「アソビ」のためのアジト

　グローバル展開を目指すスタートアップの新拠点の設計。デスクワークをするためのオフィスではなく、「アソビ」を通した賑やかで温度感のあるコミュニケーションを育むアジトである。
　フロアの中心にはドリンクを片手に会話を楽しめるバーカウンター、奥の窓際には靴を脱いでくつろげる小上がりスペースを配置した。これらの形に円弧のラインを取り入れることで全体に統一感が生まれ、やわらかな印象の空間となっている。

　中央のバーカウンターは円弧状にすることで、数名集まった際に自然と端と端の距離感が縮まり、互いにコミュニケーションをとりやすいようにした。
　小上がりは仕上げを柔らかいタイルカーペットとし、寛ぎながら仲間との談笑や、本やボードゲームなどの「アソビ」を楽しめるエリアとした。
　またドリンク棚や本棚、書き込めるボードなど、ユーザーが自由にカスタマイズできる余白を散りばめた。

　全体のデザインは、世界向けサービスの発信拠点としての「日本らしさ」を表している。小上がり先に縁側を連想させるベンチを配置し、天井やバーカウンターの表面に日本建築の意匠を思わせる格子のデザインを施した。

〈Others 119.99㎡ / 2022年5月 / 東京都千代田区 / 株式会社フォア―〉