採用フローの改善法|新卒・中途別に基本パターンを解説

採用フローを作成すれば、自社が求める人材をよりスムーズに採用しやすくなります。

ただ、そもそも採用フローとは何かや作り方が分からない場合や、新卒・中途のどちらにも同じ採用フローを用いている場合も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、採用フローの基本から新卒と中途の違いを主要パターン別に解説します。

さらに、採用フローを改善する際のポイントや具体的事例も紹介しますので、最後までご覧ください。

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採用フローとは

採用フローとは、募集、選考、内定そして入社と進んでいく採用活動における一連の流れを指します。具体的には下記のように、募集から内定までに行うことを矢印でつなぎ、チャート化して運用します。

募集 → 会社説明会(新卒のみ) →  書類選考 →  筆記試験・適性テスト → 面接(集団・個別) → 最終面接 → 内定

なお、採用プロセスとの厳密な違いはありません。

「採用フロー」は採用活動全体の流れに対して使う場合が多く、「採用プロセス」は採用活動の各過程それぞれに注目して述べる際に用いると考えればよいでしょう。

採用フローをチャート化しておくと採用担当者が選考の進捗状況を把握しやすいため、多くの企業が取り入れています。

しかし、採用活動の流れは新卒や中途、また職種や職位、それに採用する人数によって変更を伴いがちです。

企業側の人材が不足しているなど採用フローを簡略化した選考プロセスを求める声が社内から出ることもあるでしょう。

採用フロー通りに進まないケースが多い場合には、採用フローを見直すことで採用活動の最適化をはかるべきといえます。

採用フローの構成要素

採用フローは3つの段階に分けて考えることができます。

「募集・応募段階」と「選考段階」、そして「内定・フォロー段階」です。

各段階に含まれる採用フローの構成要素は以下の通りで、企業によって採用フローに取り入れる要素はさまざまです。

募集・応募段階

母集団を形成するための段階で、採用広報や採用広告、会社説明会などが含まれます。

ダイレクトリクルーティングにおけるターゲット人材の選定やカジュアル面談も、募集・応募段階を構成する採用フローの要素に位置づけることができます。

選考段階

候補者をふるいわけるための書類選考や筆記試験、面接などが含まれます。

書類選考はエントリーシート、履歴書、職務経歴書などから構成され、筆記試験には一般教養試験、職業適性テスト、性格特性テストなどがあります。

面接も一次面接、二次面接、最終面接と複数回あるほか、場合によってはグループディスカッションやグループワークが取り入れられるケースもみられます。

内定・フォロー段階

内定を出した候補者が入社するまでの間、フォローアップする段階です。

内定・フォロー段階を構成する要素は企業ごとにさまざまで、内定者研修や社員との懇親会をふくむイベントなど、内定者とのコンタクトを続けるための施策を行なっています。

これからの採用で変化するフロー

前章でご紹介した採用フローは、応募書類の提出を通じた候補者側への負担を前提に組み立てられています。しかし情報技術の発達によってあらゆる分野で効率化が進んだため、人々は気軽で負担の少ない選択肢を好むようになっているのも事実です。

就職や転職活動においても同じであり、候補者はエントリーシートや職務経歴書の作成を伴わない「ソフトな選考」への関心を高めています。応募に伴う大きな労力の負担がなく、企業の話を聞いて自分のキャリアを語る程度の「ソフトな選考」であれば応じてもいい、という候補者が増えてきたのです。

ソフトな選考を踏まえた採用フローやこれからの採用の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか【採用の新常識】https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_2

