労働人口の減少などを理由に、採用活動の難易度は徐々に高くなっています。加えて選考のオンライン化が進み、自社の文化や雰囲気を伝えることも難しくなっています。
そんな中注目を集めているのが”採用広報”です。会社の発信に共感した求職者の入社を期待できるほか、入社前後のギャップを少なくできると即戦力として活躍する期待も強くなります。
一方で
「どのような採用広報が効果的なのかわからない」
「戦略を立てるなら、何からはじめればいいんだろう」
と悩んでいる担当者の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、採用広報に関する基本事項を確認した上で、採用広報の戦略の立て方や企業事例をご紹介します。
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採用広報とは
採用広報とは、企業が求職者に対して行う広報活動のことです。仕事内容・働き方・社風など、さまざまな企業情報を積極的に発信することで、自社で働くイメージをもってもらい、就職先・転職先として検討してもらうことを目的としています。
採用競争が激化している今、求人を出して応募を「待つ」だけでは採用成功できません。転職潜在層を含む多くの求職者に対して、積極的に企業の魅力をアピールしていく必要があります。
採用広報の重要性・メリットはこちらで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。
【参考】採用広報を成功させる3つのポイント|オススメ媒体・成功事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_pr/
採用広報の戦略の立て方【コンテンツ例あり】
採用広報では「誰に対して、どんな情報を、どのような手段で発信するか」が重要です。きちんと戦略を立て、もっとも効果的な手法で採用広報を進めましょう。
ここでは、採用広報の進め方を5ステップで解説します。各ステップのポイント・コンテンツ例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.採用広報の目的を決める
まず、「何のために情報発信するか」を決めましょう。採用広報の目的が曖昧なまま手当たり次第に情報発信しても、候補者の心に刺さらず、思ったような成果が得られない可能性があります。
たとえば、「認知度が低くて応募数が少ない」と悩んでいる企業が、社員インタビューなどの踏み込んだ内容を発信してもあまり効果は期待できません。まずはどんな企業なのか、ミッションや事業内容を知ってもらうことが重要です。
一方、「母集団形成には困っていないが、ミスマッチによる早期離職者が多い」と悩んでいる企業なら、ミッションや事業内容よりも、社員インタビューや福利厚生などの働き方に関する情報発信が効果的といえます。
もっとも解決したい採用課題は何か考え、採用広報における情報発信の軸を定めましょう。
2.「誰に、何を伝えたいか」決める
次に、「誰に向けて」「企業のどんな情報を発信するか」を決めていきます。
情報発信にあたり、「他社に勝るような魅力や独自性が思いつかない」と悩む方は多いかもしれません。しかしそれは、企業の魅力が無いのではなく、企業の魅力を上手く言語化できていないだけです。ぜひ以下の6項目をもとに、企業を構成する要素を洗い出してみましょう。
・市場(誰に対して価値を提供しているのか)
・事業(どのような手段で市場に価値を届けるのか)
・業務(事業を成功させるため、どんな仕事をしているのか)
・人(業務を遂行するために、どんな人が必要とされているのか)
・文化(人が集まることによって、どんな文化が形成されているか)
・制度(文化を維持するために、どんな制度が設けられているか)
上記の項目を整理してみると、「誰に」「何を」発信すべきかが見えてきます。以下の例を参考にしながら、「誰に対して、自社のどんな魅力を発信すべきか」考えてみましょう。
例1)コンサルティング会社
・市場:事業課題や経営課題を抱えている企業
・事業:BtoBのコンサルティング事業(ITシステム導入による業務改善・課題解決)
・業務:事業課題のヒアリング・戦略立案・システムの運用および実装
・人:成長意欲が高い人材が多い
・文化:基本的に個人主義で、合理性を大事にする
・制度:個人の成長を支援する制度がある誰に?:成長意欲・論理的思考力が高い人材
何を?:個人の成長を支援する制度・合理的な社風
例2)食品会社
・市場:家で食事をする個人
・事業:魚肉加工製品の生産販売
・業務:市場調査・商品企画・研究開発・量販店への営業
・人:良いものをつくって人々に届けたいという思いが強い
・文化:消費者を最優先に考える風土がある
・制度:社員が働きやすい環境づくりを大切にしている誰に?:社会貢献意欲・周囲と連携して仕事を進める能力が高い人材
何を?:製品のこだわりや、製品に対する従業員の想い
3.具体的なコンテンツを企画する
続いて、1〜2の内容をもとに具体的なコンテンツを考えていきましょう。
コンテンツの例としては、以下の12パターンが挙げられます。もっとも解決したい採用課題は何か、そして「誰に、何を伝えたいか」を意識したうえで、適切なコンテンツを選択しましょう。
認知度・志望度を上げたい | ミスマッチを減らしたい |
