新卒で幹部候補を採用するには?採用と育成のポイントを解説

近年、新卒で「幹部候補」を採用し、育成に取り組む企業が増えています。通常の総合職採用と並行して幹部候補の採用コースを設け、中長期的な視野で育成をはかる人材戦略です。

しかし、経営幹部の適性をもつ人材の選考や育成には、総合職とは異なる独自の基準やノウハウが求められます。

本記事では、そもそも幹部候補とは何か、なぜ新卒での幹部候補採用が増えているのかなど、基本的な情報から解説します。そして幹部候補の人材に求める資質、実際の採用手法とその進め方、育成の留意点まで、採用活動を通じて押さえるべきポイントをご紹介します。

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幹部候補とは

幹部候補とは、経営者や役員などの将来的に企業の経営に携わることが期待される人材のことです。

企業によっては「次世代リーダー」と呼ぶこともあり、経営幹部だけでなく、事業・部門の責任者などの上位管理職や、グループ会社の社長になるような人材を含む場合もあります。

幹部候補の定義や考え方は組織によって若干異なりますが、広い意味で捉えると「企業の成長に責任をもつ重要なポジションに就き、リーダーシップを発揮して成果をあげることを期待される人材」といえます。

管理職・マネージャーとの違い

経営幹部は、管理職・マネージャーとは異なる役割が求められます。

管理職・マネージャーは、ビジネスの現場で部下をマネジメントしながら、部門の目標を達成するのが仕事です。

一方、経営幹部は、企業が持続的に成長できるよう経営判断を下すのが仕事です。経営方針を定めて予算を配分し、すべての事業が適正に遂行されているかを監督します。

新卒の幹部候補採用が注目されている背景

従来は、新卒で入社した人材がさまざまな部門で経験を積みながら昇進・昇格を重ね、何十年ものキャリアの集大成として経営幹部に選ばれる道筋が一般的でした。

しかし近年、年功序列や終身雇用などの日本特有の制度や慣行が変化したことで、一つの企業の中だけでキャリアアップして経営幹部を目指そうとする若年層が少なくなってきています。

また、少子高齢化にともなう労働人口の減少により、構造的にも企業の後継者不足が顕在化。そのため企業は、以下の3つのルートにて幹部候補を獲得しようとしています。

1.社内公募
部門が必要とする人材の要件やポストを社内に公開し、既存社員から幹部候補を選出する。

2.中途採用
即戦力の経営幹部を社外からヘッドハンティングする。または、ビジネス経験の豊富な人材を幹部候補として採用・育成する。

3.新卒採用
はじめから「幹部候補」として採用し、将来経営を担うことを前提としたジョブローテーション・研修で育成する。

3の新卒採用は、「総合職採用」とは別に「幹部候補採用」という新たな選考コースを設ける手法です。ポテンシャルの高い優秀な学生を採用し、中長期的に育成していくことで、企業文化を継承したエンゲージメントの高い経営幹部を育てます。

従来のように「入社後の活躍や適性を見て幹部候補を選出する」のではなく、「はじめから特別枠として採用・育成する」という点が新しく、近年注目を集めています。

【参考】新卒採用のメリット・デメリットとは?向いている企業の特徴を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/new_graduate_merit/

新卒幹部候補を採用するポイント


次に、新卒で幹部候補採用を実施する際に留意すべき点を解説していきます。

1.幹部候補として求める人物像を明確化する

幹部候補の新卒採用をスタートするにあたり、求める人物像を明確にしておく必要があります。企業が持続的に成長していくために、どのような能力や行動特性を備えた人材が必要になるのか、幹部候補が備えるべき基本的な資質を整理します。