採用フローを作るメリット

採用フローを定めておくメリットは2つあります。

採用進捗の可視化

1つは採用担当者と社内の関係者が採用業務について進捗を共有できることです。

採用担当者だけでなく、経営陣や各部門と情報を共有することで採用活動における認識の統一をはかることができます。

そのため、部門間で連携が必要になった際にスムーズな対応が可能となるのです。

採用課題の把握

採用フローにはもう1つ、採用活動の質を改善する上で役立つというメリットがあります。

採用活動は常に成功するわけではありません。

問題が発生した時や採用活動が失敗に終わった時、どのプロセスに原因があったのかを採用フローに照らして分析することができるためです。

採用フローの見直しを繰り返すことで、採用活動の質を高めていくことができるのです。

採用フローにおける新卒と中途の違い

採用フローにおいて新卒採用と中途採用では、以下のような違いがあります。

・新卒採用は会社説明会を開催するが、中途採用は面接時に会社説明を行なう場合が多い

・新卒採用は多くの候補者を選考するため筆記試験や集団面接など多様な選考方法が用いるが、中途採用は個人面接が中心

・新卒採用はポテンシャルを見極めるため比較的長期に及ぶが、中途採用はスキル採用のため短期で完了する場合が多い

・新卒採用の対象は中長期的な視点で将来性を期待できる人材、中途採用の対象は欠員補充や事業拡大要員として即戦力となるキャリア人材

このように新卒採用と中途採用には複数の点で対照的な違いがあるため、採用フローも分けて考える必要があるのです。

採用計画の立て方については以下の記事でも解説していますので、合わせてご覧ください。

【参考】採用計画の正しい立て方|採用に失敗しないための6ステップを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/plan

多様化する採用手法への対応

採用フローを検討する際に意識しておきたいのが採用手法の多様化です。

これまで、企業の採用活動は採用広告の掲載や人材紹介サービスの利用が中心でした。

しかし、現在では「攻めの採用」と呼ばれるダイレクトリクルーティングの普及や、採用広報の高度化によって母集団形成から選考・内定に至るプロセスが増えています。

また採用におけるマッチング率を重視する企業の増加にともない、リファラル採用を制度化する動きも見られています。

これらの手法では会社説明会から書類選考、集団面接といった新卒採用向けの採用フローとは異なるプロセスが求められます。

採用手法については以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

【参考】採用手法比較8選|メリット・デメリットと新卒・中途別の想定料金を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/method

