短時間のインタビューで実力を測る質問について
私は仕事柄、自分の会社の採用面接、自分のビジネスのエグゼクティブサーチにおけるスカウトインタビュー、クライアントとキャンディデイトの面接の同席など、色んなシチュエーションで「面接・インタビュー」と向き合っているのですが、そこでは色んな質問が飛び交います。
面接・インタビューの目的は色々なのですが、採用側、エージェント側における最大の目的の一つがキャンディデイトの実力の把握です。実力の定義も様々だし、顧客要望によってその評価も当然変わりますが、短時間で他人様の実力を把握するのはとても難しいです。
ただ、実力を把握するに適した質問というのもいくつかあり、今回はその内2つ紹介したいと思います。
まず1つ目は「これまでのキャリアの中で、成功したことでも、失敗したことでも、どちらでも良いのですが、その時の商売のモデル、会社や事業のステージ、自分の立場、その時に直面した課題、自分の行動と結果、振り返った評価を教えてください。」という質問です。
これは人事界隈ではケースなどと表現する質問カテゴリーです。ある状況下における課題解決、リソース限定された中で、どのような思考回路で仕事に取り組むのか?という質問です。類似業種、類似職種の場合は、入社後のパフォーマンスにダイレクトに影響するために、インタビュー時に確認すべきものだと考えています。
最も完璧な答えを求めているのではなく、思考回路を見ており、なかなか厳しい事案であっても、「へー!そういうアイデアあったか!」と打ち返す猛者もいて、私も3回に1回くらいは驚きがあり、耳学問が進みます。
もう1つは「現在この会社で、あなたの応募したポジション、業務にはこのような課題があります。それをどの様にどのくらいの時間やコストをかけて解決していきますか? またその時に特に注意することや懸念点を教えてください。」という質問です。
これはまさに現在の自社の課題をそのままぶつけて、解決能力があるかないか、またその時の思考アプローチがその会社やマネジメントが求めるものか?を確認する意味合いが強いです。
キャンディデイトは当然その会社の社員ではないので、限られた情報の中で、何らかの解決策を見出す必要があります。
ただし、ここで確認すべきは「回答ではなく質問」です。
元々その課題はその会社で解決できていないことであり、パッと聞いた人が解決策見いだせるほど簡単なものではありません。そのため回答は何でもいいというと大げさですが、正解はないし、求めてはいけません。
限られた情報の中で判断するのではなく、
・自分なりに重要と考えているポイントをしっかり確認する姿勢がそもそもあるかどうか?
(質問せずにいきなり回答を始めるタイプは、考えるより身体動くか、猪突猛進系が多い)
・そのポイントの掴み方は的確なのか?
(質問のピントがずれている場合は、仮に採用した場合も同じシチュエーションでずれることが多い)
・質問後にどんなアイデアを生み出すのか?
(ここまで行くと、大いに価値のあるディスカッションに発展する)
これらは入社後のパフォーマンスや日々の振る舞いに直接的に影響、関係します。
この質問では、論理性、繰り出されるスピード、内容のエッヂで、実力を測ることが可能です。
ちなみに私がこれまで同席した面接の中で記憶に鮮明に残っているのは、ハードウェアのメーカーの開発部長のポジションです。役員が新作の機械図面持ってきて、「ここがこう問題があってこうしたいんだが、どうする?」みたいな質問に対して、すらすらと図面(ポンチ絵)が描かれて、30分くらい白熱した議論が盛り上がりました。
当然三顧の礼をもって迎え入れるわけですが、入社数か月後にそのアイデアを搭載したプロダクトが製品化されちゃったことでしょうか。あれは凄かった。