・リーダーシップ
 企業ビジョンを達成するためには、組織を導く統率力や適切な指導力、人間的魅力が求められます

・起業家精神(アントレプレナーシップ)
 指示を待つのではなく、自ら能動的に行動し、ゼロから新しい事業をつくり出す情熱や姿勢を持っている必要があります                  

・判断力、決断力
 環境変化のなかで日常的に「自社はどうするべきか」を判断し、経営の意思決定を下すことが求められます

・課題発見力、課題解決力
 将来的に重大な問題となりうるリスクを事前に発見し、解決策を講じておく能力。未来が予測しにくい時代の企業経営において重要な資質です

・目標達成力
 具体的な経営目標を設定し、達成に向けて組織を動かし、段階的に高いレベルの達成をめざすことは経営管理の基本になります

・論理的な思考能力
 ロジカルに考えて複雑な課題の原因を明らかにし、説得力のある指示を下すことは組織を動かす上で欠かせない能力です

・コミュニケーション能力
 経営幹部は、社内外で立場の異なる相手とのコミュニケーションを通じて、意見の調整や着地点を導く交渉などが重要な仕事になります

・ストレス耐性
 経営責任を担う幹部には、プレッシャーに耐えながら企業の将来を左右する重要な意思決定を重ねられるメンタルタフネスが求められます

・専門知識
 新卒採用ではマスト要件ではありませんが、IT・デジタルに関する知見やMBA(経営学修士)ホルダーの思考方法などには一定の期待感があります

いずれの資質も総合職採用で学生に求める資質やベーシックな能力と共通しています。幹部候補採用の場合、できるだけ多くの要素をバランスよく備えていることが重要です。

【参考】採用ペルソナとは?作り方や項目例を解説|テンプレート付き
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/persona/

2.企業の価値観やカルチャーへの親和性をみる

幹部候補の採用には、経営理念など企業が大切にする価値観や、醸成されている企業文化にその人材の志向がマッチするかどうかも重要な観点です。価値観の軸でも幹部候補に求める資質を言語化することで、採用ミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。

たとえば、企業文化としてスピード重視で新たなビジネスを展開し、成長を続けている企業があるとします。資質面でどれほど優れたリーダーシップや課題解決力が備わっていても、綿密な準備を大切にし、十分に根回ししてから動くような行動特性の人材は、この企業の幹部候補として必ずしも適するとはいえません。

ただし、既存の企業文化や価値観を変革するような経営幹部を求めているケースもあります。企業成長のために価値観軸でどのような経営幹部を求めるべきなのか、広い視野で検討することが重要になります。

【参考】カルチャーフィットとは?採用に役立つ具体的な質問を紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/culture_fit/

3.幹部候補の採用計画を立てる

次に、幹部候補の新卒採用をはじめる際のポイントを解説していきます。

通常の新卒採用計画の策定と並行して、幹部候補採用の選考基準や採用目標(人数)を定め、幹部候補独自の給与体系や待遇を決定します。その後、利用する新卒採用メディアや採用スケジュールを具体化していきましょう。

【参考】採用計画の立て方6ステップ|成功のコツ・立案後やるべきこととは?
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/plan/

採用手法で注目すべきなのがインターンシップの活用です。就職活動の早期段階から優秀な学生層とコミュニケーションをはかる機会として、大学3年生を対象に6月から8月にかけてサマーインターンシップを開催する企業が増えています。

幹部候補の新卒採用においても同様で、インターンシップを活用して、採用成果につなげている企業が増えています。

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4.幹部候補の学生に効率的にアプローチする

では、どのような内容のインターンシップを実施すれば、自社に合った幹部候補の学生の参加を促せるのでしょうか。ここにハードルを感じている採用担当者も多いと推察されます。

一つのヒントは、インターンシップの期間を短く(Maxでも7日間ほどに)設定すること。就活の初期フェーズで時間をとられるインターンシップへの参加は学生の負担感が大きく、参加意向度が下がります。

そして、チーム対抗で実際の新規事業アイデアを競うなど、経営参画に通じるアクションラーニング型の課題を用意することです。

また、インターンシップの告知方法も重要です。効率的な情報発信を模索されている方は、Wantedlyの利用を検討してみることをオススメします。

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Wantedlyには、企業の知名度や評判よりも、自分自身が成長できる環境やビジネスそのものへの共感を求めて就職先を探している学生が数多く登録しています。学生に直接アプローチするスカウトだけでなく、ブログ機能でインターンシップ開催などが告知できます。

