FTA Pro - From the alley
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初めまして、From the Alleyの槙野です。毎週、1,600名以上の読者にアメリカの最先端スタートアップ情報についてのニュースレターを発信しています。
先月より、未開拓のビジネス機会をお届けするニュースレターのソフトローンチを開始しており、Wantedlyのコミュニティにプレビューを共有させていただきます。
私はアメリカで育ち、大学卒業後は日系企業の海外でのM&Aやスタートアップへの出資などにおけるサポートに長年携わってまいりました。アメリカと日本のクロスボーダー活動を支援しているうちに、
日本で今流行しているスタートアップのほとんどは、日本で流行る前に既に海外でヒットしたサービスやビジネスモデルばかり
という事実に気づき、それをきっかけにFrom the Alleyを始めました。
From the Alleyでは「今」アメリカで流行しているサービスや課題を紹介しています。読者の方から、アメリカの成功事例を取り入れて日本で「タイムマシン経営を実現したい」という声をいただくようになり、この事をきっかけに、日本で未開拓のビジネス機会を紹介し、ビジネス検討に必要な初期ステップを提案する新たなリサーチサービスをソフトローンチしました。
アメリカの最先端の情報データベースへのアクセスは高額であり、又ほとんどの場合が英語で記載されているため、日本在住の個人がこれらの情報を取得することは大変困難です。この問題を解決できるよう、少しでも多くの起業志望者の方に容易にアクセスできる情報源を提供することを構築することを目指しています。
アメリカの新規スタートアップの成功事例を参考に、ビジネスアイデアを3つ紹介します。
ご紹介するスタートアップを選出する際には、下記を重視しています。
上記の項目を満たしたスタートアップを分析後、日本でも成功する可能性がありそうなアイデアを選び、そのスタートアップのビジネスモデル、スタートアップが解決しようとしている「課題」、及び競合環境を分解しています。その後、日本市場でも勝てるアイデアを紹介し、「ビジネス検討へのステップ」の提案をしています。
*こちらはプレビューとなります。毎週、以下のようなビジネスアイデアを発信するニュースレターにご登録頂きたい方はこちらからご登録ください。
ウェブサイト:https://www.fetchpackage.com/
資金調達状況:$32M、シリーズB
設立年: 2016
想定利益:$20M
想定ユーザー:120,000戸
Fetchは集合住宅居住者に対して玄関前配送サービスを提供し、アプリを通してオンデマンドサービスにて荷物を手配することができる。
Fetchが居住者に代わり荷物を受け取り、自社倉庫にて一時保管する。
その荷物は居住者の都合に合わせて直送される。Fetchはこのサービスを受取荷物の管理責任がある施設管理人に売り込む。
居住者にとってこのサービスに対するコストは掛からない。2018年現在、Fetchは施設管理人に対しパッケージ当たり10ドル未満の費用にて月毎にサービス提供をしている。
補足:Fetchが個々の居住者では無く施設管理人に対して本サービスを売り込むという点が非常に重要である。居住者は荷物の輸送費にお金を払いたがらないというのが理由で過去にD2C(顧客直接取引)サービスを提供した会社は失敗している。
エンドユーザーへの配送(ラストマイル配送)に関する市場は米国(2020年見込は399億ドル)及び日本(2020年見込は2兆円)ともに成長しており、それは主にE-Commerceの発展によるものである。
E-commerceが普及し消費者がオンラインでより買い物するにつれ、より荷物の配送が行われるようになるだろう。アメリカでは、通常施設管理人が居住者の代わりに荷物を受け取り、保管することとなっている。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、施設管理人は荷物配送の対応をするたびに10分の工数をかけており、それは3.3億ドルの収入損失となっている可能性がある。もし日本の施設管理人も同じような構造で機会コストがあるのならば、玄関前配送サービスの日本での潜在的なマーケット規模は大きなものになり得る。
【居住者】
【施設管理人】
日本にある既存のソリューションでは、荷物直送サービスとスケジュール指定サービスを同時に提供しているものはまだなく、居住者の中に不便さと安全面に対する不安は残っているであろう。加えて、荷物ロッカーやコンビニエンスストア、OKIPPAのようなトートバッグでは扱えるアイテムが限られており、食料品や大型荷物には適していない。
オンラインで取り扱われるアイテムが増えるにつれて、安全面と便利性を追求した配送サービスのニーズは大きくなるであろう。そうした際にはFetchに似たようなビジネスモデルがそのニーズにマッチするのではないであろうか。
B2Bソリューションとして、施設管理人のための荷物管理サービスと居住者にアプリを介する荷物直送のスケジュール管理サービスを提供できるのは両者にとって明らかにWin-Winのソリューションである。
このアイデアを更に発展させる前に、以下の調査が必要である。
ウェブサイト:https://www.backmarket.com/
資金調達状況:$176M、ステージ不明
設立年:2014
想定利益:$58M
想定ユーザー:不明
Back Marketは整備されたスマートフォンや電子機器が売買されるオンラインマーケットプレイスである。このスタートアップ企業はサステナビリティーテーマのブランド戦略で高品質な製品を提供する。
補足:このスタートアップ企業はフランスを拠点とする企業であるが、ローンチ後広くアメリカ市場で成長してきた。
Back Marketのパートナーは電子機器整備のトップ企業であり、その製品の最高品質を保証する。それぞれの整備業者は顧客の満足度に基づき評価される。それに加えて、全ての製品は最低一年間の保証が付与されており、顧客の信頼に繋がっている。
