「なかなか内定者が出ない。入社しても離職率が高い。」「面接官によって大きく評価が異なり困っている。」このようなお悩みを持つ人事担当者の方、多いのではないでしょうか。
本記事では、ミスマッチを防ぎ、採用活動を最適化させる採用基準について、設定すべき項目や具体的な手順を解説しています。
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採用基準の重要性
採用基準とは、候補者の採用可否を判断する指標のこと。評価基準とも呼ばれます。
採用基準が曖昧だと、以下の問題が発生してしまいます。ひとつでも該当する場合は、採用基準の見直しが必須です。
・選考通過率が悪く、なかなか内定者が出ない
・面接官によって評価尺度が異なり、選考に一貫性がない
・採用のミスマッチが発生し、早期離職率が高い
採用基準を明確にすることで得られる3つのメリット
採用基準を正しく設定できれば、以下の3つのメリットが得られます。
1.ミスマッチ防止
採用基準を正しく定められれば、自社で活躍できるポテンシャルをもつ人材が不採用になったり、内定辞退や早期離職につながるミスマッチが生じたりするリスクを減らせます。
また採用基準が明確なら、面接官が複数名いる場合でも、一貫性のある公平な評価が可能となります。
2.選考プロセスの最適化
採用基準の設定項目をもとに、どのような選考内容なら正しく評価できるか、どのような質問をすれば候補者の適性を見極められるか考えていくことで、選考プロセスを最適化できます。
無駄な選考が減ったり、時間をかけるべきフェーズがわかったりするため、採用活動の効率化も期待できます。
3.採用チャネルの見直し
採用基準の設定は、求める人材像の解像度を上げ、採用戦略そのものを再検討するきっかけになります。欲しい人材像を明確にすることで、自社に適した採用チャネルを選択できるようになるでしょう。
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採用基準の3要素
採用基準は主に「知識・スキル」、「思考特性・行動特性」、「人格」の3つに分けられます。
1.知識・スキル
学力、資格、知識、コミュニケーション力など、候補者が後天的に身に着けてきたものを指します。勉強やトレーニングを積むことで習得できるものが多く、「顕在能力」とも呼ばれます。
顕在能力とは第三者から見てもわかる一般的な能力のことです。候補者自身も強みとして自覚していることが多く、評価基準を明確にしていれば選考で見極めることは難しくありません。
2.思考特性・行動特性
思考の傾向や行動パターンなど、「人物タイプ」とも呼ばれる人の特性です。
知識やスキルほど直接的には測れないものの、適性検査などである程度測ることができます。
3.人格(動機・価値観・思想)
動機、価値観、信念など、幼少期からの経験や家庭環境によって形成されるものや、先天的な資質や才能などもここに含まれます。
行動特性よりもさらに深いところで個人の判断や行動を決定づけるもので、何かを達成しようとする際の「意欲の源」です。
これらの要素は「潜在能力」とも呼ばれ、候補者自身も無意識である場合が多く、第三者から見えづらいため意識して評価項目に組み込む必要があります。
過去の経験や今後のビジョンなどの具体的な質問や、仕事をする目的や意義である「仕事観」を聞くことで、候補者の行動の動機付けが何にあるのかを確認するとよいでしょう。
基準設定の3つの手順
採用基準はどのように設定すればよいのでしょうか。具体的なステップを解説します。
STEP1.欲しい人材像の明確化
まずは、どのような人材が欲しいのかを明確にしましょう。その際、「事業計画、現場ヒアリング、コンピテンシー」この3つの視点から人材像を掘り下げていくことをおすすめします。
①募集背景の確認
なぜ採用を行うのか、採用の目的を確認しましょう。採用活動の目的は、大きく次の2つに分けられます。
・企業目標や経営戦略を実現するため
・企業や組織を活性化させるため
採用活動は事業戦略の一部です。自社のどのような課題解決のために、どのような人材がいつまでに必要なのかを明確にしましょう。
②現場ヒアリング
採用ポジションのチームメンバーにヒアリングを行います。ヒアリングの際は、業務遂行に必要な具体的な知識やスキルを中心に情報収集を行います。また、NEGATIVE(不適切・不十分)な要件についてもヒアリングをしてみましょう。
③コンピテンシー
コンピテンシーとは、ハイパフォーマーに共通する行動特性のことです。活躍している社員の行動特性を明確にすることで、どのような人物が自社に向いているのかを洗い出すことができます。
<コンピテンシーモデルの抽出方法>
1)業務遂行能力の高い社員にヒアリングを行う
2)高い業績を出すために「何を行動したか」ではなく「どう思考したか」を洗い出す
3)欲しいポジション(業種・役職)において必要なコンピテンシーを選定する
コンピテンシー例
課題解決:創造的思考、課題分析力、ビジョン構築力、情報収集力、課題解決力
計画策定:企画力、組織構築力
実行 :迅速性、達成思考、決断力
人間関係:リーダーシップ、チームワーク、コーチング
個人 :対人感受性、ストレス耐性、柔軟性、自己管理、組織コミットメント
STEP2.評価項目を設定する
欲しい人材像を明確にできたら、次に市況感に合わせて評価項目を絞っていきます。評価項目は多ければ良いというものではありません。
「評価項目が多すぎて選考で見極めるのが大変。採用できる人がいなくなってしまった…」ということのないよう、優先順位を付けて項目を設定する必要があります。
まずは、オンボーディングや社内の教育体制がどのくらい整っているかを確認しましょう。次に、入社後に培えるスキル(WANT:歓迎項目)とそうでないスキル(MUST:必須項目)に選別したうえで、各項目に優先順位を付ければ完成です。
なお、どのような項目を評価基準に入れるべきか分からない場合は、経済産業省の「人生100年時代の社会人基礎力」を参考に設定すると良いでしょう。