採用コストが抑えられるのも大きな特徴です(6カ月30万円から情報を掲載することが可能)。成果報酬もかからず、発信コンテンツの本数にも制限はありません。

また、就活生だけでなく多くの大学1〜2年生も登録していますから、優秀層へのアプローチを計画的に組み立てながら採用広報を展開できます。

5.幹部候補の学生を面接する

採用活動においては、自社の幹部候補にふさわしい人材を見極めるため、面接での質疑応答を通じて求める資質を備えているかを確認します。

面接の基本スタンスは、常に相手へのリスペクトを忘れず、温かい雰囲気を大切にしながら率直に対話することです。

質問項目の例

・学生時代に目標達成に向けて共同作業で取り組んだこと
(自分自身のこだわりや工夫した点は?)
(相手と意見が異なったとき、どのように対応?)
(取り組む過程でどんな課題があり、どう乗り越えた?)
(自分自身では解決できない問題はあった?)

・これまでの人生で最大の失敗は?
(失敗したとき、何を考えてどんな行動を?)

・企業理念や文化について率直にどう感じるか
(こんなことを大切にする人が多いけど、息が合いそう?)

・当社に入社してやってみたいと思うこと

また、企業側からの質問だけではなく、企業や仕事について応募者が知りたいことを引き出し、積極的に回答するようにしましょう。

【参考】STAR面接とは?活用メリット・質問例・注意点を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/star_interview/

6.採用後のフォローアップを実施する

特別枠での採用となる幹部候補は、通常の新卒採用とはキャリアのゴールが異なります。将来重要なポジションを担うことが期待された採用であり、誇らしい気持ちとともにプレッシャーや不安をおぼえる人材もいるでしょう。

採用から入社にいたるまでの期間には、定期的なフォローアップを実施することで、幹部候補の学生のモチベーションをさらに向上させることが可能です。

採用後のフォローアップの例

・配属部署の仕事に関する情報提供
・入社後にメンターとなる先輩社員とのオンライン面談
・入社後の仕事に役立つ学びのヒントや学習機会の提供
・同期入社の幹部候補生との交流機会 など

新卒の総合職採用の同期との交流については、不要な軋轢を避ける意味で採用担当者が臨機応変に検討していく配慮が求められるでしょう。

新卒幹部候補を育成するポイント


幹部候補の新卒採用には、採用活動と同様に中長期的な育成が重要な意味を持ちます。どれほど優秀な人材であっても、短期間に経営幹部として活躍できるわけではありません。

そこで、適切なジョブローテーションとキャリア支援という視点から、新卒幹部候補の育成ポイントを解説します。

1.幹部候補に適したジョブローテーション

経営幹部のキャリアパスは、企業にとって重要な事業や部門において、本人の段階的なスキルアップにつながる役割を与えていくことが基本となります。

所属部署の理解を前提に、将来の経営幹部として複数の事業・部門を横断してバランスの取れた業務経験が積めるようジョブローテーションを実施します。

営業部門や経営企画部門、新規事業の立ち上げプロジェクトヘの抜擢、グループべンチャーや海外子会社への出向、企業活動を数字で把握する財務部門やステークホルダーとの関係構築を担うIR部門、不採算事業の再建に取り組む経験なども貴重な糧になります。

複数の部門を経験することで全社レベルの人脈ができ、幅広い視野や能力が身につくことも幹部候補としての強みになります。

2.幹部候補に適したキャリア支援

経営幹部のキャリア支援とは、あくまで自律的なキャリア設計をサポートすることです。幹部候補には、主体的にキャリアを積み重ねて成長を目指す姿勢が求められます。

したがって、「幹部候補としてどんな経験を積むべきか」「今後どんなスキルが必要で、今は何を学ぶべきか」など、幹部候補生のキャリア自律や気づきを促せるよう、上司による定期的なフィードバック面談を実施するのがオススメです。

また、業務に役立つ選抜型の集合研修・専門的なスキル習得を目指す研修・海外留学などの機会を与えることも重要です。幹部候補が能動的にスキルアップし、成長できる環境を整えましょう。

さらに、HR総研の調査によると、次世代リーダーの育成には「経営者・役員との対話」が効果的であることが明らかになっています。

引用:HR総研 次世代リーダーの育成に関するアンケート結果報告

経営幹部との交流は、次期リーダーとしての自覚を促せるだけでなく、経営幹部の視点や思考回路を直接学べる貴重な機会です。研修などの座学では得られない効果が期待できるでしょう。

