福田屋が位置する今津は日本海からの荷を京都大阪へ運ぶ港として、長く栄えた宿場町でした。
その輸送ルートから生計を立てる商人を惹きつけた一方で、創造活動に火をつける為の瞑想的な孤独感と刺激との出会いの両方を求めた執筆家や詩人も魅了しました。
往時には旧街道沿いに多くの旅籠や商店が立ち並び、中でも福田屋は一番の店構えを誇り、今津のランドマーク的な存在であったと当時の文献からうかがい知れます。
そんな福田屋も時代の移り変わりからいつしか長い眠りにつき、そんな福田屋を再び旅籠として蘇らせ、街道の賑わいを今の時代に合わせ、取り戻していくことを目指し始まったプロジェクトでした。
解体・修復を経て、再びお客様を迎える準備ができ、2020年6月に一棟貸切りの料理宿として新たな福田屋が開業しました。
いまでは琵琶湖が育んできた近江の自然がもたらす四季折々の食材に魅了された多くのお客様が、季節が変わるたびに戻ってくるような宿となりました。