採用活動が上手くいかず、人材の獲得に悩む企業は少なくありません。また、面接を重ねることで、企業と候補者がお互いの理解を深めることはできますが、優秀な人材を囲い込むことや入社後のミスマッチを100%防ぐことは困難です。
そんな採用活動を効果的に行う方法として『リクルーター制度』があります。
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リクルーター制度とは
リクルーター制度とは、採用担当者ではない主に現場で業務にあたる社員が採用活動を行う採用方式です。採用活動を行う社員をリクルーターと呼びますが、通常の業務と兼任して採用活動を担う社員を意味する場合が多いです。
リクルーターは、求職者に直接アプローチしてコミュニケーションをとったり、ときには入社までの手引きを行うこともあります。カフェや大学内で面談・相談を行うことが多いため、面接会場や企業の会議室で感じるような堅苦しい雰囲気の中ではなく、話しやすい状況で対話できることがもっとも大きな特徴でしょう。
通常の採用面接や企業説明会といった形式ではヒアリングできなかった求職者の本音や、公の場では聞けないような社員のリアルな声を伝えられることで、お互いの理解を深めやすくなります。
リクルーター制度の目的
リクルーター制度の主な目的は以下の4つです。
- 志望度の高い候補者を集める
- 企業理解の促進する
- 内定者の辞退を防止する
- 入社後のミスマッチを防ぐ
採用競争が激化する昨今、企業にとって優秀な人材と出会うことが難しくなっているだけではなく、内定後の辞退を減らし、入社後のミスマッチを防ぐことも引き続き課題となります。
リクルーター制度は攻めの採用活動です。企業側から積極的に求職者にアプローチできることで上記に挙げた4つの目的を達成します。
1.志望度の高い候補者を集める
内定をもらうことが就職活動のゴールになってしまっている就活生も珍しくないでしょう。企業側も説明会参加の段階で一人ひとりに詳しい話をすることは現実的ではないため、企業説明会のように1対多数で大まかな説明をせざるを得ません。
さらに、企業説明会には企業に興味がある学生だけではなく、参加してみて興味のほどを確かめる学生も大勢参加します。つまり、参加の間口を広く設ける代わりに、志望度が高くない人材も集まりやすくなります。
しかし、予定人数を採用したいからといって、興味が薄い人材まで採用するわけにはいきません。
リクルーター制度は、リクルーター自らが出身大学に赴いて企業説明を行ったり、挨拶訪問をします。ときには就活生の相談にのったり、面談で入社後のイメージをつけてもらうために実際の業務内容や企業のビジョン・ミッションを細かく伝えることで、一貫して志望度の高い学生を集めやすくなります。
2.企業に対する理解を促進する
優秀な人材とは、企業が求める職務を全うするだけではなく、ビジョン・ミッションに共感し、目指す方向にともに向かえる人です。そのためにもっとも重要となるのは、”企業のことをどこまで理解してもらえるか”です。
面接は候補者の適性を図るために行われると思われがちですが、候補者にとってその企業が適正かどうかを見極めるための機会でもあります。一方的に、候補者の適性を図るだけでは、入社後すぐ離職してしまう可能性があります。候補者のことを“理解したつもりになっている”場合も同様です。
そのため入社後のギャップをなくすためには、企業が目指すことや、そのために実践していることがどれだけ伝わるか?が大切です。募集要項で目にしやすい「給与」や「福利厚生」も重要ではありますが、それだけではニーズは合致しないでしょう。
リクルーターはまさにそのニーズを埋める役割を持ちます。形式ばった場では聞けないようなことも、リクルーターが作る環境次第で候補者が話しやすい場を提供できます。
3.内定者の辞退を防止する
株式会社リクルートの就職みらい研究所が調査した結果によると、2022年卒の就活生における12月時点での内定辞退率は62.4%。直近3年間でみても平均60%を超えており、半数以上の学生が内定辞退を選択していることがわかります。
年度 | 12月1日時点 | 3月卒業時点 |
---|---|---|
2022年卒 | 62.4% | – |
2021年卒 | 60.9% | 57.5% |
2020年卒 | 65,2% | 66.9% |
引用:就職プロセス調査 (2022年卒)リクルートより抜粋
多くは複数社から内定を得て、そのうち第一希望以外の企業からの内定を辞退しているものです。就活に対する一般的な認識から言えばめずらしいことではありませんが、採用する側からすれば望ましいことではありません。
採用コストを下げるためにも、志望度が高い人材だけを入社に導くことが大切です。そのためにリクルーターが直接学生にアプローチし、志望度を確かめながら採用活動を行います。
4.入社後のミスマッチを防ぐ
厚生労働省の調査によると、新卒で入社した社員の3年以内離職率は以下のとおり。企業の規模によってばらつきはありますが、平均すると約41%となっており、2人に1人が3年以内に離職していることがわかります。
事業所規模 | 高校 | 大学 |
---|---|---|
5人未満 | 61.9%(▲1.1P) | 56.3%(+0.2P) |
5~29人 | 52.8%(▲2.8P) | 49.4%(▲1.7P) |
30~99人 | 44.1%(▲2.4P) | 39.1%(▲1.0P) |
100~499人 | 35.9%(▲2.2P) | 31.8%(▲1.2P) |
500~999人 | 30.0%(▲2.5P) | 28.9%(▲1.0P) |
1,000人以上 | 25.6%(▲1.8P) | 24.7%(▲1.8P) |
引用:新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率(厚生労働省)
企業規模が大きくなるほど、新卒一括採用を行うケースが多くなるため、前述したミスマッチが起こりやすくなります。対して、企業規模が小さいほど採用人数も限られるため、応対する候補者の数も限定されるでしょう。そのため、One to Oneのコミュニケーションが取りやすく、離職を防ぐためのアクションを講じやすくなります。
