タレントアクイジションとは、企業の中長期的な成長に必要な人材に対して戦略的にアプローチする採用活動のことです。タレントアクイジションという言葉こそ耳にしたことはあるものの、通常の採用活動との違いや具体的な施策がわからず、取り組むべきかどうか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、タレントアクイジションの定義やメリット・デメリット、具体的な進め方を徹底解説します。企業事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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タレントアクイジションとは?
タレントアクイジションとは、企業の経営戦略や事業戦略を達成するために、必要な人材に対して戦略的にアプローチする採用活動のことです。採用した人材の定着・活躍を促すサポートも含みます。
タレント(Talent)は「才能のある人材」、アクイジション(Acquisition)は「獲得」を意味します。
タレントアクイジションが注目されている背景
タレントアクイジションが注目されている背景には、「労働人口の減少」と「IT化・DX化の加速」があります。
労働人口の減少によって採用競争が激化している今、従来の「人材が必要になったタイミングで募集・選考する短期決戦の採用スタイル」は通用しません。自社にマッチする人材に対して能動的にアプローチかつ継続的に接触し、タレントプールを形成して適切なタイミングで採用につなげる「ストック採用」への切り替えが必須です。
そして、IT化・DX化が加速し変化が激しい昨今、企業が成長し続けるためには優秀な人材が不可欠です。そのため、中長期を見据えて経営戦略と連動した人材戦略を作り、才能のある人材(タレント)を獲得(アクイジション)していく必要があります。
これからの採用の考え方やストック採用の詳細は、以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご確認ください。
【採用の新常識】なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_2/
タレントアクイジションと採用の違い
タレントアクイジションと一般的な採用活動の違いは以下の通りです。
タレントアクイジション | 一般的な採用活動 | |
---|---|---|
目的 | 経営戦略や事業戦略の達成に必要な人材の獲得・育成 | 欠員の出たポジションの補充 |
採用対象 | 中長期的な企業成長に必要な人材 | 各ポジションにマッチした人材 (職種やスキルは限定的) |
母集団形成 | 転職潜在層にもアプローチ | 求職者からの応募を待つ |
期間 | 長期的(年単位で取り組む) | 短期的(必要になったタイミングで行い、数ヶ月で終了) |
タレントアクイジションは、転職潜在層を含む多くの優秀人材にアプローチするため、採用広報や採用ブランディングなどの認知形成に戦略的に取り組みます。
また、企業の経営戦略や事業戦略が達成できるよう、採用した人材の定着・活躍までサポートするのが特徴です。
【参考】採用ブランディングとは?メリットや成功事例を紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/branding/
タレントアクイジションのメリット・デメリット
タレントアクイジションのメリット・デメリットは以下の通りです。
タレントアクイジションのメリット
タレントアクイジションは欠員補充ではなく、経営戦略・事業戦略の達成に必要な人材に絞ってアプローチするため、自社にマッチした優秀な人材を獲得しやすい点がメリットです。
優秀な人材が定着・活躍すれば、組織力の向上や活性化につながります。
タレントアクイジションのデメリット
採用競争が激化している昨今、優秀な人材は企業間で取り合いになっています。自社にマッチする人材が見つかったとしても、採用につなげるのは難しいでしょう。
また、採用ブランディングやタレントプールの形成は継続的に取り組む必要があり、成果が出るまで時間がかかる点もデメリットです。
タレントアクイジションの進め方
続いて、タレントアクイジションのやり方を5ステップで解説します。
1.経営戦略をもとにペルソナを設計する
まずは、経営戦略をもとに人材戦略を考え、ペルソナ(求める人物像)を設計しましょう。
入社後のポジションが具体的に決まっている通常の採用活動と異なり、ペルソナの職種や保有スキルの幅は広くなります。また、事業戦略ごとに複数パターンのペルソナを設計するのがポイントです。
採用ペルソナの作り方や具体例は、以下の記事で解説しています。
【参考】「採用ペルソナ」が「採用ターゲット」より重要な理由|設計方法も解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/persona/
2.オウンドメディアやSNSで認知形成する
次は、ペルソナに自社を認知してもらうため、オウンドメディア・ブログ・SNSなどを使って情報発信しましょう。
優秀な人材を獲得するためには、転職意欲が顕在化する前にアプローチすることが重要です。まだ転職意思が表面化していない段階で「この企業に入社したら面白そう」と自社を転職先候補として意識してもらえれば、採用競争が激しい中でも優秀層を獲得できます。
情報発信の手法はたくさんありますが、Wantedlyならブログ機能である「ストーリー」を活用できます。構成や内容に決まりはなく、ミッション・カルチャー・仕事のやりがいなど、ペルソナを惹きつけるコンテンツやリアルな魅力を自由に発信できるのが特徴です。
Wantedlyでできることや具体的な料金は以下のサービス資料にまとめています。ぜひ一度確認してみてください。
またWantedlyでは、採用にSNSを活用したいと考えている方々のために、SNSごとの登録属性や必要な専門知識、活用時に失敗しないコツなどのノウハウを1つの資料にわかりやすくまとめています。ぜひこちらもご確認ください。
3.カジュアル面談やミートアップで興味形成する
ペルソナにリーチできたら、カジュアル面談やミートアップに招待して動機づけしましょう。
採用選考を前提としないカジュアルな接触機会は、応募や参加のハードルが低いため、転職潜在層へのアプローチに効果的です。また、合否のある面接と違い、企業理解を深めてもらいながら候補者の価値観を本音ベースで聞けるため、カルチャーマッチも見極められます。
