【採用の新常識】内定辞退を回避する、候補者視点の選考フローとは

本記事は、Wantedly人事責任者による著書「すごい採用」から、より実践的な採用活動について解説した内容です。

これからの採用について、基礎から確認したい場合は【採用の新常識】シリーズの以下の記事からご覧ください。

1本目:【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
2本目:なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか【採用の新常識】

今回は、選考段階、内定段階そして入社後の3つのプロセスで考えるべき「候補者体験」について説明します。

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採用に役立つ「マーケティング」の考え方とは

これからの採用に欠かせない、マーケティングの基本的な考え方をご存知ですか?

求職者が求める価値観が多様化し、優秀な人材層の獲得競争が激化する現代において、自社に最適な人材を採用するためには「マーケティング」の視点が欠かせません

そこで、採用担当者なら知っておきたいマーケティングの基本的な考え方を、1つの資料にまとめました。

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候補者体験を重視する

採用活動は企業による「一方的な」「選考」の場ではありません。企業は選考しつつ、候補者からも選考されているという意識を持つ必要があります。

候補者は採用活動における「体験」を重視して企業を選んでいます。では、「体験」を良くするためにはどうすればいいのでしょうか。

3つの軸から説明します。

事実に即した内容を語る

候補者は多かれ少なかれ、企業に対して実体のない幻想を抱いています。

採用活動の目的は入社してからも同じ方向に向かって一緒に働ける仲間を作ることです。従って、幻想と現実のギャップは埋めておかなくてはいけません。

また、候補者はイメージを先行させて選考に臨みがちであるため、結果としてミスマッチが生じてしまう可能性があります。

採用活動ではどうしても、表面的にキラキラしたシーンを見せがちです。みんなで楽しそうに仕事をし、和気あいあいとしている印象を与えたいと考えるのも無理はありません。

一番楽しそうな場面を抜き出しているだけで、嘘ではないケースがほとんどでしょう。しかし、実際の仕事現場では泥臭く地味な仕事も多いはずであり、イメージと現実との間にギャップが生じてしまいます。

こうしたギャップを防止し、イメージと現実が正しくつながるようにしておく必要があります。そのため、事実に即した内容を語るよう心がけるのが重要です。

イメージに一貫性を持たせる

採用活動は入社すれば終わりというわけではありません。入社後の定着・活躍まで見据え、候補者と長い関係を構築するという考え方が求められます。

そのためには、候補者が得る情報に一貫性を持たせる必要があります。一貫性がなければ、企業に対して疑念や混乱を抱いてしまうからです。

選考段階においては、個別の「点」で候補者の印象を良くするだけでなく、情報接触から初回のカジュアル面談、そしてその後の採用コミュニケーションに至るまでを含めて考えましょう。「候補者がそれぞれのタッチポイントで何を体験するか」を全体の流れとして設計し、一貫したメッセージとして構成するのです。

企業に対するイメージの形成、採用活動におけるやり取り、そして実際に現場でどう働いているか。これらがすべて地続きでなければいけません。

それぞれのギャップが大きければ大きいほど、採用活動においてネガティブに作用してしまいます。事実に即した内容を語るとともに、イメージに一貫性をもたせるのが重要なポイントです。

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社内の基準を整える

候補者とのタッチポイントすべてで事実に即した内容を語り、イメージに一貫性を持たせるためには、社内の基準をしっかりと整えておく必要があります。とくに選考において候補者と直接接する面接官やカジュアル面談の担当者、それに採用担当者のコミュニケーションは候補者体験に大きく影響します。

そこで、候補者と接点を持つ面接官などには、良い候補者体験につながる接し方やコミュニケーションの構造・技術をトレーニングしておきましょう。全員が企業にとって押し出すべき魅力を言語化し共有しておくのが有効です。

企業の魅力を全社共通で定義し、候補者に対して持ち出せるようになっておくのがトレーニングの第一歩となります。

また、「伝え方の基準」を統一しても、面接官による「評価の基準」がバラバラでは、主観的な評価によって判断にばらつきが生じてしまいます。優秀な人材を取りこぼしたり、反対に本来は獲得すべきでない人材を採用してしまうかもしれません。

そのために、誰が選考しても近い結果となるよう、選考フローと評価基準を設計し、共有しておきましょう。

内定辞退を回避する

内定承諾率の向上を採用戦略上、重視している企業は少なくありません。非常に良い企業に見え、採用戦略がうまく機能しているように感じられるためです。

確かに、候補者を集めて選考する従来の「フロー型」の採用活動では、内定辞退を回避して内定承諾率を高める必要がありました。しかし、候補者との長い関係を前提とする「ストック型」の採用活動においては、考え方を改める必要があります。