<社会人基礎力>
・前に踏み出す力(アクション)
・主体性:物事に進んで取り組む力
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
・実行力:目的を設定し確実に行動する力
・考え抜く力(シンキング)
・課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
・創造力:新しい価値を生み出す力
・チームで働く力(チームワーク)
・発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
・状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性:社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
参照:経済産業省 産業人材政策室「人生100年時代の社会人基礎力について」 平成30年2月
STEP3.評価基準を定める
評価項目が決まったら、評価尺度の明確化を行います。ミスマッチを引き起こす原因のひとつは、曖昧な評価尺度にあります。
一般的な評価方法は、項目に対し【(不足)1・2・3・4・5(満たしている)】と、数字で評価を行います。各数字の評価レベルを明確にできていない場合、面接官の主観による評価となりミスマッチが発生するのです。
その対策として、「ルーブリック評価」を紹介します。
ルーブリック評価は、主に米国で学習評価のために用いられている評価方法のひとつです。
評価の段階・レベルに対して「どのような内容を満たしていればよいか」を明確に記述するので、多様な項目を定量的に評価することに適しています。
<ルーブリック評価のサンプル>
・自社への共感性(志望動機や入社後のビジョンについて評価)
レベル1:志望動機や入社後のビジョンについて話すことができる
レベル2:志望動機や入社後のビジョンについて、自身の価値観をふまえながら伝えることができる
レベル3:自社ビジョンにマッチした形で、志望動機や自身のキャリアを明瞭に語ることができる
・主体性(積極性や能動的アクションについて評価)
レベル1:これまでの自身の取り組みについて語ることができる
レベル2:これまでのコミットメントに対し、独自の視点・解釈が持てている
レベル3:これまで培った能力・経験を分析し、自社で再現しようという積極的なビジョンが見られる
・人間関係構築力(チームワークやマネジメント力について評価)
レベル1:誠実にコミュニケーションをとることができる
レベル2:傾聴・共感の姿勢がみてとれ、話を盛り上げることができる
レベル3:相手に気づきを促し、共通の目的を見いだすための工夫ができる
採用基準設定の注意点
採用基準は社外に公表するものではないため、基本的には人材選定を目的に自由に作成すればよいと言えます。しかし、本人に責任のない事項や本来自由である事項については、不公平性を招くため、避ける必要があるでしょう。
厚生労働省は、公正な選考の基本として「応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力に基づいて行うこと」と定めています。
性差や人種など、就職差別に繋がる事項を評価基準に適用しないように注意しましょう。
応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。
本人に責任のない事項
・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること
・住宅状況に関すること
・生活環境・家庭環境などに関すること
本来自由であるべき事項
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
面接で候補者を見極める方法
それでは最後に、実際の面接で自社に合った候補者を見極めるためのポイントを解説します。
スキルマッチを見極める
履歴書や職務経歴書からスキル・経験の事実を引き出す質問を行った後、自社での再現性を問います。
候補者のこれまでの経験が、自社での仕事内容・ポジションに適合するかという視点で問い立てを行いましょう。
<体験の引き出し方>
・もともとあった課題と目標
・目標の達成度(=成果)
・チーム内の役割、個人のミッション
・成果を出すために主体的に取り組んだこと
・その成功体験で得た経験やスキルを自社で再現できるか
カルチャーフィットを見極める
候補者選定において、自社の社風や価値観にマッチするか否かという点も抑えておきましょう。
「採用基準の3要素」で解説した通り、人の価値観や思想は候補者自身も自覚していないことが多く、第三者が把握することは容易ではありません。
候補者の仕事観を丁寧にヒアリングしながら、候補者が気づいていなかった働く目的や価値観を整理し、一緒に言語化していく姿勢が大切です。
<質問例>
・会社選びで何を重視しますか。
・当社に入社して得たいスキルや経験は何ですか。
・〇〇できる仕事は他にもありますが、なぜ自社に興味を持たれましたか。
・当社で活躍している人材について、どのようなイメージを持たれていますか。
・前職/現職での不満や課題(働き方・仕事・将来性・人間関係など)は何ですか。
・仕事に限らず、継続してに学んでいること、勉強していることはありますか。
・働く上でモチベーションを上げる/下げるものは何ですか。
・どのようなマネジメント(管理・評価)方法が、あなたのベストパフォーマンスを引き出すと思いますか。
まとめ
採用基準は、選考の公平性や一貫性を担保するために欠かせない指標です。評価ブレによるミスマッチを防ぐだけでなく、採用活動を最適化してくれるアイテムでもあります。
採用基準を設定する際は、知識やスキルなどの定量面だけでなく、価値観・思考などの定性面も明確に定めることが重要です。
自社オリジナルの採用基準を作成し、欲しい人材を確実に獲得していきましょう。