採用試験で真剣に選考を行っても、内定者から結果的に辞退されてしまい、人材確保に悩む企業は少なくありません。
内定辞退の多い企業には、ある共通点があります。当てはまる項目がある場合には、その部分を見直して、内定承諾率を上げるための改善策を実践しましょう。
本記事では、内定辞退の多い企業の特徴や、内定承諾率を上げるための方法、劇的に内定承諾率を上げた実例などをご紹介します。
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内定承諾率とは?
内定承諾率とは、企業が出した内定に対して、承諾した候補者の割合(%)を示したものです。内定承諾率は、以下の計算式で算出できます。
内定承諾率=内定承諾した人数/内定通知した人数×100
つまり、内定通知した10名の候補者のうち5名が内定承諾した場合、内定承諾率は50%となります。
多くの求職者は複数社の選考を並行して受けているため、内定承諾率が100%になることはほぼありません。採用目標人数を達成するためには、内定承諾率を加味したうえで内定通知する必要があります。
なお、内定承諾率と混同されやすい「内定辞退率」および「就職内定率」の定義・計算式は以下の通りです。
内定辞退率
企業が出した内定に対して、辞退した候補者の割合
内定辞退率=内定辞退した人数/内定通知した人数×100
就職内定率
就職を希望する求職者のうち、内定を得た人数の割合
就職内定率=就職内定者数/就職希望者数×100
※厚生労働省と文部科学省の共同調査により公表
内定承諾率の平均値
内定承諾率の平均値は、新卒採用と中途採用で大きく異なります。それぞれ平均値を確認し、自社の数値と照らし合わせてみましょう。
新卒採用の内定承諾率
株式会社リクルートの調査によると、2022年卒の3月卒業時点における内定辞退率は61.1%。したがって内定承諾率の平均は38.9%と計算できます。
新卒採用は募集・選考のスケジュールが決まっているため、就活生は一度に20社以上に応募します。就職先の選択肢が多く、募集から入社までの期間が長いことが、内定承諾率の低さの要因といえるでしょう。
引用:公益社団法人全国求人情報協会 就職活動の実態に関する調査(プレエントリー社数)
中途採用の内定承諾率
株式会社マイナビの調査によると、中途採用における内定辞退率は11.0%。したがって内定承諾率の平均は89.0%と計算できます。
中途採用では、業界・職種をしぼって転職活動する求職者や、すでに入社したい企業が決まっている求職者が多いため、新卒採用と比較して内定承諾率が非常に高くなっています。
内定承諾率が上がらない背景
多くの企業を悩ませる内定承諾率ですが、数値が向上しない背景には一体どんな要因があるのでしょうか?
内定承諾率が上がらないことの社会的な原因を見ていきましょう。
少子高齢化による労働人口の減少
内定承諾率が上がらない背景には、日本の少子高齢化による労働人口の減少が影響しています。
若者の数が少なく学生側は売り手市場なので企業は人材の奪い合いになります。
Web面接の導入で応募数が増加
コロナ禍の影響もあり、ZoomなどによるWeb面接を導入する企業が増えてきました。そのため求職者は多数の企業に並行して応募できるようになり、応募数は増加傾向です。
一人の求職者が応募する数が増えれば、内定承諾率は必然的に下がることになるため、企業の採用はますます厳しさを増しています。
内定辞退が起こる3つの原因
そもそも、なぜ内定辞退は起こるのでしょうか?