新卒の幹部候補を採用するならWantedly

Wantedlyは、給与などの条件ではなく、企業が掲げる「想い」への共感を通じて求職者とのマッチングをはかる採用サービスです。

Wantedlyに登録している学生は、長期インターンを探す目的で就職活動がはじまる前から利用しており、一般的な求人媒体にはあまりいないキャリア形成意欲の高い優秀な学生が多いのが特徴です。

Wantedlyに登録している学生

また、Wantedlyは募集が掲載し放題で、作成した募集ページは高確率でGoogle検索の1ページ目に表示されます。学生からの応募を待つだけでなく、企業側から直接アプローチするダイレクトスカウトも可能です。

さらに、成功報酬料金は発生せず、インターン・新卒・中途・業務委託の募集を同一料金で掲載できるため、採用単価を抑えた効率的な採用活動が実現できます。

Wantedlyでできることや具体的な料金は以下のサービス資料にまとめていますので、ぜひ一度確認してみてください。

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新卒幹部候補の採用・育成に成功している企業事例3選

最後に、新卒で経営幹部を採用し、中長期的なスタンスの人材育成に成果を挙げている企業を紹介します。

1.株式会社メディクルード


関東圏を中心に歯科および美容クリニック事業、介護福祉サービス事業を展開する株式会社メディクルード(1997年設立)。医療・介護福祉・教育の3領域でグローバルに事業展開するGenki Groupの本社機能も備えています。

経営幹部候補の新卒採用・育成に注力し、入社後の2年間は独自の育成プログラムに沿って自律的に幹部候補としてのマインドやスキルを身につける助走期間と位置づけています。

そして入社3年目以降は、グループ企業の既存事業または新規事業のプロジェクト責任者として、医療・介護福祉・教育領域で事業創出にチャレンジしています。

URL:https://www.mediclude.jp/

2.UTグループ株式会社


製造・設計・開発・建設分野などを中心に無期雇用の派遣事業を展開するUTグループ株式会社(2007年設立)。派遣労働者を原則正社員として雇用し、個人のキャリア形成支援にも注力しています。

2019年に新卒の「幹部候補採用」を本格的にスタートし、UTグループの新規事業創出に挑戦するサマーインターンシップを実施。初年度から2,000人もの学生を集め、学生満足度95%という成果を挙げています。SNSなどの口コミで学生の間で認知を広げ、本選考では6,000人もの母集団を集めることに成功。

今後も継続して、夏と冬のインターンシップを軸に「新卒の幹部候補採用といえばUTグループ」という認知を広げていく採用戦略を展開しています。

URL:https://www.ut-g.co.jp/

3.株式会社リジョブ

株式会社リジョブは、美容・ヘルスケア・介護業界の求人メディア事業を展開している企業です。同社は「経営幹部候補」の新卒採用をはじめたことが、組織成長のターニングポイントになったと語っています。

同社では、ミッション・カルチャーをもとに幹部候補の採用基準を言語化。また、新入社員研修に力を入れており、経営者視点を身につける研修・ジョブローテーションを体感する研修・マーケティングの基礎を学ぶ研修など、さまざまな内容で幹部候補を育成しています。

さらに、毎年恒例で「幹部候補合宿」を実施。経営陣や経験豊富な中途社員と交流しながら、幹部候補生が自らの視点で現状の経営課題を考え、事業成長の種を見出す機会を提供しています。

【参考】新卒入社で「経営幹部候補」に。その採用基準と気になる研修内容をこそっと教えます。
https://www.wantedly.com/companies/rejob/post_articles/107065

まとめ

今回は企業にとって比較的新しい取り組みである幹部候補の新卒採用について解説しました。就業経験のない新卒者を採用する以上、一人ひとりが幹部候補として成長できるよう、10年・20年といったスタンスでの計画的な育成が必要です。

人材不足や若年層の早期離職などの問題は、未来の経営リソースである幹部候補の弱体化につながります。自社の状況と照らし合わせて幹部候補の確保・育成の意義を見つめ直し、組織開発の重点テーマとして取り組んでみてはいかがでしょうか。

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