・ミッションやビジョンの紹介 ・製品やサービスに対する想い ・採用動画(事業内容の紹介・オフィスツアーなど) ・数字で見る◯◯(売上高・有給取得率などを数値やグラフで紹介) ・代表メッセージ | ・社員インタビュー ・1日の流れ ・オフィス風景 ・福利厚生の紹介 ・研修制度やキャリアパスの紹介 ・社員座談会(社員同士の対話を書き起こしたコンテンツまたは動画) ・よくある質問(FAQ) |
【参考】社員のインタビューを成功させるための質問とは?取材・執筆ノウハウも解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/employee_interview_questions/
「よくある質問」の内容は、内定者や若手社員へのヒアリングをもとに決めるのがオススメです。応募〜入社までどんな疑問や不安を抱えていたか、複数名にアンケートを取ってみましょう。
また、実際に採用広報に成功した企業が「効果があった」と実感しているコンテンツはこちらで紹介しています。ぜひあわせてご確認ください。
4.発信する方法を決める
次に、どのようにコンテンツを発信していくか、採用広報の手法(媒体)を決めましょう。採用広報の手法としては、次の6つが挙げられます。
1.SNS(Twitter・Instagram・Facebookなど)
2.ブログ(Wantedly・noteなど)
3.オウンドメディア
4.採用イベント・ミートアップ
5.企業説明会資料
6.採用動画
SNSは、無料かつ日常的に利用するツールのため、もっとも手軽にはじめられる手法です。一方、ブログ・オウンドメディアはコンテンツ制作に時間を要するものの、情報の蓄積・ブランディング効果が強みといえます。
手法によって特色が異なるため、「自社の求める人材にリーチできるか」「運用・管理しやすいか」を考慮したうえで適切な媒体を選ぶようにしましょう。各手法の詳細はこちらで解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。
【参考】採用広報の手法6選|期待できる効果と成功のコツを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/public_relations/
なおWantedlyでは、フォーマットに沿って画像・文章を作成するだけで簡単にモダンな採用ページを作れます。ミッション・カルチャー・社員紹介など、自由に企業情報を発信できるうえに、作成したページは高い確率でGoogle検索の1ページ目に表示されるため、SEO施策に頭を抱える必要はありません。
Wantedlyでできることや具体的な料金は以下のサービス資料にまとめています。ぜひ一度確認してみてください。
5.KPIを設定する
最後に、採用広報のKPIを設定しましょう。
採用広報の目標は、認知度向上・企業理解の促進など、定性的なうえに効果が実感できるまで時間がかかります。定量的な目標となるKPIを設定することで、モチベーションを維持しつつ、適切な効果検証ができるようにしましょう。
採用広報におけるKPIの例としては、次の8つが挙げられます。
長期目標:採用活動全体のKPI
・応募数(認知度)
・選考通過率(母集団の質)
・内定承諾率(志望度)
・入社後の定着率(企業理解度)短期目標:メディアとしてのKPI
・採用広報記事のPV数
・採用広報動画の視聴数
・SNSのインプレッション(表示回数)
・SNSのエンゲージメント(フォロワー数やプロフィールアクセス数など)
KPIが長期目標のみだと、効果検証が難しく、なかなか成果が実感できないことからモチベーションが下がってしまう恐れがあります。長期目標・短期目標のどちらも必ず設定し、PDCAサイクルを回すことで、発信方法やコンテンツを定期的に見直していきましょう。
採用活動におけるKPIの設定方法は、こちらで詳しく解説しています。ぜひあわせてご確認ください。
【参考】採用KPIの設定方法4ステップ|項目例や運用のポイントも解説https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/kpi/
採用広報のトレンド【新卒・中途別】
近年の求職者は、どのような企業情報を求めているのでしょうか。新卒・中途別に、求職者の傾向やトレンドを解説します。
新卒採用は「わかりやすさ」がカギ
HR総研では、「学生が選ぶ印象のよかった採用ホームページTOP20」を公表しています。アンケート結果を見ると、学生からは以下の特徴をもつ採用サイトが支持されているようです。
学生から好評な採用サイトの特徴
・シンプルでわかりやすいデザイン・UIで、必要な情報がしっかり整理されている
・社員紹介ページが多く、キャリアのイメージがしやすい
・社員の人柄や仕事のやりがいが伝わってくる
一方、以下の特徴をもつ採用サイトは不評のようです。
学生から不評な採用サイトの特徴
・デザイン・UIが煩雑で、求めている情報になかなかたどり着けない
・福利厚生の紹介がメインで、実際の働き方や仕事内容がわからない
・情報量が多すぎて、伝えたいことがわからない
学生の心をつかもうとするあまり、デザインやインパクトを重視する企業は多いかもしれません。しかし、実際に学生が求めているのは「情報の場所のわかりやすさ」や「仕事内容・社風に関する情報」です。
サイトデザインやアニメーションにコストをかけるよりも、学生のニーズを正しく理解し、自社の働き方や魅力が伝わるようコンテンツを洗練させたほうが効果的でしょう。
