Wantedlyを日々運用している採用担当者さんたちが集うコミュニティ「Lab W,」。ここでは参加者全員が経験を元にアウトプットし、知識や情報をアップデートする場として、Slackでのコミュニケーションや、月に1回のイベントを実施しています。
本記事はLab W,で開催された「ランチタイム トークセッション第10回」のイベントに着目。「自律・自燃型の全員採用」をテーマに、株式会社カウシェのHRである上林遼氏と藤森華英氏にお話をうかがいましたので、その様子をお届けします。
今回のトークの内容は以下のとおりです。
・複業の積極的な活用と組織ビジョン「自律・自燃型組織」
・「攻めの採用」に欠かせない3つの取り組み
・全員採用を実現する「自律・自燃型組織」の作り方
セッションの最後に行われたQ&Aもご紹介します。
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▼ゲスト
株式会社カウシェ
HR / 上林遼慶應義塾大学卒業後、DeNAでHRを経験し人材開発や組織開発を担当。複業として創業期よりカウシェに携わり1年半後にフルタイムジョイン、1人目の正社員HRに。鎌倉在住、好きなものは、サーフィン、野球、料理、MARVEL。
株式会社カウシェ
HR / 藤森華英GMOインターネットを経て複数のIT系スタートアップで人事責任者などを経験後、人事採用コンサルとして独立。約30社の採用や人事領域を支援。2020年に娘を出産しワーママとしてHRに復帰。2022年6月にカウシェ入社、HR2人目の正社員となる。
▼モデレーター
ウォンテッドリー株式会社
五十嵐萌子法政大学キャリアデザイン学部卒業後、ITベンチャー企業にてウェブメディアのディレクター・新卒採用担当を経て、2019年10月ウォンテッドリー入社。現在はユーザーコミュニティを担当。
「世界一楽しいショッピング体験を作る」ため「シェア買い」事業に参入
五十嵐:それでは早速、カウシェ様のサービスについてご説明いただけますでしょうか。
上林:株式会社カウシェは2020年4月の創業で、今年が3期目となります。「シェア買い」という形のECアプリを運営しています。
現在、世の中のECサービスでは「早く届く」「ポイントがたくさん貯まる」などの利便性や効率が注目を集めがちですよね。我々の「シェア買い」ECは、利便性というよりも「楽しい」という点を追求していきたいと考えて進めている事業なんです。
カウシェが創業したのは2020年4月と、コロナがはじまった時期でした。当時は友達と買い物に行くにも周りの目を気にしたり、出かけられずにストレスを溜めてしまう機会が皆さんにもあったのではないかと思います。
実際の買い物って「来週の土曜日に買い物へ行こう」と約束してからワクワクして待ったり、誰かに買って帰った時に喜んでもらえる顔を想像したりしますよね。「楽しさ」って実は、人と人とのつながりやプロセスにあるんじゃないかと考えたんです。
そこで、買い物の「楽しさ」をオンラインで実現させるために「シェア買い」を事業としてスタートさせました。カウシェのビジョンは「世界一楽しいショッピング体験をつくる」、ミッションは「日常に楽しさを」となっています。
現在、事業を開始してから2年が経過する中で、ユーザー様も順調に増えており、我々の考えはマーケットにマッチしているのでは、と自信を深めながらチャレンジしているところです。
複業の積極的な活用と組織ビジョン「自律・自燃型組織」
五十嵐:とても新しいサービスですよね。カウシェ様は組織のメンバー構成も特徴的です。
上林:はい、カウシェは全体で102名のメンバーがおりますが、正社員はまだ20名なんです。複業が多いのが特徴で、69名となっています。それ以外は役員と社外役員が各4名、インターンが5名です。
また、複業としての参加から正社員になったメンバーが多いのも特徴です。実は正社員20名のうち11名と、過半数が元複業メンバーでした。私自身もそうです。
年齢層は平均が31.9歳と30代前半が多い一方、インターンとして活躍している20代前半から、大企業出身のシニアまで幅広い世代から構成されています。
カウシェでは「働く場所を自由に選ぶことができ、さまざまなライフスタイルをサポートしたい」と考えており、メンバーは北海道から九州まで全国様々な場所で仕事しているんです。中には香港から参加しているというメンバーもいるんですよ。
五十嵐:かなりフレキシブルな働き方ですよね。
上林:我々は「世界一楽しいショッピング体験をつくる」というビジョンを実現するためには「自ら働く環境を楽しみ、熱量を最大化する組織」が必要と考え、組織ビジョンとして「自律・自燃型組織」を掲げています。
そして、組織ビジョンを実現するための価値観として「Try First~挑戦しよう~」「Enjoy Working~働くことを楽しもう~」「For Team~お客様やパートナー、働く仲間を思いやろう~」という3つの組織バリューを設定しています。
「攻めの採用」に欠かせない3つの取り組み
