面接の合否を判断するための指標となる採用基準。
しかし、
「どのような手順で決めていけばよいかわからない」
「採用基準に入れるべき内容やミスマッチを防ぐためのポイントが知りたい」
と、自社に適した採用基準がわからずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そのため本記事では、面接における採用基準の正しい決め方や注意点、自社とのマッチングを見極めるうえで欠かせない評価項目や成功事例について徹底解説していきます。
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面接において、なぜ採用基準が必要なのか
「なぜ採用基準を決める必要があるのだろう」
「採用基準がないと、どのような弊害が生じるのだろう」
と、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのためまずは、採用基準が重要である2つの理由を解説します。
1.採用すべき人材かどうか見極めるため
採用基準を決めることで、本当に採用すべき人材かどうか見極められ、入社後のミスマッチを防げます。
もし採用基準がなければ、面接でどのような質問をすべきかわからないため、場当たり的な会話となってしまい、的確な評価は行えません。
また、採用基準が明確でなければ、面接官の主観や「面接での雰囲気がよかったから」という曖昧な基準で合否を判断してしまう恐れがあります。
「◯◯という採用基準を満たす人材かどうか確かめるために、◯◯について質問する」というのが面接の理想形です。
採用基準を定め、それに沿った質問をすることで、自社にマッチした人材かどうか見極められるようになります。
2.面接官による評価のズレを防ぐため
採用基準を決めることは、面接官による評価のズレを防ぐことにもつながります。
もし明確な採用基準がなければ、面接官ごとの評価基準にズレが生じてしまい、公平な選考とはなりません。
また、採用基準に関する認識が統一できていなければ、面接官の主観が評価に影響を与えてしまうこともあるでしょう。
そのため、面接官が複数名いる場合は、公平かつ客観的な評価ができるよう採用基準を明確化する必要があります。
採用基準の正しい決め方
続いて、採用基準の正しい決め方について解説していきます。
なんとなくで決めてしまったり、誤った手順で決めてしまうと、自社にマッチした人材かどうか正しく見極めることはできません。
これから紹介する方法を参考にし、最適な採用基準を決めていきましょう。
1.求める人物像・ターゲット・ペルソナを明確にする
まずは、自社の求めるターゲットやペルソナを明確にさせましょう。
どのような人材を採るべきかしっかり言語化できていなければ、採用基準も定まりません。
自社が求める人材はどのような人物か、どのような人材であれば活躍できそうか、採用する目的まで考慮したうえで詳細な設定を行いましょう。
ペルソナの設定方法については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせて読んでみてください。
【参考】採用ペルソナの簡単な作り方|新卒・中途別に徹底解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/persona/
2.合否判定に必要な項目を洗い出す
続いて、自社の求める人物像かどうか判断するために必要となる項目を洗い出しましょう。
このとき、「スキル」と「パーソナリティ」を分けて考えるのがポイントです。
どのようなに能力が高くても、企業風土にマッチしない性格であれば、思うような活躍は期待できません。どちらか一方に偏らないよう、思いつく限りの項目を挙げていきましょう。
3.評価項目の優先順位を決める
最後に、上記で挙げた項目の優先順位を決めていきます。
たとえば、即戦力が必要な中途採用の場合は、スキル面を最優先かつ必須項目とし、パーソナリティ面は希望的な項目とするなど、求める人物像から逆算して優先順位を確定させましょう。
このとき、優先順位を決めるだけでなく、評価項目の数を3〜5つ程度に絞るのがポイントです。
評価項目が多すぎると面接での評定が複雑になるうえに、合格基準が必要以上に高くなってしまいます。
求める人材かどうか判断するために本当に必要な項目かどうか、一つひとつ確認していくことで適切な採用基準を定めていきましょう。
採用基準・評価項目に入れるべき内容
続いて、採用基準や評価項目に入れるべき内容を紹介します。
適切な採用基準を決められたと思っていても、意外と重要な項目を見落としていることは少なくありません。
自社とのマッチングを見極めるためには、次の3つの項目をすべて押さえるようにしましょう。
1.スキル
保有資格や経歴などのスキル面は、募集職種の業務に適した人材かどうか見極めるために重要です。
デザイナーやエンジニアなどの専門的なスキルが必要とされる職種の場合は、必ず評価項目に入れるようにしましょう。
いくら企業風土にマッチしていて熱意のある人材でも、必須スキルを身につけていなければ入社後の活躍は見込めません。
ただし、理想が高すぎると選考通過率が大きく下がってしまう恐れがあるため、スキルに関する採用基準は必要最低限のレベルに留めておくようにしましょう。
2.パーソナリティ
パーソナリティに関する採用基準は、自社の企業風土にマッチした人材かどうか見極めるために重要です。
とくに新卒採用の場合、スキルよりもポテンシャルを重視して採用することが多いため、最も重要な評価項目と言えるでしょう。
また、パーソナリティと一言でいっても大きく次の3つに分けられます。
コミュニケーション能力があるか
・質問に対して的確な回答ができるか
・主張に一貫性や論理性はあるか
・表情や身だしなみに問題はないか etc.価値観は企業理念とマッチしているか
・候補者がやりたいことは、自社の事業内容や方向性と一致しているか
・候補者の価値観や志向性は、自社の企業理念やカルチャーとマッチしているか今後の活躍が見込める行動特性・資質はあるか
・チャレンジ精神があるか
・リーダーシップがあるか
・問題解決力があるか etc.
