社の新社長のNULLです」

カケル「NULL?確かNULLワールドの副社長で、誰も損しない
ぺブルコインを考えた人だ」

NULL「よくご存じで。ぺブルコインを高額で買っている投資家の多くはぺブルを最初から所有している。
すなわち、いくら高額になっても
投資家達は損をしていない。その高額コインを
欲しがるために現金が大量に未来愛カジノに入ってくるので
未来愛株式会社も損はしない。
無料で労働者を得るNULLワールドも損はしない。
カジノで得るホテル代、テナント代は巨額だ。
これらを実現させているのは地下世界というノアの箱舟だ。
地下世界はもっと価値を上げ、私は地下の王となる」

カケル「いろいろ聞きたいが、3つに絞ると、涼は何処にいる?」

NULL「私のそばにいるよ。返して欲しくば賭けで勝ち上がり私達のいる所まで上がる事だ。
涼と、あと2つ、欲しい物をプレゼントするよ」

カケル「次に、涼を罠にはめたのはなぜだ?」

NULL「地下建設は涼がいなくても会社を乗っ取れば可能だ。
未来愛の重役達は地下都市の物件やぺブルを持っている。
僕には逆らえない。
そして僕が一人で2つの会社をコントロールすれば
地下世界は僕の自由にできる」

