少子高齢化によって労働人口が減り、年々企業の人材採用は難しくなっています。これを打開するため、多くの企業が「タレントプール」に関心を寄せているのをご存知でしょうか?
タレントプールとは、候補人材を管理するデータベースのこと。導入後はミスマッチの減少や採用コストの削減など、様々なメリットが得られます。
本記事では、タレントプールが注目される背景やメリット、活用事例や運用時に押さえたいポイントなどを紹介します。タレントプールを活用して、採用活動を有利に進めてみませんか?
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タレントプールとは
「タレントプール」とは、優秀な人材(タレント)の情報を蓄積(プール)する仕組みのことです。
「内定を出したが辞退されてしまった候補者」や「やむなく不採用とした候補者」など、現時点では採用にいたらなかったものの、自社とマッチングの高い人材の情報をデータベース化しておくことで、今後の採用につなげることが目的です。
従来「採用の縁は一度きり」が当たり前でしたが、タレントプールによって候補者とのつながりを保っておけば、新たな求人が発生した際、入社の可能性が高い人材から優先してアプローチできます。
データベースの管理や候補者との定期的なコミュニケーションに工数がかかるものの、中長期的な視点で考えれば、採用効率の改善が期待できます。
主なタレントプールの手法
タレントプールから採用につなげるためには、将来社員となりうる優秀な人材と定期的にコンタクトする必要があります。その実現に役立つのが、採用管理ツールやSNSです。
もし採用活動を進めるなかで、「あの候補者は採用しておきたかった」と感じる人がいれば、採用管理ツールやExcelにリストを作り、連絡先や辞退の理由を書き留めておきましょう。
とくに、内定辞退者や惜しくも不合格にしてしまった候補者は、一度は企業に興味をもってくれた人です。このような人材は、一般的な求職者に比べて企業への関心が高いため、後日スカウトすれば再び応募してくれる可能性が高いでしょう。
採用管理リストと同様に、SNSもタレントプールの運用に適しています。SNSでは募集告知がカジュアルにできるうえに、候補者の投稿を見れば転職の意思がある程度察せます。
相互フォロー関係になれば、ダイレクトメッセージの送付も可能なので、スカウト手段として優秀なツールです。
タレントプールが注目される3つの背景
ここまでタレントプールの概要や主な手法を紹介しましたが、なぜ多くの企業がタレントプールを導入しているのでしょうか? ここでは、タレントプールが注目される背景を解説します。
1. 人材獲得競争の激化
タレントプールが注目される背景として、人材獲得競争の激化が挙げられます。
近年では少子高齢化が進み、労働人口が年々減少しています。企業は限られた労働人口のなかで採用を進めなければいけないため、一度は不採用になった人へ再アプローチが求められるようになりました。そのため、タレントプールが注目されているのです。
2. 働き方の多様化
政府主導の働き方改革のもと、人々の働き方は多様化しました。なかには働きやすさやプライベートの充実を求め、副業や業務委託、フリーランスなど正社員以外の働き方を選ぶ人材も増えています。
とくに、優秀な人材はどの会社に行っても活躍できるため、やりがいや自由度の高さを求めて新しい働き方を選ぶ傾向が増えています。
これらの人材を採用するためには、中長期的な目線に立った複数回のアプローチが必要です。
タレントプールを活用すれば人材の状況に合わせて繰り返しアプローチできるため、働き方が多様化した現代に適した採用手法と言えます。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめています。こちらもぜひご一読ください。
【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook
3. スペシャリスト人材のニーズが増えている
近年ではビジネスのデジタル化が進み、サービス構築にはITのプロフェッショナルが必要不可欠になりました。
一方で、これらの作業を担当するITエンジニアやUI/UXデザイナー、データサイエンティストなどは専門的なスキルを持っているため、企業間での獲得競争が激しく、採用が難しい人材です。
これらの人材の転職タイミングを逃さないために、タレントプールを用いた定期的なアプローチが求められているのです。
タレントプールを構築する5つのメリット
実際に企業がタレントプールを活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。5つの利点を紹介します。
1. 採用ミスマッチの減少
「せっかく採用した人が早期退職をしてしまった」「内定者が企業のカルチャーと合わず活躍できていない」などの経験はないでしょうか?
