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Request
ご要望: 日本の伝統織物「近江上布」を世界に発信するブランディングムービー
海外の布のバイヤーやデザイナーたちと日本の産業を繋ぐ役割を生業としている有限会社湧元様からご依頼を頂きました。撮影場所は、滋賀県麻織物工業協同組合が運営する施設「近江上布伝統産業会館」。こちらの会館は、室町時代から滋賀・湖東地域に伝わる織物「近江上布」の伝統や技術に触れることが出来る施設です。
制作当初はイギリス・フランスの服飾専門学校で行われる講演会のオープニングムービーとして使用する目的でプロジェクトをスタートしました。しかし、お客様との話し合いの中、「職人のヒューマニティ」「斬新なイメージのコラージュ」「海外のファッション業界で布のバイヤーやデザイナーへの名刺代わりとなる映像」などのコンセプトが浮き彫りになり、日本の伝統織物「近江上布」のブランディングムービーとして制作することになりました。
Proposal
ご提案:悠久の自然とともに培われてきた職人たちの営みを映像に凝縮し、製品訴求へとつなげる
撮影場所の近隣で自然環境のフィールドワークを行いました。現地の職人の方々とコミュニケーションをとり仕事の雰囲気を肌で感じる事ができました。その経験を映像に反映させています。制作中に考えていたことは、「近江上布の最大の特徴とは何か」という事です。最も際立った特徴は、近江上布の究極ともいえる手仕事にあると思いました。良質な自然水を使った手もみ洗いや、天然のヘンプ(大麻)から糸を紡いでいくという大変手間のかかる製法。洗練された指先の感覚、ストイックなものづくりの精神性、着物の美しさや職人たちの柔らかな表情、そして豊かな自然。それらが有機的に絡み合って生み出される「近江上布」。それらを手掛かりに、コンセプトを考え、絵コンテおよび資料を作成いたしました。
近江上布の拠点となる近江上布伝統産業会館は、地域の方々や旅行で訪れた方にワークショップを行うなど文化芸術振興に力を注いでいます。会館は窓が多く、明るい雰囲気の中で織機が並んでいる。そんな素朴で優しい雰囲気を撮影しても良かったのですが、今回のターゲットは海外のファッション業界であり、テーマは職人。そのため、ストイックな雰囲気を作りたいと思い立ち、会館の広い作業場のすべての窓を遮光し、暗幕で覆われた黒ホリゾントスタジオのように変えて撮影しました。
撮影手法は、マッチカットやハイスピード撮影(スローモーション)を多用。編集は視聴者にイメージカットの連続という構成の中で、伝えたいテーマが伝わりやすい流れを作る事を意識しました。十分な時間をかけ、タイミングやカットを慎重に選んでいきました。
BGMは海外目線で、日本の自然と人間の関係性を感じさせるような楽曲を使用いたしました。