求職者が内定を辞退する主な要因をまとめました。
1.そもそも第一志望から外れていた
新卒の場合は一斉に採用試験が行われるので、第一志望の企業が不採用だったときのことを考えて、複数の企業に応募するのが一般的です。
そのため、そもそも第一志望から外れている企業の場合は、第一志望の内定が出れば必然的に辞退されることになります。
就職みらい研究所の調査によると、2022年卒の大学生の62.3%が2社以上の内定を受け取っており、新卒者が内定を受けた企業数の平均は2.35社でした。3社以上の内定を受けた学生も16.8%います。
これだけ多くの内定をもらっていると、第二志望・第三志望の企業が内定を辞退されてしまうのは仕方がないでしょう。
【出典】就職みらい研究所「就職プロセス調査」(2022年卒)
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/12/naitei_22s-20211214.pdf
2.応募をしてみて「自分には合わない」と思った
応募したときには自分に適した企業だと思っていても、採用試験で具体的な仕事内容や就労条件などを聞いて、「自分には合わない」と判断する求職者もいます。
たとえば残業の少ない企業で働きたいと思っていた人が、応募した企業の残業の実態を知って辞退をしたり、給与や勤務地の折り合いが付かなくて辞退したりする人もいます。女性の場合は、子育て中の就労環境が良くないと感じて辞退するケースもあります。
3.企業の雰囲気や社員の印象が良くなかった
採用試験を受けたときに「企業の雰囲気が暗かった」「面接官の態度が横柄だった」といった悪いイメージを持つと、たとえ実情と異なる場合でも内定を辞退されてしまうことがあります。
また、企業によっては必要以上にアピールしてしまい、かえって不信感を持たれてしまう場合もあります。
面接官や採用担当者の言動は、企業イメージに大きく影響します。以下の記事では、面接官が心得ておくべき知識や面接官トレーニングの手法を解説していますので、ぜひご確認ください。
【参考】面接官トレーニングで自社にあった人材を採用する|面談・面接に役立つナレッジを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/interviewer_training/
内定辞退が多い企業の特徴
求職者が内定を辞退する企業には多くの共通項があります。
自社に当てはまる項目はないか、またさらに改善できる項目はないか、確認してみましょう。
1.内定前後の対応が遅い
採用試験はタイミングがとても重要なので、内定前後の対応が遅い企業は、内定辞退が多い傾向にあります。
たとえば内定を出すのに慎重になって何日もかかり、その間に求職者が別の企業で内定を受けてしまうことがあります。
また、内定を出した後の対応が遅いことも、内定辞退につながるので注意が必要です。
2.企業の魅力を伝えきれていない
説明会や面接といった限られた機会の中で、会社案内に書いてあるような内容を淡々と話すだけでは、企業の魅力を伝えることはできません。
求職者はその説明の向こう側にある社風や、仕事のやりがい、キャリアの道筋といったことを知りたがっているので、それを伝える工夫をしない企業は内定辞退も多くなってしまいます。
3.企業で働くイメージを描きづらい
オンライン採用が導入されたことで、求職者は企業に出向くことが少なくなり、中には本選考までオンラインで終える企業もあります。そのため、求職者は応募しやすくなった半面、企業で働くイメージを持ちづらくなっています。
このような環境の中で企業が求職者の心情を理解せず、内定を出したまま放っておくと、求職者は入社への意欲を高められず辞退することにつながるでしょう。
内定承諾率の高い企業の特徴
内定辞退が多い企業とは反対に、内定承諾率の高い企業にも共通した取り組みが見られます。
内定承諾率が高い企業の特徴を参考に、自社の取り組みを見直してみましょう。
求める人材にピンポイントで募集をかけている
内定承諾率の高い企業は、求める人材に直接アプローチをかける「ダイレクトリクルーティング」の手法を使って、採用活動を行っています。
企業が欲しい人材にピンポイントで働きかけるのでミスマッチが起こりにくく、相互理解も深まるので内定承諾率を高められます。
求職者が満足できるサポートを行っている
内定承諾率の高い企業は、求職者が価値を感じる体験を提供するための「採用CX」を積極的に取り入れ、求職者が満足できるサポートを行っています。
たとえばWantedlyのアワードでBest Team of the Year SILVERを受賞した「Sansan株式会社」では、人事部が総力をあげてひとりの学生に向き合い、選考前のカジュアル面談や社員と直接話せるアトラクトなどを実施しています。
【参考】採用CXとは?注目の理由とメリット、導入事例を徹底解説!