Wantedlyでは、カジュアル面談の運用に悩む方々のために、カジュアル面談で必ず知っておくべき知識や失敗しないための方法などのノウハウを1つの資料にわかりやすくまとめています。ぜひ一度確認してみてください。
ミートアップの手法やポイントは、以下の記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
【参考】採用ミートアップを手軽に開催するには?集客媒体や事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/meetup/
4.タレントプールを形成する
3で接触したものの応募に至らなかった候補者や、内定に至らなかった候補者の情報は、タレントプールとして蓄積していきましょう。
従来「採用の縁は一度きり」が当たり前でしたが、これからの採用はタレントプールを形成して適切なタイミングで採用につなげる「ストック採用」への切り替えが必須です。入社に至らなかった候補者はもちろん、自社をよく知るアルムナイ(退職した社員)の情報もあわせて蓄積するとよいでしょう。
【参考】アルムナイ採用とは?メリットや受け入れ態勢の整え方を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/alumni_top/
候補者が入社に至らなかった理由はさまざまです。ただ単に志望度の低さだけが原因ではなく、事業のフェーズとマッチしていなかったり、カルチャーマッチしているもののスキルセットが不足しているなどの要因で採用に至らなかったケースもあるでしょう。
そのため、タレントプールによって接点を保っていく中で、候補者の環境や状況が変われば、再び応募や入社に至る可能性は十分考えられます。
実際に株式会社TalentXの調査によると、過去に縁がなかった企業からの再スカウトに対して9割が好意的と回答しています。「選考時の印象がよい」「自分のことをわかってくれている」などの候補者体験が再応募のカギとなっているため、候補者一人ひとりと真摯に向き合うことが一段と重要です。
【参考】採用CX(候補者体験)とは?改善ポイントと事例を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_cx/
5.入社後の活躍をサポートする
タレントアクイジションは、優秀な人材の獲得・育成によって経営戦略や事業戦略を達成することが目的です。「採用して終わり」ではなく、入社後の定着・活躍のサポートにも注力しましょう。
入社後の施策としては、知識やスキルの習得を目的としたOJT・Off-JTに加えて、企業の価値観や組織文化を伝えるオンボーディングが有効です。新入社員が組織に馴染めるよう、スキル面とカルチャー面の双方をサポートしましょう。
【参考】オンボーディングとは?目的・導入の流れを解説|施策例つき
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/onboarding/
社員が定着・活躍すれば、リファラル採用の活性化も期待できます。優秀な社員から知人・友人を紹介してもらえれば、自社にマッチした転職潜在層に効率よくアプローチできるでしょう。
【参考】リファラル採用とは?かかる費用から進め方まで解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/refferal_top/
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タレントアクイジションの企業事例3選
最後に、タレントアクイジションに取り組んでいる企業事例をご紹介します。ぜひ各社の施策を参考にしてみてください。
1.株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、グローバル化にともない経営戦略が変わり、それにあわせて人財マネジメントの転換をはかっています。
同社は2019年に「タレントアクイジション部」を設立。従来は新卒採用がメインで、中途採用は事業所ごとに行っていましたが、現在はタレントアクイジション部が社内外から多様な人財を獲得し、各職場にワンストップサービスで提供することで「適所適財」を目指しています。
引用:人財獲得をワンストップで実現、日立製作所のタレントアクイジション部とは
2.株式会社博報堂
博報堂および博報堂DYメディアパートナーズは、経営戦略・事業戦略実行のための人材獲得を目的として、2022年に「タレントアクイジション局」を設立しました。
同社はタレントアクイジション施策の第一弾として、広告・マーケティング領域の経験を問わず若手人材を広く募集する「キャリアストレッチ採用」を開始。「粒ぞろいより、粒ちがい」の人材として、新しい領域に飛び込み、キャリアの拡張を望む社会人2〜7年目の人材を募集しています。
引用:博報堂 ビジネスプロデュース職において経験を問わず社会人2~7年目の若手人材を募集する「キャリアストレッチ採用」を実施
3.日本電気株式会社(NEC)
日本電気株式会社(NEC)は、「再度成長するには生まれ変わらなければならない」という企業変革の想いから、キャリア採用の拡大およびジョブ型人材マネジメントを進めています。
同社は、2019年にキャリア採用の専門チーム「タレント・アクイジション」を発足。従来は新卒採用がメインでしたが、2023年度の中途採用数は新卒採用とほぼ同数まで拡大しています。
また、ジョブ型人材マネジメントに移行するため、ジョブディスクリプション(職務記述書)による職務内容の整理や、社内人材公募制度も行っています。
引用:中途採用は今年度600人、5年で10倍増|NEC本気の企業変革、ジョブ型も加速
まとめ
タレントアクイジションとは、企業の経営戦略や事業戦略を達成するために、必要な人材に対して戦略的にアプローチする採用活動のことです。労働人口が減少し、IT化・DX化が加速している中、企業が成長し続けるためにはタレントアクイジションによって優秀な人材を獲得していく必要があります。
タレントアクイジションは通常の採用活動よりも難易度が高く、継続的に取り組む必要がありますが、企業の中長期的な成長および採用競争に打ち勝つためには欠かせない施策です。ぜひ本記事を参考にして取り組んでみてください。
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