人手不足や人材育成に悩む企業にとって、「採用」は大きな解決策となります。
しかし、新卒採用と中途採用の明確な違いやそれぞれのメリットを正しく把握できておらず、悩む企業は少なくありません。
「そもそも中途採用か新卒採用どちらをすべきかわからない」
という企業に向けて、今回は中途採用におけるポイントを解説します。
そもそもの定義や違いにも触れますので、中途採用にお悩みであればぜひチェックしてみてください。
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中途採用とは?意味を解説
中途採用とは、就業経験のある人材を採用することを指します。
一度でも就業経験のある人を採用する場合は全て中途採用に当てはまり、年齢・就業経験年数・スキルの程度による差は設けられていません。
即戦力や自社にないノウハウを求める企業は、中途採用を実施している場合が多いです。
新卒採用・第二新卒・既卒との違い
中途採用と比較されることが多いのが、新卒採用・第二新卒採用・既卒採用です。
ここでは、それぞれと中途採用の違いを確認していきましょう。
新卒採用との違い
新卒採用は、学校を卒業した年の4月に入社する人材を採用することです。
高校・専門学校・大学・大学院など学歴による差は設けられておらず、最終学歴卒業してそのまま入社するのであれば、新卒採用に当てはまるでしょう。
10代後半~20代前半を採用するため、社内の雰囲気や人間関係にフレッシュな刺激を与える効果もあります。
新卒で数百名以上採用するケースもあり、生え抜き社員として企業風土や企業文化の継承を狙っている企業も少なくありません。
また、新卒採用は学生が卒業したあとの4月に入社することが決まっているため、採用スケジュールが立てやすいのも特徴です。
報酬は、全員一律で定められることが大半。学歴に合わせて一定の差を設けている場合はありますが、基本的には全員同じ給与からスタートします。
第二新卒との違い
第二新卒は、一般的に学校卒業後約3年以内の就業経験保有者を採用することを指します。
たとえば、学校を卒業してから他の企業に新卒入社し、その後3年以内に転職活動を行っている人を採用する場合、第二新卒採用に当てはまります。
20代前半~20代後半の人材が大半を占めるため、若手を採用したい企業に向いています。
短期ではあるものの就業経験があるため、基本的なビジネスマナーや報連相のスタンスが身についていることも多いでしょう。
4月入社に限定せず、自社にとって必要なタイミングで若手人材を確保できる採用として注目されています。
報酬をどう定めるかは、企業によって大きく異なります。
新卒採用と変わらない給与からスタートさせる企業もあれば、短い就業経験ながら自社が求めるスキル・経験を詰んでいる人材にはそれなりの給与を支払う企業もあり、報酬設定はさまざまです。
既卒採用との違い
既卒採用は、学校卒業後に就業経験のない人材を採用することです。
空白期間がある人材はもちろん、フリーターとしてパート・アルバイトのみで生計を立てていた人材も既卒に当てはまります。
新卒採用・中途採用どちらに該当するかは、企業によって考え方が分かれます。新卒採用として扱う企業の場合、新卒と同時に4月入社してもらい、新卒と同じ給与を支払うことが大半。
また、中途採用として扱う企業の場合、内定が確定した段階で即入社してもらうことが多いです。
現在特定の企業に勤めていないため、前職の退職交渉や引継ぎに時間を取られることがなく、フットワークの軽い採用がメリットとなります。
企業が中途採用を行うメリットとデメリット
メリット
まずは、中途採用のメリットを4つ紹介します。他の採用にはないメリットのため、自社が採用に求める要素を比較しながら確認しましょう。
1.即戦力人材を採用できる
中途採用で入社する人材は就業経験があり、即戦力になります。
基本的なビジネスマナーはもちろん、業種・職種ごとに必須の知識やプロジェクトを成功させたノウハウなどもを持っているため、入社してからすぐ力になってくれるでしょう。
営業として高い成績を残してきた人材、エンジニア経験が豊富な人材、マネジメントに強く組織を牽引する力のある人材など、人材ごとに強みとなるポイントが異なります。
どんな経験のある人材がほしいかイメージしながら採用すれば、高い成果を得られそうです。
2.自社にないノウハウを得られる
中途採用することで、自社にないノウハウや新しい角度からの提案を得られることがあります。
たとえば、ITやデジタル業界に強い人材を採用し、自社に合ったツールやソフトウェアを選定してもらえます。
コンサルティングや営業企画経験の長い人材であれば、停滞していた成長戦略にメスを入れてくれるかもしれません。
中途採用に期待する内容を明らかにできていれば、それに合った人材を採用しやすくなりそうです。
3.社員教育のコスト・工数を削減できる
既に基本的な知識やノウハウを持っているため、一から社員教育する必要がないのもメリットです。
教育にかけるコストや工数を大きく削減でき、その分新たな採用や別の事業への投資ができるようになるでしょう。