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_cx/
【参考】Sansan株式会社
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/award2021_silver/
内定承諾率を上げるための5つの改善策
内定承諾率を上げるために改善できる5つの取り組みをまとめました。
すぐに取り組めることから長期的な目線で取り組むべきことまで網羅していますので、自社の採用活動に取り入れてみてはいかがでしょうか?
1.採用手法を見直す
これまで行ってきた採用の方法を見直すことで、内定承諾率を上げられます。オススメの採用手法は以下の3つです。
ダイレクトリクルーティング
自社にマッチした人材を企業自らが探し、直接アプローチする方法です。企業はスカウト機能などを利用してユーザーデータベースを閲覧し、自社の採用要件を満たす人材に対してメッセージを送ります。
他の採用手法では出会えない、転職潜在層にもアピールできます。
認知度の低い企業でも、行動量や工夫次第で一定の成果を上げられ、やり方によっては採用単価も抑えられるでしょう。
先ほど紹介した「Sansan株式会社」も、以前は内定承諾率が低く、内定を出しても辞退が相次いでいました。
しかし、企業が求職者に直接アプローチする採用手法に切り替えることで、2020年卒で4名、2021年卒で8名の優秀なエンジニアを採用することができました。
Wantedlyのダイレクトスカウトでは、アクティブ度の高い候補者が中心に選出されるため、よりニーズにマッチした候補者を探すことができます。また、他サービスよりも高い返信率を誇ります。
スカウト文章だけではなく、募集やストーリーで発信した会社の魅力を届けることで、他スカウト媒体よりも高い確率で候補者から返信が届きます。登録属性や特徴についてサービス資料にまとめていますので、一度確認してみてください。
リファラル採用
社員に友人や知人を紹介してもらい、母集団を集める方法です。社員の人脈を活かして採用活動を行うので、より企業とのマッチ度が高い人材を選ぶことができます。
また、実際に職場で働いている社員がリクルーターになるので、候補者にさまざまな情報を提供できるため、応募前の志望度を高めやすいでしょう。
市場の競争に巻き込まれることもなく、コストをかけずに価値観や志向性の合う人材を採用しやすいのが、リファラル採用のメリットです。
オウンドメディア
自社が保有しているメディアを使って、情報発信をする方法です。自社の魅力を自由に発信でき、求職者の企業理解度や志望度の向上も期待できます。
たとえば自社のホームページやブログ、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSアカウントも、オウンドメディアに含まれます。
欲しい人材に対して戦略的にオウンドメディアを活用する「オウンドメディアリクルーティング」という手法もあり、潜在求職者に向けて採用オウンドメディアで発信することで、採用促進につながるでしょう。
【参考】採用手法比較|メリット・デメリットと新卒・中途別の想定料金を解説【比較表付き】
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/method/
Wantedlyでは、ブログ機能である「ストーリー」を活用できます。構成や内容に決まりはなく、企業が自由に作成が可能。日常の会社の様子やメンバーの紹介、ストーリーを投稿でき、募集だけでは伝わらない会社や社員の魅力を届けることができます。Wantedlyでできることや具体的な料金についてサービス資料にまとめていますので、一度確認してみください。
2.内定者フォローを迅速に行う
内定承諾率を高めるためには、内定後のフォローを迅速に行うことも重要です。
そのために活用したいのが、「内定者フォローツール」です。内定者フォローツールとは、企業と内定者および内定者同士のコミュニケーションを促進するためのツールのことです。
内定辞退の防止や入社意欲の向上、内定者フォロー業務の効率化に活用でき、採用担当者の負担軽減にもつながります。
【参考】内定者フォローツール|特徴や費用を徹底解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/follow_tool/
3.企業から発信している情報を見直す
採用サイトやブログ、SNSなど、企業から発信している情報を見直すことも、内定承諾率を高めるために役立ちます。
たとえば、採用専用のホームページを作るのも、ひとつの方法です。企業が発信して自社の魅力を伝えるために、Wantedlyのサービスには「ストーリー」というブログ機能があります。
