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学校でのキャリア教育の重要性(畑祐一郎)

先ごろ、内閣府が発表したデータによれば、学ぶこともなく、働きもせず、求職活動すらしないニートと呼ばれる若者の総数が85万人に達していたことが分かった。

ニートだけでなく、若者の五人に一人がフリーターといわれている。


こうした状況で、若者の就労は個人的問題にとどまらず、社会全体の課題という認識が必要となってきている。

若者の就労は、わが国の経済社会の活力や国際競争力に大きな影響を与える問題になるという認識だ。


そこで注目されるのはキャリア教育の重要性だ。

文部科学省が策定した「キャリア教育総合計画」ではフリーターへの対策は打ち出されたが、ニートについては明確な対策が示されていない。

さらに、キャリア教育を充実するためには文科省を中心として、関係省庁や自治体との連携を模索している。

しかし、官の側だけでなく、企業やNPO(民間非営利団体)といった民間の動きも不可欠であり、家庭や地域社会も巻き込んだ活動も求められている。


キャリア教育の概念は英米で誕生し、教育改革の一環として推進されてきた経緯がある。

その基本は、(1)勤労観・職業観の涵(かん)養(2)職業についての知識(3)自己の個性の理解-である。このうち最も重要なのは(3)であると思う。

明確な目的意識に基づく就職を推進するためには自己分析から始めなければならないからだ。

フリーターやニートと称される若者の大半は自己と正面から向き合うことができないのではないだろうか。

その意味で、キャリア教育の原点は自己理解の深さにあるといえる。


自ら主体的に職業について考え、その理解を深める機会が不足している現代社会において、キャリア教育の充実は急務である。

企業においても、学歴でなく「何を身につけたか」という学習歴が問われている。

研修の内容も能力開発型に転換し、キャリア形成力が求められている。


学校教育においては、教科とキャリアの関連を理解できるような教材や授業の研究が必要である。

学校教育にキャリア発達を意識したカリキュラムを取り入れ、それがいかに職務遂行の基礎となるかを伝えることが重要となる。


畑祐一郎(ヨガインストラクター)

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