25年卒の就職活動より、新卒採用に直結するインターンシップが認められるようになりました。
これまでにも、採用活動の一環としてインターンシップを実施している企業は数多くありましたが、これを機にインターン経由での採用を強化する企業が増えています。報酬の有無や実施形態はさまざまですが、多くの企業の目的は優秀人材の円滑な採用と採用後の定着率向上にあります。
この目的を達成するために、企業はどのような点に気をつけてインターンシップを実施すればよいのでしょうか? 本記事では、インターンシップの効果や種類、実施方法などを紹介します。
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優秀な学生を採用する、長期インターンシップのススメ インターンシップは優秀な学生を早期に囲い込む、会社の魅力を選考以外で知ってもらう機会を作るために、欠かせないものとなっています。 しかし、説明会の延長のような、1日~3日のインターンシップで優秀な学生に興味をもってもらえるのでしょうか。 この資料では、長期インターンシップを利用して優秀な学生を採用する方法、コツについてご紹介します。
インターンシップの目的
インターンシップの目的は、学生側、大学側、企業側で異なります。
- 学生:今後のキャリアや自身の職業適性を考える機会として、また就職活動の一環として参加します
- 大学:学んだことを実践の場で活かし、その後の学習意欲を喚起したい目的があります
- 企業:採用後のミスマッチを防ぎ、定着率を向上させたいという目的があります。
学生側の参加目的として、2022年にWantedlyが実施した長期インターンシップに関する調査では、「社会に出る前に経験を積みたいと考えたから(72%)」、「自分らしいキャリアを考えるために役立つと考えたから(60%)」という回答が、主な参加目的としてあげられています。
そのほか、企業側の目的としては業務にあたりながら企業の社風を理解してもらいたい、採用後の人材育成にかかる時間を少なくしたい、学生が持つ新たな視点を取り入れたいなどの理由でインターンシップを実施する企業もあります。
書類選考や面接・筆記試験ではわからない学生の特性や適性を見られるのは、インターンシップの大きな利点です。インターンシップで得た学生の情報は選考に活用できるだけでなく、配属先の参考にもなるでしょう。
【参考】インターンシップとは?定義・種類・企業側の目的をわかりやすく解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/internship_top/
インターンシップ実施で期待できる企業の効果
インターンシップの実施によって、企業は次のような効果を得られる可能性があります。
1.優秀な人材の発掘
新卒採用においては、政府主導の採用ルールが存在しており、採用活動を開始できる時期が具体的に決められています。
インターンシップは、新卒採用の広報活動を開始する前から実施できます。早期に優秀な学生を発掘・確保したい企業はインターンシップを通して学生と接点を持ち、求める人材にアプローチし続けられるのです。
インターンシップの実施によって、書類選考や面接ではわからない、優れたスキルや特性を持つ学生を獲得できる可能性が高まります。
2.企業のイメージアップ
インターンシップは、企業の知名度の向上やイメージアップにも役立ちます。とくに、生活者と直接的な関わりのない企業は、学生や学校に広く知られていないこともあるでしょう。インターンシップを通して学生に企業の魅力を伝えることによって、口コミでよい評判が広がり多くの学生に知られることもあるのです。
同業他社にはないインターンシップを実施したり、サポートを手厚くするなどして、学生に実りの多いインターンシップを実施しましょう。
3.入社後のギャップ防止
新卒採用で多大なコストをかけて学生を採用しても、早期に離職されたのでは大きな損失となってしまいます。
厚生労働省の調査(新規学卒就職者の離職状況を公表します:2021年10月22日公表)によると、2019年3月卒業の新規大卒就職者のうち、約3割が入社から3年以内に離職しています。
また、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状(2016年)」では、早期離職の原因に「人間関係がよくなかった」「仕事が自分にあわない」などが挙げられています。
インターンシップで実際に社風や業務内容を理解できれば、入社後のギャップを防ぎ、早期離職を抑制できる可能性が高まるでしょう。
採用直結型インターンシップとは
2025年卒からインターンシップのルール改正があり、学生のキャリア形成に係る取り組みは以下の4つに分類されました。タイプ3「汎用型能力・専門活用型」・タイプ4「高度専門型」のみ、学生の個人情報を採用活動へ利用できるため、「採用直結型インターンシップ」と称されています。
類型 | タイプ1 オープン・カンパニー | タイプ2 キャリア教育 | タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | タイプ4 高度専門型インターンシップ |
---|---|---|---|---|
目的 | 企業や業界の情報提供 | 社会的・職業的自立に必要な能力を育む | 適性や能力の見極め | 専門分野における実践力の向上 |
対象 | 全学年 | 全学年 | 学部3〜4年 | 修士課程 |
就業体験 | 無し | 任意 | 必須 | 必須 |