3つの点から説明します。

内定承諾率にとらわれない

「ストック型」の採用活動では、内定は企業と候補者が相互理解を積み上げた結果と考えます。そのため、そもそも内定辞退は本当に悪なのか、という問題提起が重要となります。

なぜなら、候補者がある時点で内定を辞退したからといって、今後の関係がなくなってしまうわけではないからです。

企業の事業フェーズが変化すれば待遇や仕事内容も変わります。一度内定を辞退した候補者を再度スカウトし、入社につながるというケースもあるでしょう。

候補者側がスキルや経験を積み重ね、結果としてやりたい仕事が変わる可能性もあります。内定を辞退された場合でも、優秀な人材としてストックし、コンタクトを続ければ、将来的に一緒に働ける可能性を維持できるのです。

企業も候補者もそれぞれ以前とは状況が異なるかもしれない、という前提に立てば、ある期間における内定辞退率や内定承諾率を追いかける必要性は低いと気づきます。内定承諾率にとらわれず、候補者が一番最初に思い浮かぶ企業になるよう心がけるべきです。

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コミュニケーションギャップに対応する

内定辞退を招く要因のひとつとして、候補者に自社を正しく理解してもらえていない、魅力づけにつながる部分を伝えきれていない、というコミュニケーションギャップの問題があります。自社の情報を断片的にしか伝えられず、企業の全体像や自分が働く姿を想像できないという問題が、候補者とのコミュニケーションにおいて未解決という状態です。

企業と候補者の間に生じるコミュニケーションギャップは、内定を承諾してもらうために解消する必要があります。コミュニケーションギャップに対応するためには、候補者が抱く懸念を払拭するための工夫が求められます。

候補者の情報を把握したうえでクロージングにおけるカウンタートークを用意しておきましょう。カウンタートークを設計する上では、採用上の他社比較も念頭に置くべきです。

条件面や市場競争における優位性など、なぜ自社を選ぶべきなのかについての情報を比較材料として持っておくと、他社との採用競争に負ける機会は減少していきます。コミュニケーションギャップへのしっかりとした対応は、内定辞退を回避するための欠かせない施策です。

BANTCHを考える

採用活動で、候補者本人が入社に前向きでも、家族など周囲の反対で内定を辞退するといったケースがあります。俗にいう「家族ブロック」です。

内定承諾における決裁者が家族やパートナーなど本人以外にも存在する場合に備え、企業は候補者だけでなく、その背後にまで想像力を働かせて情報を交換しておきましょう。そのために活用すべきなのがクロージングの「バントチャンネル(BANT+CH)です。

B(Budget:予算・条件)、A(Authority:決裁者・キーマン)、N(Needs:ニーズ)、T(Timing:タイミング)の4要素については、候補者とのコミュニケーションである程度対応可能です。一方、C(Competitor:競合相手)とH(Human Resources:候補者の周りの人全体)は企業側に対応できない点も多くあります。

しかし、「バントチャンネル(BANT+CH)」を意識して候補者とのコミュニケーションを図れば、有効な情報を事前に取得できるなど、採用活動の結果は自ずと変わってきます。内定辞退を回避するためには、「バントチャンネル(BANT+CH)」を活用しましょう。

エンプロイーサクセスを意識する

「採用活動は候補者を採用して終わり」ではありません。入社前段階も含め、入社後も続いていくプロセスであり、採用後の候補者とのコミュニケーションや成長が次の採用成功につながっていきます。

この考えの先にあるのが「エンプロイーサクセス(従業員の成功)」という発想です。エンプロイーサクセスについて、3つの点から説明します。

エンプロイーサクセスとは

デジタルマーケティングの世界に「カスタマーサクセス」という考え方があります。「カスタマー(Customer) = 顧客」の「サクセス(Success) = 成功」、つまり顧客の成功を助ける活動です。

カスタマーサクセスでは顧客に商品を提供する理由を「顧客が成功すること」と定義しています。顧客が成功すれば、商品の「提唱者」「応援者」となり、さらに周囲に商品を薦めてくれる存在になる(あるいは評判になる)という循環を期待しています。

カスタマーサクセスの考え方を従業員に適用させ、入社した社員のエンゲージメントを高めるための行動をエンプロイーサクセスと呼びます。従業員の成功に企業として貢献すれば、従業員のモチベーションや満足度が高まり、知り合いを紹介してくれやすくなる、ということです。

リファラル採用より広い意味で用いられ、社員が採用活動を応援してくれたり、評判を拡散してくれるまでを見込んでいるのが特徴です。

従業員満足度とエンプロイーサクセス

「エンプロイーサクセス」という言葉自体は以前から存在していましたが、一般的には馴染みがありませんでした。また、しばしば「従業員満足度(Employee Satisfaction)」と同義に捉えられがちでした。

