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加須東中学校卒業式祝辞(令和2年度)

Photo by Vasily Koloda on Unsplash

祝 辞

令和2年度卒業生の●●人の皆さん、ご卒業おめでとうございます。卒業式で皆さんに直接お話できないのが残念です。

不安と期待を胸に、まだ幼さ残る顔で初めて中学校の門をくぐったあの日から早くて3年がたちました。

学校での授業や行事を通じて、●●人各々が描いてきた物語の中で大事な友人との出会いやかけがいのない思い出を育くんできたことと思います。そして今次の新たなドラマを描くべく、人生の次のステージへ向かおうとしています。

今まさに輝かしい人生の岐路に立っている卒業生の皆さんへのはなむけとして、保護者代表として、人生の先輩として、ふとした時に心の片隅で思い出してほしい言葉を送りたいと思います。

皆さんが入学された2018年、尊敬するスティーブンホーキング博士が亡くなった年でした。車椅子の天才科学者として有名なホーキング博士は数々の名言を残しておりますが、その中でも特に印象深い2つの言葉を紹介します。

「欠点がなければ、あなたも、私も、存在しないだろう」

「人生がどんなに困難だとしても、必ず自分が成功できるものがあるはず」

欠点があってこその個性、それを悲観するのではなく、まずは受け入れてそれを克服する、または自分の味に変えていくことで人生がより豊かになります。それは2番目の言葉にも通じ、自分を信じることが何よりも大事ということを教えてくれています。

そして今、卒業の年、2020年度はまさに世界的な猛威を振るうコロナで終始した1年でした。ただひたすら耐え忍ばないといけない年だったと思います。加須東中学校の歴史を見ても、恐らく誰も経験したことがない、唯一無二の経験だったでしょう。

皆さんは、これを何もできなかったと悲観しますか? 貴重な経験ができたと前向きにとらえますか?

無限の可能性を秘めている皆さんには、後者の意識でどんな苦境でも諦めるのではなく、状況をポジティブに変える思考でこれからも突き進んで行ってほしいと思います。

さて、私は過去東アフリカのケニアという国に住んでいたことがあります。そこの人々は雄大なアフリカの大自然の中で昔から人間の無力さを知り、それを受け入れ共存して生活しています。今まさにコロナ禍を乗り切る為の教訓が詰まっています。

ライオンキングの「ハクナマタタ」で有名なスワヒリ語がケニアの言葉ですが、その中に「ポレポレ」という私が特に好きな言葉があります。直訳では、「ゆっくりゆっくり」という意味ですが、ニュアンスとしては、なるようにしかならない、焦るな、急がば回れという意味でも使われます。今この時期を、何もできないと悲観するのではなく、自分を高めるいい機会と見て、焦らず、時には回り道をしてでも一歩一歩着実に自分の夢を見据えることが大事ということを、この「ポレポレ」という言葉に学ぶことができます。

結びに、旅立つ道はそれぞれですが、学校生活で得た仲間、思い出は一生変わることがありません。これから行き詰ったり、悩んだりしたら遠慮なく仲間を頼ってください、頼られてください。それが何よりの宝物だと思います。

皆さんの輝かしい未来を願って、今日は本当におめでとう!

令和3年3月15日

加須東中学校PTA会長

伊藤 栄

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