とくに3つ目の行動特性や資質に関しては、コンピテンシー(高い成果を発揮する人物に共通する行動特性)を考慮したうえで決めるのがオススメです。
優秀な社員と似た行動特性をもつ人材は、入社後に活躍する可能性が高く、自社にマッチした人材と言えるでしょう。
3.志望度
志望度の高さも、合否を判断するうえで重要な項目です。
いくらスキルやパーソナリティに関する条件を満たしていても、入社への熱意が感じられない場合は、内定辞退や早期離職となる恐れがあります。
ただし、「志望度が高い」=「合格」ではないため注意が必要です。いくら志望度が高くても、企業理解が浅い状態では入社後にギャップを感じ、早期離職してしまう可能性が高くなります。
そのため面接では、「自社のよい点だけでなく、足りていないところまでしっかり理解したうえでの志望度の高さ」を確かめなければなりません。
志望動機は明確か、自社のネガティブな部分も理解したうえで入社を希望しているのか確認することで、企業理解度と志望度を同時に見極めていきましょう。
とはいえ、企業理解度や志望度は、企業側の努力なしでは上がりません。
候補者の企業研究や情報収集に頼るのではなく、企業側から積極的に情報や魅力を発信していく必要があります。
最近では、選考前に企業説明や魅力づけを行う「カジュアル面談」が浸透しています。詳細はこちらの記事を参照ください。
【参考】カジュアル面談とは?効果的に面談を進めるコツを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/casual_interview/
採用基準を設定するときの注意点
ここでは、採用基準を設定するときの注意点を紹介します。
誤った採用基準をもとに面接してしまうと、適切な評価ができず、求める人材を獲得することはできません。
採用を成功させるためには、次の4点に注意してください。
1.採用担当者だけでなく、現場や経営陣の意見も反映させる
採用基準を決めるときは、採用担当者だけでなく、現場や経営陣の意見も必ず反映させましょう。
採用担当者が設定したターゲットと、現場が必要としている人材に相違があることは少なくありませんし、どのような人材が最も活躍するかは現場社員がよく知っています。
また新卒採用の場合は、既存社員と似た人材ではなく、経営陣が思い描く将来のビジョンや今後の人材育成計画にマッチした人材が求められている場合もあるでしょう。
したがって、採用担当者の独断で採用基準を決めてしまうと、入社後のミスマッチが生じてしまう恐れがあります。
求める人物像やターゲットを設定する段階から現場と経営陣の意見をヒアリングし、最適な採用基準を設定できるようにしましょう。
2.新卒採用と中途採用では重視すべきポイントが異なる
新卒採用と中途採用の場合、採用基準で重視すべきポイントが異なるため注意しましょう。
新卒採用の場合は社会人経験がないため、スキルではなくポテンシャルが重視されます。
したがって、価値観や行動特性に関する採用基準が重要であり、パーソナリティ面と志望度のみで多くの候補者の合否を判断していかなければなりません。
そのため、「協調性がある」「主体性がある」などの多くの学生が満たせる基準ではなく、自社とマッチした人材のみが満たせるような採用基準を設定するようにしましょう。
一方、中途採用の場合は即戦力を求めているため、スキルに関する採用基準が重要かつ必須です。
どんなに企業風土にマッチしていて熱意のある人材でも、スキルに関する採用基準を満たしていなければ内定を出すことはできません。
候補者に求めるスキルレベルを明確化し、書類選考や1次面接などの初期段階で適切なスクリーニングが行えるようにしましょう。
