昨今に疑問に感じる、IT関係の人材募集とその募集企業のこと
今や世界中で、IT関係の人材不足です。
私は今まで多くの人材募集を見聞した中で、明らかに疑問に感じる人材募集の内容が多いと感じています。
私がどのような疑問を個人的に感じているのか、報酬の観点、技術や技能の観点の2つから、以下に挙げます。
「多くの人材募集は、報酬の問題が解決できれば、応募殺到するものが多い」と、私は考えています。
報酬の観点
人材不足で超売り手市場なのに、報酬額は超買い手市場
労働市場が超売り手市場なら、報酬は高くなるのが当然です。
今のIT関係は専門職で人材不足なのに、報酬だけは超買い手市場の原理になっています。
これは病理と言うべき事象であり、市場原理が狂っています。
人材不足と人材過多と、今はどちらが正しい市場原理なのでしょうか。
IT関係は専門職で、日進月歩で技術や考えが追加し、変容します。
それについていくだけの時間と労力を日々費やしてるのに、報酬が似合わないのではバカバカしいとしか言いようがありません。
今の大多数の求人する側(企業)にとって、優秀な人材の意味とは、「激安の報酬で働いてくれる、高技能を持った人間」なのでしょうか?
日本と海外との年収額は3倍
日本と外国では物価の数値は違えど、IT関係の労働者で年収の差が3倍です。
この事実を知っている、今の企業での採用担当者や企業経営者が、どのくらいいるのでしょうか。
実態をわかっていない人間が多いと思われます。
海外との年収の差がある状況を理解している人間は、個人的に報酬額を高くしないと、追いつけません。
現に私は、報酬額を高く設定しています。
何も状況をわかってない募集する側からすると、報酬を高く設定する人間に対し、「なぜ報酬額を高く設定しているのか?」と疑問を持つものです。
現状は、募集する側に状況を説明しても、募集する側が理解に達することすら怪しいのではないでしょうか。
募集する側が情報を知らないから、「ただ報酬額の高いだけの人間」と煙たがり、不採用とする場合もあるでしょう。私は今までに経験済みです。
海外と絶対的な年収の差がある状況で、私のように日本生まれの日本国籍の人間には、とてもやっていられません。
そもそも何十年と、絶対的に全体の報酬額が低すぎる
「何十年と日本でのIT関係の全体の報酬は、海外と比べて絶対的に低すぎる。
この事実にいい加減に気がつけよ!」
これが私の偽りのない考えです。
最近では「月額報酬40万円の高報酬!」と標榜するSESの案件は、ざらにあります。
これを見た私は嫌悪しか感じません。
「この人材募集してるSES企業はアホちゃう?」「どれだけ搾取して、中間マージンを差っ引くのだ?」と、私はいつも思います。
正社員の採用では、2024年にサイバー攻撃を受けたKADOKAWAや江崎グリコが、IT人材の報酬の低さに批判が殺到して話題になりました。
深刻な攻撃を受けた後の後始末を担当するのに、こんな低報酬で誰が応募するのでしょうか。
日本の企業経営者にて、専門職に対する無知の酷さ、人事評価の酷さ、人材に対する搾取の酷さは、目に余ります。
優秀な人材に来てほしいなら、相応の待遇と報酬を用意するもの
日本企業の経営者は、この考えができていない人間が多いようにしか、私には思えません。
IT人材については、世界中で激烈な人材獲得競争が繰り広げられています。
日本企業が世界規模の人材獲得競争に負けるのは自明でしょう。
2024年9月に、Googleが人工知能の天才博士を再雇用するために、27億ドルを投じたことが話題になりました。
私はこの出来事を知った時、「あのGoogle(Alphabet)が、自社の現預金の10%を使うとは、よほど重大な経営判断だ」と受け取りました。
「GAFAMやMATANAだからできることであって、うちはできない」
「金を持っているところしかできない」
と考える企業経営者は少なからずいるでしょうが、果たしてここで終了して、思考停止してよいのでしょうか?