カケル「最後にNULLワールドの前社長はどうしている?」

NULL「何故かいなくなった。どうしたんだろう?」

カケル「恐ろしいことだな」

NULL「僕がなぜこのPCに出現できたか聞きたくない?」

カケル「NULLワールドのネットワークの広さは理解している。
世界に影響を与えている。このくらいたやすいだろう」

NULL「さすがだ。ところで次のカジノ部屋を指定したいんだけど良いかな?」

カケル「どうぞ」

〇カジノの全体図をPCに表示するNULL

NULL「この位置にあるカジノ部屋だ。扉は2つあり、どちらかに金のリンゴがある。扉を開けられるのは1回だけ。
リンゴのある方の部屋を当てれば掛け金は倍になる。」

カケル「俺が賭場を確認して出てからリンゴを置くのか?」

NULL「そうだよ」

カケル「わかった。掛け金はいくらだ?」

NULL「10億円」

カケル「負けたら借金だぞ?」

NULL「働いて返して欲しい。負けたらだけど」

カケル「分かった。明日の夜にはうかがう」

NULL[楽しみにしているよ」

〇PCの画面からNULLは消える

〇カケルは椅子の背もたれに体重を乗せて天井を見上げる

〇翌日カケルはルナと駅で待ち合わせる

〇ルナは日差しの付いた帽子をかぶり、リュックを背負っている
カケルも同様の恰好をしている

ルナ「さあ行こう!」

〇電車から降りてタクシーに乗り込む2人
〇2人は郊外のキャンプ場にたどり着く
〇バーベキューの準備をするルナ。カケルはいない

〇カケルが山の中から帰ってくる

ルナ「きのこ取れた?もう焼くよー」

カケル「そこそこ取れたよ!始めよう!」

〇とれたてのきのこを焼くカケル

ルナ「めっちゃ蚊に刺されてるけどかゆくないの?」

カケル「めちゃめちゃかゆい」

ルナ「ふっふふ!そりゃそうだよ!虫よけスプレー禁止ルールなんて意味不明だし」

カケル「これも思い出になる」

ルナ「いや、わからない!このきのこ達食べれるの?調べた?」

カケル「これがなめこ、これがムキタケ、これがマイタケ。調べてあるよ!」

ルナ「ふうん。おいしそうだね!」

〇ビール缶で乾杯する2人。皿にはきのこや野菜、肉が乗っている

〇きのこをタレに付けて食べるルナ

ルナ「んま!!」

〇そしてビールを飲む
ルナ「ぷはーー!!」

〇それを見て笑うカケル
カケルもきのこから食べる

カケル「んま!!」

〇2人でバーベキューを楽しむ

〇夕暮れ。駅に帰る2人

ルナ「あー楽しかった!また連れて行ってね!」

カケル「うん!じゃあね!」

〇タクシーを拾うカケル

〇カケルの行き先を聞いてカケルに駆け寄るルナ

ルナ「これからカジノ??」

カケル「うん。行ってくる」

ルナ「じゃあ、私も行く!」

〇タクシーの中で話す2人

ルナ「今日はすぐ帰るんでしょ?お金も5億あるし、マイナスになる訳もないから」

カケル「そうだね、、たぶんね」

ルナ「だめだよ!かけ過ぎは厳禁!ぺブル貸して!」

カケル「はい、どうぞ」

ルナ「これがあれば絶対平気だ。出るときにぺブルはいくらで計算されるの?」

カケル「額面が1000万円だから、1000万円だよ。売らないと5倍にはならない」

ルナ「じゃあ売ればよかった、、」

カケル【負けたら帰れないって言えば、また妨害されるし言えないな】

〇約束のカジノ店の看板を見る2人

〇看板
・2つの扉のうち、どちらに金のリンゴがあるか当てるゲーム。
当たれば掛け金は倍になる。

・参加は1組1回まで。

・所持金は最低でも5億円を用意しないと入場できない。

・現金以外の持ち物は検査しない。

・1人だけパートナーを連れて入れる。
そのパートナーは賭けの参加者にカウントしないので借金は追わない。

〇スマホで看板を撮影するカケル

ルナ「前回、特殊インクでやられたもんね、、」

カケル「なんのためにリプレイスカジノにしているか思い知ったからね」

ルナ「運営が一般のふりしてはめて
来るなんて、、」

〇中に2人が入ると出迎える支配人

支配人「お待ちしておりました。中へどうぞ」

〇中には大きな金細工の扉と銀細工の扉が並んでいる

支配人「まずは金の扉の中をご覧ください」

〇部屋の中を見渡すカケル

カケル「防犯カメラがあるんですね!」

支配人「さようでございます。何か仕掛けて出られますと困りますので」

〇カケルは胸のポケットからタバコの箱を取り出して振り回す

〇タバコが1本落ちる

カケル「あ、良かった全部吸ったのかと、、」

〇にらむ支配人

カケル「すみません、緊張しちゃって、、タバコ吸いますね?」

支配人「残り香も仕掛けとみなします。タバコはしまってください」

カケル「えええ?気体もだめなの??仕掛けじゃないっすよ!」

〇タバコの箱を壊して広げて支配人に見せる

ルナ【カケル、、タバコ吸わないのに、何かしようとしている】

〇銀の扉の前に立つ3人。支配人が扉を開ける
〇カケルは中をのぞく

カケル「あ、もういいっす!同じ構造なんで」

支配人「そうですか、ではこれからどちらかの部屋に金のリンゴを置きますので部屋の外でお待ちください。

〇部屋の外の通路に出るとカケルは眼鏡をかけて床を見る。
スタッフが紅茶を持ってくる

スタッフ「これから1つの扉に置きますので、見えないようにこちらの控室に来ていただけますか?」

カケル「はい!」

〇2人は控室に案内されてカケルとルナは紅茶を飲む

スタッフ「掛け金ですが、10億円で設定させております。よろしいでしょうか?」

カケル「はい」

〇目を丸くするルナ
ルナ「ちょ、ちょ、ちょっと!待って!10憶なんて持ってないでしょ?」

カケル「うん。ない」

ルナ「負けたらどうなるの?」

カケル「俺は地下の建設現場で働いて、ルナは自宅に帰れる」

ルナ「何考えてるの?危ないでしょ?少しづつできないの?」

カケル「できない」

ルナ「あきれた!」

カケル「これでルナを見れるのも最後かもな、、」

ルナ「ふざけないで!」

〇ルナを顔から足の先までジロジロ見るカケルはぐるっとルナを1周回る

カケル「よし、これで全角度から見た!」

ルナ「もうこの人、良くわかんない、、」

〇紅茶を飲み干すカケル

カケル「昨日NULLから連絡があったんだ。それでここに呼ばれたんだ」

ルナ「誰?ヌルって?」

カケル「NULLワールドと未来愛株式会社の社長」

ルナ「ええ?なんであなたに?」

カケル「涼の知り合いだからかな?そこはまだわからない」

ルナ「怖いよ、、勝ち目はあるの?タバコはアイテムでしょ?」

カケル「正解。アイテムだけど100%では無いアイテム」

ルナ「どんなアイテムなの?」

カケル「今は言えない」

ルナ「なんで?」

カケル「盗聴されているから」

〇複数の企業の重役は2階の指令室で顔を見合わせている
〇NULLはカケルの姿を見つつ微笑む

ルナ「なんでわかるの?」

カケル「NULLという会社のする事は知っているし、NULL側も100%勝てるわけじゃない。だから情報を欲しがっている。

だから盗聴されているはず」

ルナ「今、タバコはアイテムだって言っちゃたよ?」

カケル「あ!しまった!」

〇2階の指令室
重役A「金の部屋のには仕掛けがある。開ければ仕掛けは作動するのでは?」

重役B「しかし、盗聴されているのを予測している状況でタバコがアイテムなんて言うだろうか?
この言葉がハッタリであれば私達は銀の部屋に
誘導される。彼の思うつぼだ、、」