藤森:採用手法としてはダイレクトリクルーティングを中心に、複数活用しています。カウシェでは急成長を続けるために「攻めの採用」が欠かせないと考えているからです。
「攻めの採用」では3つの点を心がけており、まず1つ目が事業計画について事業部とすり合わせ、事業成長のペースに合わせた採用活動ができる環境を整え、先手先手を打てるようにする、ということです。
それから2つ目がエージェントやRPOなど外部の専門家を積極的に巻き込んで、信頼関係を構築している点です。定例ミーティングで振り返りを行ったり、アプローチしやすい人材のタイプをヒアリングしたり、優秀な人材に興味を持ってもらうためにはどんな条件を出せばいいのか質問したり。
かなり密に連絡を取っているんです。エージェントさん側にとっても情報がたくさんある方が候補者にアタックしやすいですから、協力的に動いてくださっています。
3つ目が採用広報で、Wantedlyとnoteを併用して毎週あるいは隔週に1本くらいのペースでストーリーを更新しています。
実は私もWantedly経由でカウシェにジョインしたのですが、Wantedly経由の応募は結構多いです。これまでに事業開発、CS、Android Engineer、HRの4名がWantedly経由でカウシェに入社しています。
ダイレクトスカウト以外にエントリーもかなりあって、ストーリーをしっかり更新していくことが重要だと感じています。候補者はストーリーによって企業の情報をより多く入手できますので、少しでも興味を持って下さった方がカジュアルに応募しやすくするための導線になるからです。
ストーリーを更新するタイミングは経験則ですが平日の木曜日のお昼が良いと感じています。公開した日の午後にTwitterで広まったストーリーを、夕方や夜に読んでもらえたり、時間に余裕のある土日にPVが集まり、カジュアル面談を申し込む方が多いような印象です。
全員採用を実現する「自律・自燃型組織」の作り方
五十嵐:続いて、「攻めの採用」を支えるカウシェ様の全員採用について踏み込んで聞いていきたいと思います。「自ら働く環境を楽しみ、熱量を最大化する組織」である「自律・自燃型組織」はどのように作られているのでしょうか?
上林:「自律・自燃型組織」は、個々が主体的に考えて動くと同時に、同じように動いている周囲からも誘発されていく、という形を目指しています。
採用活動で「自律・自燃型組織」を実現するための取り組みは3つあります。「採用に責任を持つ」「現場のメンバーを前に出す」「プロフェッショナルを積極的に巻き込む」です。
五十嵐:おふたりを中心に現場や外部の方を巻き込みプロデュース、全員採用を実現するわけですね。それぞれについて詳細にお聞きしていきたいと思います。
1.採用に責任を持つ
五十嵐:まず「採用に責任を持つ」とは具体的にどうやっているのですか?
上林:カウシェでは代表以下、全社が採用に関する重要性を認識しています。しかし、ただ「重要だ」というだけでは伝わりませんよね。
例えば10人を採用するのであれば「なぜ10人採用する必要があるのか」「なぜその業務に10人必要なのか」を会社の成長と紐づけて説明することで「だから必要なんだ」と理解でき、解像度が上がるんです。すると、組織は自律的になっていきます。
それから、情報を正社員だけではなく複業の方々に対してもかなりオープンにしています。資金調達に関する状況や会社の残高、経営会議の内容まで可視化されており、共有できているんです。
十分な情報を取得できる環境にあれば、それぞれが取捨選択して自律的に動き「自分ごと化」していけるからです。
目標管理は四半期ごとにOKR(Objectives and Key Results)で行っています。採用は4〜6月期の全社トッププライオリティに掲げられていました。営業部門やエンジニア部門にとっても最大のミッションが採用になり、部門ごとに採用に関して責任を持って動くようになるわけです。
HRチームも8名のうち6名が複業メンバーですが、一人ひとりがスカウト数や返信数、内定承諾数などの数値目標を持っています。そのため、自分の成果を高めるために「こんなことやりたい」など前向きな提案がどんどん出てくるんですね。
2.現場のメンバーを前に出す
五十嵐:現場のメンバーを前に出して活用している点も特徴的ですよね。
上林:はい、カウシェではHRが選考プロセスには入らずサポートに徹しているんです。というのも、選考は現場のメンバーが一緒に働きたいと思う候補者を選んでほしいためです。
現場のメンバーも自分たちで決める必要があるため「どんな人材を採用したいか」を考え、積極的に動いてくれるようになります。エンジニアが主体的にロープレしてカジュアル面談を改善してくれ、我々は後から知った、ということもありました(笑)
HRは選考に関してはあくまでサポートとしてアドバイスする立場です。ただし、そのための定例MTGを部門ごとに週1~2回の頻度で行っており、候補者の状況や進捗を確認しています。
