採用マーケティングと求職者行動モデル
マーケティングの手法を採用活動に取り入れる「採用マーケティング」に力を入れる企業が増えています。
採用活動は従来、企業側が応募者を選別するというスタンスで行われてきました。
一方、マーケティングとは消費者の視点に立った「売れる仕組みづくり」を指す言葉です。
したがって採用マーケティングの導入は企業が求職者のニーズに応える姿勢へと変化すること、と考える必要があります。
消費者購買行動モデル
消費者が商品やサービスの購入に至るまでのプロセスを類型化したパターンが「消費者購買行動モデル」です。
各ファネルの頭文字を並べた「AIDMA」やインターネット・SNSの普及により検索や共有の概念を取り入れた「AISAS」などご存じの方も少なくないでしょう。
AIDMA
Attention(認知)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(想起)→Action(行動)
AISAS
Attention(認知)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)
消費者購買モデルは他にもさまざまなパターンがあり、企業は各ファネルごとに最適なマーケティング手法を検討し実施しています。
採用マーケティングの「AIMSE」モデル
では、採用マーケティングでは消費者の行動モデルをどのように定義すればよいのでしょうか。
求職者は求人メディアやスカウトメールを通じて企業を「認知」し「関心」を持ちます。
そして検索して得た情報や企業サイトへの訪問により「理解」を深めます。
さらにMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やカルチャーへの「共感」を経て「応募(エントリー)」に至るのです。
認知(Attention)→関心(Interest)→理解(Memory)→共感(Sympathy)→応募(Entry)
※「AIMSE」は当社が提唱している採用マーケティングにおける求職者行動モデルです。
各ファネルに適した採用ツール
採用マーケティングでは、認知から関心、理解、共感そして応募と流れていく各ファネルに合わせて適切な採用ツールを活用することが重要です。
主な採用ツールが主にどのファネルに対し効果的であるかを示します。
これらは各ツールが最も効果的に活用できるファネルを表しており、それ以外のファネルに効果がないということではありません。
例えば最終面接を確約するなど特別な扱いであることを印象づけるスカウトメールが最後のひと押しとなってエントリーにつながるケースがあります。
また個性的な採用広報活動によって企業を認知するという求職者もいるでしょう。
注目の「共感」ファネル
消費者購買行動モデルがAIDMAからAISASへと進化する中で、ソーシャルメディアの影響力拡大を背景に生まれた「SIPS」というパターンも生まれています。
Sympathize(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Spread(拡散)
消費者の購買行動の起点を認知ではなくソーシャルメディアからの「共感」としている点が特徴です。
採用マーケティングの分野でも「共感採用」という言葉が広まっている通り、「共感」をもたらす施策の重要性に注目が集まっています。
採用広報はもちろん、共感を促す「採用ピッチ資料」や「採用動画」を活用する企業が増えているのはその表れと言ってよいでしょう。
多くの企業がカジュアル面談を導入しているのは、同世代の社員による共感を生み出す動機づけが効果的であるからに他なりません。
これからの採用マーケティングは「AIMSE」を軸にSympathy(共感)を生み出す施策が重要であると言えます。
※当社サイトに掲載した記事をWantedlyに転載しています。
https://webpub.jp/2021/12/09/aimsemarketing/