3.曖昧な表現を避け、細かく言語化・定義づけをする
採用基準を言語化する際は、曖昧な表現になっていないか必ず確認しましょう。
細かいところまで言語化・定義づけができていなければ、面接官同士の認識がそろえられず、評価のズレが生じてしまいます。
たとえば「チャレンジ精神がある」と一言でいっても、捉え方は人それぞれです。
「未経験の仕事にも意欲的に取り組み、目標達成のために尽力した」というエピソードに対して、高評価する面接官もいれば、採用基準を満たすレベルではないと判断する面接官もいるでしょう。
「チャレンジ精神がある」とは具体的にどのようなことか定義づけ、どのような回答内容であれば合格とするのか、評価の尺度を明確化しなければ公平な選考とはなりません。
採用基準を設定したら、細かく言語化・定義づけを行い、面接での回答例とそれに対する合否判定を共有することで、評価基準をすり合わせていきましょう。
4.選考通過率と照らし合わせて調整・見直しをする
採用基準を決めた後は、その基準が適切かどうか定期的に見直すことも重要です。
いくら明確な採用基準を設けても、選考通過率が高すぎてしまっては選考の意味がありません。
逆に選考通過率が低すぎる場合は、理想が高すぎるために採用目標を達成できない可能性があります。
そのため一度採用基準を確定したら、適切なスクリーニングができているかどうか、選考通過率と照らし合わせて都度調整・見直しをするようにしましょう。
採用基準を明確化したことで採用成功した事例
最後に、採用基準を明確化したことで採用に成功した3社の事例を紹介します。
各社の取り組みや採用基準を参考にし、ぜひ自社の採用活動に活かしてみてください。
株式会社オープンエイト
株式会社オープンエイトの採用基準は「同じ目線でプロダクト開発の楽しさを分かち合えること」。
スキル重視になりすぎず、経験や価値観を共有できる人材を採用することを大切にしています。
また、毎年社員数を倍増させるスピード感の中でも、むやみに採用基準を下げることなく、求める人材に出会えるまで妥協せずに採用活動を進めています。
参考記事:自分より実力の高いエンジニアを採れ|#8 オープンエイト CTO石橋氏×VPoE古萱氏|TECH TEAM BUILDERS
株式会社プレイド
株式会社プレイドが最も大切にしているのは「目的志向の強さ」。そして、学習意欲の高さや柔軟性、前向きなマインドや協調性なども採用基準としています。
成熟産業ではなく未知の領域を開拓するスタートアップ企業だからこそ、抽象性の高い目標を視野に入れつつ変化に対応し続けられる人材が必要だと考え、スキルよりもパーソナリティを重視してエンジニア採用を行っています。
参考記事:プレイドが自律・分散型チームをつくる上で大切にしたコト|#9 プレイドCPO柴山氏|TECH TEAM BUILDERS
株式会社カケハシ
株式会社カケハシの採用基準は「ミッションやバリューに共感すること」。
働くモチベーションが会社のカルチャーやバリューに合うことが最も重要だと考え、面接では「いつ、どのようなときにワクワクするのか」と質問し、一番ワクワクしたことを深く掘り下げるようにしています。
具体的なエピソードを聞くことで候補者の性格や業務適性を把握し、自社とのマッチングを見極めることに成功しています。
参考記事:理想の組織を創るために「どんなときにワクワクしますか」と問う|#4 カケハシCEO中川貴史氏
まとめ
今回は、採用基準の決め方や注意点について解説しました。
誤った方法で採用基準を決めてしまったり、重要なポイントを見落としてしまうと、適切な合否判定は行えません。
ぜひ今回紹介した内容を参考にし、自社にマッチした人材かどうか正しく見極められる採用基準を決めていきましょう。