このスタートアップ企業は5段階指標で製品の状態を評価している。また、e-wasteスコアと呼ばれる電子機器廃棄量を明記しており、買い主が中古電子機器を購入することでどれくらい廃棄を削減できるかを示している。
Back Marketは機械学習によるアルゴリズムを使用し買手と売手のマッチングのために売上の10%を割いている。
中古電子機器市場は世界中で顕著であり、例えば中古スマートフォンの世界市場は、2023年には3億3290万台に及ぶ市場規模になると予想されており、金額に換算すると67億ドルの規模である(2018年から2023年の年平均成長率は13.6%)。
同様に日本でも中古スマートフォン市場は成長が予想されているが、スローペースである。しかし、世界の循環経済を速く取り入れるようなことがあれば、日本での中古スマートフォンの需要はより速いペースで加速するだろう。
【顧客】
【デバイス整備業者】
Back Marketが提供している主な価値は、売手の透明性と品質である。売手は注意深く審査され、売られる商品にて評価される。このような厳格な審査システムやこのレベルの売手の透明性を提供しているサイトは現状日本にはない。
加えて、日本にある既存サイトは時代遅れのブランド戦略と使いやすさに苦しんでいる。Back Marketは滑らかなユーザーエクスペリエンスを持ちつつ廃棄物削減に関心のある若者の心を掴む電子機器廃棄の要素を加えている。
日本には、新規の中古電子機器が売買される場がサステナビリティーテーマのブランド戦略と高品質な製品を提供することで若い次世代の買手の心を掴み成功する可能性がある。
以下の強みを持つ中古電子機器が売買されるオンラインマーケットプレイス
売手のニーズは明らかである。この場合、買手側の課題を検証することが最優先事項である。
ウェブサイト:https://www.podcastle.ai/
資金調達状況:$1.8M、シード
設立年:2020
想定利益:N/A
想定ユーザー:7万人強
Podcastleとは、AIによるクローム拡張ツールであり、文書(例:ニュース、記事、ブログ記事等)をユーザーが聞けるようにポッドキャストへ落とし込むツールである。このツールは誰でも使用可能であるが、メインターゲットは18歳〜24歳程度の若者であり、ロボットが話しているような感覚にさせずして、彼らが外出先でニュースを消費する手助けをする。
このソフトウェアのユニークな特徴はライターの書き癖を維持したままその文書を声にする能力である。加えて、Podcastleのユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェースが競合サービスとの差別化を果たしている。
このツールは2020年8月のProductHuntにて第一位に輝き、ローンチされてからこれまでに7万人強のユーザーを獲得してきた。
補足:Podcastleはアルメニアに拠点があるスタートアップ企業であるが、プロダクトはアメリカでローンチされ、投資家も全員がアメリカ拠点である。
Podcastleは現在フリーツールとして提供されており、将来的なマネタイズプランも決定していない。しかし、競合サービスと同様に、プレミアムサブスクリプションプランを設けてマネタイズする予定である。現在、開発チームはモバイル版のプロダクトを開発中であり、保存機能やキューイング機能のような機能を追加する予定である。
エジソンリサーチによると、12歳以上のアメリカ人の約1/3である1億400万人がポッドキャストを定期的に消費しており、2019年から急激に増加した。日本においてもポッドキャストは一定数存在し、ロイター通信の調査によると、調査回答者の内の23%(2000人中)が過去一ヶ月内にポッドキャスト利用したことがあると回答した。
アメリカや日本で近年増加傾向にあるクラブハウスのような音声SNSも音声フォーマットが世界中で人気を得つつあることのサインである。文書から音声へ変換できるソフトウェアがこのトレンドより利益を得ることについて疑いの余地は無い。
【ユーザー】
補足:テキストをスピーチへ変換するサービスはアメリカ市場内で非常に多く、上記以外にもたくさんの競合サービスがある。しかし、それらの大半は個人ではなく出版者をターゲットとしている。例えば、 Blogcastや SpeechKit 、Play.htはライターがコンテンツのオーディオ版を作成しマネタイズするためのツールである。
補足:日本にてサービス展開しているVoice Dream Readarのような海外サービスもいくつかあり、それらも競合サービスと見なされる。
世界にはテキストをスピーチへ変換するソフトウェアを提供している競合サービスが一定数ある。しかし、Podcastleは品質(肉声のような音声、滑らかなユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェース)とポジショニング(ポッドキャストのようなオーディオ)を駆使し、目覚ましい成長を遂げた。この事実は、ポッドキャストに代わる高品質なテキストをスピーチへ変換するツールの世界的な需要が存在することを意味している。
テキストをスピーチへ変換するソフトウェアを提供している競合サービスはあるが、アメリカにはこのような機能的で使いやすいサービスは他に無い。このことは、この市場へ新規参入し世界的な需要を享受するにあたって大きなギャップがあることを示唆している。
以下の強みを持つ個人ユーザー向けのテキストをスピーチへ変換するソフトウェア。
最初のターゲット市場としては、ポッドキャストを利用する若者に限定する。興味のある記事を全て読んでいる余裕が日本人にあるかどうかを確認する必要はなく、この問題は世界共通である。代わりに、この問題を解決するためにオーディオに基づいた解決策を求めているかどうかを確認することにフォーカスすべきである。
MVP(実用最小限のプロダクト)は以下のようになる。
上記のようなビジネスアイデアを毎週3つ(月12個)ニュースレターにて発信しています。ご興味のある方は以下のリンクからご登録ください。