しかし、自社のやり方やマインドを伝える研修や教育は必須です。
入社した1日目から即現場に配属して実務を行うと、自社における独自のコミュニケーションやルールがわからず、ストレスを与えてしまうため十分な配慮が求められます。
4.入社時期を調整しやすい
新卒採用のように4月入社に限定することなく、自社の必要なタイミングに合わせて入社してもらうことが可能です。
「人手が足りず困っているので、内定から間をあけず入社してほしい」
「繁忙期である12月に戦力となるよう、その半年前くらいに入社してほしい」
といった相談もできます。
あらかじめ求人内容に記載したり面接時に交渉したりすることで、タイミングを合わせてくれる可能性が高まるのです。
しかし、中途採用は在職中転職をする人材が多いです。
今就業している会社と退職交渉したり引継ぎしたりする時間が必要な場合、即入社ができない場合もあるでしょう。
スケジュールに余裕を持った採用計画を立てておくことが重要です。
デメリット
反対に、中途採用のデメリットを3つ紹介します。
一見メリットばかりのように感じられる中途採用ですが、リスクの一環としてデメリットを知って対策しておきましょう。
1.高待遇でないと人材が集まらない
ある程度知識や経験のある人材が多いため、それに見合った待遇を用意する必要があります。
給与・福利厚生が新卒と同等のレベルであれば、当然応募は集まらなくなるでしょう。そのため、スキルに見合った条件を提示することが重要です。
同業界・同職種ではどんな待遇で求人を出しているか調べたり、応募者の現在の年収を参考にしたりしながら、慎重に条件交渉を重ねましょう。
2.経験に比例して年齢が高くなる傾向にある
即戦力となる知識やノウハウがある人材である程、年齢が高くなる傾向にあります。それなりの経験を積むには年数が必要になることも多いため、あらかじめ知っておきましょう。
反対に、若手を求めるのであれば経験が浅くなる傾向が強いです。
自社にはない専門的な経験を重視するのか、経験よりもマインドや熱意を重視するのかによって中途採用の方向性は大きく変わります。
採用において必要な要素を整理し、それに見合った人材を選定できるようにしましょう。
3.前職のやり方に固執する場合がある
前職での経験が長い場合、前職でのやり方が染み付いて抜けない場合があります。
やり方に固執したり、固定概念がついていたりして、柔軟な考え方ができないケースもあるでしょう。
自社がなぜこのやり方をしているのか、どんな目的でこの業務があるのかなど、意義と目的を丁寧に説明することが重要です。
そのためにも最低限の社員研修やオンボーディングを実施し、自社マインドを習得してもらう必要があるのです。
完全に教育コストをゼロにすることは難しいと把握しておきましょう。
成功確率の高まる中途採用の進め方
中途採用のメリットがわかっても、方法によっては上手くいかないこともあるでしょう。成功確率を高めるには、ゴールまでの手法を描いておくことが重要です。
1.採用計画を立てる
まずは、採用計画を立てます。
・なぜ中途採用をしたいのか
・採用した人材にどんな活躍をしてほしいのか
・いつまでに何人採用したいのか
・どんな採用手法を取るのか
・かけられるコストや工数がどれだけあるか
をリストアップするのが近道です。ゴールのイメージや、ゴールに至るまでの道筋を立てることが重要です。場当たり的に手探りで採用するよりも、成功の確率が大きく上がるでしょう。
また、過去の採用に関するデータを収集しておくのもオススメです。
過去にどんな採用手法を用いて何人面接したのか、どれくらいの期間をかけて何人に内定を出し、何人入社したのか知っておけば、後々の効果測定に役立ちます。
採用計画の詳しい立て方については、こちらの記事で解説しています。
【参考】採用計画の正しい立て方|採用に失敗しないためのステップを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/plan/
2.母集団を形成する
採用計画が固まった後、多くの人に応募してもらうための母集団形成に移ります。とくに重要なのは、求職者に対して行うアプローチの内容です。
▼最低限必要な情報
・業種
・職種
・応募条件
・給与
・勤務地
・就業時間
・休日
・加入保険(厚生年金や健康保険など)
▼追加したい情報
・具体的な仕事内容
・福利厚生
・平均残業時間数
・有給休暇や産休育休の取得率
・求める人物像
・募集背景
・社内の人員構成比
・組織風土
・経営層からのメッセージ
・過去に中途入社した人からのメッセージ
まずは、最低限必要な情報を整えます。
求職者側の希望に合うかどうかを判断する重要な情報でもあるため、ミスや抜け・漏れなく記載しましょう。
加えて、自社の魅力が伝わるようなアプローチをするのがポイントです。
組織風土や経営層からのメッセージに共感してくれる人材を集めたいのであれば、理念が伝わるようなアプローチをしましょう。
多様な働き方ができる職場を探している人に向け、福利厚生や職場環境をアピールすることも効果的です。
