GAFA(AppleJapan)を捨てるまで
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※1社目から2社目に転職した後からその後の展望に関するストーリーの記事になります。
はじめての転職はキャリアップを意識
2社目からは克服したコミュニケーションを含めてより専門的で技術的で知識や知見を活かせる職場を求めて転職活動を開始。
運良く自分も大ファンだったAppleがAppleCareというサポート事業を拡大していたこともあり即応募。
接客経験やPC関連の知識を買われて入社が決まりました。
広く浅く総合的に提案する(ヨドバシカメラでの販売)→→→→→→狭く深く決定的な解決へ導く(Appleでのテクニカルサポート)
コミュニケーションを生かしつつもスコープも大きく変わり職人っぽさに憧れつつワクワクして転職したのを覚えています。
テクニカルサポートという仕事
Appleサポートという事業は完全にリモートでの対応となります。
これまで多くのお客様と顔を合わせ身振り手振りを含めた総合格闘技のようなコミュニケーションが可能だったのですが、オンラインおよび通話のみの対応となることで「声」のみでの対応となる点にやりがいを感じました。
- 表情がわからない
- 心情が読みづらい
- トラブルの状態が直接確認できない
自分に知見があってもお客様の経緯や状況をしっかりとヒアリングしなければ「何が問題」で「何が原因」で「何を解決」してほしいのか、「解決後はどうしたい」のかがわからないという新しい課題にすぐにぶち当たることになりました。
また、中途入社でありながら内定から退職まですべてがリモートであったため隣に優しい先輩はいません。
- わからないことは調べる(自走力)
- わからなければ質問フォーマットに詳細をまとめて報告(質問力)
- 愚痴る相手がいない(ストレス耐性)
など慣れるまではバランスを取ることに苦労したのも良い思い出です。
苦労したところ
①「共感」する
多くのお客様とお話をしているとある傾向性に気がつきました。問題そのものを解決したいのは当然なのですがまずはお困りの状況に「共感」を示してほしいと思っていることがわかりました。
- 顔も素性もわからない相手に身を任せて問題を解決してもらえるか不安
- 技術的に難しくきちんと説明できるか不安
- サポート後に自分一人で使い続けられるか不安
と言ったように対面でないからこそ多くの不安を抱えたお客様が藁にもすがる思いで電話してくださいます。お客様の持つバックグラウンドを想像し、立場を理解した上でなければテクニカルな話を聞き出すことはとても難しいものだと痛感しました。
②「検索力」が肝要
エンジニアに限らずテクニカルサポートにも多くの検索力が求められました。
マニュアル通りにApple製品を利用されているなんてことはごくわずかで、お客様には一人一人のライフスタイルが存在し利用環境も状況も千差万別です。社内に蓄積したリソースからも十分に解決できますがほとんどが応用して解決に導く必要があるのです。
早急に解決に導くための方法を社内プロシージャから的確に検索できる力が非常に重要な要素でした。
またメーカーとして公式な見解を述べる必要がありグーグル先生に頼るようなことはほぼ禁止されており、いかに正確で法律上も問題のない1次情報に辿り着けるかが求められました。
③「未解決でも満足して頂く対応」
時には解決が困難な問題もありました。OSアップデート後のトラブルや、他社のアプリがAppleの製品上で正しく動かない場合などがそれに当たります。
直接、コードを書いたり開発することは立場的にも技術的にも不可能だったため「社内のエンジニアにお客様の状況を事細かく報告した上でApple全体の傾向性を調査することに努める」と言った見解をお伝えすることが誠心誠意の対応となりました。この点に関しては非常に心苦しいことが多かったです。
それでもお客様からの満足度を落とすわけにはいかず「一時的でも対処法を提供する」「スペシャリストから個別に経過状況を報告する」「代替案を一緒に考える」などできることはすべて行う必要がありクリエイティブな対応が求められました。
Appleで得られたもの
新製品や新OSがリリースされる度に状況は一変するためお客様からの問合せは減ることはなく、むしろありがたいことにAppleユーザーは着々と増加していった(特に日本)ため最後までテクニカルサポートとは全力で向き合い続けることができました。中でも、Appleでの経験で際立って得られたものは下記の通りです。
- お客様のカスタマージャーニー(ユーザー体験)を想像する力
- 限られた時間で限られたリソースから解決方法を道きび出す力
- KPIを自分で組み立て淡々とこなしていく力
テクニカルサポートではできない「つくる」というバリューを
上記、苦労したところ③で述べましたがテクニカルサポートはスペシャリストになっても万能ではありません。「未解決」案件もそれなりに存在します。私にできる最大限のことはさせていただきますしそれが責務なのですがその最大値はAppleのブランドの範疇を超えることはできません。また、私はできるだけ自分から「責任」を背負ってやり遂げたいと思っています。もちろんできることとできないことは何をしても存在しますが、この「未解決」は本当に自分では解決できないのだろうかという疑問と自分が開発スキルを身に付け、その上で自分で提供するサービスであればサポート以前に「つくる」というバリューを提供することもできるのではないか。「つくる」「サポートする」「満足いただく」までの一連のサイクルを達成できてこそ責任と言えるのでは無いかと考えるようになりました。
そのため、サービスを開発するためにエンジニアを目指すのは至極当然のことでした。
「自分の手でサービスを開発し、利用していただき、フィードバックを受ける」
私のやりたいことはこれに尽きます。私がサポートするサービスは私自身の手で生み出されたもので、それに対して評価をいただき改善していきたいのです。本懐が見つかりました。
テクニカルサポートはApple製品の継続的、熱狂的なファンになっていただくための橋渡し的な存在です。大ファンだったAppleの一員として代表してテクニカル情報を提供でき満足頂けた経験は一生の財産です。この経験が未来に私自身の血となり肉となり糧となっていくことは間違い無いでしょう。
大好きなAppleJapanを捨ててでも得たいもののために日々精進していく土台がここに爆誕!
長文をご閲覧いただきありがとうございました!