では、エンプロイーサクセスと従業員満足度にはどのような違いがあるのでしょうか。

従業員満足度は、従業員の満足が企業の業績向上に寄与するという考え方のもと、マネジメントのあり方や仕組み、組織体制、職場環境の向上を目指します。対してエンプロイーサクセスは従業員満足度の要素も含みつつ、より個人の成長や成功への支援を適切に行うための取り組みを指しています。

具体的には、従業員のエンゲージメントを高め「社員が継続的に成果を出し、成果を出すことで成長を実感できる」ようにするのです。「継続的な成果」の要件は、成果を出すためのスキルと成長を実感するためのモチベーションに分けて考えられます。

スキルを高め、高いモチベーションを維持すれば、継続効果につながるのです。

従業員の成長を促す

社員が成長を実感できるよう、企業はどのように支援すべきなのでしょうか。まず、新しい環境に飛び込んだ人の精神がどう変化するかモデル化したエモーショナルサイクルカーブについて知っておきましょう。

入社したて、配属されたての時期に一番やる気が出て、一度大きく下がってから安定すると考えられています。やる気の変化を構造的要因と理解した上で、下がった後のモチベーションをいかに維持できるかが重要となります。

モチベーションの下げ幅を小さくするためには、上司がオンボーディングなどを活用し、モニタリングしながら社員と目線あわせをしていくのが効果的です。

また、仕事における「縦の関係」以外に、入社同期などのつながりを作る機会をセッティングし、困った際に一人で悩まない環境を構築しておくのも重要です。従業員の成長を促すためには、入社後の「体験」まできちんと設計しておく必要があります。

そして、目標設定や1on1を通じて定期的に個人のモチベーションや達成度、変化を把握します。採用して入社したあとの個人がどのような状態であるのかを確認できている組織を目指していきましょう。

Wantedlyの採用

候補者体験を重視する採用活動では、求職者に寄り添った情報発信を実践できるプラットフォームの選択が重要です。Wantedlyなら候補者体験を向上できる理由について、3つの点から説明します。

共感を生み出すコンテンツを発信できる

採用活動の入口とも言える企業からの情報発信において、Wantedlyなら候補者の共感を生み出せます。企業のトップページでは、「価値観」をWantedlyが設定した40以上の選択肢から最大で6つ選べ、それぞれについて詳細に語れるようになっています。

また事業について紹介できる「私たちについて」も特徴的です。「なにをやっているのか」「なぜやるのか」「どうやっているのか」の項目が用意されており、候補者が感じる事業の「なぜ」を中心に説明できるようになっています。

さらに自由なブログ記事であるストーリーなら、独自の魅力を発信できメンバーの魅力のほか文化や制度など企業の素顔を伝えられます。Wantedlyなら共感の醸成と候補者体験の向上が可能です。

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候補者体験に重要なカジュアル面談に対応している

候補者が企業とフラットに話せる場としてカジュアル面談の活用が広がっています。カジュアル面談は企業と候補者がお互いを理解するための機会であり、候補者体験の向上には欠かせない役割を担うようになっているためです。

Wantedlyなら募集ページに「話を聞きに行きたい」ボタンが用意されており、候補者が企業にカジュアル面談を申し込めます。カジュアル面談は候補者にとって、企業のビジョンや価値観、抱えている課題について飾らずに共有できる場です。

同時に企業にとっては間口の広いカジュアル面談によって優秀な人材と出会うチャンスとなります。Wantedlyなら、候補者体験の向上に不可欠なカジュアル面談を手軽に実現できます。

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インターンでコミュニケーションギャップを回避する

内定辞退につながる要因のひとつにコミュニケーションギャップがあります。候補者が企業の全体像を理解できていなかったり、自分の働く姿を想像できなかったりすることで内定を辞退してしまうケースです。

Wantedlyなら、コミュニケーションギャップの回避に効果的なインターンを募集できます。一定期間、社員と環境を共にすることで、コミュニケーションギャップの解消に役立つでしょう。

多くの企業が長期インターンの募集を掲載しており、追加費用も必要ありません。中途採用やフリーランス、副業など多様な就業形態に対応しているWantedlyなら、インターンの活用でコミュニケーションギャップの回避も可能です。

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まとめ

「フロー採用」から「ストック採用」への移行が進むにつれ、候補者との長期的な関係性の構築を重視する企業が増加しています。そこで注目を集めているのが「候補者体験」を向上させるためのさまざまな取組みです。

今回は「選考」「内定」「入社後」の各プロセスで候補者体験を高めるための手法を紹介しました。「ストック採用」の成功に必要な候補者体験について理解を深め、Wantedlyで次世代の採用活動を開始しましょう。

Wantedlyでは採用マーケティング(リクルートメント・マーケティング)をテーマに書籍を出版しています。より詳しく学びたい方や、事例についてさらに知りたい方はこちらもぜひご一読ください。

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