新卒の採用フロー|主要6パターン

採用フローは企業ごとに必要な構成要素を組み合わせて構成しますが、いくつかの基本的なパターンがあります。

ここでは、新卒採用における6つの主要パターンを紹介します。

1.標準型

「標準型」は最も広く利用されているパターンです。多くの企業が取り入れているため、新卒者が戸惑うことなく安心してエントリーできる採用フローといえます。

新卒採用の場合、以下の通り構成されています。

募集 → 会社説明会 →  書類選考 →  筆記試験・適性テスト → 面接(集団・個別) → 最終面接 → 内定

2.試験先行型

「試験先行型」は多数の新卒者が入社を希望する人気企業など、エントリー数が多い場合に利用される採用フローです。

母集団が大きな場合に効果的である一方、試験によってふるいわけてから会社への理解を深めるため、ミスマッチが生じやすい特徴があります。

最近では筆記試験や適性テストをWeb上で実施する企業も増えています。

募集 →  書類選考 → 筆記試験・適性テスト → 会社説明会 → 面接(集団・個別) → 最終面接 → 内定

3.筆記試験・面接一体型

「筆記試験・面接一体型」は、筆記試験と面接(集団・個別)を同じ日に行う採用フローです。

筆記試験と面接の結果をあわせて判断したい場合に適しています。

当日は候補者に対して誘導や時間的拘束が発生するため、案内係の配置や控室の確保、面接順の計画など綿密な準備を行いましょう。

下記の通り、必要に応じて追加の個別面接、最終面接を経て内定に至ります。

募集 → 会社説明会 → 筆記試験・適性テスト・面接(集団・個別) → (個別面接) → 最終面接 → 内定

4.説明会・筆記試験一体型

「説明会・筆記試験一体型」は採用活動に時間をかけられない場合に適した採用フローです。

説明会・筆記試験・適性テストを同日に行うため、候補者を拘束する時間が長くなります。休憩時間を設けるなどの配慮が必要です。

また全て同一の会場で行えるように、あらかじめ席の間隔を空けておきましょう。

なお書類選考のプロセスは、説明会前に設定しておくことをオススメします。

理由は、応募数に応じて会場のキャパシティを決定できるためです。

募集 →  書類選考 → 会社説明会・筆記試験・適性テスト → 個別面接 → 内定

5.インターンシップ型

「インターンシップ型」は、採用活動の一環としてインターンシップを取り入れた採用フローです。

就業体験を通して候補者の実践的なスキルを把握できます。インターンの評価を用いれば筆記試験や一部面接を省略できるでしょう。

インターン期間は1日~数ヶ月と幅広く、採用フローに組み込まれる場合や、採用活動前に実施する場合があります。

まず、インターンを組み込んだ場合の採用フローです。

募集 →  書類選考 → 会社説明会 → インターンシップ →  (筆記試験・適性テスト) → (個別面接) → 最終面接 → 内定

次に、インターンを採用活動前に実施する場合の採用フローです。

 インターンシップ → 募集 → (書類選考) → (筆記試験・適性テスト) → (個別面接) → 最終面接 → 内定

なお自社が求める人材の採用やミスマッチ防止のためには、採用活動前に「長期インターンシップ」を行うのがオススメです。

インターンシップの取り入れ方はこちらの記事をご覧ください。

なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか【採用の新常識】https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_2

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6.面接重視型

「面接重視型」はダイレクトリクルーティングやリファラル採用の際に用いる採用フローです。

筆記試験や適性テストのプロセスを省略する場合があります。

他の採用フローより選考プロセスが少ない代わりに、綿密なコミュニケーションを通じて候補者との適性やスキルを見極めることが必要です。

また自社の魅力アピールや候補者とのコミュニケーションを行うために、「カジュアル面談」を取り入れる企業も少なくありません。

カジュアル面談についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【参考】カジュアル面談とは?効果的に面談を進めるコツを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/casual_interview

募集 → (カジュアル面談) → (筆記試験・適性テスト) → 個別面接 → 内定

なお採用競争が激化する昨今、新卒においても従来の就活ナビサイトを用いた採用手法以外に様々な手法が注目されています。

なかでもダイレクトリクルーティングは自社が求める人材に直接アプローチできる手法のため、とくに有効といえるでしょう。

中途の採用フロー|主要3パターン

採用フローを新卒と中途それぞれに適したパターンで作成することで、より効率化をはかれます。

ここでは、中途採用における3つの主要パターンを紹介します。

1.標準型(中途)

「標準型(中途)」は新卒採用と同様に広く利用される採用フローです。

ただし、新卒採用とは異なり、会社説明会は開催せず個別面談の際に会社説明を行うのが一般的です。

また候補者のキャリア次第では、筆記試験や適性テストを省略する場合があります。

募集 →  書類選考 →  (筆記試験・適性テスト) → 個別面接 → 最終面接 → 内定

2.筆記試験・面接一体型(中途)

「筆記試験・面接一体型(中途)」は、筆記試験・適性テストを行う場合に選択できる採用フローです。

標準型(中途)と同様に会社説明会は開催せず、個別面談の際に会社説明を行います。

当日は候補者の拘束時間が長くなるため、休憩時間の確保やスケジュールの事前連絡などの配慮を行いましょう。

なおEQ(心の知能指数)試験のような回答時の心境で結果が左右されやすいテストを実施する場合は、面接より前に実施しておくのが良いでしょう。面接が成功したか否かなどの心理的影響を避けるためです。

募集 → 筆記試験・適性テスト・個別面接 → (個別面接) → 最終面接 → 内定

3.面接重視型(中途)

「面接重視型(中途)」は、新卒採用以上にリファラル採用やダイレクトリクルーティングを行いやすい中途採用において広く利用される採用フローです。

新卒の場合と同様に、状況に応じて筆記試験や適性テストのプロセスを省略します。もちろん候補者とのコミュニケーションを通じて、適性やスキルを見極めることが必要です。

また、中途採用においても「カジュアル面談」が有効です。

候補者が参加しやすく、気軽なコミュニケーションを通じて双方がアピールを行えるためミスマッチを防ぎやすいといえます。

募集 → (カジュアル面談) → (筆記試験・適性テスト) → 個別面接 → 内定

カジュアル面談のコツについて、以下の資料にまとめていますのでぜひご覧ください。

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採用フローを改善するポイント

採用フローは採用活動の終了後に各プロセスの歩留まりを算出し、ボトルネックを洗い出すと共に改善をはかります。

書類選考から面接への通過率が際立って低いのであれば書類選考の選考基準に問題があるのかもしれません。

また内定期間中の辞退が目立つのであれば、内定後のフォローが不足している可能性があります。

ここでは「母集団形成段階」「選考段階」そして「内定・入社段階」それぞれの歩留まりを改善するための方法を解説します。

母集団形成段階の改善

候補者の数が少ない、優秀な人材からの応募が集まらないなど母集団を形成する段階で改善を要する場合には採用手法やターゲット設定を再検討しましょう。

母集団形成については以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

【参考】母集団形成とは?なぜ重要なのか?手法ごとのメリットも紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/candidate_group