実際、経営者が決断し動かなかったら、優秀な人材はやって来ません。
仕事ができる経営者、結果を出す経営者は、やることはきっちりやっているし、判断と行動は早いです。
優秀な人材に来てほしいなら、経営者があらゆる手段を講じるものではないでしょうか。
技能や経験の観点
何を経験した人材を求めているのかわからない
即戦力を求める企業さんが多いことは、私は理解をしています。
私が疑問に感じているのは、求人の内容に「業務経験◯年」の表現はあっても、具体的に何を経験したかが明記のない場合が多いことです。
一例として、決済関係の経験なら「Stripeの決済機能を開発した経験」です。
企業の人材募集では、特定の事柄について、弱点の補完や強みの強化をしたいから行うわけで、誰でも良い場合はないはずです。
具体的な経験内容がなければ、応募者とのボタンの掛け違いが起きるのは自明です。
超人が大好きで仕方ないが、報酬額が伴っていない
IT関係は日進月歩で変化が激しく、仕事で求められることは増えるばかりです。
実案件では、複数の技能、経験、知識、技能、能力が必要です。
あれもこれもできる人材が欲しいから、要求事項の条件が多い募集を私は最近は見かけます。
「こんな超人みたいな人間、どこにいるんだよ!?」と、私は今まで何度思ったことでしょうか。
募集する側が、超人が大好きで仕方ないなら、どうぞ求めてください。
報酬額が伴ってない募集が大多数なのが、現実です。
これでは人が来るわけがなく、いつまでも募集を続けることになります。
「要求事項が多くなるなら、比例して金額も増える。」
これはビジネスや取引での常識であり、人材採用も同じです。
開発フレームワークを複数挙げる、募集者の戦略性の無さ
ITの開発案件では、開発業務を効率化するため、開発フレームワークを使います。
昨今の求人の募集事項で、私がよくわからないと思う表現を見ます。
その表現の一例として、「React、Vue.js、Angularのいずれかを使用したことが1年以上ある」です。
私は、「この募集者には戦略がなく、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるやり方だな」と評価します。
仮にReactの開発者を求めるなら、「Reactの実務経験が1年以上」と書けばよいのです。
下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方法の裏側には、応募者が持つ他の開発フレームワークでの経験を活かし、募集する側が意図する開発フレームワークに従事させる意図があるのかもしれません。
もしそうだとしても、意図する開発フレームワークについて、応募者は素人(初心者)です。
募集する側が応募者を採用した後で、独習による会得を求めるなら、「採用後に独習をしてもらう」と書くべきしょう。
寧ろ、実務経験がないが、個人的に学習と実践をやっている人材は相応にいます。
このような人材を採用し、短時間でも案件に参画してもらう方法が、コストが安上がりになる場合もあります。
人材教育をしないか、人材教育ができない
募集者にとって、欲しい人材の条件と完全合致する確率は、極めて低いものです。
条件で足りないところがあっても採用していかないと、いつまでも人材募集を続けることになります。
私が多くの人材募集を見聞した中で、「応募者の採用後に、募集する側が追加教育をして、応募者の不足しているところを補完しないと駄目だろ?」と、私は今まで何度も思いました。
「会社組織として、人材教育ができる募集する側(企業)が、どのくらいあるのか?」は、私は甚だ疑問です。
実際は、以下のいずれかに合致するのではないでしょうか。
- 組織として、人材教育できる体制を持っているところが少ない
- 組織として人材教育ができないから、個人の学習と実践に依存するばかり
- 個人任せにするとしても、組織としてまともな支援をしていない
会社組織として人材教育ができるかどうかは、その会社の実力や本気度、経営者の経営能力も問われます。
組織として人材教育ができないようでは、社員からも社会からも早晩見放される原因になります。
以上が私が疑問に感じることです。
最初から釣り合っていないか壊れている天秤
私はフリーランスでビジネスパーソンです。
私は普段の案件の商談で、顧客と料金交渉をします。
当然ですが、私は案件の内容と料金を天秤にかけて吟味します。
人材採用も同じ話です。募集する側が示す条件と報酬額について、私は天秤にかけます。
私が考える天秤の内容は以下です。
片方は報酬です。
片方は、求められる責任、技能、知識、能力、経験です。
現在の大多数の人材募集では、この天秤が最初から釣り合ってないものばかりです。
中には壊れている天秤もあります。
交渉の最初からこのような天秤を見せられては、私も他の人物も「話にならない」と不満を持つのは自明です。
人材募集する側がこの事実に気が付かないようでは、意図する人材は来るわけがないでしょう。
最後に
私の今回の投稿に賛否両論が発生するでしょう。
貴社(あなた)の意見や反論があれば、お気軽に私にご連絡ください。
あるいは、今回の私の投稿に「明確な意見を持っている」と評価いただける企業様、「内部で抱えるIT関係のプロジェクトにぜひ参画して欲しい」とお考えの企業様がいらっしゃるなら、私は幸甚です。
お気軽に私にご連絡ください。