引用:第128回 2022卒学生が選ぶ印象の良かった「採用ホームページ」と「インターンシップ」
なお、「自社の魅力がわからない」「どんな情報を発信したらよいかわからない」と悩んでいる方は、以下の記事をご確認ください。視点や切り口を変えることで、自社ならではの魅力や価値を見つけられるでしょう。
【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook
中途採用は「仕事内容」がもっとも重要
株式会社ONEの調査によると、20代〜30代の求職者が採用サイトでもっとも知りたい情報は「仕事内容」。次いで、「企業情報」「福利厚生」に関する情報が求められています。
したがって新卒採用と同様に、中途採用の場合も具体的な仕事内容や働き方に関するコンテンツを充実させるとよいでしょう。
また、ウォンテッドリー株式会社が独自に行った調査によると、近年ではパーパス(企業の存在目的や社会的意義)を重視する求職者が増えています。
したがって、「何のために(ミッション)、どのようなゴールを目指しているか(ビジョン)」も積極的に発信するとよいでしょう。
【参考】ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/pr_purpose/
採用動画は「インタラクティブ動画」がトレンド
新卒採用・中途採用ともに、採用動画では動画内にクリック要素があり、視聴者の選択によってシナリオが分岐する「インタラクティブ動画」がトレンドです。
インタラクティブ(Interactive)とは「対話型・双方向型」という意味。視聴者のアクションが動画コンテンツに反映されることで、企業と視聴者(候補者)の双方向のコミュニケーションが実現します。
従来の「視聴するだけ」の動画と違い、参加型で「最後まで飽きずに楽しく視聴できる」のがインタラクティブ動画のメリットです。通常の動画よりも制作コストはかかりますが、企業理解の促進・エンゲージメント向上には非常に有効でしょう。
【参考】採用動画の最新トレンド|制作のコツ・注意点も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/movie_trend/
採用広報の成功事例3選
最後に、採用広報で成果をあげている企業事例を3社ご紹介します。ぜひ各社の手法やコンテンツを参考にしてみてください。
1.株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードは、Wantedlyのブログ機能「ストーリー」を活用し、年間30本以上の記事を投稿しています。
コンテンツは、社員インタビュー・役員メッセージ・イベントレポートなど。同社の様子を月ごとにまとめた「月刊マネーフォワード」のような独自コンテンツもあります。
また同社は、「Wantedlyのフォロワー数」を採用広報のKPIとして設定。「Wantedlyのフォロワー数=自社に興味をもっている候補者数」であるため、自社のファン・応募を検討してくれる候補者をいかに増やすかを常に意識して情報発信しています。
【参考】マネーフォワードが語る採用広報の本質と体制の作り方
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/eventreport_20210224
2.JPYC株式会社(旧:日本暗号資産市場株式会社)
JPYC株式会社は、Wantedlyのブログ機能「ストーリー」を活用したことで、1ヶ月あたりの応募数が3名から40名まで急増しました。
同社が成功した要因は、採用ブログの「継続運用」です。「軽めの記事でよいので、週1回は必ず更新すること」「Twitter・Facebookで記事を拡散すること」を徹底し、常に候補者視点での情報発信を心掛けています。
【参考】応募数を5倍にした、急成長スタートアップの採用広報の秘訣https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/recruit_branding_01/
3.and factory株式会社
and factory株式会社は、母集団形成だけでなく、選考中の意向上げも目的として採用広報に取り組んでいます。
コンテンツは、代表メッセージ・社員インタビュー・オフィス風景・福利厚生など。社内メンバーの交流を目的としたボルダリング部の活動レポートも公開し、活気あふれる社員の様子がよくわかる記事を数多く投稿しています。
また、人材紹介会社と求める人物像のすり合わせをする際にブログ記事を活用。社員インタビュー記事を先方に読んでもらうことで、採用ペルソナの具体化・コミュニケーションの効率化に成功しています。
▶and factory社の採用広報施策を無料ダウンロードする
まとめ
採用広報は、効果が出るまで継続的な努力が必須です。はじめたばかりの頃は、目に見える結果が出ず、辞めたくなる時もあるでしょう。そのため、ある程度の期間を決めて運用を続けていくのがオススメです。
3ヶ月、半年、1年など、設定した目標やゴールGOAL達成が現実的に可能な期間を設定しましょう。
モチベーション維持に加え、設定した期間から逆算をして、攻めた戦略を実行することも可能となります。
気軽にはじめられる採用広報だからこそ、しっかり戦略を立て、継続的な発信を行えるようにしていきましょう。