実施期間 | 半日〜1日 | プログラムによって異なる | 汎用的能力活用型は5日間以上、専門能力活用型は2週間以上 | 2ヶ月以上 |
取得した学生情報の採用活動への活用 | 不可 | 不可 | 可 | 可 |
呼称 | インターンシップと称さない | インターンシップと称す |
※上記は「学生のキャリア形成支援における産学協働の取組み」の要件を一部抜粋したものです。規定の詳細は以下をご確認ください。
引用:インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(三省合意)
タイプ別の特徴
タイプ1:オープン・カンパニー
オープン・カンパニーとは、企業や大学のキャリアセンターなどが主催するキャリア形成支援プログラムのことで、企業や業界の情報提供を目的に開催されます。学生は社員とのカジュアルな対話や現場見学を通じて、企業の魅力や就業するイメージが持てるようになります。
詳細記事:オープン・カンパニーとは?インターンとの違い・コンテンツ例を解説
タイプ2:キャリア教育
キャリア教育は、大学が単独または企業と協働して取り組むプログラムや、企業がCSRの一環として取り組むプログラムなどがあります。自己分析、模擬面接、履歴書作成のワークショップを実施し、学生が自分の強みや将来の方向性を学べます。学生は将来の不安を解消し、主体的なキャリア設計に繋がる貴重な体験が得られるでしょう。
タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
汎用的能力・専門活用型インターンシップは、コミュニケーションや問題解決などの汎用能力と特定分野の専門スキルを実践形式で磨いていくプログラムです。学生は実際のプロジェクトに参加して議論を交わすことで、多面的な能力を習得できます。
タイプ4:高度専門型インターンシップ
高度専門型インターンシップは、主に大学院の修士・博士課程を対象に就業体験を提供し、先端技術や専門分野における知識の向上を目的としたプログラムです。個別指導や実証実験などを通じて、実践的かつ高度なスキルを習得します。専門知識を既に有する学生にとって、将来のキャリア形成に直結する貴重な経験となるでしょう。
採用直結型インターンシップ実施の期間と時期
実施期間
採用直結型インターンシップの実施期間は、企業の採用目的や提供する体験内容に応じて大きく異なります。短期型の場合は5日間前後のプログラムが多く、短期間で企業の雰囲気や業務内容を濃縮して体験できるよう工夫されています。これにより、学生は一度の参加で企業の実情を把握しやすく、気軽に応募できるメリットがあります。
一方で、より実践的なスキル習得やプロジェクトへの深い参画を目指す企業では、2週間以上(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)または2ヶ月以上(高度専門型インターンシップ)が行われます。長期型の場合では、実際の業務に近い環境での経験を積むことで、学生が即戦力となる能力を育むとともに、企業側も将来の人材育成を見据えた評価を行うことができます。
実施時期
採用広報活動が解禁される3月以前に行うのが一般的です。具体的には、前年の6月頃から企業がインターンシップの募集を開始するケースが増えています。このタイミングは、企業が早期に優秀な人材と接点を持ち、採用選考に直結する評価プロセスを進めるための戦略的な動きといえます。学生にとっても、早期から企業の現場に触れることで、自身のキャリア形成に役立つ貴重な経験が得られるメリットがあります。
インターンシップから採用につなげるポイント
採用活動のひとつとしてインターンシップを組み込む場合は、採用につながるようなインターンシップの実践が求められます。インターンシップを採用につなげるために、次の2つのポイントを踏まえプログラムを構成しましょう。
1.インターンシップの目的を明確にする
まずはインターンシップの目的を明確化します。目的のないインターンシップでは、学生側にもメリットが薄いものになってしまいます。
前述したインターンシップの効果を踏まえて、どのような成果を得たいのかを明確化できれば目的も定まります。
- 企業への理解を深めてもらう
- 優秀な人材を発掘する
- 企業への志望度を高めてもらう
- 企業の認知度向上
こうした具体的な目的を設定しましょう。
2.インターンシップの内容を工夫する
一般的なインターンシップでは、学生に強い印象を残すのは難しいものがあります。事業内容を踏まえた独自性のあるプログラムにするなど工夫しましょう。
就職活動を応援するようなインターンシップも人気です。「必ず企業に来てほしい」という内容にするのではなく、自己分析の方法や就職活動の進め方などを主軸に据えた内容にすることで、学生に好印象を与えられます。
また、近年急増しているオンラインインターンシップでは、従業員との交流の時間を多く取ったり、グループワークを行ったりすることで心理的な距離を縮める例も見られます。
【参考】オンラインインターンシップ|メリット・成功のコツ・事例を紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/online_internship/
インターンシップ実施の流れ・5つのステップ
インターンシップを実施する際は、次の手順で進めていきます。
- インターンシップの目的を決める
- インターンシップの詳細を決める
- 社内調整を行う
- インターンシップの募集