候補者リストやSNSを活用すれば、一度は逃してしまった人と中長期的にコミュニケーションをとることができます。
交流を重ねれば候補者がカルチャーを理解してくれますし、企業側も候補者の人柄やスキルを正確に把握でき、ミスマッチの減少が期待できます。
【参考】採用のミスマッチを防ぐためには|原因と有効な対策【事例つき】
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/mismatch/
2. 採用工数の削減
人材が足りない時に、通常は求人広告や人材紹介を通し、書類選考や面接などを経て候補者を絞り込みます。しかし、この手法では、早急に人を採用できません。
もしタレントプールを活用していれば、求める人を抽出してすぐにアプローチできます。過去の交流を通して、どのような人材なのかある程度わかっているので、採用過程もスムーズに進められます。結果として、採用プロセスの工数の削減が可能です。
3. 採用コストの削減
採用コストには、いわゆる「外部コスト(求人掲載費や人材紹介会社への外注費用など)」だけでなく、「内部コスト(採用担当者の人件費など)」が含まれます。このなかで内部コストは請求書が残らないためコストが見えにくく、採用費用が増加する原因だと言われています。
ミスマッチや採用工数が削減できれば、必然的に人事の人件費も減り、採用コストが削減できます。さらに採用後のオンボーディングでは内定者の企業理解が進んでいるため、教育コストの削減も期待できます。
4. 優秀な人材をピックアップできる
タレントプールの活用を続けていると、次第に候補者の母数が増えていきます。ある程度リストが厚くなれば複数の候補者のスキルや人柄を比較できるため、企業に適した優秀な人材のピックアップが可能です。
さらに、作成したタレントプールは人事担当交代の際に引き継げます。採用における属人化を防いでくれるため、さらなる採用効率の向上が期待できます。
5. 優秀人材へ再アプローチできる
「この人が欲しい」と思う人が複数いても、すべての人材を採用するわけにはいきません。僅差で苦渋の選択を迫られた場合、「不採用を出したくない」と考えている人事担当者は多いのではないでしょうか。
一度は不採用を出してしまっても、タレントプールに人材情報を残して更新していけば、別ポジションで新たに求人が発生したとき、再び候補者へアプローチできます。
タレントプール活用の6ステップ
ここからは、タレントプールの作り方や活用法を6つのステップに分けて説明します。
1. 人材の要件定義
はじめに、どのような人材を採用したいかを決めます。社内のニーズをヒアリングして、部署や職種ごとに求める人材の能力や資質を定義しましょう。
この時に、社内のニーズだけでなく候補者のニーズにも目を向けてください。候補者が過去どのような経歴を歩み、どのような価値観を持ち、転職先に何を求めているのか、ターゲットが明確になればより効率的なアプローチができます。
ターゲット設定には「ペルソナ設定」が有効です。作成方法は以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
【参考】採用ペルソナの簡単な作り方|新卒・中途別に徹底解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/persona/
2. 母集団の形成
次に人材の母集団を形成します。形成方法は「採用・転職サイトからの直接登録」「採用過程で目星をつける」「SNS経由でコンタクトする」「イベントや勉強会を開き、連絡先を交換する」など様々な方法が考えられます。
方法によって母集団の性質や経歴が異なりますので、求める人材に適したチャネルを選びましょう。
【参考】母集団形成とは?なぜ重要なのか?手法ごとのメリットも紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/candidate_group/
3. データベース化
コンタクトをとった候補者の情報は採用管理ツールなどでリスト化して管理しましょう。
記載する情報として、個人の基本情報・在籍した企業・保有スキル・資格などが考えられます。ほかには、人材との接点も記入したい項目です。
「内定を辞退した人材」「採用選考の終盤で不採用になった人材」「社員紹介で面接した人材」などを記入しておけば、候補者に適した手法で再アプローチができます。
4. 候補者のグループ分け
データベースに登録した候補者は、スキルや経歴ごとにグループ分けをしておきましょう。
「複数社を受けているがスキルマッチしている」「経験は少ないが意欲がある」「企業理解が進んでいる」「求める人柄に近く、カルチャーマッチが容易」など複数の評価軸を用意して分類しておけば、ポジションが空いた時に効率よくアプローチできます。
5. コミュニケーション
データベースに登録した人材にはメールマガジンやイベントなどを通して、定期的にコンタクトをとりましょう。
一度は応募してくれた候補者でも、時間とともに企業への興味は薄まっていきます。定期的に存在をアピールすれば、候補者の関心を維持できます。
もし直接コンタクトが取れるなら、メールや電話で近況を聞いても良いでしょう。人材の成長や状況を把握でき、候補者と信頼関係を築けるかもしれません。
6. 再アプローチ
新たに求人を出す際に、データベースの中から要件にフィットする人材を見つけてコンタクトします。
現代では終身雇用制度が崩れ、生涯に複数回の転職が当たり前になっています。一度就職しても数年経てばまた転職活動を始める人材も多いため、長期的に交流を続けて相互理解が深まれば、再びアプローチした時の成功確率が高まります。
もし採用できなくても、引き続きコミュニケーションを続けましょう。
運用時に押さえておきたい4つのポイント
先ほどタレントプールの作成法を紹介しましたが、漫然と運用していても成果は出ません。ここでは、運用で必ず押さえておきたい重要なポイントを紹介します。
1. 中長期的視点で運用する
タレントプールの運用には、候補者との信頼関係構築や情報の更新など、データベース作成後の労力や時間が欠かせません。構築してすぐ成果が出るものではないため、中長期的視点を持った運用が重要です。
2. 人材要件や候補者の情報を更新する