言い換えれば、候補者一人ひとりとのコミュニケーションが入社後のミスマッチを防ぐために大切であり、リクルーター制度を適切に運用できれば効果的な採用が可能になります。
リクルーター制度のメリット
リクルーター制度の主なメリットは以下の3つです。
1.企業にマッチした人材を獲得しやすい
リクルーターは面接官ではなく、どちらかといえばメンターに近い存在です。活動の目的は企業に入社してもらうことですが、入社をゴールとせず、入社後の活躍までを見据えて採用活動を行います。
現場のリアルを伝えられることで、具体的な業務内容を把握したうえで入社を決めてもらうことが可能です。
2.早期から優秀な人材を囲い込める
リクルーターによる採用活動は就職活動解禁となる3月より前に行っても問題ないため、早期から優秀な人材をピックアップし、直接アプローチすることが可能です。
早期から就職活動をはじめる学生の多くはインターンシップなどに参加しますが、他社の情報を得るよりも先に、リクルーターが企業のPRを積極的に行えば就職先の候補として検討されやすくなるでしょう。
3.就活動向の変化に対応できる
前述の通り、リクルーターは就活生との距離が近い存在です。そのため、就活の動向やトレンドの変化を把握しやすくなります。
企業からの一方的なアプローチでは知りえなかった、就活生のリアルを知れることもリクルーター制度のメリットです。
リクルーター制度のデメリット
リクルーター制度の主なデメリットは以下の2つです。
1.アプローチの範囲が限定される
リクルーターは直接のリクルーティングを行うため、企業説明会のように大勢を対象にできません。基本的にはリクルーターの出身大学に赴いてPRするため、採用活動の規模は限定されます。
2.リクルーターの業務負荷が高まる
リクルーターは、実際に現場の業務に携わる社員が選ばれます。たとえば営業部に所属している社員がリクルーターになった場合、通常業務である営業活動に加えて採用活動も行わなければなりません。業務負荷が高まることで、どちらの活動にも影響をおよぼす可能性は否定できません。
リクルーターに選ばれる人
リクルーターは、新卒で入社した入社3年目までの社員が選ばれやすいです。就活生との年齢が近いことや、自身の就職活動の経験が直近にあることで、近い目線で話しやすいためです。
また、企業のマイナスプロモーションにならないよう、勤務態度や人格に問題がないかも選出の条件になります。「過度な接触を受けた」「内定をネタにセクハラを受けた」など、過去にリクルーターによる悪質な行為が問題になったケースもあります。
たとえば、深夜や早朝にLINEで過度に連絡するなど、アプローチの仕方を間違えてはいけません。
リクルーターに選ばれる人は、なによりも誠実でなければなりません。
リクルーターの仕事内容
リクルーターの主な仕事内容は以下の3つです。
1.OB・OG訪問の対応
OB・OG訪問とは、同じ学校の卒業生が志望する企業に勤めている場合、その社員にコンタクトをとり企業のことを質問・相談することです。リクルーターは訪問した学生の対応を任されることがあります。
2.説明会・セミナーの登壇
自身が卒業した学校で行われるイベントや説明会などに登壇するなど、企業のプロモーション活動を行います。イベントに参加した学生からの質問や相談に応えることも役割のひとつです。
3.就活生のフォローアップ
就活中の学生だけではなく、内定者に対するフォローアップも行います。学生と面談したり、メールやチャットで相談にのったりと、フォローの仕方はさまざまです。
リクルーター制度の導入フロー
リクルーター制度の導入フローは以下の工程にわかれます。
- リクルーター制度を構築する
- リクルーターを選定する
- リクルーターを育成する
1.リクルーター制度を構築する
リクルーター制度を構築するためには、リクルーターによる採用人数やスケジュール、選出された社員の研修・管理などルールを定めなければいけません。
採用担当者を中心に、通常の採用活動との棲み分けや、獲得したい人材とリクルーターの選出条件などを固めます。
2.リクルーターを選定する
リクルーターを選出するにあたり、選出された社員の部署と協議して業務の調整などを行います。通常業務にプラスして採用活動も行わなければならないため、部門長との調整は必須です。
また、日々の業務内容を知っている上長や社員から候補者の人格などをヒアリングし、リクルーターとして相応しいかどうかを検討します。
3.リクルーターを育成する
リクルーターに選出された社員は採用活動の経験者ではないことが多いため、リクルーター用の研修を行う企業もあります。学生への接し方や連絡の仕方、PRすべき内容や進行管理など、取り決めする項目は企業によって異なります。
リクルーター個人の判断に任せる部分が多いと、採用活動の品質を保てなくなるリスクもあるので注意が必要です。あらかじめ評価者を定め、リクルーターへの適切なフィードバックを行える体制も構築しましょう。
リクルーター制度を導入する際の注意点
リクルーターと就活生とのコミュニケーションも大切ですが、リクルーターと企業間での進捗確認も怠ってはいけません。採用経験が豊富ではないリクルーター自身が進め方に悩んでしまうケースもあり、それが通常の業務に悪影響をおよぼす可能性も懸念されます。
企業はリクルーターをフォローアップする体制を組み、他のリクルーターとの情報交換や、採用担当者との面談など仕組化してから制度を開始しましょう。
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まとめ
リクルーター制度は、従来の採用活動と比較すると“狭く深く”アプローチするやり方です。年々働き方の多様化が進む、時代のトレンドにマッチした方法といえるでしょう。
とくに、離職率が高くて人材の確保に困っている企業や、志望度が高い候補者になかなか出会えない企業にとっては有効な採用方法になります。優秀な人材を獲得したいと願う企業は、リクルーター制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。