- インターンシップの実施・フォロー
1.インターンシップの目的を決める
前述したとおり、目的のないインターンシップでは、企業側にも学生側にもメリットが少なくなってしまいます。また、目的が定まることで実施すべきインターンシップの種類や内容も見えてくるでしょう。
2.インターンシップの詳細を決める
目的に即したインターンシップになるよう、詳細を決定します。
認知度の向上や学生との接触機会の増加を目指すのなら、講義セミナー型のインターンシップで多くの学生と接点を持てる場を設けます。優秀人材の発掘を目的としているのなら、業務体験型あるいは実践型で実際の業務にあたってもらうなどのアプローチです。
インターンシップの募集時期、実施時期と時期ごとの内容、実施回数なども定めておきましょう。
【参考】インターンシップ内容の決め方|夏と冬の違いや具体的な事例を紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/internship_contents/
3.社内調整を行う
インターンシップの実施時期と内容が決まった段階で、関係者のスケジュール調整を行います。インターンシップの関係者に周知しましょう。
長期インターンシップでは、関係者の人数が多くなるため、なるべく早めに調整を行います。1ヶ月以上の実践型インターンシップの場合は、教育担当者を誰にするのか、どのような業務を行うのかなどを受け入れ部署と相談のうえ決定しましょう。
4.インターンシップの募集
ここまで完了したら、インターンシップの募集を行います。募集方法には、インターンシップ専用求人サイトの利用や、大学のキャリアセンターや企業サイトでの募集があります。
専用求人サイトでの募集には費用が発生しますが、より多くの学生に周知できることが利点です。
5.インターンシップの実施・フォロー
学生からの応募を受けて、インターンシップを実施します。短期インターンシップでは、一度に多くの学生を受け入れられるため、選考を行わないこともあります。
一方、長期インターンシップでは受け入れられる人数に限りがあることから、複数の学生の応募があった場合には選考が必要でしょう。
実施後は、フィードバックを行う、定期的に連絡を取るなどしてフォローアップを行います。
インターンシップを行う際の注意点
インターンシップ中の報酬については注意が必要です。近年の法改正や政府・労働省のガイドラインの改訂により、実務に近い長期インターンシップを無償で実施する場合、労働基準法上の問題が指摘されています。
企業の指揮のもとで実際の業務に従事し、企業がその成果から利益を得る場合は、インターン生も労働者として扱われ、最低賃金法等の労働基準が適用されます。
実践型の長期インターンシップの多くはこれに該当するため、時給や日給を定めて学生に通知しましょう。無償で実施した場合には違法となる可能性があるので、注意しましょう。
Wantedlyでインターンシップに成功した採用事例
株式会社ミトラ
株式会社ミトラは、医療システムの開発や周産期医療連携ネットワークの構築などを行う企業です。Wantedlyの導入をきっかけに、インターン生として岡山県で8名の採用に成功しています。
地方の中小企業が採用において戦える場として、大手の採用ナビ媒体よりもあえてWantedlyの活用を選択することで、岡山県という立地でも長期の学生インターンの募集で100名近くの応募を集めています。
実際に「岡山」「長期インターンシップ」などでGoogle検索をした学生が、Wantedlyの記事を見つけて応募いただく流れが多く、そこから記事を読んでもらい事業内容や会社のカルチャーに興味をもった学生の応募を集めることに成功しています。
長期インターンを能動的に探している優秀な学生にアプローチし、採用に成功した事例です。
リスタンダード株式会社
リスタンダード株式会社は、新卒、中途採用の紹介事業、研修、イベントなどの採用トータルプロモーション事業を展開する企業です。創業間もない時期で、知名度がない状況でも採用できる手法を探した結果、Wantedlyを導入いただきインターン生20名以上の採用に成功しています。
また、Wantedlyでは新卒・インターン問わず募集を公開することができるため、長期インターンと同時に新卒募集も並行し、新卒の採用にも成功しています。
大手就活ナビだと大企業に埋もれてしまう情報も、Wantedlyを活用することで大手とは違った土俵で自社のアピールしたことが功を奏した事例です。
優秀な学生をインターンで採用するなら
Wantedlyは、企業が掲げる「想い」への共感を通じて求職者とのマッチングをはかる採用サービスです。
Wantedlyに登録している学生は、自己の成長を求めて長期インターンを探す方が多く、一般的な新卒採用の求人媒体では希少なキャリア形成意欲の高い優秀な学生が多いのが特徴です。
成功報酬料金は発生せず、インターン・新卒・中途・業務委託の募集を同一料金で掲載できるため、採用単価を抑えた効率的な採用活動が実現できます。
Wantedlyでできることや具体的な料金は以下のサービス資料にまとめていますので、ぜひ一度確認してみてください。
まとめ
インターンシップは、企業と学生の両者にメリットをもたらす活動です。近年では採用活動の一環として実施する企業も多くあります。
ただし、実施の際には採用活動に特化しすぎないよう気をつける必要があります。企業のみのメリットにフォーカスしすぎず、学生のキャリア形成や就職活動をサポートできる内容にするなど工夫しましょう。