この「ストーリー」を使うことで、フォーマットに沿って画像や文章を作成するだけで、簡単に採用ホームページを制作できます。
Wantedlyでできることや具体的な料金についてはサービス資料にまとめていますので、一度確認してみください。
【参考】採用広報とは?成功させるポイント・メリットを徹底解説【事例付き】
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_pr/
4.採用プロセスごとに施策を立てる
応募から会社説明会、書類選考、面接、内定、入社に至るまでの採用プロセスごとに、最適な施策を立てましょう。
たとえば採用プロセス初期に「カジュアル面談」を導入することで、求職者の士気を高められます。
「カジュアル面談」では、選考前に求職者と社員がカジュアルに話をして、お互いの知りたい情報を交換します。
通常の面接とは異なり、お互いに質問をし合いながら気軽に情報を交換できるので、求職者が本当に知りたい情報を入手でき、内定承諾率を上げられます。
【参考】カジュアル面談とは?効果的に面談を進めるコツを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_pr/
5.採用に関する社内の連携を強める
内定承諾率を上げるには、社内の連携を強めることも重要です。採用を人事や経営者だけに任せるのではなく、社員同士が部署の垣根を超えて採用活動に取り組みましょう。
社員全員で求職者を温かく迎え入れる姿勢を持つことも大切です。
選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3
カジュアル面談を活用して採用に成功した事例
カジュアル面談を活用して内定承諾を得られた事例を紹介します。内定承諾率を上げるためにカジュアル面談に取り組みたい方は、ぜひご一読ください。
Dreamly Ltd
香川県のIT企業Dreamly Ltdでは、創業当時に採用のミスマッチが起こり、その原因が企業と求職者の期待値を入社前にあわせられなかったことだと気付きました。
そこでWantedlyのカジュアル面談を実施した結果、地域的に応募が少ない環境の中でも、県外から2名のフロントエンジニアを採用することができました。
Dreamly Ltdが行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
▶︎Dreamly Ltdの採用成功事例を無料ダウンロードする
メトロエンジン株式会社
機械学習を活用して宿泊施設向けの価格設定ツールを提供するメトロエンジン株式会社では、人員が不足していたため、求人広告だけでなくWantedlyのスカウトとカジュアル面談を実施することにしました。
スカウトによる求人広告に頼らない能動的な採用活動と、スカウトの返信が来た人に対するカジュアル面談で、希望する部署の社員とのざっくばらんなコミュニケーションに成功。
その結果、企業の知名度が低いにも関わらず、カジュアル面談での会話が応募への意欲につながり、営業担当2名、カスタマーサクセス1名の計3名を採用することができました。
メトロエンジン株式会社が行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
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スリーシェイク株式会社
IT・Webサービスを提供するスリーシェイク株式会社では、以前は採用試験の際に質問のチェックリストなどをつくり、面談でスキルチェックを行っていました。しかし実際にジョインしてみると、スキルのアンマッチが起きていました。
正式な面談でスキルを測るのは無理だとわかり、Wantedlyのカジュアル面談を活用して、求職者と社員3名が入社の馴れ初めや仕事の楽しさ、大変さなどを雑談形式で話し合う場を設置。さらに技術を見るお試し期間として、数日体験入社も行いました。
これによって、企業の知名度に自信がなくても、副業やアルバイトを含めると30人以上のメンバーをWantedlyで採用することに成功。正社員で採用した19人のうち、11人はスカウト採用で、ほとんどがエンジニアでした。
スリーシェイク株式会社が行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。
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まとめ
今回は、内定承諾率を上げるための方法を紹介しました。
内定承諾率を上げるためには、企業自体が魅力的であることはもちろん、それを求職者に理解してもらうための努力が必要です。
今回ご紹介した方法を積極的に実践し、複数の内定をもらった求職者から、最終的に選ばれる1社になるための工夫をしましょう。