五十嵐:情報がオープンだからこそ現場がキャッチアップして動きやすい環境になっているんですね。また課題を自分たちで改善するための権限・裁量がある点も特徴的だと感じました。
3.プロフェッショナルを積極的に巻き込む
五十嵐:最後に3点目ですね。外部の方をどう巻き込んでいるのでしょうか。
上林:複業メンバーを巻き込むために、タスクではなくミッションで渡すという工夫を行っています。例えば「スカウトを100通送ってください」というタスクだと、やる側はしんどいですよね。
そこで「カジュアル面談を10名設定してください」などのミッションとして渡すんです。ミッションを渡して、やり方は各自で考えていただくという形を心がけています。
それから、複業のメンバーは稼働時間が少ないですから、会社について取得できる情報に限りが出てしまいがちです。そのため、定期的に事業の状況をご説明するなど情報共有を目的とした1on1を実施しています。
こうした取り組みによって積極的に巻き込み、皆さんのパフォーマンス最大化を目指しています。
複業メンバー以外では、カウシェでは定期的に外部のプロフェッショナルからアドバイスをいただいているんですね。媒体に関する情報をヒアリングしたり、課題を解決するためのアドバイスを受けているんです。
彼らに対しても、MTGの場でカウシェの現状についてご説明し、情報共有するために一定の時間をあてています。彼らから得られるアンサーの質を高めるためです。
五十嵐:ゴールを設定し、ゴールまで至るルートはお任せすれば強みを活かしてもらえる、というのは今後複業や業務委託を採用したいと考える企業様にとっては参考になったのではないでしょうか。
カウシェさんへ質問殺到!気になるコミュニケーションや巻き込み方(Q&Aコーナー)
1.リモートワークが中心の場合、オフィスは必須でしょうか。またオンラインでは何か工夫をされていますか。
藤森:オフィスはありますが、地方や海外から参加しているメンバーもいますし、私自身もほぼフルリモートで仕事しています。オフィスが必須か、という質問に対しては必須ではないと思いますが、カウシェの場合はオフィスに来たいよね、というメンバーが仕事できるように用意しています。
一方、カウシェではバーチャルオフィスの「Gather」というツールを活用しています。オンライン上に常にメンバーがいて話しかけられるよ、という空間です。
それから、社員同士が楽しみ合える環境という点では交通費を会社が負担しオフラインイベントを開催したり、9月には全社合宿も予定しています。コミュニケーションの問題はこのように解消しています。
2.現場メンバーとの協力体制を構築するためにどのようなコミュニケーションを重視しましたか。
藤森:カウシェではさまざまな部門が採用活動を行っていますが、現場には自分たちの担当業務がたくさんありますから、巻き込むのは簡単ではありません。
巻き込んでいくためには、最初のうちは大変な部分を全てHRチームが担当することです。その上で、少しずつ協力を依頼していくという形で巻き込んでいきます。
例えばスカウトなら「スカウトを送ってください」と言っても、唐突な依頼になってしまうので、業務の中で行うことが難しいこともあると思います。なので少し工夫をして、「この人にこんな文章で送ってください」という形から入るんです。すると、やっていくうちにだんだん「メッセージをこうした方がエンジニアには響くと思うよ」とか「言い回しをこうした方がいい」などの意見を出してもらえるようになります。
最初はHRチームが大変なな部分を担当して、徐々に巻き込みを増やしながら「自分ごと」化を進めていくのが良いと思います。
まとめ
五十嵐:カウシェ様の採用体制や採用手法、全社を巻き込むための施策についてさまざまな角度からお話いただきました。
社員数は少なくても、関わっている全員が「カウシェの顔」として採用活動に取り込めるための行動指針やバリューを伝え続け、また情報を内部・外部問わず積極的に伝え続けているわけですね。この「伝える」という点を重視しているからこそ、皆が自発的に動けているんだなと感じました。
それから、HRチームが主体となって採用活動を動かしているわけでなく、皆が動きやすいようプロデューサー的な役割を担っている点が特徴的だと思います。ひとり人事の方など、現場を巻き込むための参考になったのではないでしょうか。
上林・藤森:セミナー内だけでは話しきれなかった点もありましたので、今後我々のnoteなどでも発信していけたらと思っています。また、私たちのTwitterで採用イベントについて告知しておりますのでご覧ください!
五十嵐:おふたりともありがとうございました。
【Lab W,への参加はこちら】
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【前回のLab W,レポートはこちら】
エンジニアのCX(候補者体験)重視のカジュアル面談とは|Lab W,【Event Report】
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