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岡山県産ハッカ復活へ、耕作放棄地を利用(徳山雅士)

戦後国内で2番目の生産量を誇った岡山県産日本ハッカを復活させようと、倉敷市のまちづくり団体や矢掛町の地元ケーブルテレビ局がそれぞれ、農家に依頼して耕作放棄地などで栽培に取り組んでいる。

ケーブルテレビ局は収穫したハッカを使った茶やアメなどを売り出し、まちづくり団体が提供したハッカを粉末にして混ぜたジェラートが岡山空港で販売される予定。

関係者は「栽培面積を増やし、新たな特産品を開発して地域の活性化につなげたい」と意気込んでいる。

ハッカはシソ科の多年生植物で、現在は主にインドや米国などで栽培されている。

日本では、江戸期から本格的な栽培が行われ、明治期には全国各地に栽培が広がった。

戦後は北海道、岡山、広島両県が産地として定着。歯磨き粉や塗り薬などの原料として使われた。

しかし、高度成長期に専業農家が減り、海外産の安いハッカや合成ハッカなどに押されて、岡山では、約40年前に産業としての生産が途絶えたという。

倉敷市のまちづくり団体は、岡山県内でハッカを復活させることで、耕作放棄地の解消や地域活性化などにつなげようと考え、旧岡山県農業試験場倉敷薄荷分場が育種改良によって1970年に開発した「秀美」という品種に着目。

メントールなどを製造する里庄町の会社がわずかに育てていた秀美を譲り受け、3年前から総社市清音で試験的に始めた。

2012年からは倉敷市玉島などに広げ、計100アールの耕作放棄地などで栽培をしている。

旧岡山県農業試験場の栽培方法を調べ、当時より年間平均気温が高くなっていることや、1年に複数回収穫することなどを考慮して、▽種根を植える時期を3月から12~1月にずらす▽一定の割合で花が咲いたら刈り取る--などの工夫をして栽培方法を確立。2013年は生葉で約200キロを収穫した。

また、山陽学園大(岡山市)などと協力し、備中地域の住民に昭和期にハッカ栽培が行われていた地域や栽培規模などの聞き取り調査をし、備中地域の「薄荷マップ」を作成した。

一方、矢掛町では、地元の放送局が矢掛町内の河川敷で自生しているハッカを矢掛町の活性化に活用しようと考え、「真美緑(しんびみどり)」という名称で商標登録した。

2011年から矢掛町の農家が栽培を進めている。

これまでに、放送局がハッカを乾燥させた茶やハッカ油を使ったアメなどを企画。矢掛産ハッカを使い、総社市の酒造メーカーが焼酎をつくったり、岡山市内のバーがカクテルに利用したりと、活用先が広がっている。

岡山県庁は「東京のアンテナショップで矢掛産ハッカを使った商品が店頭に並べば、首都圏で多くの人に知ってもらえる」と期待している。

2014年、徳山雅士

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