データベースに登録された人材の情報や状況は時とともに変化します。そのため、SNSやメールなどでコンタクトを取りながらアップデートしなければなりません。
加えて、常に求める人材が蓄積されたデータベースとなるよう最適化(候補者の取捨選択)が求められます。事業や組織の状況が変化したときは、求める人材の定義も忘れずに更新しましょう。
3. 候補者と継続して交流する
候補者が転職するタイミングで声をかけるためには、優秀な候補者とつながり続ける工夫が必要です。
たとえば、「業務委託や副業制度を利用して業務に関わってもらう」「1ヶ月に一度オープンオフィスを開催して招待する」「ランチミーティングに誘い、交流を深める」など様々な方法が考えられます。
4. 適切な頻度でコンタクトする
候補者へアピールするため、データベースの登録者には頻繁にコンタクトしたくなりますが、あまり積極的に連絡してしまうと候補者の迷惑になります。
たとえば、「コンタクトや状況確認は3ヶ月に1度にする」など、適切な距離感を保ちながらコンタクトしていきましょう。
タレントプール運用に役立つツール
採用におけるタレントプールの必要性が高まったことで、運用ツールの市場も活発化しました。この章では、タレントプールの管理に役立つツールを紹介します。
TalentCloud
TalentCloudは、人材情報の管理はもちろん、CSVから一括登録もできるクラウドシステムです。候補者とのチャット機能は標準搭載で、スマホに対応した採用サイトも作成可能です。
さらに登録後の候補者の興味度や行動を数値化するトラッキング機能もついています。登録人材数に合わせたプラン選択が可能で、社内で持つアカウント数に制限はありません。
Talentio Hire
Talentio Hireは、企業の採用業務の自動化・効率化をサポートする採用管理システムです。タレントプールのデータを一括で管理・把握できる機能も備わっており、登録者50名までは無料(データ保存期間1年)で利用できます。
URL:https://www.talentio.co.jp/hire
Calin
Calinはインターン採用に特化したタレントプールプラットフォームです。登録者は就職前の大学1〜2年生で、候補者が企業へ興味や関心を示せます。
企業側は登録後、Calinのリンクを企業サイトに設置するだけで利用可能。候補者情報の閲覧や管理、個別のメッセージ機能も利用できるので、学生インターンを効率よく採用できます。
URL:https://company.calin.co.jp/
Wantedly
Wantedlyは給与などの条件ではなく、「やりがい」や会社の「想い」を軸に企業と候補者がマッチングできるビジネスSNSです。
企業がブログ形式で求人や企業の紹介記事を投稿でき、SNSへの拡散も簡単に行なえます。さらに費用は月額固定型で、採用成功時の成果報酬も必要ありません。
そのほかのツールと比べて候補者とカジュアルに交流できるため、タレントプールの運用に適しています。
Wantedlyの成功事例
最後に、先ほど紹介した Wantedlyを活用して採用に成功した企業の事例を紹介します。
株式会社八百鮮
近畿・中部地方で生鮮食品の小売業を営む同社は、年間1000万円の費用をかけて中途採用を進めていました。
一方で応募数は伸びず、求めていた若手人材を採用できなかったため、他社との差別化を図りWantedlyを導入。並行してTwitterやYouTube、ブログ等を活用し、求職者と交流を続けながら採用活動を進めていきました。
地道な活動が実を結び、運用開始から半年間で12名のスタッフ採用に成功。採用費用も300万円まで削減できました。
株式会社八百鮮が行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
リスタンダード株式会社
東京都を拠点にアスリートのセカンドキャリアを支援している同社は、2019年に新卒採用を開始。学生からの知名度が高い大企業と異なる土俵で、魅力をアピールできる採用サービスを探していました。
初期費用が抑えられ、ブログ機能で企業の魅力を発信できるWantedlyを導入してからは、募集記事を頻繁に投稿して候補者と交流を図っています。
着実に記事の閲覧数を増やした同社は、利用開始から3ヶ月で3名の新卒人材を採用。年間採用費用は36万円と少額に抑えられ、同時に長期インターンの採用にも成功しています。
リスタンダード株式会社が行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
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パスクリエイト株式会社
同社は東京都を拠点に、妊活・妊娠・育活のブランド商品の販売やオウンドメディアの運営、 Webマーケティング・IT技術者の育成事業等により、社会的課題の解決を目指している企業です。
採用活動では主に人材紹介を利用していましたが、ミスマッチが多く、すぐに退職してしまうケースが続いていました。採用にかかる費用も多く、年間600万円以上を費やしていたそうです。
ミスマッチと採用コストを減らすため、同社はリーズナブルに利用できるWantedlyを導入。記事投稿を続けてカルチャーや魅力を発信するなかで、Webデザイナー、Webマーケター、エンジニアなど、計10名を採用できました。
候補者が記事を通して事前に理念やカルチャーを理解してくれるため、Wantedlyを運用してからはミスマッチが大幅に減り、導入後の退職者は1名のみ。
人材紹介会社を利用していた頃に比べて、1人あたりの採用コストも89%削減できました。
パスクリエイト株式会社が行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
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まとめ
労働人口が減少している昨今、求職者の数少ない転職機会を逃してしまうと、企業は思うように採用を進められません。
しかし、採用ができなかったとしても、二度、三度とアプローチを重ねれば、優秀な人材を確保できるかもしれません。
タレントプールを活用して求職者と交流を重ね、採用を成功に導きましょう。