〇タバコの箱をねじってゴミ箱に捨てるカケル

〇しばらくするとスタッフがゴミを回収しに来る
カケル【やっぱりカメラで監視しているか、、】

カケル「そのゴミ、リンゴを置く前にチェックするならゴミは捨てない」

〇びくっとするスタッフ

重役C「ゴミは回収しなくてよい」

〇スタッフはイヤホンで支持を受け引き下がる

重役A「、、、ハッタリじゃないのか?本当に重要なアイテムであればゴミ箱に捨てないだろう」

重役B「タバコはフェイクで通路を見た時のメガネがアイテムだろう。床面の足跡を見れるのかもしれない」

重役A「熱感知アイテムか何かもな?足跡は消すべきだ。そしてアイシングで熱を消しておくんだ」

〇リンゴは仕掛け終わりスタッフが控室に呼びに来る

スタッフ「すでにリンゴはおいてございます。どちらかの扉を選んで頂きます」

カケル「じゃあ、行きます」

〇カケルの後を付けるルナ

カケル「俺より前に出ないでね」

ルナ「分かった」

〇2つの扉の前の通路で眼鏡をかけてみるカケル

カケル【さっきまでの足跡はすべて消されている。足跡は銀の扉に向かっている。という事は銀の扉の中に物はある】

カケル「今のところ銀の扉だけど、まだわからない」

ルナ「私はどうすればいいの?」

カケル「動かないで」

〇再度ルナの体を全方位から見るカケル

カケル「金の部屋にはタバコの箱の中に入れていた数匹の蚊を放っている。もし金の扉が開かれていれば蚊は通路にいる可能性がある。
もしいれば金の部屋にリンゴはある。
俺は奴らを混乱させる言葉を投げ、スタッフはいろいろな作業を
させられている。だから蚊の好む人間の息でこの通路は充満している。
蚊は外に出るはずなんだ」

ルナ「だからわざとらしく眼鏡を?」

カケル「そうだよ。ミスディレクションさ」

ルナ「ただのメガネで?」

カケル「これは色々できるメガネだけどね。熱感知とか、いろいろ。
でもミスディレクションに使ってみた。
相手はプロだからね」

〇アナウンス「あと10分です」

カケル「この空間は狭い10分もあれば探せる」

ルナ「じゃあ、私は銀の扉の辺りを探すね?」

カケル「お願いします」

〇手分けして探す2人

アナウンス「あと3分です」

カケル【おかしい、蚊がいない、、】

ルナ「いないなあ」

アナウンス「あと30秒」

〇カケルはルナのそばに移動する

カケル「いないのか?」

ルナ「う~~ん」

アナウンス「あと10秒、9、8」

〇二の腕をかくルナ

〇その腕をつかみかいた部分を凝視するカケル

カケル「あった!」

ルナ「何が?」

アナウンス「ではどちらかの部屋の扉を開けてください!」

〇カケルは金の扉を開ける
〇金のリンゴが部屋の中央のテーブルに置いてある

NULL「見事だね」(笑み)

〇支配人から10憶のぺブルを受け取るカケル

カケル「確かに!」

〇外に出ると夜が更けている

カケル「何か食う?」

ルナ「きのこ料理!!」

カケル「ふふふ、、いいね!」

〇2人はタクシーに乗り闇に消えてゆく

〇タクシーの中

ルナ「バーベキューの時、きのこじゃなくて蚊を捕まえてたんでしょ?」

カケル「メインは蚊だね」

ルナ「私の事じろじろ見てたのって蚊にさされていないかの確認でしょ?」

カケル「そうだよ。10億円がかかっているからね」

ルナ「10億円の蚊にさされた、、」

カケル「蚊がMVPだ」

〇2人で笑う

〇翌朝カケルは着替え終わってPCの前に座る

カケル「で、次は?あと何回勝てば涼は返してもらえるんだ?」

〇NULLがPCに現れる
NULL[あと3回勝てば返すよ」

カケル「わかった。次はどこに行けばいい?」

NULL「好きなリプレイスカジノで1勝して欲しい」

カケル「分かった」

〇駅の改札口でカケルを探すルナ

〇ルナの元に行くカケル

ルナ「今日は学校行くの?」

カケル「今日もカジノだよ、涼がかわいそうだ」

ルナ「そうだよね、、じゃあタクシーだね」

〇タクシーの中

ルナ「NULLってプログラミング用語のヌル?」

カケル「多分そうだよ。存在はないが制御してくる文字なので、ぴったりな名前だ」

ルナ「実際操られているもんね」

カケル「でも、あと3回勝てば涼は帰ってくる。しかも今日は好きなカジノ部屋を選べる」

ルナ「なんとなく相手はお金とか、あなたの勝ち負けとか、そんなに気にしてなくない?」

カケル「それはある。これはゲームじゃないかな?俺を賭けた」

ルナ「なんか、やだな、、」

カケル「仕方ないよ。あらがえない。お金だって手元に残るか分からない」

ルナ「毎回オールBETだもんね、、」

カケル「いつから制御されてんだかね、、」

〇カジノの長い通路に帰って来る2人

〇しばらく歩いてカジノを見て回る

〇カケルは以前話しかけた情報屋に声をかける

カケル「こんにちは」

情報屋「こんにちは、あんたはこの前の」

カケル「覚えてるんだ。今日は1枚買いたいんだ」

情報屋「まいど。あんたギャンブラーXだろ?」

カケル「もう気付かれたか、、」

情報屋「上の世界じゃ有名人だ」

カケル「すごい情報網だ!」
【国営カジノで勝ちまくった時に俺には声がかかった。
その時からNULLに狙われていたのかもしれない】

〇情報屋からもらった紙には情報屋のいる位置が記されている

カケル「位置に星印があるけど、多いほど有用な情報が得られるの?」

情報屋「そうだよ、
どんな種類の情報が欲しいんだ?」

カケル「勝ちやすいカジノを知っている情報屋が知りたい」


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