母集団形成についての詳しい方法はこちらの記事で解説しています。
【参考】母集団形成とは?なぜ重要なのか?手法ごとのメリットも紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/candidate_group/
3.スピード感のある選考を行う
選考のステップに進んで以降は、スピード感を意識します。書類選考・面接調整・合否連絡など、相手を待たせないよう早めの連絡を心がけましょう。
中途採用の候補者は、複数の企業へ同時に応募していることが多いです。
入社のタイミングも新卒のように一定でないため、「早く内定が出た企業に入社する」ということも想定されます。
また、連絡のスピードが早ければ、信頼度も高くなるでしょう。
そのため、遅くとも2~3営業日以内には返信ができるようリソースを確保しておくことが重要です。
4.入社前フォローを行う
入社してほしい優秀な人材を見つけたら、入社前フォローを行います。
「内定を出したが、入社を辞退されてしまった」といったことがないよう、自社に関するなるべく多くの情報を提供しましょう。
たとえば、内定から入社までの間にフォローのために、職場見学を行うと効果的です。
実際に働くオフィスを見せながら既存社員と交流してもらえるため、面接時には出なかった質問や疑問にも対応しやすくなります。
入社後のイメージを固めてもらえれば、ミスマッチを少なくできるでしょう。
また、内定通知書などの発行を確実に行い、信頼性を高めることも大切です。
中途採用に成功した事例
最後に、中途採用に成功した企業を4社紹介します。
どんなポイントに気をつけ、どんな採用に成功したのかピックアップしていますので、参考にしてみてください。
株式会社サン・クレア
株式会社サン・クレアは、広島・岡山・愛媛でホテルを運営する企業です。
以前から継続的に中途採用を行っていましたが、採用専任者の不在や知識不足で思うような採用ができていませんでした。
新たに中途採用担当者が加わって以降、採用手法を大きく見直し、欲しい人材に対してダイレクトにアプローチできる「ダイレクトリクルーティング」に踏み出しています。
「1日以内ログイン」「1週間以内ログイン」など動きのある人材を優先に、他府県で活躍していた人や英語を話せる人にスカウトメールを送りました。
自社のビジョンと伝え、どんなスキルがどんな業務に活きるのか個別に文面を変えながらアプローチしたことで、20%以上という高い返信率を記録しています。
結果として、事業企画のマネージャークラスからホテルの責任者まで、1年程度で8名の採用に成功しました。
自社に合った母集団形成をすることで採用を成功させた例だとわかります。
参考記事:『地方企業こそスカウトを利用せよ。広島県福山市のホテル運営会社がWantedlyで県外人材8名を採用したワザとは』
XTech株式会社
XTech株式会社は、起業サポートや経営支援を行う企業です。
設立間もないスタートアップ企業であるため、以前はリファラル採用を中心に展開していました。
採用成功につながったキーポイントは、既存社員の紹介記事にあります。
「過去に入社した人はどんな人柄で、どんなスキルがあるのか」
「どんな想いを持って入社を決めたのか」
といった内容をインタビュー形式でまとめ、求人要項にリンクを貼ったり、FacebookやTwitterなどのSNSを経由して拡散したりする試みをはじめました。
結果として、新規事業担当者の募集に毎週5~10件程度応募があり、効果的な母集団形成に成功しました。
誰とどんな働き方をしたいかを重視した採用が叶い、スキルだけでなく想いを共有できるような活動ができています。
社員紹介記事の拡散などの採用広報活動が、入社後の定着にもつながる採用手法だとわかります。
参考記事:『スタートアップの採用広報・認知拡大も担えるツール』
株式会社オムニス
株式会社オムニスは、Webサービスの開発・運用を手掛けるIT企業です。
過去にはリファラル採用を中心に小規模な中途採用を行っていましたが、株式会社ワールドのグループ会社になったことをきっかけに、過去の10倍近い人数の採用計画を立てています。
とくに意識したのは、工数をかけずに母集団形成することでした。
SNSや求人媒体のトップページに広告を出稿し、採用にかける人員・工数が少ないなかでも十分な募集を集めたのが成功の秘訣となっています。
露出度を上げることで自社を知らない層・自社に興味のない層の目にも留まりやすくなり、多くの人から応募が集まりました。
結果として2名のバックエンドエンジニアと2名のマネジメントクラスの採用に成功し、会社の底力を支える人材として活躍しています。
広告を活用することで、工数をかけずに十分な募集を集めることに成功した事例です。
参考記事:『優秀なバックエンドエンジニアを2名採用。2週間でエントリー数を倍にしたWantedly+αの採用方法とは。』
まとめ
中途採用は、即戦力を集め、自社にないノウハウを獲得する重要な手段です。採用を成功させられれば、会社の根本的な力を向上しやすくなるでしょう。