採用手法の見直し

候補者の数が十分でないケースでは、採用広報を強化して求職者に自社の魅力を伝えるための工夫が必要です

具体的には、自社の魅力として仕事の面白さ・やりがい・社風・安定性など何を伝えるべきかを明確にします。現場で活躍している社員へのヒアリングがオススメです。

もちろん、伝わる表現にするためには魅力の言語化も重要です。どんな言葉で表現したら魅力的に伝わるかまでを考え、完成した内容に対して現場社員から意見をもらうと良いでしょう。

また、自社が求める人材に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングなどの採用手法の検討を行いましょう。

採用したい人材像の明確化

候補者の質に問題があるケースでは、採用したい人材像をあらためて明確化することで解消する場合があります。

具体的には、配属予定先の部門と協議した上で、必要以上のスキルを要件としていないか、そもそも採用要件が不明確になっていないかなどを見直しましょう。

単に求める能力やスキルだけではなく、適性や考え方までを明確に示した募集を行うことで、よりマッチ度の高い求職者からの応募につながるのです。

選考段階の改善

選考段階に問題があるケースもあります。

書類選考の通過率が低い場合には通過要件のハードルが高すぎる可能性があります。

面接実施後に選考を辞退する候補者が多い場合には、選考に日数をかけすぎているのが原因かもしれません。

また面接の担当者ごとに通過率が大きく違っている場合には面接担当者のスキルや選考基準に生じているズレを解消する必要があります。

いずれのケースでも書類選考における通過要件の再検討や選考スケジュールの見直し、それに面接官のスキル向上および認識の共有化といった選考段階の改善をはかるべきであるといえます。

内定・入社段階の改善

求職者は複数の企業に応募しているため、内定後の辞退が多いなど入社までの段階が課題であるケースも少なくありません。

多くの場合、原因は内定後のフォローが不足しているためで、候補者の入社意欲が減退しないようケアを厚くするための施策が求められます。

内定後のフォローは企業ごとにさまざまですが、社員や採用担当者とコミュニケーションを持ち続けることが基本です。

社内イベントへの参加を促したりSNSでコンタクトをとる、会社訪問やランチミーティングを設定するなど継続的なコンタクトを採用フローの一環として設定するのが効果的といえます。

採用フローの見直しに成功した事例

採用フローを見直すことで、自社が求める人材の採用を効率良く実現できた企業を2社紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

リスタンダード株式会社

リスタンダード株式会社はアスリートのセカンドキャリアを支援している企業です。

従来の就活ナビサイトでは大手企業に埋もれてしまうことを懸念し、自社の魅力を伝えられるサービスとしてWantedlyの運用を開始しました。

はじめての新卒採用でWantedlyを活用し、1年で20卒〜22卒合わせて複数名を採用しています。

インターンシップや選考を並行して募集したことで優秀な若手人材の採用に成功しました。

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株式会社八百鮮

Wantedly 使い方

大阪と名古屋で八百屋の店舗を運営し、4年間で売上を5倍に伸ばすなど急成長中を遂げている株式会社八百鮮。

年間1000万もの採用費用をかけて採用活動を行っていましたが、なかなか若手人材を採用することができていませんでした。

そこで従来行っていた求人広告に加え採用ブランディングの見直しの一環でWantedlyを導入してみたところ、優秀な若手人材を採用することに成功しました。

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まとめ

採用フローの基本から新卒と中途の違いを主要パターン別に解説しました。

新卒と中途それぞれの主要パターンを理解し、自社に適した採用フローを作成することで求める人材の採用につながります。

また、採用フローは運用後の見直しも重要です。

各プロセスの歩留まりを確認し、必要に応じてダイレクトリクルーティングを検討するなどの改善をはかることで、自社の採用活動の質を高めていきましょう。

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